thee michelle gun elephant


thee michelle gun elephant Interview

 ザ・ミッシェル・ガン・エレファントの新作が届いた。その名も『Chicken Zombies』。このそそられる作品タイトルを持ったアルバムの中身はというと、まさに笑ってしまうほどのカッコ良さを持った、超プリミティブな作品。自分達に必要なものを執拗なまでに追い求める彼らが、そのままパッケージされたまさにミッシェル・ガン・エレファントにしか作れないミッシェル・ガン・エレファントな1枚である。
 断っておくが、インタビューなどで会う4人のメンバーは、いたって気のいい、ちょっとダラダラした普通の兄ちゃん達だ。ただ、彼らからの発言は自信とこだわりに満ちていて、そこからは自分達を、そしてバンドを信じ切っていることがまっすぐに伝わってくる。そしてそれが格好だけでなく、きちんと作品として完成されるところが彼らのカッコ良さだ。そこでメンバー全員インタビューとなった今回は、各メンバーの音楽、バンドに対する気持ち、そして新作への取り組み方などから、なぜ『Chicken Zombies』のような作品が生まれたのか探ってみた。

バカじゃなきゃ いけないんだろうなって

●ニューアルバム『Chicken Zombies』を聴かせてもらったんですけど、カッコ良すぎて、いい意味でバカすぎるアルバムだなって(笑)。ミッシェルのことを、本当に愛すべき音楽おバカちゃん達だなと感じましたよ。
アベフトシ(G、以下アベ):バカって言うなぁ〜(笑)。
●だって本当にカッコいいんですもん。本人達はそう思いませんか(笑)。
アベ:いや、バカっすよ、ほんとに(笑)。
●こういう作品を聴くと、何て言っていいのか分からなくてですね。
アベ:でしょ。だから俺らも説明するのに大変なんですよ。「カッコいいスね」って言われたら「カッコいいっスよぉ〜」。「どんなアルバムですか」って聞かれたら「最高っスよぉ〜」って言うだけだから。
ウエノコウジ(B、以下ウエノ):他には何も言ってないね(笑)。
●じゃあ、「愛すべきおバカちゃん達」と呼ばせてもらっていいですか。
アベ:”お“はいらない。”バカ“でいいよ(笑)。
クハラカズユキ(Ds、以下クハラ):”ちゃん“もいらない(笑)。
アベ:バカでキチ○イなナイスガイ!(全員大笑)
●というミッシェルが作ったニューアルバムなんですけれども、まずはどうしてこんなアルバムができたのか、バンドやメンバーのルーツを探ろうと思うんですよ。全員が突然「音楽バカ」になったということはないと思うんですが、例えば昔のあの出来事が「音楽バカ」になるきっかけだったんじゃないか、みたいなことってありますか。
ウエノ:もう、バンドが好きですからね。一番最初にバンドやったときの、アンプにシールドつなげて音を出したときとかなんじゃないですか。「ああ、気持ちいいな」って、そういう気持ちを感じたとき。
クハラ:僕は生まれつきバカだったんですけど、ミッシェルに入って「音楽バカ」になりました。子供のころはただのバカでしたよ。野球バカ、プロレスバカ、大食いバカ(笑)。でも、子供のころから、何をやるにしてもバカじゃなきゃいけないんだろうなとは思ってましたよ。変に考えちゃいけないんだなって。
ウエノ:そんな気持ちで一生懸命やってるのって、今は音楽だけですからね。他に何もすることないし。バイトもしてないし。
●バイトをしてたときは、「ごはんが食べられなくなってもレコードを買うんだ」とか?
チバユウスケ(Vo、以下チバ):いや、飯は食いますよ。(全員笑)
アベ:飯を食わないとレコードが聴けないじゃないですか。生きてないと。
●じゃあ、音楽との最初の接点って覚えてます?
チバ:俺、あれですよ。レコードなんですけど、あの…何て言うんですか…「♪〜迷子の迷子のおまわりさん!」ってやつ。
アベ+クハラ:こねこちゃんだよ!
