Designer’s Note #3


FEの謎、アカネイア編


Q1:ナバールとは何者なのか?

 出身地や生い立ちについてはまったく不明です。
 ある人物の行方を求めて長い間、諸国を巡っているようです。
 用心棒などをして日銭を稼いでいるのは、一つところに定着できないことや主従関係の義理を持ちたくないからです。
 若い娘の危機を黙視できないのは、さがしている人物に関係があるようです。
 剣は二刀流(東方剣)、盾は使いません。
 年齢は二十代半ばです。



Q2:フィーナはなぜレイピアを使えるの?

 FE世界ではレイピアは王族が学ぶ剣という設定になっています。
 ただ実戦向きでないので武勇を好む者には人気がありません。
 フィーナがレイピアを使えるのは彼女の出生に秘密があるようです。



Q3:FE世界で言う魔道とは?

 アカネイアにはもともと原始的な神々が存在していました。
 人々は総てのものに神が宿っていると信じていたのです。
 ガトーは人類を導くに当たって、これらの神々を利用しました。
 魔道(攻撃魔法や治癒魔法)とは竜族にとって純粋な技術の力に他なりません。
 しかし人間が理解するにはあまりにも難解かつ危険でした。
 ガトーは人々が崇拝する神々の力を借りると言うことで彼らを納得させ、同時に戒めたのです。火の魔法は火の神に、風の魔法は風の神に力を借りるのだと。
 そして神の信頼を得るには厳しい修行に耐え、常に無欲でなければならぬとも。

 魔道とは自然に存在するエネルギーを集積しコントロールする技術です。
 魔道書や 聖杖はエネルギーを集積する器と考えて下さい。
 エネルギーを解放するにはそれぞれのランクにおいて一定の技術(キーワードの収得、精神の制御技法など)を必要とします。この技術を養うために聖職者は修行を行います。神への祈りがキーワードの収得になり、信仰心が精神力を高めます。エネルギーの充填技法(つまり魔道書や聖杖を作り出す技術)は、一部の高司祭しか伝えられていませんが、後にはカダインをあげて粗製乱造し大量に出回ることになります。

 しかし、これらは通常魔法の話で、高位魔法とよばれるいくつかの物は事情が異なります。オーラ、シーフ、エクスカリバー、ハマーン、オームなど、術者が限定される魔法は、そのエネルギーの源が聖玉(オーブ)にあるとされています。
 ガトーはこれらの魔法があまりに危険なため、さらに高度なプロテクトを付して使用者を限定しました。(スターライトはその余裕すらなかったのですが)高位魔法が人から人へと伝えられるのは、こう言った事情です。使用者同士の契約(合意)によってのみ受け継がれるからです。(ちなみに、このプロテクトはファルシオンにもかけられています。)

 人々はガトーによって初めて神の力を思い知りました。アカネイア王はパレスに壮大な神殿(一般にはパレス魔道宮とよばれる)を築き、ガトーを最高司祭として招こうとします。それが不可能と知ると貴族の子弟を大量に送り込み聖職者の養成を始めます。カダインに向かう人々の中にはまだほんの子どもだったミロアとガーネフもいたと言われています。もともとは葬祭事の事務官でしかなかった聖職者(僧侶、尼僧、司祭)でしたが、実力を得た後はガトーの教えによって庶民の救済を積極的に行うようになります。

 病人の治療、弱者の救済、天候の予測学校の設置、争いの調停など・・・やがて彼らは人々から信頼され、敬われるようになるのです。
 僧侶たちが庶民を間接的に救済したのにたいして、魔道士は彼らを直接の脅威から守りました。いわば僧兵のようなものでしょうか。俗世の権力者の関与を排除するためにも自衛手段は必要でした。ガトーは最低限の力の行使を許したのです。

 後に、それは大きな間違いであったと気づくのですが・・・。



Q4:ミシェイルが父親を殺した背景は?

 三つの理由があります。

 一つは、宗主国アカネイアに対して父王が弱腰でありすぎたこと。
 彼が十歳をすぎた頃、大陸全土が大飢饉に見舞われたことがあります。
 マケドニアでも多くの民が飢えていましたが、アカネイア王国は強引に作物を奪い去り、結果、数千人にも及ぶ餓死者を出しました。
 ミシェイルはその状況を目の当たりにして、父親に食ってかかったのですが、アカネイア王朝の権威に恐れをなす王は、なんら有効な手段をとりませんでした。
 パレスの低俗な下級官僚に対しても、いつも床にはいつくばるようにして接し、マケドニア王としての威厳など少しもありません。
 ミシェイルはこの温厚すぎる父親に失望していました。

