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         新 T-thai(定退)


            第1章 パヤオ田舎暮らし(現実編)  

近況

7月の終わり、タイ西部から北タイにかけての国境地帯の秘境探索?に出掛けた。
1週間の予定が2週間になり、寄り道ばかりして中々先に進まなかった。
 

帰り道、チェンマイ近くの川は各所で氾濫し大騒ぎになっており、私も帰るのが危ぶ
まれる程だった。
パヤオに帰ると村の川は増水し、川沿いの田んぼは全滅、チェンカム行きの道路
は水没して車も走る事が出来ない。
貧しい村の状況は、さらに、これから酷い状況になっていくだろう。
 
 

その23、北タイ秘境?探し その2(TAK南西部)
     
7月下旬の北タイは、雨季真っ盛りという状況で、毎日のように雨が降り続いており、
出掛ける朝も雨は降り続いていた。
出だしから雨で、憂鬱なツーリングだが最初の目的地TAKに向かう。
 

パヤオ市で国道一号線に入るが、殆どの車はNAGOでペー(PHRAE)に抜け距離的
に最も近いコースでバンコクに向かうようだ。
何度もパヤオ〜バンコクをバスで往復しているが、国道一号線を走るのは、今回初
めてであった。
 

小高い山並みに囲まれ景色も良く、交通量も少ない快適な道を2時間(130キロ)ほ
ど走るとランパーンの街に入る。
幸い、街中に入ったとき雨が止んだので、街を一回りした。
 

ワン川の川沿いに広がる街、ランパーンは歴史のある街らしい。
今回は街見物が目的で無いので一回りして、セブンイレブンで肉まん、牛乳、アンパ
ンを買い直ぐにTAKに向かう。
 

ツーリング時の食事時間は、平均5、6分、だらだら食べていると緊張感が無くなり、
ゆっくり休みたくなるので、すぐに出掛ける事にしている。


壁画のある岩山

天下の国道1号線が、こんなに景色の良い道だとは思わなかった。
緑の山々や、岩山が続き、一部工事区間はあるものの素晴らしい道が続いていた。
途中、石灰岩の断崖に描くかれた壁画や、ダム2箇所(BHUMIPHON、DAM等)の観
光コースを見物するが、秘境感まるで無し。

寄り道をしたため、TAKに入った時は、もう薄暗くなっていたが、雨は上がり、すがす
がしい青空が広がった。
急いで街を一回りしたが、大きな川沿いに広がる街TAKは、県庁所在地として、そ
れほど大きな街ではないが、風情を感じさせる落ち着いた街であった。
 

川に掛かる三本の橋のうち、真中の橋は大きな釣り橋であり、夕方の一時、多くの
人々がジョッキングを楽しんでいた。

犬を連れて散歩している婦人にホテルを聞くと、TAKには何軒かあるらしい。
値段の手ごろな、大きな連れ込みホテルのようなところ(230B)を選ぶが、設備は
それなりであった(お湯無し)。
 

夜の食事は、川沿いの夜間市場近くのお店で、ジンギスカンを食べる、これは安くて
なかなか美味い。(90B)
食後の散歩に、TAKの「夜の秘境探し」をするが、成果まるで無し。
 

ホテルに戻り、地図とニラメッコして、明日は秘境のありそうな所、MAE SOTの南
ウンパーン(UNPHANG)に行く事にした。


TAKの国道沿いのホテル

次の日は朝7時出発、TAKから105号線でMAE SOTに向かうが、山道が多く1号
線のように距離は稼げない。
幸い今日は天気が良く、途中の山道にかなり大きな「峠の市場」があり、なかなか
面白い。


峠の市場

峠を越え2時間ほどでMAE SOTの手前数キロの分岐点につくが、そのままウンパー
ンに向かう。
途中滝の標識があったので入るが、滝周辺は公園状に整備されており「こりゃ、ダメ
ダ」。

山道に入ると、天気が急に崩れ雨も降り始める。
ウンパーンに向かう1090号線は、舗装はされているものの、かなり道が痛んでおり、
アップダウンもだんだん激しくなってくる。
 

峠をいくつも越えるが、雨が一時的に上がった晴れ間には、素晴らしい眺めも望め
るが、殆ど、雨と霧で何にも見えない。
途中には大きな山岳民族の集落があり、村中の道は階段状になっていた。

ウンパーンの街に入った時はもう日暮れが近づいていた。
街中の店で夕食の肉まんアンマン、果物を買い店の人にゲストハウスの場所を聞く
と、親切な方でバイクで案内してくれた。

受付に行くと、エアコン、お湯無しが100B、全て完備したバンガローが300Bと言うので
今回はお湯つきのバンガローに2泊することにする。
雨で冷えた体には、水シャワーはきついし、疲れも取れない。
 

このバンガローの主人は、観光業も兼ねており、この辺りの見所は船でトレッキング
をするのが普通だとの事である。
ウンパーン周辺の地図を貰うと、確かに観光ポイントは川周辺に集中していた。
 

