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Hews Digest
キーワードは「大人」「子ども」「いじめ」
体罰めぐり子どもが激論
配信日 2002.01.27
「学校改革などについて教職員が話し合う日教組の教育研究全国集会(2002年1月26日、宮崎市のシーガイア)」
学校改革などについて教職員が
話し合う日教組の教育研究全国集会
(2002年1月26日、宮崎市のシーガイア)
 4月からの完全学校週5日制移行を前に、学校改革などについて教職員らが話し合う日教組の教育研究全国集会が26日、宮崎県で4日間の日程で始まった。
 開会のあいさつで榊原長一委員長は、学力低下問題に対応しようと文部科学省が打ち出した学力向上策に対し「現場の主体的実践に任せるべき点まで言及している。学力向上競争が無制限、無秩序となり、子どもたちに過度な学習負担を強いる危ぐを感じざるを得ない」と、宿題や補習が増えて競争が過熱する恐れを懸念した。
 その上で「しっかりした学力保障を含む21世紀の公教育の役割、使命の確立について、国民と一緒になって最大の努力をしていかなければならない」と決意を示した。
現状を直視、積極的に改善
配信日 2002.01.17
 【解説】埼玉県志木市がホームスクール制度を実施する方針を決めた背景には、多くの不登校の児童、生徒が必要最低限の学力も身に付けないまま学校を卒業している現状を直視し、積極的に改善しようとする狙いがある。
 文部科学省によると、全国の不登校の児童と生徒の数は約13万4千人。自治体が設置した「適応指導教室」に通っているのはこのうち10分の1程度で、同省は「大部分の児童らは教育らしい教育を受けていない可能性が大きい」とみている。
 卒業を認める権限は小中学校長にあるが、学習到達度のチェックはされておらず、学力の保証がないまま卒業しているのが実情だ。
 ある小学校長経験者は「『子供の将来のため留年させるのはよくない』と考えて卒業させたが、その度に本当にこれでいいのかと胸が痛んだ」と話す。
教師からの相談も受けます
香川県のいじめ救援団体
配信日 2002.01.11
 香川県の市民団体「『いじめSOS』救急隊」(小野修代表)は最近、いじめに苦しんでいる子どもや親からだけでなく、いじめへの対応などに悩む教師からの相談にも応じ始めた。
 学校で教師にいじめられている子どもの側からいじめを解明し、対応を理解してもらうことで、いじめの根本的解決を目指している。「いじめ撃退マニュアル」などの多数の著書がある小寺やす子さんは「これまでにない非常に意欲的な試み」としている。
 相談は手紙、ファクス、電子メールで受け付ける。住所は香川県高瀬町上高瀬1112-2。ファクスは0875(72)3987。電子メールアドレスはohta@niji.or.jp
 10:30 生活002   900字
「子ども=ぼくらはどう生きるか」
1人では生きていけない
みんなで考えあおう
宗田理
配信日 2001.12.20
「宗田理さん」
宗田理さん
 学校に行くのはいやだ。親の顔も見たくない。友達はうざい。たった一人になりたい。そんなことを考えたことは、だれだってあるにちがいない。しかし、では一人になろうと決意したことがあるか?