 次に当時の状況が考えられます。
 竜の祭壇にメディウスが再生し、ドルーアが再興されつつありました。
 メディウスはマケドニアに使者を遣わし同盟を要求します。
 ところが王は一笑に付し、アカネイアの援軍を頼んでドルーア討伐の兵をあげようとします。
 ミシェイルはアカネイアが援軍を寄こさないことを知っていました。
 もし単独で戦うなら、マケドニアの滅亡は確実です。数万の民が、再び奴隷なって、耐えようのない苦しみを味わうことになります。
 ミシェイルは父王の考えを変えようと必死で努力しますが、アカネイアの権威を盲信する父とは話がかみ合わず激論となり、親子の関係は急速に悪化します。

 最後はガーネフの謀略です。
 父との関係が気まずくなった頃、王がミシェイルの王太子を廃し、ミネルバを王位継承者にするらしいとの噂が流れます。この時代、王位継承権を失った者は抹殺されるのが常でした。ミシェイルの悶々たる思いは、この噂を耳にしたときについに激発し、自らが信じた覇道に向かって突き進むことになるのです。



Q5:そのときのミネルバ、マリアの心情は?

 父王の暗殺はミシェイル自らの手によってなされ、国民にはドルーアとの同盟を決意した王を抹殺するために、アカネイアから刺客が送り込まれたのだと発表されました。当時、前線の守備にでていたミネルバは、まったく事情を知りません。まさか兄が、手に掛けたとは思わなかったようです。

 ただ、彼女は父親と同じく、ドルーアとの同盟には反対していました。
 確かにアカネイアは信用できないけど、アリティアのコーネリアス王なら、きっと助けてくれる、時間さえ稼げばなんとかなる、と考えていたのです。
 彼女には父王がなぜ急に考えを変え、アカネイアの刺客に討たれなければならなかったのか分かりませんでした。彼女は前線の引継をすませ、数日後に城に戻ります。
 そのころ王宮では、ミシェイルがマリアの部屋を訪れていました。
 ミシェイルは妹にマケドニアの危機を伝え、多くの民を救うために人質としてドルーアへ行ってくれないかと頼むのです。

 マリアは自分一人の命で数万の民が救われるのなら喜んで行くと答えます。
 彼女は世界中で一番好きなミシェイルのためなら、自分はどうなってもよいと本気で考えていました。そのとき、ミシェイルがどう思っていたのかはよく分かりません。生まれて初めて涙を見せたという者もいるし、妹を利用しただけだという声もあります。いずれにしてもマリアはまだほんの子供でありながら、以後四年間もの歳月を、帝国の人質として過ごすことになるのです。
 ミネルバが城に戻ったとき、すでにドルーアとの同盟は成り、マリアは人質として送られた後でした。ミネルバは驚き、激しく兄に抗議しました。

 そして、その口論の中で父殺しの犯人が兄であると気づいたのです。
 ミシェイルはミネルバに言い放ちます。すでにサイは投げられたのだ。
 このうえ私に逆らうとなれば妹とて容赦しない。国家に対する反逆者として処罰する。もし我らが、ドルーアとの盟約を破るようなことになれば、マリアの命もない。お前は、国と妹の両方を裏切ることになるのだ、と・・・。
 ミネルバは悩み抜いたあげく、兄に屈します。彼女の無念たるや、想像に難くありません。



Q6:オグマがタリスに仕えた理由は?
 オグマが生まれたのは流刑地として知られるペラティ島だといわれています。
 彼は幼いときに母親を失い、奴隷商人によってノルダの街に連れてこられました。
 そしてアカネイアの貴族に買われ剣闘士として育てられたのです。
 剣闘士とは、まあいわば競馬の馬のようなもの。
 戦って勝てば主人に賞金が入りますが、負ければ死にます。
 奴隷であることに違いありません。
 しかしオグマは天性の感と鍛えあげられた肉体で相手を圧倒し続け、14歳の初戦から負け知らずだったといいます。彼は大陸一の剣闘士として名声を得ますが同時に苦しみはつのってゆきます。金持ちの道楽のために弱者同士が戦い血を流す。そんな毎日に耐えられなくなったのです。

