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11月22日

「お、今日のうまそうじゃん」
「ああ……そうだな」
「何やってんだよ。早く食えよ」
「うん……」
「おい。今日の毒味役はお前だぞ。俺が顔色見る役。わかってるか?」
「わかってるよ」
「早くしろって。殿に少しでも早く食わせてやろうぜ。まあどうせさめてるけどさ」
「あのさあ」
「あ?」
「今日代わってくんねえ?」
「おい、何言ってんだよ」
「俺、ゴボウ嫌いなんだよ……」
「バカお前……ふざけんなよ。仕事なんだからとっとと食えよ」
「いや、マジやばい。くさい。食えねえって。代わってくれよ」
「お前何直前にそんなこと言ってんの? ふざけんなよ。仕事何だと思ってんだよ」
「そんなこと言ってもさ……。俺いつもだったらゴボウがあるってだけで膳ごと投げ捨ててるもん……それぐらい嫌なんだよ。頼むよ」
「代わるにしても手続きとかあるだろうが。何時間かかると思ってんだよ。殿もう寝る時間になっちまう」
「けど……」
「食えって。飲みこんじまえ。ほら」
「うう……」
 ブルブルブル
「…………」
「……だめだ!」
「馬鹿野郎!」
「人の食うもんじゃねえよ」
「いいかげんにしろ。俺らは殿のために……」
「こら! 何をやってるんだ!」
「あっ」
「と、殿」
「いつまでたっても食事が来ないと思ったら……こんなところで止まってたのか!」
「す、すみません」
「あの、今すぐに」
「すぐに? そうか。よし、早く毒見しろ」
「は、はい……」
 ブルブルブル
「…………」
「…………」
「……だめだ!」
「馬鹿野郎! 殿の前で……」
「あー、もういい。代わってやれ」
「殿。しかしそれは」
「いいんだ。こいつはゴボウが嫌いなんじゃない。ゴボウが好きなんだから」
「えっ。殿?」
「たかが藩主のために、ゴボウ様を口に入れるなんてとてもできないんだよ。な」
「と、殿! あんまりです」
「そうですよ! これでもこいつは忠義にかけては人一倍……」
「いいんだ。気にするな。まだ私も藩主として未熟だからな。……ゴボウに劣ると思われるのもやむをえない話さ」
「そ、そんなことはありません! 殿! 殿が国のため民のためにいつも心を砕いているのを俺はいつも見てて、殿のためならいつ命を投げ出しても惜しくはないと」
「お前! そう思ってんなら食えよ! ゴボウ! 今すぐ!」
「いや、無理に食べることはないさ」
「食え! 殿が名君だってわかってるんなら食え!」
「名君などではない。私には数切れのゴボウほどの価値も……」
「た、食べます! 食べます殿!」
「無理をするな」
「いいえ、ぜひ! ぜひ食べさせてください! ぱく」
「あ」
「もぐもぐ……」
「お、おい……」
「……ごくり」
「食った……」
「……はあ、はあ……食ったぞ……ははは、思ってたよりうまいじゃないか……顔色の確認頼む」
「あ、ああ」
「殿……! これでこの忠誠、わかってくれましたか」
「…………」
 ポン
「よくやったな」
「えっ」
「お前はゴボウを嫌い、いつも投げ捨てると聞いていた。もうそんなことはしないな?」
「殿……」
「じゃあ殿は……こいつにゴボウを食べさせるために……?」
「少しくらいの好き嫌いはしょうがない。だがお前はゴボウを罵倒し、ゴボウを作る者さえおとしめた。それはよくないことだ。作物は民が骨身を削って作ったものだ。武士たるもの、そのことを忘れてはいけない」
「と、殿! すみません、殿……うわーん」
「泣くやつがあるか。こんなめでたい席で」
「は、はい……グスン。へへ」
「殿! 毒見完了、異常ありません! 殿のお席にもまもなくお膳が運ばれます!」
「ああ、ありがとう。お前たちのおかげで、安心して食べられるよ!」
 ハハハハ
 アハハハハ……

「聞いたぜ。暗殺に失敗したんだって? 頭領カンカンだった」
「ああ、うん。……毒見役がな……」
「毒見? お前、天井から毒をたらす暗殺術だろ。毒見関係ないじゃないか」
「それはそうなんだが……」
「うまくメシの中に入らなかったのか」
「いや、何もしなかった。できなかったよ……そんな残酷なこと」


