スペシャルレポート
新世紀エヴァンゲリオン“騒動”小史(増補改訂版)
■ 1994年
12.26 漫画誌『少年エース』95年2月号(角川書店)で、アニメ本編のキャラクターデザイナー・貞本義行による3.コミック版『新世紀エヴァンゲリオン』先行連載開始

■ 1995年
3.10 アニメ誌『ニュータイプ』4月号発売(角川書店)。アニメ版エヴァのお披露目とも言える4ページ特集。この時期に秋からの新番組を取り上げるのは異例。表紙も飾り「ガイナックス動く!」の報に、コアなアニメファンの期待は膨らむ
10.4 第壱話「使徒、襲来」放映。視聴率は6・8%(ビデオリサーチ)。主人公・碇シンジのセリフ「逃げちゃ駄目だ」が一部で流行
11.22 第八話「アスカ、来日」が放送される。三人目のエヴァ搭乗員、惣流・アスカ・ラングレー(声優は宮村優子)登場。決めセリフ「あんたバカぁ?」が一部で流行
11.29 第九話「瞬間、心、重ねて」。主要登場人物の一人、赤木リツコ(エヴァの開発責任者。声優は山口由里子)のセリフ「ブザマね」が一部で流行

■ 1996年
1.31 第拾八話「命の選択を」。暴走したエヴァ初号機が敵(使徒)を殴り続けるシーンの残虐描写が「子供が見る時間帯の作品としてはいかがなものか」と一部で物議
2.3 TVアニメのビデオ・LD第一弾「Genesis 0:1 」(壱話・弐話収録)が発売される(LDは初回特典ボックス付き)。予約が殺到し、発売日に入手できないファンが続出
2.14 第弐拾話「心のかたち 人のかたち」。ラストの濃厚なラブシーン(と言っても手とあえぎ声のみ)を葛城ミサト役の三石琴乃が熱演。やはり「子供が見る時間帯の作品としてはいかがなものか」と一部で物議
3.13 第弐拾四話「最後のシ者」。フィフスチルドレン・渚カヲル登場。彼は一話かぎりの登場だが、全国に熱狂的な女性ファンが生まれる
3.27 最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」。結局、ほとんどの謎が解明されないまま最終回が終了。ちなみに最終回視聴率は10・3%
4.14 『林原めぐみのTokyo Boogie Night』(TBSラジオ)。ゲストに庵野秀明監督。「アニメファンにはプライドが足りない」「アニメに逃げ込んでいる」「現実に帰れ」などの監督の問題発言続出
4.26 『少年エース』6月号発売。ガイナックスが完全新作の劇場版制作と97年夏の公開を発表。また、TVアニメのラスト2話を新たに作り直し、ビデオ・LDではテレビ放映版とカップリングで発売することを発表。さらに弐拾壱話以降は新作部分を追加することも告知
5.10 『ニュータイプ』6月号発売。テレビ終了後初の本格的な庵野監督のインタビュー掲載。「『エヴァ』はライブ感覚で作った」「パソコン通信は便所の落書き」などの発言が、ファンの一部で物議
5.22 テレビ版のサントラCD第3弾『NEON GENESIS EVANGELION 3 』発売。オリコン6月3日号でアルバムチャート初登場第一位に。「アニメでは『銀河鉄道999』以来」と騒がれ、翌日のスポーツ新聞や朝のワイドショーでも取り上げられた
6.2 三鷹市水道部(水道局)がポスターに『エヴァ』の綾波レイを起用。その後、ファンからの問い合わせが殺到し、地元三鷹駅前で同デザインの下敷きを配るイベントでは朝から長蛇の列。整理券を配布する騒ぎに
6.10 『アニメージュ』七月号発売(徳間書店)。「あんた、バカぁと、言われてみたい」の題で庵野監督とアスカ役の声優、宮村優子との対談。宮村は「ラスト近くのアスカの扱いにストレスがたまって過食症になってしまった」とコメント
6.25 『SFマガジン』八月号発売(早川書房)。「『新世紀エヴァンゲリオン』の世界」と題して二十六ページの大特集。庵野監督とSF翻訳家の大森望の対談を軸に、香山リカなども寄稿
6.26 アニメとは無縁ともいえる青年グラビア誌『デラべっぴん』8月号(英知出版)で、エヴァの14ページ大特集。岡田斗司夫監修による(濃い)内容。中でも「碇ゲンドウ=宮崎駿」論は一読の価値あり/FONT>
7月頃 完全新作の劇場版に先立って、テレビ版弐拾四話までの総集編と新作のラスト2話が97年春に劇場公開されることが決定。しかし、先に発表のあった「夏の完全新作劇場版」の話は宙に浮いたまま(97年2月14日の記者会見で7月公開の『REBIRTH2』で決着と発表)
8.24 サブカル雑誌『クイック・ジャパン』(太田出版)9号でもエヴァ大特集。大泉実成と竹熊健太郎による、庵野監督のロングロング・インタビュー。監督個人のインタビューとしては、質量ともに他誌を圧倒。 売れ行き好調に気を良くしてか、10、11、12号でもエヴァ関連の特集を組む。97年3月10日には、雑誌掲載のインタビューを中心に構成した『庵野秀明 スキゾ・エヴァンゲリオン』(竹熊健太郎編)『パラノ・エヴァンゲリオン』(大泉実成編)の二冊を同時発売し、さらにウハウハ状態か?
11.1 映画『新世紀エヴァンゲリオン劇場版・シト新生』の製作発表記者会見(東京会館12階のロイヤルルーム)。映画ではエヴァ5号機から13号機まで新たにが登場することなどが明らかに。この時配られたプレス用パンフレット(写真)がマニアの間で高値取り引きされるという異常事態発生
11.23 オリジナルテレカ付き限定前売り券が発売。徹夜組も出て、映画館によっては2000人以上が行列。前売りは数時間で完売
12.8 神戸市主催のアニメグランプリ「アニメーション神戸」で『エヴァ』がテレビ部門賞を受賞。演出部門で庵野監督が、声優部門では綾波レイ役の林原めぐみがそれぞれ受賞
12.21 キングレコードから前売り券付きCD発売。庵野監督脚本のギャグドラマや、キャラクターによる主題歌のカバー・バージョンを収録
12.31 新宿ミラノ座で「エヴァンゲリオン オールナイト」。テレビ放送した中から14話を厳選し、それを観ながら年を越そうというもの。会場は1200人ものファンが詰めかけた