 そしてついに逃亡を決意するのですが、仲間の身代わりとなって捕らえられ、広場での公開処刑・・・それも苦しみながら死んでゆく鞭うちの刑を受けます。

 百・・二百・・三百・・・・・、皮膚は破れ、骨さえ砕かれる。
 意識が薄れる度に水を浴びせられ、気を失うこともできない。
 強靭な肉体を持つオグマにとって、それはまさに、地獄の苦しみでした。
 遠巻きに眺める群衆は顔こそ背けますが、だれも助けようとしません。
 しかし、その時、だれもが予想し得なかった事がおこります。
 まだ十歳にも満たないであろう幼い少女が、突然飛び出してきてオグマの体にすがりついたのです。
 刑の執行人は、あわてて振り下ろす手を止めますが、勢いのついた鞭は無惨にも少女の体を傷つけました。それでも少女は逃げようとしません。
 オグマの血にまみれた体を庇いながら、刑の執行人をにらみつけます。
 少女の毅然とした態度に群衆は驚き、やがて大きな歓声と拍手がわきおこります。
 オグマのオーナーである貴族は、人々の不興を買うことを恐れてやむなくオグマを手放すことに同意したのです。

 少女は父親に頼んで彼を買い受け、必死に看病しました。
 そしてようやく意識を取り戻したオグマに自由だけでなく、生活の足しにと母の形見だった大事なティアラまで与えようとします。
 自らの生を呪い続けた男は、この時初めて人の優しさを知りました。
 
 オグマの父親はパレスの政争に敗れて処刑されたアカネイアの下級貴族だと言われています。母親は流刑地ペラティでオグマを庇って亡くなりました。
 グルニア出身の人らしく、美しい女性だったと伝えられています。



Q7:レナとミシェイルの関係は?

 レナの家はマケドニアでもかなり有力な貴族(私兵を擁する領主)です。
 母親はグルニア王国の宮廷司祭だった人の娘で、レナの尼僧としての能力は母方の血を受け継いだものと思われます。
 レナは十歳をすぎた頃、母親を亡くしました。
 その後、グルニアの祖父の元に預けられ、聖職者として育てられました。

 グルニアでの数年間はレナにとって幸せな日々であったようです。
 尼僧としての能力を身につけたレナは、祖父とともにグルニアの僻地に赴き、聖職者としての義務につとめます。グルニアの自然はまことに厳しく、多くの開拓農民が、蛮族の襲撃と風土病に苦しんでいました。レナは、老いて力の衰えた祖父を手伝って、彼らを救おうと考えたのです。

 グルニアの青年武官であったカミユと知り合ったのも、この頃です。

 カミユはグルニア王家に連なる名門貴族の出でありながら、堕落して庶民を守ることを忘れた貴族(騎士階級)に愛想を尽かし、自らの手兵をもって辺境の開拓村を守っていました。蛮族や盗賊からは「グルニアの黒騎士」と恐れられたカミユ将軍でしたが、平時には農民たちと一緒に額に汗して働き、子供達と遊んでは屈託のない笑顔も見せる心優しい青年でした。まだほんの娘であったレナにとって、カミユの生き様は、なによりも崇高なものに感じられました。自己犠牲なき正義は偽善であると、彼によって教えられたのです。カミユとともに過ごした少女の日々は、レナの人生に大きな影響を与えたようです。

 世界は動乱の時を迎えていました。
 父王の暗殺によって王権を得たミシェイル王子は、民心の掌握に力を注ぎます。

 このころ、グルニアから呼び戻されたレナは養父の命によって、マケドニア王宮に上がっていました。ミネルバ王女付きの女官としてです。
 ミシェイルが自らの后としてレナを求めたのは、彼女が美しく聡明であったことはもちろんですが、同時に、レナの養父ら旧体制側の有力貴族達を、懐柔しようとする目的もありました。先王の死因を知る者は一部にしかいませんが、貴族達に動揺があったのも事実だからです。レナは他の淑女達から羨望の眼で見られます。
 ミシェイルは王太子の頃から圧倒的な人気がありました。人々は、彼ならアカネイア王国による屈辱的干渉(間接支配)から、祖国を守ってくれると信じたのです。
 多くの娘達が、彼の英雄的風貌にあこがれていました。できることなら側室にでもと願っていたのです。しかしレナはミシェイルの求婚を拒み、彼の前から姿を消します。
 レナの運命はこの後、ガルダ、デビルマウンテン、そしてグルニア城へと流れて行くのですが、それはまた別の機会に。

 ただ、余談ですが、マチスは妹がミシェイルを嫌って逃げたために、自分が恨まれてしまったのだと思いこんでいますが、それは少し違います。
 ミシェイルは旧体制側の有力貴族を押さえるために、マチス以外にも多くの貴族の子弟を戦場に駆り出しています。反乱を防止するための人質としてです。
 ミシェイルがレナを恨んでいたかと言うと、それも少し違うようです。
 ミシェイルは、たぶんレナの気持ちを分かっていただろうし、それだけに複雑な思いもあったでしょう。レナが国を出るときも、ミシェイルは誰にも告げず、そっと見守っています。
 父親を手にかけた後のミシェイルは、おのれの野望のためにはすべてを犠牲にすると誓ったのですが、それでも時折不可解な行動を見せてしまいます。その脆さが結局、アリティアの小僧をして、世界の覇者たることを許してしまったようです。



Q8:カシムが詐欺師とよばれたのはなぜ?