 自分の家に引きこもって、学校にも行かず、毎日ゲームだけやっていることが一人で生きていることだと考えたら大まちがいだ。無人島に行き、衣食住すべてを自分で調達し、しかもおそってくる敵から身を守る。そこまで覚ごしないと一人で生きるとはいえない。
 社会生活には、だれでもなやみがある。学校では勉強、教師、友人関係(いじめ)、家庭では親、など数えればきりがないくらいある。といってそこからにげるわけにはいかない。まして死んでしまおうと考えるなんてとんでもない。
 そういうときは迷い道に入ってしまったのだから、そこから出る方法を探せばいいのだ。それはかならず見つかる。
 思いどおりにいかないからといって、すべて自分のせいにし、自分を責めることはやめよう。自分のやり方が誤っていたら直す。相手が誤っていれば相手を直せばいいのだ。
 ぼくは、昨年夏からインターネットのホームページ(http://bokura.com/)で、この連さいと同じタイトルのフォーラムを開いている。いろいろな問題を、みんなで話し合いながら少し人生経験の多いぼくがアドバイスするコーナーだ。
 ぼくが問題提起をして、みんなの意見を書きこんでもらっている。なやみを自分だけでかかえこんでいるのはよくない。みんなで考えあって、おたがいに助けあおうというわけだ。
 意見の一部を公表することはあらかじめ断ってある。子どもたちは、そのつもりで書きこみをしている。次回から、問題ごとに私の考えと、子どもたちの意見をしょうかいしていこう。ぼくは結論を出そうとは思わない。それを読んで、みんなが考えてくれればいいのだから。(作家)
×    ×

 そうだ・おさむ 1928年東京生まれ。日大卒。中高校生に人気が高く、「ぼくらの七日間戦争」などの「ぼくら」シリーズ全27巻は計1500万部のベストセラー。作品はほかに「十三歳の黙示録」など
減らない「いじめ自殺」
「子どものブレーキ必要」
学校側に1千万円賠償命令
福岡地裁、城島いじめ訴訟
配信日 2001.12.18
 福岡県城島町でいじめ自殺があった1996年当時は「第2のいじめ期」といわれ、国のいじめ問題への取り組み徹底通知などにもかかわらず、生徒たちの自殺はやまなかった。今年だけでも、いじめ被害を理由に学校側などを相手にした訴訟が新たに10件以上起こされ、うち半数は自殺に至っており、問題は根深い。
 文部科学省の調査では、全国で起きたいじめは、99年度の数字が前年度を大きく割り込み、昨年度も約3万9百件と微減だった。
 しかし、「全体的な数字は減っているが、いじめの国際比較調査では、日本はエスカレート型のいじめが群を抜いて多く、憂慮すべき事態は依然続いている」(森田洋司・大阪市立大教授)という指摘もある。
教育基本法改正に批判
シンポジウムで研究者ら
配信日2001.11.27
「共同通信社主催の「考える力」をテーマにしたシンポジウム(東京内幸町の日本プレスセンター)」
共同通信社主催の「考える力」を
テーマにしたシンポジウム
(東京内幸町の日本プレスセンター)
 「考える力」をテーマに子どもの現状や学校の課題などを話し合う共同通信社主催のシンポジウムが27日、約3百人が参加して東京都内で開かれた。中央教育審議会に諮問された教育基本法改正について教育学者らから「教育現場にとって切実な問題から解決すべきだ」「憲法改正をにらんだ政治的判断だろう」など批判的な意見が相次いだ。
 汐見稔幸東大教授は「いじめやひきこもりなど具体的な課題についてこう変える、という改革でないと国民は納得しない」と指摘。少年犯罪のルポなどを手がけるライターの藤井誠二氏も「改正で現場が変わるとは思えない。政治的な判断だと思う」とした。
 37年間高校教師を務めた諏訪哲二氏は「改正は現場には関係ない議論。文部科学省はいつも上からの改革を押しつけてくるが、教師がどう思うかを考慮した改革をすべきだ」と注文を付けた。
 哲学者の鶴見俊輔氏は日本人の教育観について「近代以降、日本人は身の回りの状況から学ぶことをせず、学校を重視し過ぎ。成績順に並べるというのも教育として邪道で、多様性を尊重すべきだ」と問題提起した。