秘境?の滝もあるらしく船で3時間、歩きで3時間だそうである。
早朝出発、日暮れに戻れるそうだがガイド料込みで2000Bと、グループで無いと高く
つく。
秘境見物には、体力と、結構お金も掛かるようだ。
 

親切に色々教えてもらったが、今回船は諦めバイクで行ける滝があるそうなので明日
行く事にした。

バンガローは川辺にあり、せせらぎの音も聞こえて、中々雰囲気も良かった。
部屋もダブルベットが二つ、シングルベットが一つと、かなり広く、冷蔵庫もついてい
た。
 

こりゃ、良い部屋だと思ったが蚊が多くて、何度も夜中に起き上がり、数十匹の蚊を
叩き潰した。
秘境探しに、蚊取り線香は必需品である。


ウンパーン南の1090号線

次の朝も雨模様の天気だった。
平地では降っていなくとも、山道に入ると必ずと言って良いほど雨になる。
待っても止みそうも無いので、7時過ぎ秘境探しに出掛けた。


中央やや右下がUNPHANG、左はミヤンマー、上がメソット。

今日はUNPHANGの南1090号線を、行ける頃まで行く事にする。
一時間半ほどで赤線の国道末端に着くが未舗装の道がさらに続いていた。
標識に15キロほどのところに村があるらしいので、行ってみる事にする。

40分ほど雨の未舗装を進むとゲートがあり、どうも立ち入り禁止らしい。
折角、雨の中40分も走ってきたので、何とか入りたいと言うと、トランシーバーで
上司に連絡したらしく、一時間の許可が出る。
 

中は良くわからないが、軍の施設らしく写真を撮りたかったが止めにした。
道端の標識には、さらにこの道は70数キロほど続いているらしいが、時間が無いの
で5キロほど先の、池を見に行くことにした。
しかし、ぬかるみでニッチもサッチも行かなくなり、ギブアップ、「オフロード兼用車が
ほしい」。
 

一度UNPHANGに戻り、北西の1167号線に入る、ここは突き当たりはミヤンマー国
境の筈である。
雨の中を40分ほど走ると、舗装道路は途切れ、草ぼうぼうでぬかるみ混じりの道に
なる。


1167号線の末端?
 

大抵は国境の検問所があるはずだが、未舗装に入り数百メートでギブアップ、雨も
相当酷くなってきたのでUNPHANGに戻る事にした。
今日の秘境探しは、見事に「外れ〜」。
 

UNPHANGの小さな街には,ネットカフェーがあったので、 FDに入れてきた  「その
18、パヤオ気まぐれ通信6」を更新することにした。
日本語IMEのダウンロードに1時間掛かるようなので、お店に断り近くの床屋に行く。
サッパリとして戻ると、ダウンロードが完了しており、何とか更新することができた。
 

今日は朝飯、昼飯をまともに食べていないので、帰り掛け近くの屋台で惣菜、カオ
ニャオ、ガイヤーンを買い栄養を付けることにした。
かぼちゃ入りのゲーンは、かなり美味かった。

夕方のバンガローのテラスで、せせらぎの音を聞きながら食べる夕食は、また格別
だが、近くにランナハーンがあり日暮から下手なカラオケが聞こえてくる。
「オイ、オイ、もっと上手に歌ってよ」、タイ人のカラオケは大体が下手である。
 

私も行きたくなり、お店を外から覗くがグループばかりであり、一人では入れなかった。
買ってきた蚊取り線香をともし、テラスで10時過ぎまでぼ〜ッとしてしまう。


バンガローのテラス

今日も、朝から雨模様の天気だった。
朝早く出発し、昼前にバンガローに戻り、サッパリしてからチェックアウトすれば効率
的でもある。
一昨日、教えてもらったナムトックと1288号線の末端まで行ってみることにした。
 

山道に入ると雨と霧のため、周りの景色はまるで見えない。
20分ほど走ると、ナムトックの標識があったので左折、数キロ程進んだ、ぬかるみで
あえなく転倒、左後部のウインカーが折れてしまう。
 

これで2回目、一個550Bはチト高いよHONDAさん、秘境探しは高くつくのである。
残念ながらバイクで先に進むのを諦め、歩いて近くの滝もどきの川を見物する。
道が無いので、草を掻き分け川を見物したが、足首がむずがゆいのでズボンをまく
ると、「オ、ヨヨヨよ」、血を吸い大きく膨れ上がった2匹のヒルが靴下の上にへばりつ
いていた。

大きなヒルは無理にはがすと、出血が止まらなくなると聞いており、タバコの火を押し
付けるのが一番良いのだが、あいにく今はタバコは止めている。
そのまま暫くすれば、自然に離れるのは分かっていたが、どうにも気持ちが悪いの
で無理に引っ剥がしてしまった。
 

案の定、出血が止まらなくなり、左足のGパンは膝から下が血だらけになってしまい、
「おお〜気持ち悪〜う」。
シャクに障る2匹のヒルを、「この野郎」と何度もつぶやきながら、靴で踏み潰した。
ぬかるんだ土に、どす黒い血が広がって行くが、秘境探しも結構楽じゃない。
このヒルの吸い口は、2週間たった今も消えることは無かった。