 カシムはタリスの猟師です。
 シーダより三つほど年上で、タリスの城下でも孝行息子と評判でした。
 彼には、いわゆる貧乏人の子沢山というやつで、幼い弟や妹が七人もいました。
 父親も猟師でしたがあまり仕事熱心とはいえず、昼間から飲んだくれている事も多かったようです。カシム家は働き者の母とカシムによって支えられていました。

 しかし不幸は突然やってきます。母親が九人目の子供を出産し、そのまま寝込んでしまったのです。産後の肥立ちが悪かったのでしょうか。いくら情けない父親でもさすがに一家の柱、俺にまかせろと言ってガルダへ出稼ぎに行くのですが、そのまま消息は途絶えました。カシム家の十人の運命は、長男であるカシムの手に委ねられることになりました。これではタリスで猟師をやっていただけでは、とても食べてはゆけません。やむなく上の妹、リーンに後を託し、タリスを出る決意をします。

 「お兄ちゃん・・・・・・」
 「ごめんよリーン、お前にばかり辛い思いをさせて」
 「ううん、それはいいの。あたしでできることなら何だってする。おかあさんの看病もできるし、弟や妹たちのめんどうもみれる。でもお兄ちゃんお願いだから早く帰ってきて。おかあさんの薬が買えたら、すぐに帰ってきて、あたしたちなら我慢できるわ、みんなで働けばいいんだもの」
 「うん、分かっているよ。でもガルダで一仕事したら、いい金になるんだそうだ。そしたら、かあさんの薬も買えるし、お前に女の子らしい服もかってやれる」
 「あたしの服なんてどうでもいいの。ね、だから無理をしないで。
 あたし、お兄ちゃんが好きだから・・・お兄ちゃんを失いたくないから・・・」
 「ばかだな、泣く奴があるか!。俺は親父とは違う。あいつは俺達を捨てたけど俺は必ず帰ってくる。リーン、約束する。お兄ちゃんを信用しろ!」

 こうしてカシムはガルダの海賊に身を落としました。
 しかし後に、シーダの命がけの説得に心を打たれ、同盟軍に参加します。
 シーダがくれた、いくばくかのお金は、薬とともにリーンにとどけられました。
 その後もカシムは、シーダへの恩義(と、憧れ)のために故国へかえろうとはせず、同盟軍の一員として戦い続けたのです。

 暗黒戦争終結後、カシムはようやく家族が待つタリスへ帰ります。
 その手には、苦労して買い求めた、粗末な服が握られていました。
 「リーン、よろこんでくれるかな・・・あいつならきっと似合うだろうな」
 そんなことを考えながら、タリスへの道を急いだのです。

 しかし、家に帰ったときには、すでに何もかも遅かったことがわかります。
 リーンは、病気の母や幼い兄弟たちのために、自らを奴隷商人に売ったのです。
 カシムからの仕送りが途絶えたとき、もはや彼女には、他になすべき方法がなかったのでしょう。カシムは半狂乱になって妹を探し求めます。

 ワーレンの薄汚い酒場で、妹の変わり果てた姿を見つけたのは、寒い冬の日の事でした。身も心もボロボロになって、リーンは冷たい床の上に寝かされていました。
 カシムは彼女を力一杯抱きしめて、泣きながら何度も何度も、詫びました。
 リーンは優しく微笑んで、そして最後に、一言だけ言い残して息絶えたのです。

 カシムが守銭奴とか詐欺師とか呼ばれるようなったのは、英雄戦争が始まってからの事です。カシムは仲間に軽蔑され、世間に笑われても、決して本心を明かそうとしませんでした。ただひたすら、金を稼ぎ、家族に送り届けたのです。

 彼の行動をどうとるかは、人それぞれです。
 カシムが経験した悲劇は、この当時の世界ではよくあった話です。
 取るに足らぬ事だと、笑うこともできるでしょう。
 ただカシムにとって、世界を救うことや、祖国を守ること、歴史に名を残すこと等本当はどうでもよかったのかも知れません。そんなことは裕福な者が考えることで社会の底辺にあって妹一人守れない自分に、いったい何ができるというのか。
 そう考えたとしても不思議はないのです。

 リーンが最後に言った言葉、
 「お兄ちゃん・・・約束・・・忘れないで。みんなを・・・守って・・・」
 が、すべてを物語っているように思えます。



(FEデザイナーズノート第3回、終わり)