 神戸市でフリースクールを運営する炭谷俊樹氏も「スクールでは全員に違う課題をさせる。一人ひとりのあるがままを認めることで、子どもの意欲が出てくる」と強調した。
学校の責任問い続け13年
両親の願い届かず
「娘にどう報告すれば」
いじめ訴訟で無念の会見
配信日 2001.09.05
 中学1年の冬休みを目前に突然、自ら命を絶った1人娘。「学校でどんないじめを受け、なぜ死んだのか、それが知りたい」。いじめ根絶への願いを胸に岩脇克己さん(60)と寿恵さん(58)夫婦が続けた訴訟で富山地裁は5日、原告側ほぼ全面敗訴の判断を示した。
 娘の死から13年ぶりにやっと迎えた節目。岩脇さん夫婦の願いは届かず、厳しい結果となった。
 長女寛子さん=当時(13)=が1988年12月、亡くなった時、夫婦は「転落事故」と思った。当日の夜、克己さんは就寝の準備をしていると、寛子さんは鼻歌を歌いながらふろ場に向かった。それが最後に見た寛子さんの姿だった。
 「組中からさけられてさ、悪口いわれてさ、あなただったら生きて行ける? 私、もうその自信ない」(原文のまま)
 そうつづられた遺書の内容でいじめを知り、夫婦はがくぜんとする。
 克己さんらはいじめの事実関係の説明を求めたが、学校側は「生徒を動揺させたくない」と拒否。受験を控えた上級生の親からも「受験に影響したらどうする」と非難され、「加害者の生徒を追いつめては…」との思いから、真相究明の手をしばらく休めたこともあった。
 提訴から五年。「子供が安心して学習できるために、学校は何をするべきか。裁判所は広い視野で判断してほしい」という思いで、夫婦は裁判を続けたという。
小中高の暴力4万件超す
10・4%増え過去最多
「対教員」大幅な伸び
00年度、いじめは微減
配信日 2001.08.24
 公立の小中高校生が2000年度に学校の内外で起こした暴力行為は約4万4百件と前年度より10・4%増え、小学校まで調査対象を広げた1997年度以降で最多となったことが24日、文部科学省の問題行動に関する調査(速報値)で分かった。
 物を壊したり、ほかの生徒に暴行したりするケースに比べ、教員への暴力が際立って増えている。
 いじめは約3万9百件で1・4%の微減。公私立の高校の中途退学は微増して約10万9千100人となり、年度当初の在籍者に対する比率(中退率)は0・1ポイント上がって2・6%で過去最高だった。
 文科省は暴力行為の増加について「社会性や耐性のない子が教員に手を出すケースが目立つ。深刻な問題と受け止めている」としている。
 暴力行為は4万474件で、うち小学校は約1500件、中学約3万1300件、高校約7600件と中学が飛び抜けて多い。中学の発生件数を生徒1000人当たりでみると、98年の6・5件から00年は8・2件と急増している。
 暴力行為のうち校内暴力は、約3万4600件と11・4%増え、校外の約5800件(4・6%増)を件数、伸び率とも大きく上回った。子どもが学校でストレスを蓄積していることがうかがえる。
 暴力の対象別では@「生徒間」約2万800件A「器物」約1万1900件B「教員」約5800件C「一般人」約2000件―で順番はこれまで通りだったが、対教員の暴力が16・2%増と大きく伸びた。
 学校内での教員への暴力の増加率は小学校が最も大きく26・7%、高校がほぼ同率の25・0%、中学は15・1%だった。小学校で多発する学級崩壊が、教員への暴力に発展したケースがあるとみられる。
 学校が確認したいじめは3万918件で5年連続減少した。中学が約1万9400件でほぼ横ばい、小学校は約9100件で3・7%減だった。
子どもの声を聞く必要
小中高の暴力4万件超す
10・4%増え過去最多
「対教員」大幅な伸び
00年度、いじめは微減
配信日 2001.08.24
 【解説】小中高生の暴力行為が4万件を超え、教員への暴力が急増していることが24日、明らかになった。1980年前後に、校内暴力による学校の混乱が社会問題化したことを思い起こさせるような状況だ。