11月5日

「タイムカプセル?」
「そうだよ。10年たったら掘り出そうって言ってさ。今日でちょうど10年だよ」
「そんなことあったっけ」
「あったよ。忘れちゃったの? 埋めようって言ったの恵ちゃんなのに」
「うーん……全然覚えてない……」
「2人で張り切ってやったじゃん。友情の証だーとか言って。その頃に大事にしてた物とか入れて、それからほら、手紙書いて」
「手紙?」
「うん。私は10年後の恵ちゃんに、恵ちゃんは10年後の私に」
「へえ。それ見たいなあ。埋めた場所とか覚えてる?」
「うん」
「じゃあ、これから行こうよ」
「いや、これからはまずいよ。まだ昼だもん、夜行かないと」
「? なんで昼だとまずいの?」
「……そっか、ほんとに忘れちゃったんだねえ。まあまだ小学生だったもんね」
「なんでまずいの? ねえ」
「9時頃なら平気だと思うんだけど」
「ねえ、ちょっと」

「ほら、ここだよここ。思い出した?」
「……あのさ」
「ん?」
「ここに埋めてあるの? タイムカプセルを?」
「そうだよ。思い出さない?」
「いや、だってここ。墓場じゃん」
「うん。だから昼はまずいって言ったんだよ」
「言ったんだよって。なんでこんなとこにタイムカプセル埋めるのよ」
「恵ちゃんがここにしようって言ったんだよ」
「私が?」
「うん。自分ちの庭とかじゃ面白くないし、空き地とかだと家が建っちゃうかもしれない、その点ここなら安心だって。私それ聞いて恵ちゃんはほんと頭いいなあって感心したもんだよ」
「……嘘だあ……」
「ほんとだよ」
「……まあいいや。で、どこなの? タイムカプセルは」
「えーとね、たしかこっちの……佐々木家の墓……」
「やな目印だなあ。……あ、これじゃない? 佐々木家」
「ああ、これだこれだ」
 ガタガタ
「ちちちょっと!」
「何? 大声出すと人来ちゃうよ」
「何じゃなくて! なんで墓開けようとしてるのよ!」
「恵ちゃんがここにしようって言ったんだよ」
「私が!?」
「そうだよ。墓場だって安全とは限らないけど、墓の中なら絶対安全だって。私それ聞いて恵ちゃんはほんと用心深いなあって感心したもんだよ」
「いや、ちょっと、ねえ。嘘でしょ?」
「ほんとだよ。この墓の納骨室は鍵がついてなくて他人が勝手に開閉できるけど、こういうのなかなかないんだってさ。私それ聞いて恵ちゃんはほんと博識だなあって感心したもんだよ」
「…………」
「よっと。開いた」
「……骨壷しかないみたいだけど」
「ええとね、あ、これだ」
「だ、だから! そ、それ、それ、それは、骨壺」
「違うよ。タイムカプセルだよ」
「骨壺だよ!」
「しーっ。恵ちゃんがタイムカプセルに骨壺の形のやつを選んだんじゃん。佐々木家の人がもしお墓開けてもこれなら気づかないだろうってさ。私それ聞いて恵ちゃんはほんと」
「嘘! 嘘だよ、なんでそんな嘘つくの!?」
「恵ちゃん」
「おかしいよ……あんたおかしい。人の墓開けたり、骨壺取ったり……。前から変だとは思ってたけど、まさかこんなことするなんて」
「だ、だって。これは」
「やめてよ、開けないでよ! このことは忘れるから! だから、二度と私に近づかないで!」
「恵ちゃん! 待って、恵、あっ」
 ガチャーン


『10年後の恵ちゃんへ。
 げんきですか。10年たっても、私となかよくしてくれてますか。
 私は、恵ちゃんがだいすきです。
 いつもめちゃくちゃなことをする恵ちゃんだけど、
 いっしょにいると本当にたのしいです。

 10年後には恵ちゃんもおとなになっていますね。
 でもきっと、今と同じように、びっくりすることをどんどんやって、
 ついていくと面白いことがたくさんあって、わくわくどきどきするような、
 そんな人だというのは同じだと思います。