ウエノ:おまわりさんが迷子じゃマズイでしょ(笑)。
チバ:「♪バナナン、バナナン、バーナーナン」とかね。
●童謡集ですか。
チバ:多分。緑と紫のLPが2枚、それはありました。
●よく聴いてました?
チバ:いや、あんまり聴いてなかったけど。でもそれが初のレコードとの出会い。俺が買ったわけじゃないと思うんですけど、まだバイトもしてないし(笑)。
●アベさんは何ですか。
アベ:いやぁ〜、覚えてないっスね。…でもね、音楽を自分から聴きたいと思って意識し出したのはね、小学校のときの映画のサントラだと思う。洋画の主題歌をいっぱい集めたカセットテープが家にあって、それを聴いてたんですよ。で、いいなぁとか思って。他にもマカロニウエスタンのサントラのLPの3枚組をもらって聴いてましたね。「荒野の用心棒」と「続・荒野の用心棒」はここが違うとか、言ってた(笑)。
●クハラさんはどうですか。
クハラ:僕はヤマハ音楽教室です。幼稚園ぐらいのころエレクトーン習ってました。でも、あんまり楽しくなかったです、女の子ばっかりだったんで。今だったらきっとうれしいんでしょうけど、そのころは(笑)。
●音楽との最初の思い出があまり楽しくなかったのに、よく音楽に進みましたね。
クハラ:ああ。でも、イヤになってやめて、テレビで「ベストテン」とか見てたから。
●ウエノさんは?
ウエノ:俺もあんまり覚えてないんですけど、一番最初に買ってもらったのは、多分アニメの主題歌集だったと思います。でも、よく聴いたのはね、フィンガー5の…A面は何だか忘れちゃったんですけど、B面に入ってた悲しい曲。死んじゃうんですよ。「なぜ死んだんだ」っていう詞で、その叫びが入ってるんです。
チバ+アベ+クハラ:ワハハハハハ!
●子供には強烈な歌ですよね。
ウエノ:今はもう曲名も思い出せないけど。
●皆さんそれぞれ個性的でおもしろいですね。どうしてこんな昔のことを聞いたのかっていうと、今回のアルバム『Chicken Zombies』を聴いてさっき「音楽バカ」だと感じたって言いましたけど、もっと突き詰めれば「原始人と化してるな」と感じたからなんですよ。
全員:ギャハハハハハ!
●ごめんなさいね(笑)。これもいい意味ですよ。原始人みたいに自分達の好きなことを、好きなだけやってるっていうか。
アベ:いいですよ、おもしろいですよ(笑)。
●音楽ってメンバーにとってはすべてなわけですけど、そこで原始化してるということは実生活も原始化してたりするんですか。
アベ:もちろん肉はすべて生で食いますよ(笑)。
ウエノ:いまだに俺らマンモス食ってますもん!(全員大爆笑)
チバ:マンモスゥ!! ワハハハハハ!
クハラ:家に帰ったらこういう感じの(肩が片一方出た原始人が着てるような)、着てるし(笑)。
●でも音楽聴いてるとそういうイメージありますよ。自分達に必要なものだけしか、追わないという。
チバ:まあ、家では真っ裸でいますけど(笑)。
●そうすると、こういう音楽が生まれるわけですね。その音楽を作る4人のメンバーなんですが、「類は友を呼ぶ」って言う言葉がありますけど、最初にメンバーが会ったときお互いどこかに「同類」を感じたところはありました?
チバ:ないっスね!(全員爆笑)
アベ:俺らはバラバラですよ。
チバ:だって他人ですよ(笑)。
●ミッシェルは「同類」じゃなく、逆に違うタイプだからくっついてるんですかね。
クハラ:バンドですからね、スタジオ入ってこの4人が気持ちいいなぁって思ったから、今ここにいるわけで。他は別に全然バラバラですよ。

他に行っても やれないヤツばっかなんですよ

●では、ミッシェルというバンドに会ったときの印象はどうだったんですか。
クハラ:俺はライブ見て、「わぁ、ミッシェル最高!」ってなって(笑)。それで入ったんですけどね。
●当時、ドラムがいなかったんですか。
クハラ:クビにしてもらいました。その人よりも絶対うまいと思ったから。
●その前からチバさんとは知り合いで?