 暴力が教員に向けられるようになったことは、子どもたちのイライラが限界に近づいていることを示しているとみることもできる。
 文部科学省は子どもの耐性の低さを理由にあげ「先生にしかられても我慢できない子が増えた」とする。
 しかし、中学では態度や意欲をみる「観点別評価」が導入され、子どもたちは内面まで管理されていると感じており、教員への暴力は「もう我慢できない」というメッセージとも受け取れる。
 生徒同士の暴力は教員が把握できないケースも多いとみられ、実際にはもっと多くの暴力行為が潜んでいる可能性が高い。
 都道府県別の暴力行為の総数をみても、生徒数が同規模の高知が497人だったのに徳島は34人と10倍以上の開きがあり、数字が実態を反映しているかどうか疑問が残る。何を暴力として報告したかという判断基準にもばらつきがありそうだ。
 子どもたちの本音を引き出す意味でも、隠れた暴力を明らかにする意味でも、管理する側の学校にばかり尋ねるのでなく、子ども自身にも直接聞く調査方法を取り入れるべきだろう。
続発する職場いじめ
決して我慢しないで
解雇からセクハラまで
配信日 2000.04.26
「出勤途上のサラリーマン(JR東京駅前、97年1月29日)」
出勤途上のサラリーマン
(JR東京駅前、97年1月29日)
 長引く不況とリストラの影響で、職場のモラルが崩壊し始めている。解雇から配転、減給、セクシュアルハラスメントに至るまで、立場の弱い社員への職場いじめは収まりそうもない。「モラルを欠いた企業とは一線を画すべきだ」。そんな専門家の助言を聞くと、今が「脱会社人間」になるチャンスと思えてくる。
 東京都三鷹労政事務所が3月に開いた連続市民講座「労使で考える職場のメンタルヘルス」。講師を務めた「過労死弁護団」事務局長の玉木一成さんは、リストラの進展に伴い、陰湿な職場いじめや職場虐待が多発していると訴えた。
 「部下を会社から追い出すために管理職が立場を使って行ういじめ。職場にたまったストレスのはけ口として、おとなしい社員をターゲットに行われる同僚たちのいじめ。2つのタイプの職場虐待が最近、目立っている」
 特定の女性にだけ制服を支給せず、仲間外れにする。会社にどんな貢献ができるか考えさせ、プランを延々と言わせる。1人っきりの職場へ配転させる。草むしりなど本来の業務とは異なる仕事を命じる…。
 こうしたリストラ名目のいじめは、「社会的に相当で合理的な理由」がないと解雇に踏み切れない会社側が、社員を合意退職に追い込むために常用しているのが現状だ。
 厳しいノルマを課せられ、自分もリストラされるかもしれないという不安を抱えた職場では、仲間同士が傷つけ合い、同僚の人格を踏みにじる傾向が強い。
 さらにいじめは弱者を狙い、男性から女性へとそのターゲットを広げていく。
 「カラオケのデュエットで手を握ったくらいで、目くじら立てないでほしい」
 「今度、朝までホテルに付き合ってくれ」
 荒れた環境では、「レイプまがいのセクハラ」さえ起きていると、「働く女性のための弁護団」の黒岩容子さんは警告する。
 「セクハラやいじめによってストレスを発散するような職場は、モラルが低いために生産性も低い。男女共に働きやすい職場は、生産性が上がり、不況にも強いことを経営サイドは理解する必要がある」とも。
 では、陰湿ないじめやセクハラに直面したらどう対処したらよいか。
 いじめは黙って受け入れているとエスカレートしてゆくことから、被害について@決して我慢しないA独りで悩まないB社外の相談機関や弁護士らに相談するC内容を公表する―ことが大切になってくる。
 「忠誠を誓った企業から不当に解雇されたり、虐待されて心を患ったりする。そんな企業とのゆがんだ関係は、これから考え直した方がいい」と玉木さん。
 「脱会社人間」は「職場で人格を傷つけられない関係を築こう」と決心した時に生まれるといえそうだ。
編集長宛メール
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