もう一本脇道に入ったが、沢から流れ出した水溜りで子供達が魚をとって遊んで
いた(と思った)
びくの中には5センチほどの小魚が少し入っていたが、子供達の表情から遊びで
無い事に直ぐに気が付いた。
少数山岳民族の生活は、我々には理解し難いほど厳しい。
 

バンガローに戻り、シャワーを浴びサッパリとして11時頃チェックアウトするが、残念
ながらウンパーン周辺の秘境探しは見事な失敗に終わった
 

何も見えない雨の山道を、ひたすらMAE SOTに向かう。
峠を越え、日暮までには時間があるので1206号線のモーエイ(MOEI)川のミヤンマー
国境に行く事にする。
1090号線から1206号線に入り30分ほど走ると小さな村に入り行き止まりになった。
 

行き止まりの小さな村には、家の裏に小さな川が流れており、どうも道を間違えたら
しい。
小川には板を張り合わせた、粗末な橋が掛かっており、老婆が釣りをしていた。
間違いついでに橋を渡り、向こう岸に見える村を一回りすることにする。

橋の上を歩くと、10メートルほどの川幅だが、ユサユサと揺れ、かなりオッカナイ。
何故か、橋の中央に粗末な扉が付いていた。

向こう岸に渡ると川沿いに何軒かの集落があり、少し離れたところにも枯葉葺きの
農家が点在している。
橋のこちら側は何故か電気も来ていないようであり、家の造りや雰囲気、住民の衣
装も少し異なるように思えた。
 

住民の方からジロジロ見られるが、いつもの事なので気にしなかったが、暫くして
「ハッ」と気がついた、「こりゃ、ヤバイ??」。


ミヤンマー側から見た橋の様子。

早足で橋に戻り、向こう岸の村中の小さなお店のおじいさんに「メナム、チュー アラ
イ、カッ」と聞くと
「メナム、MOEI」と言う返事であり、ビックリしてしまう。
 

わずか数百メートルだが、ミヤンマーに無許可入国したことになり、タイやミヤンマー
側の警備員に捕まればトラブルに成ったかもしれない。
「スッゲ〜、いい加減な国境だな」と思いながら下流側に行くと、国境検問所があり小
さな市場があった。
 

国境の写真を撮ろうとしたら、警備の軍人二人が「マイダーイ、タイループ」と怒鳴り、
検問所の中でじゅん問?されてしまう。
若い軍人で彼らが持っているM−16ライフルの、話をしているうち気安くなり、「ミヤン
マーに入っても良いか」と聞くと、向こうで、トラぶっても良いのなら少しぐらい構わない
という。
 

しかし、かなり治安がヤバイらしく、残念だが今回は止めにした。
モーエィ川に掛かる小さな橋は、多くのミヤンマーの人達が、何事も無いように行き来
していた。
国境と言うのは実に不思議なところであり、ここも一種の秘境と言えるのかも知れない。

メーソットの街に入ったときは、すでに日も暮れかかっていた。
買い物をしたお店で、ホテルの場所を聞き350Bの部屋にする。(エアコン、お湯付
きは700B)
一休みして、食事に出るとホテルの入り口脇の薄暗い軒下に、子連れのインド系の
母子がいた。
何も要求する訳でもなく、ただ座っているだけであった。
 

雨が止まないのでホテル前の雑貨屋で、カサ(80B)を買い、ついでにおいしいいお店
を教えてもらう。
交差店のカオマンガイの屋台と、近くの食堂を教えてもらう。
ブラブラ、散歩しながら教えられた食堂に行き、白いおかゆ2杯、トン足煮込み、野菜
炒め、塩卵を頼む。
 

トン足煮込みには独特のタレがついており、薄めの味付けの肉に付けて食べると、こ
れが実に美味で、お変わりする。
勘定の時、100B位かなと思ったが、45Bと聞いてまたビックリしてしまう。
間違いかと思い主人に値段を聞くと、トンソク煮込みは一皿10Bだそうである。

メーソットの夜の町を1時間ほど散歩した。
怪しげな?、マッサージ店や小さなカフェーを見かける程度だが、結構風俗もあるら
しい。
セブンイレブンで、明日の朝飯のパンと牛乳を買い外に出ると、6歳くらいの裸足の
少女がワイをするので10Bを渡す。
 

ホテルに戻る途中、別のインド系母子が、ただぼんやりと閉じた店先の暗闇の軒下
に佇んでいた。
間違えたら失礼かとも思ったが、20Bを出すと彼女はワイをして受取り、ホッとする。
 

ホテルの入り口の脇には、さっきのインド系の母子が子供を抱えて、冷たい地べた
にそのままの姿で寝ていた。
20Bを子供の枕元に置き、私は清潔で寝心地の良いベットが待つ、快適なホテルに
入って行く。
 

今の時期、結構夜は冷え込むことも多い。
ホテルの窓辺の下の路上で寝る母子を置き去りに、メソットの夜は相変わらず冷たい
雨が降り続いていた。
 

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