sporto!



SPORTO!>>ニュース

高校サッカーで誤審 選手第一の結論を

 先月行われたサッカー・全国高校選手権の岡山県大会決勝で、作陽が決めたVゴールが認められず、水島工がPK戦の末に勝利した。その後、日本サッカー協会は誤審を認めたが、結果は覆らず、優勝した水島工のエースストライカーが個人的に全国大会への出場を辞退するなど、波紋を広げている。一方、全国大会の夢がついえた作陽の三年生は、今も再戦を信じて練習を続けている。(下山田 郁夫)

 誤審があったのは、先月10日に行われた水島工―作陽の決勝戦。1―1の同点で迎えた延長前半、作陽の選手が放ったシュートが水島工側のゴールポストに当たってゴールに入った。しかし、右奥の支柱に当たって跳ね返りゴールの外へ。作陽の選手が万歳する中、水島工の選手はガックリと肩を落とした。だが、主審はゴールを認めず試合が続行された。結局、PK戦の末、水島工が全国大会出場を決めた。

 試合後、作陽側は猛抗議したが、認められなかった。その後、作陽の異議申し立てで日本サッカー協会の審判委員会が試合のビデオ映像を検証した結果、誤審を認めた。しかし、県高体連が出した結論が尊重され、試合結果は変わらなかった。

 水島工によると、同校では試合後、職員会議で「出場辞退などはなく、この結果を受けて全国大会に出場する」と決定。サッカー部でも、11人の3年生部員が多数決をとったところ、「辞退せずに全国大会に出場する」との意見が6人と、過半数を占めた。

 しかし、エースストライカーの3年生が「相手の気持ちを考えると出場できない」と悩んだ末に個人的に出場を辞退。今月13日が選手権参加選手名簿の提出期限だったが、この選手の名前が削除された。

 藤原幸夫校長は「この試合は競技場で観戦していたが、問題の(誤審とされた)場面は高い場所からだったので見えなかった。出場辞退者が出たことは残念だが、本人の気持ちが固かった。うちは残りの選手も層が厚いので、チームを励ましている」と話している。

 この展開に、高体連サッカー部の幹部は「残念な試合だった。審判のミスでいろいろな問題が起きていることもわかる。今後の対策は、日本サッカー協会と十分に協議したい」。日本サッカー協会も「審判の誤った判断について審判委員会で十分に話し合ってもらう。こういうことが起きた場合の対応策を事前に協議したい」と共に苦渋の表情。

 作陽の塩浦六丸教頭は「3年生部員は今も再戦を信じて練習を続けている。うちは選手権を目指して入学する選手が多いので、その気持ちを考えると……。何度も全校集会を開いたが、『すまん』としか言いようがない状況だ。作陽の選手としての誇りを忘れずに社会で活躍してほしい」と声を詰まらせる。

 スポーツ哲学、スポーツ教育学を専門にする東海大の久保正秋教授は「学校教育の一環として部活動がある以上、スポーツの論理より教育の論理が先行すべきことは当然のこと。ただ、このケースでは、『どんな結論であろうとゲームが終結しているという事実を選手に認めさせ、受け入れさせること』が本当の教育だったのではないか。上部団体が誤審を認め、問題が発展してしまった以上、両校選手が被害者。子どもたちの気持ちを最大限に尊重した結論が望まれる」と話している。


BACK