別紙
特定疾患治療研究事業実施要綱

第1 目  的
原因が不明であって、治療方法が確立していない、いわゆる難病のうち、特定疾患については、治療がきわめて困難であり、かつ、その医療費も高額であるので、特定疾患治療研究事業を推進することにより、特定疾患に関する医療の確立、普及を図るとともに、患者の医療費の負担軽減を図ることを目的とする。
第2 実施主体
実施主体は、都道府県とする。
第3 対象疾患
治療研究事業の対象疾患は、次に掲げるものとする。
スモン、ベ−チェット病、重症筋無力症、全身性エリテマト−デス、多発性硬化症、再生不良性貧血、サルコイド−シス、筋萎縮性側索硬化症、強皮症・皮膚筋炎及び多発性筋炎、特発性血小板減少性紫斑病、結節性動脈周囲炎、潰瘍性大腸炎、大動脈炎症候群、ビュルガ−病、天疱瘡、脊髄小脳変性症、クロ−ン病、難治性の肝炎のうち劇症肝炎、悪性関節リウマチ、パ−キンソン病、アミロイド−シス、後縦靭帯骨化症、ハンチントン舞踏病、ウィリス動脈輪閉塞症、ウェゲナ−肉芽腫症、特発性拡張型(うっ血型)心筋症、シャイ・ドレ−ガ−症候群、表皮水疱症(接合部型及び栄養障害型)、膿疱性乾癬、広範脊柱管狭窄症、原発性胆汁性肝硬変、重症急性膵炎、特発性大腿骨頭壊死症、混合性結合組織病、原発性免疫不全症候群、特発性間質性肺炎、網膜色素変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、原発性肺高血圧症、神経線維腫症、亜急性硬化性全脳炎、バッド・キアリ( Budd-Chiari)症候群、特発性慢性肺血栓塞栓症(肺高血圧型)、ファブリー(Fabry)病、副腎白質ジストロフィー、ライソゾーム病
第4 対象患者
   
第3に掲げる対象疾患にり患した患者であって、医療機関(健康保険法(大正11年法律第70号)に規定する指定訪問看護事業者又は介護保険法(平成9年法律第123号)第41条第1項に規定する指定居宅サービス事業者(同法第7条第8項に規定する訪問看護を行う者)を含む。以下同じ。)において当該疾患に関する医療保険各法又は老人保健法(昭和57年法律第80号)の規定による医療に関する給付を受けている者又は当該疾患に関する介護保険法の規定による訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導若しくは介護療養施設サービスを受けている者であって、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)の規定による被保険者及び健康保険法、船員保険法(昭和14年法律第73号)、国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)、地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)若しくは私立学校教職員共済法(昭和28年法律第245号)の規定による被保険者又は被扶養者並びに老人保健法の規定による医療を受けている者とする。
 
ただし、他の法令の規定により国又は地方公共団体の負担による医療に関する給付が行われる者は除くものとする。
第5 実施方法
     
  1. 治療研究事業の実施は、原則として各都道府県が第3に定める対象疾患の治療研究を行うに適当な医療機関に対し、治療研究に必要な費用を交付することにより行うものとする。  
  2. 前項の費用の額は、次の第1号及び第2号に規定する額の合計額から第3号に規定する対象患者が負担する額(以下「一部負担額」という。)を控除した額とする。
    • (1)「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(平成6年3月厚生省告示第54号)」、「入院時食事療養費に係る食事療養の費用の額の算定に関する基準(平成6年8月厚生省告示第237号)」、「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成6年9月厚生省告示第296号)」又は「老人保健法の規定による医療に要する費用の額の算定に関する基準(平成6年3厚生省告示第72号)」、「老人入院時食事療養費に係る食事療養の費用の額の算定に関する基準(平成6年8月厚生省告示第253号)」、「老人訪問看護療養費に係る指定老人訪問看護の費用の額の算定に関する基準(平成4年2月厚生省告示第29号)」により算定した額の合計額から医療保険各法又は老人保健法の規定による医療に関する給付に関し保険者又は市町村が負担すべき額を控除した額(老人保健法の規定による医療を受ける対象患者については、同法の規定による一部負担金・標準負担額及び基本利用料に相当する額)

    • (2)「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月厚生省告示第19号)」又は「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月厚生省告示第21号)」により算定した額の合計額から介護保険法の規定による当該疾患に係る訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導及び介護療養施設サービスに関し保険者が負担すべき額を控除した額

    • (3)対象患者が負担する一部負担額は次の区分ごとに定める額とする。
        ア 入院
      同一の医療機関(同一の医療機関における歯科診療及び歯科診療以外の診療は、それぞれの診療ごとに別の医療機関とみなす。以下同じ。)ごとに、1ヵ月につき14,000円を限度とする額

        イ 入院以外
      同一の医療機関ごとに、1日につき1,000円(同一の月における同一の医療機関への支払は2回までとする。)を限度とする額

      ただし、医療保険各法又は老人保健法の規定による薬局での保険調剤、指定訪問看護及び指定老人訪問看護並びに介護保険法の規定による訪問看護については、一部負担額は生じないものとする。

    • (4)前号の規定は、第3に掲げる対象疾患を主な要因として、身体の機能障害が永続し又は長期安静を必要とする状態にあるため、日常生活に著しい支障(他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度)があると認められる重症患者、スモン、クロイツフェルト・ヤコブ病、難治性の肝炎のうち劇症肝炎及び重症急性膵炎の患者については適用しないものとする。
第6 治療研究期間
   
治療研究事業の期間は、同一患者につき1カ年を限度とする。ただし、必要と認められる場合は、その期間を更新できるものとする。
第7 特定疾患対策協議会
   
1 各都道府県は、この治療研究事業の適正かつ円滑な実施を図るため、医学の専門家等から構成される特定疾患対策協議会を設けるものとする。
   
2 特定疾患対策協議会は、都道府県知事からの要請により、治療研究事業の実施に必要な参考意見を具申するものとする。
第8 実施手続
治療研究事業対象患者の選定等事業を実施するにあたって必要な事務手続については、関係医師会等と十分協議のうえ定めるものとする。
第9 関係者の留意事項
患者等に与える精神的影響と、その病状に及ぼす影響を考慮して、治療研究によって知り得た事実の取り扱いについて慎重に配慮するよう留意するとともに、特に個人が特定されうるものに係る情報(個人情報)の取り扱いについては、その保護に十分に配慮するよう、関係者に対してもその旨指導するものとする。
第10 報告
都道府県知事は、別に定めるところにより、厚生労働大臣に対し治療研究事業に関する成果を報告するものとする。
第11 国の補助
国は、予算の範囲内において、都道府県がこの治療研究事業のために支出した費用に対し、その2分の1(ただし、スモンの治療研究事業分については、10分の10)を補助するものとする。









別紙

衛発第242号
昭和48年4月17日
健発第370号
平成13年3月29日最終一部改正

各都道府県知事 殿

厚生省保健医療局長


特定疾患治療研究事業について

 原因が不明であって、治療方法が確立していない、いわゆる難病のうち、特定の疾患については、治療がきわめて困難であり、かつ、医療費も高額であることを考慮し、昭和48年度から別紙要綱により、特定疾患治療研究事業を推進し、特定疾患に関する医療の確立、普及を図るとともに、患者の医療費の負担軽減を図ることとしたので、これが円滑なる実施について遺憾のないようお取り計らい願いたい。