 いつまでもかわらず、私とともだちでいてください。 みく』


10月30日

 ジリリリリリリリリリリリ
「……うう……あと5分……」
「さあさあ、もう起きてください」
「どうですか、ご気分は。どこか具合の悪いところはありませんか」
「ん……ないよ……眠いけど」
「それはよかった」
「……んー……あのう」
「はい」
「えーと……あなたたち誰ですか」
「私たちはこの家の者です。あなたが起きた時に事情を説明するために、ここで待っていました」
「この家の者って、ここは僕の……あれ……? ここどこ……?」
「まあ落ち着いてください」
「落ち着いてるよ……眠いけど」
「それはよかった。別にさらってきたというわけではありませんから」
「ても、状況としてはもっと悪いかもしれません。実はここは、あなたにとっては遠い未来なんです」
「未来……?」
 むくり
「あ、やっと起きましたね。大丈夫ですか、体は」
「うん……眠いけど」
「それはよかった。じゃあ説明させてもらいます」
「ご存じでしょうが、あなたのお父様は冷凍睡眠の研究をされていました。そしてその試作品を自宅に持ち帰ったのです」
「冷凍睡眠……? そういえばそんな話してたなあ……。でも試作品なんか見たことないけど……」
「あなたが気づかなかっただけです」
「その試作品というのは、あなたが寝ていたそのベッドなんですよ」
「え……」
「あなたのお父様は、宇宙旅行用の冷凍睡眠装置を開発していました。他の人間が操作しなくても、自分一人で簡単に冷凍睡眠に入れる、そんな装置です」
「そのベッドは、特殊布団で体を包み、枕に頭を当てるだけで100年の冷凍睡眠に入るという機能を持っているのです」
「……ふーん……」
「形を普通のベッドに似せたのは、その方が体に無用の緊張を強いることがなく、100年後の体調もよくなるからなのですが、そのために悲劇が起きた」
「そのベッドを見つけたあなたがそれで寝てしまったのです」
「あー……」
「試作品のそのベッドには、まだ冷凍睡眠を途中で中断させる機能がついていませんでした。そしてあなたが寝ている状態で装置を改造するのは、あなたの生命に関わるおそれがあった」
「あなたのお父様は大変に悲しみ、また責任を感じ、あなたのことを他のお子さん、つまりあなたのご兄弟にくれぐれも頼んでいきました」
「そしてさらにその子孫へと、それは受け継がれたのです」
「そっかー……」
「あなたにとってはショックな話でしょうが……。どうか元気を出してください」
「あなたがこの世界で生きていけるまで、私たちが責任持ってお世話しますから」
「んー……そんなショックでもないよ……眠いけど」
「それはよかった。じゃあ次に、今の世界のことを軽く説明します」
「んーわかった……わかったけどその前にもうちょっと……」
「あ、待って! 枕に頭つけないで!」
 ビーッ
 ガタン
 ブシュー
「……あーあ」
「また作動してしまった」
「次に起きるのは100年後ね。また子孫に事情を伝えないと」
「なんて寝起きの悪い人だ。これで3度目だぞ」
「そうねえ……。でも、いいじゃない。見てよ、この幸せそうな寝顔……」


10月27日

「次はー、西中原ー、西中原ー、出口は右側に変わります。お客様にお願い申し上げます。周りの方のご迷惑となりますので、携帯電話のご使用はご遠慮ください。あー、あと、それからもう一つ……」
「げ」
「来る」
「ようし……」
 ゴクリ
「フルーツバスケット!」
 ワーワー キャー
「どけ!」
「痛い!」
「ぐうっ」
「オラッ!」
「やめて!」
 キャーキャーワーワーワー……

 200X年、シルバーシートに座る健康な若者の多さに世論の怒りが爆発、フルーツバスケット制度が試験的に導入された! この制度は車掌が「フルーツバスケット」と車内放送で言うと、座席に座っている者はお年寄りや体の不自由な方をのぞいて全員いったん立たなければならない、反すれば1年以下の懲役刑に処せられるというものだ! これを時々行うことで、お年寄りや体の不自由な方が席に座れるチャンスを増やそうという狙いがあった!
 そして、その他の者たちにとっては! 車内は弱肉強食、己を鍛える場として絶好の、サバイバル・バトルのステージとなったのだ!

「フルーツバスケット制度の試験的導入から1ヶ月がたちました」
「うむ。効果はどうかね」
「死者17名、重軽傷者700名以上、うち3割がお年寄りや体の不自由な方です」
「あちゃー」











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