■ 1997年
1.11 大阪万博ホールで劇場版の最初の公開記念イベントが開催。ゲストの主要女性声優陣は、それぞれキャラクターのコスプレをして参加。以後、公開直前まで各地でイベントが開催される
2.1 テレビ東京で毎週土曜深夜にTVシリーズの再放送が開始。一度に3〜4話ずつという変則的な放映
2.9 劇場版のアフレコが行われる。午前10時から翌日の午前零時まで、延々14時間にも及ぶハードな収録となった
2.14 東京・銀座の東映本社会議室で、庵野秀明氏と角川歴彦(かどかわ・つぐひこ)・角川書店社長による緊急記者会見。発表内容は3月15日に公開された劇場版の大幅な内容変更。昨年11月の製作発表では、劇場版は『DEATH』(デス)編と『REBIRTH』(リバース)編の2部構成で、各60分とされていた。デス編は、テレビシリーズの壱話から弐拾四話までの総集編。リバース編は、賛否両論を呼んだテレビシリーズの最終2話を、まったくの新作として作り直すはずだった。ところが今回の変更で、デス編はオリジナルシーンをさらに加えての72分となったが、肝心のリバース編はわずか27分の上映となり、リバース編は3月で完結せず、7月に『REBIRTH2』を公開することが決定
3.7 セガよりセガサターン用アドベンチャーゲーム『新世紀エヴァンゲリオン・セカンドインプレッション』が発売。TVとも劇場版とも違うストーリーが楽しめるとあって、店頭には買い求めるファンが殺到
3.15 『新世紀エヴァンゲリオン劇場版・シト新生』公開。初日は徹夜組や行列組を考慮して、新宿東急とミラノ座では午前五時十分より上映開始。なお、この日の観客動員数は十五万人
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