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 99年末、PSおよびDC用ソフトとして同時発売されたタンクシミュレーター=シューティング「PANZER FRONT」。主に第二次大戦中の戦場と戦車を再現したゲームシステムは、マニアをも唸らせる出来であると同時に、ビギナーにも受け入れられるシンプルかつ奥の深いもので、”大ヒット”こそなかったものの、一部のプレイヤーには静かに、そして根強く支持された。その「PANZER FRONT」の新作がリリースされた。タイトルはよくある「〜2」ではなく、「〜bis.」。前作を完全に内包しつつ、多くのフィーチャーを盛り込んだ、言ってみれば“改”バージョンである。前作を“あんこ”とするなら、それを包む衣に当たる部分とは何か? 「〜bis.」で追加された新要素を中心に、開発者に話を聞く。

鈴木 今回の「PANZER FRONT bis.」(以下「bis.」)ですが、前作に加えられたプラスアルファの部分が大きいですよね。「“パンツァーフロントモード”のマップが増えた」とか、「あの人の作ったマップで遊べる!」という部分もありますが、まずは“コントラクションモード”と“ストーリーモード”の追加、この2つの変更点についてうかがいます。
石津 うーん、何から話したらいいのか……(笑)。
鈴木 “ストーリーモード”については、実は前作「PANZER FRONT」に入れる予定があった、という話も聞いているんですけど。
能登 いろいろと都合があって、本当にいろいろ(笑)。
石津 今回の「bis.」に入れたドイツ軍版ストーリーの他に、アメリカ軍とロシア軍版のストーリーも、もともと存在したんですよ。ちゃんと出渕さん(出渕 裕氏=スーパーバイザー)にキャラクターを用意してもらって。実際、アメリカ軍のストーリーについては、兵隊のグラフィックなんかも完成していたんですけどね……。
能登 当初の構想では3カ国分のストーリーが各20面ずつくらいマップを持って……いや、各30面で、全部あわせて90面あったんでしたっけ?
鈴木 今回の「bis.」に収録されたドイツ編ストーリーは、何ステージあるんですか?
石津 えーと、20弱だったかな……。
鈴木 それが、最初の構想では、ドイツとアメリカとロシア、3カ国分のストーリーが各30面ずつ存在していた、という?
石津 はい。3つのストーリーがメインの作りだったんですよ、最初は。
鈴木 それがメイン……。本来は“ストーリーモード”がメインだった、と?
石津 そう。でも、計90面ともなると、やっぱり作れない。まあ、ゲームは多くの人の思惑で製作される物ですので、ストーリーにしても「スタッフ全員が満足するものを作れるか?」っていうと色々な意味で無理だということはわかっていたのです。しかし、僕のえがいた夢ではないにしても、やはり当初目指していたものが大きすぎましたね。前作の「PANZER FRONT」がトレーニング面を入れて全28面ですが、その時の経験から「今回も同程度のボリュームしか作れないんじゃないか」ということは見えていたんです。とにかく、戦車の戦闘を組むのが絶対的に大変であるということはわかっていたし。しかし、どうしてもその点にはこだわりたかったわけです。そこで、「半端なものを作るよりは」と考え、思い切ってバッサリ……。
鈴木 話を整理させていただくと、やはり前作の「PANZER FRONT」自体、ストーリーモードの有無を含め、当初の企画とは異なる形に仕上がっていた、ということのようですね。
石津 正直な話、前作「PANZER FRONT」にも、ストーリーモードは入る予定だったんです。でも、それが諸処の事情で入らなかった。だから今回の「bis.」ではそれを入れようというコンセプトを土台に、プラスアルファの要素をつけて発売したということです。
能登 あとは、CG製作会社さん(サンライズ)に一生懸命作業していただいたわけですけど、その成果を「お蔵入りにしてしまうのは惜しまれる」ということで。
鈴木 それはつまり、ストーリーモード用のCGのことですね。
石津 ムービーに関しては結局、前作の「PANZER FRONT」が完成した時点で、アメリカ編ストーリー用のCGについてのみ、ほとんど完成している、という状態でした。ドイツ編は……米・独・露と3バージョンとも全部平行で作っていたんですが、ドイツ編はまだ、ほとんどできていなかったですね。
鈴木 そうすると、ストーリーモード用のCGムービーの中で一番進捗状況が良かったのは、今回の「bis.」に収録されたドイツ編ではなくて、実はアメリカ編だったと。
石津 はい。アメリカ編に関しては、ほとんど終わっていたんですよ。ところが、ロシア編を作っている最中に、「これを全部作り終えようとしたら、いったいいつになったら完成するのか?」ということになった。発売時期的にも、ゲームの方で待てなくなっちゃったわけです(笑)。逆説的に言ってしまうと、ストーリーも何もない状態で出した前作が、最初に僕の頭の中にあった「PANZER FRONT」なんですけどね……(笑)。
鈴木 いわゆる“一般的なゲーム性”を持たせるために入れていたストーリー部分が、ムービー部分の難航によって結果的にカットされたことで、かえって“石津さんが作りたかった部分”だけをピュアに打ち出すことができた……ということですね。
石津 そうです。企画のおおもとの段階では、キャラクターも某超有名マンガ家さんに描いてもらおうとしていて、経過を詳しくは知らないのですが、実際に依頼までしているんです。結局断られた事実のみ知らされましたけど(笑)。仮にそれが通っていたとすると、多分、「PANZER FRONT」は全然違うゲームになっていたのではないでしょうか。ところが、その他いろいろな事情から、そうした部分が一切なくなっちゃって……で、前作は好きなように(当初考えていた形に)作っちゃったわけです、僕が(笑)。まぁ、異なる視点に立って考えるならば「ゲームにいろいろな要素をつけたい」というのも、ある意味正しいのでしょうけど‥‥。
鈴木 実際に「PANZER FRONT」を制作する過程では、結果的に製品版に反映された“突き放したリアル志向”と“ゲームゲームした路線”との間で、かなりのせめぎ合いが……?
石津 それはもう、ずーっとありましたよ(笑)。最初から最後まで、延々と、話し合いと試行錯誤の繰り返しでしたから。まぁ、でも少しずつ少しずつ、前作で形になったものに、制作しながら収斂されていった……という感じですね。



「PANZER FRONT」……(c)Ishizu Yasushi (c)Shangri-La (c)1999 ASCII Corp.
「PANZER FRONT bis.」……(c)2001 ENTERBRAIN,INC./Ishizu Yasushi


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