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【2002年4月4日】
大阪の映画館、変化の春──ミニシアター淘汰とシネコン台頭(4月4日)

43年の歴史に幕を降ろす梅田東映会館
43年の歴史に幕を降ろす梅田東映会館
 この春、大阪の映画館地図が塗り替わる。閉館する梅田東映会館からバトンを引き継ぐようにして、4月27日、その300メートル北に都市型シネマコンプレックス(複合映画館)が誕生。心斎橋では、パラダイスシネマが3月末に閉館し、松竹がその後の利用を検討している。変化のキーワードは「シネコンの台頭とミニシアターバブルの崩壊」だ。

 梅田に開業するシネコンは、東映の関連会社、ティ・ジョイ(東京)と松竹が共同運営する梅田ブルク7。阪神百貨店南側の新商業ビル「イーマ」の7―13階に入り、7スクリーン、計1600席を備える。フィルムを使わないデジタル上映システムの導入も特徴。デジタルシネマの第1弾には、「突入せよ! あさま山荘事件」(原田真人監督)を予定している。

 梅田ブルク7と入れ替わりに、梅田東映、パラス、パラス2の入った梅田東映会館は4月28日に閉館。43年の歴史に幕を下ろす。「直営館からシネコンへ」という東映の戦略に沿った交代劇だ。

 梅田周辺では、扇町ミュージアムスクエアも年内に閉館する。客席数60と小ぶりながら、若手監督の作品も多く上映してきただけに、才能の発掘の場が1つ失われる格好だ。

 アート系と呼ばれる、芸術性の高い作品を上映するミニシアターは、総じて苦戦している。

 3月末に閉館した心斎橋のパラダイスシネマは、ヘラルド・エンタープライズ(東京)が運営。1997年から2館体制をとったが、客足は伸びなかった。閉館によって、単純計算で年間50本ほどのアート系作品が上映会場を失う恐れがある。劇場自体は、1月に浪花座を閉めたばかりの松竹が引き継ぐ方向で検討している。

 大阪では97年に、シネ・ヌーヴォ(西区九条)、シネ・ヌーヴォ梅田(すでに閉館)、動物園前シネフェスタ4、梅田ガーデンシネマ(2館)などがそろってオープン。ミニシアターだけで1年間に8スクリーンが増えるほどの開館ラッシュがあった。

 一足早く東京でミニシアターのブームがあり、東京で公開した作品を大阪にも出したいという配給側の思惑がスクリーンの新増設を後押ししたようだ。しかし大阪では、スクリーンが増えたほどには、アート系作品のファンは育たなかったのが実情。まず東京、次に大阪の順で作品が回ってくるため、大阪発のヒットも生まれにくかった。

 最近のシネコンは、フランス映画の「アメリ」など、ミニシアター向けと見られた作品にも目をつけ、プログラムに取り入れようと積極的だ。梅田ブルク7でも、「アート系作品を上映する可能性はある」(番組編成担当の松竹)。作品の傾向を問わず、ヒットを見込める映画はシネコンも欲しがる以上、ドル箱を見つけにくい大阪のミニシアターは淘汰(とうた)期に入ったと言えるかもしれない。しばらく余波が見込まれ、上映内容への影響もありそうだ。
(大阪・文化担当 千葉淳一)

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