クハラ:名前だけは知ってましたけど、話をしたことはなかったですね。だから「一緒にやりませんか」タッチのことを言ったんですよ。なりそめは、もうあんまり覚えてないですね。
チバ:俺も覚えてないんですけど、何かやりたそうだったんで。前のドラムはドラムで良かったんですけど……「ヤル気重視」ってよく書いてあるじゃないですか(笑)。で、まぁ「やりたい」って言うんで、「やれば」って。
●チバさんの求めてるドラマーだったっていうか、ピンと来たっていうか。
チバ:そうっスね。まぁ、「頑張れば」って。キュウ(クハラ)は世の中というか、世間一般から見たら多分昔の方がうまいんですよ、ドラム。でも、そういうドラムはいらないんですよね。今は崩れて最高級になってると思うんですけど(笑)、それが欲しかったんです。…崩すってわけじゃないんですけどね。自然にそうなっていくんですよ。
クハラ:だからくさったみかんを置いとくと、他もくさるって言うじゃないですか。その原理です。くさったみかんの中に新鮮なみかんが入っていったから、くさってきたんです。
チバ+アベ+ウエノ:ハハハハハハ!
クハラ:まぁ、幼稚園に入る前の子供とか砂場とかで遊んでる と、そこへお母さんが子供連れてきて放つじゃないですか。で、いつの間にか仲良くなってるでしょ。そのときに、子供って相手を見て「こいつ、性格いいのかな」とか多分考えないじゃないですか。そういう感じですよ、きっと。
●で、ミッシェルになってきたわけですね(笑)。次にウエノさんが入るわけですけど。
ウエノ:俺は、ミッシェル見て「パンクスだなぁ」と思いましたね。チバとはあんまりしゃべったことがなかったんですけど、違うところでキュウと別のバンドやってたんで、たまたま「ベースがいなくなったからやんない?」って言われて、「ああ、やる」って。
●入ってきたころのウエノさんは覚えてますか。
チバ:うん。ベースいなくなっちゃって、それでキュウが紹介してくれて。背高いしいいなぁって(笑)。それに「やってくれる」って言うし。
●やっぱりヤル気重視で?
チバ:う〜ん、ちょっと違うんですけどね。ヤル気重視っていうか、当時みんなあんまりヤル気なかったですからね(笑)。でも「今かなり高円寺界隈ではキテる」とかそういうだまし文句は言ったんですけど(笑)。「もう、下北(沢)、新宿、高円寺じゃ、スゲエよ」とか言って。
●本当はどうだったんですか。
チバ:もうガラガラっスよ(笑)。
クハラ:グウの音も出ませんでしたからね。
ウエノ:バンドって、お客が入らないとこんなにお金のかかるもんなんだと思いましたよ。
●アベさんは、そんなミッシェルに対してどんな印象だったんですか。
アベ:「やりた〜い!」って。
●アベさんが入ったときはみなさん覚えてますか。
チバ:覚えてますよぉ。もう、デケエ〜!って(笑)。それでスタジオに入ってギターをジャンってやったときに、もう絶対何が何でも入れようと思いましたけどね。
●アベさんの方もヤル気満々でした?
アベ:あったり 前っスよ。俺は、アドレナリン・バカですからね。マジで何が何でも入ろうと思ったもん。
●じゃあ、この4人がそろったときって、「これでいけるな」みたいな感覚ってありました?
ウエノ:曲作ってても、すごく楽しくなったし。
チバ:そう、そう。昔は全部俺が作ったりとかしてたから、もう全然違うんですよ。
●楽しさも全然違いましたか。
チバ:そらぁ、もう! あのころは…(笑)。っつうか、でもね、他に行ってもやれないヤツばっかなんですよ、うち。何も通用しないからね。そのくせ、頑固でしょ。
クハラ:それで大飯食らいでしょ。食いすぎでクビになりますよ。(全員大笑)
アベ:それで荒くれモンじゃん?
ウエノ:無法者でもあるし。
チバ:だからセッションとかもできないんですよ、俺ら。イベントとかで「他の人とやってください」とか言われるんだけど、やっぱりできないんだよね。
●今までやったことないんですか。
チバ:やってたんだけど、燃えないんだよね。何か、みんなていねいだからさ。俺らはみんなアドレナリン・バカだから(笑)、「ウラァァァァ〜」つって原型がもう全部なくなっちゃうからね。そういうんじゃないと何かおもしろくないんですよ。
●(笑)最初にチバさんの中でミッシェル・ガン・エレファントっていうバンドの理想みたいなものがあったと思うんですけど、今のミッシェルといい意味でギャップってありますか。
チバ、:んーっ…でも、まぁ大体想像はしてましたよ。このメンバーになってからは、もうアドレナリン・バカですからね(笑)。
●理想のミッシェルに近づいているという?
チバ:今? 今は、やってること自体が理想の形だからね。日々、常に。
●いいですね、それ(笑)。
チバ:当然ッスよ(笑)。
アベ:何て言うの……チバがやりたかったことに合わせてるんじゃなくて、俺らがやりたかったことが全員一緒だった。そういうことです。だから俺がミッシェル入るときにスタジオ入って、テープもらったときに「おお、俺はこういうのやりたかったんだ」って思ったんですよね。全部、偶然。みんな向いてる方向が一緒なんです。
●曲を作ってるときは、それを実感して笑っちゃったり?
ウエノ:毎日笑ってますよ。
チバ:新曲作ってるときとか、やっぱりニヤニヤしちゃうからね。
アベ:何かね、優しい目になる(笑)。
チバ:湯葉(ゆば)作ってるときみたいな感じかなぁ(笑)。
●でも、今が理想ということは、「あのころは頭固かったかな」っていう時期もあるんですか。
チバ:いやぁ〜、今の方が固いんじゃないかな。
ウエノ:どんどん音楽に対してかたくなになってるし。周りは関係ないですからね。
●皆さんの話を聞いてると同類ではないにしても、やっぱり仲がいいと思うんですけど、例えば今回のアルバム『Chicken Zombies』の「I've never been you」の歌詞みたいに「さわらないで かまわないで」ってなることはないんですか。
チバ:そんな普段触わんないですよ。
クハラ:構わないし。
チバ:いじりはしますよ。
●スタジオの隅に一人ぼっちで三角座りするような人はいないわけですね(笑)。
クハラ:そんなヤツはバンドなんかやる資格ないですよ。人として失格ですよ、そんなの。
●まぁ、ミッシェルのイメージとしては、最近の歌詞にもたまにある「カルチャー」と「枯れちゃう」とか、「ハイ!チャイナ!」と「吐いちゃいな」みたいな、カッコいいけど、ちょっとクスッと笑っちゃうみたいな感じなんですけどね。
チバ:落研(落語研究会)出身ですからね。
●歌詞にはそれが出てるんですか。
チバ:そうですね。でも、たまたまっスよ。まぁ、笑っちゃうカッコ良さっていうか、笑っちゃうくらいカッコ良ければいいんじゃねえかなと思うしね。
●そんなミッシェルなのに、「怖そう」ってイメージが付いててかわいそうなんですよね。
アベ:イメージなんて周りが勝手に作るもんですからね。関係ないですよ。俺らは普通にやってるだけだから。
クハラ:何で、かわいそうなの?
●この前うちの編集部に来てもらって取材したとき、お茶を出したスタッフがすごく緊張してたらしいんですけど、「ありがとうございます」って言われたって感激してて。
アベ:それゃあ、もう普通でしょう。言わなければ社会人として失格ですよ(笑)。
クハラ:人としての問題でしょう。お茶を頂いてるんだから「ありがとう」と言うのは当然ですよ。それが言えないようなヤツはミッシェルだったらクビですよ(笑)。
アベ:朝会ったら「おはようございます」、夜会ったら「こんばん は」、きちんと相手に対応して。だからカチンと来たらすぐぶんなぐるしね(笑)。
チバ:お茶も38度じゃないとダメだし(笑)。
ウエノ:ずいぶんぬるいお茶だな。それ、風呂じゃねえか? まぁ、どう思われてようが構わないんですけどね。
クハラ:彼女に分かってもらえればいいですよ!!(全員大爆笑)