仮 制 式 要 綱
74式自走105mmりゆう弾砲(B) XD 8006B |
昭 和 49 年 12 月 17 日
昭 和 62 年 1 月 7 日(改正)
防 衛 庁
XD8006B
1.用 途 74式自走105mmりゅう弾砲(B)(以下自走砲という。)は,軽快な機動力を必要とする直接支援火力として,特科部隊などに装備し,普通科部隊などの支援に使用するものである。
2.主要構造・機能 自走砲は,105mmりゅう弾砲(以下りゅう弾砲という。)をとう載した全周旋回式砲塔付き装甲装軌車で,着脱式のスクリーン展張式浮航装置により浮航性を有し,その主要構造及び機能は,付図に示すほか次のとおりである。
(1) 乗員は,車長,照準手,装てん手及び操縦手の4名である。
(2) 車室は,乗員に対して連続射撃及び連続走行に耐えられる居住性を具備するほか,射撃及び走行に関する車両保安及び乗員の安全性が確保されている。
(3) 動力は,車体左前方に配置された機関から,トランスファ,変速機,推進軸,操向(制動)機,終減速機などを経て,車体前方の起動輪に伝達される。
操縦は,操縦手席で変速段選択レバー,アクセルペダル,操向兼制動レバー,スロットルボタン,各種スイッチなどによって容易に行え,駐車時は,操向兼制動レバーで操向ブレーキをロックすることができる。
(4) 武装は,りゅう弾砲及び砲塔上面の銃塔に12.7mm重機関銃をそれぞれ装備しているほか,車室内に89mmロケット発射筒及び64式7.62mm小銃を積載することができる。
(5) 使用弾薬は,現用弾及び74式自走105mmりゅう弾砲りゅう弾(以下りゅう弾という。)で,弾薬の装てんは,手動により行われる。
(6) 照準は,単式とし,照準手席で方向(手動操作又は動力操作)及び高低(手動操作)が迅速かつ精密に行え,砲塔の旋回は1車長席で照準手に優先して動力により旋回することができる。
(7) 撃発は,照準手席の撃発スイッチかりゅうじょう(拉縄)又は装てん手席のりゅうじょう(拉縄)のいずれかにより行う。
(8) 車室内には,各種弾薬とう載用の弾薬固定装置及び弾薬箱,CBR防護装置,操縦用暗視装置などが装着してあり,砲塔内には,無線機が収納できるほか,砲塔左側上面にアンテナ取付け台が設けてあり,車体部の主要構成部品の大部分は,73式装甲車(B)と互換性を有している。
3.主要性能
3.1 火力性能 自走砲の火力性能は,標準状態において,次が標準である。
(1) 最大射距離
(a) 約14500m(りゅう弾 9号装薬を使用した場合)
(b) 約11500m(M1りゅう弾 7号装薬を使用した場合)
(2) 最大初速 645m/s(りゅう弾 9号装薬を使用した場合)
(3) 最大発射速度 10発/分以上
(4) 射 界
(a) 方向射界 360°
(b) 高低射界 +約7°
−約6°
(5) 精 度 射距離10000mにおいて
(a) 方向公算誤差 6.5m以下
(b) 射距離公算誤差 28.0m以下
(6) 方向,高低照準機の操作
(a) 方 向 動力 約3rpm
手動 約8ミル/1回転
(b) 高 低 手動 約10ミル/1回転
(7) 積載弾数 43発
(8) 12.7mm重機関銃
(a) 方向射界 360°
(b) 高低射界 +60°
−5°
(c) 積載弾数 600発
3.2 積載・輸送能力 自走砲の積載・輸送能力は,約1.5tf(乗員,武装及び弾薬を含む。)をとう載するほか,2tトレーラをけん引できる。
3.3 機動性能 自走砲の機動性能は,全備重量状態において,次が標準である。
(1) 最高速度 50km/h(平たん堅硬道において)
(2) 最低速度 3km/h(平たん堅硬道において)
(3) 加速性能 25s (0〜200m,平たん堅硬道において)
(4) 燃料消費量(35km/h) 1.3/km(平たん堅硬道において)
(5) 登坂能力 60 % (堅硬道において)
(6) 超ごう能力 2.1 m
(7) 超堤能力 0.7 m
(8) 接 地 圧 0.6kgf/cm2
(9) 浮航速度 約6 km/h(静水時において)
(10) 最小回転半径 8 m(平たん堅硬道において)
4.主要諸元 自走砲の主要諸元は,次に示すとおりである。
(1) 寸 法 自走砲の寸法は,全備重量状態において,次が標準である。
(a) 全 長 5900mm
(b) 全 幅(浮航用フェンダを含む) 2900mm
(c) 全 高(車体部上面まで,パッドあり) 1415mm
(砲 塔上面まで,パッドあり) 2390mm
(銃 架上面まで,パッドあり) 3210mm
(d) 最低地上高 400mm
(e) 軌間距離 2350mm
(f) 接地長 3280mm
(g) 履 帯 幅 400mm
(h) 砲 塔 長(砲部を除く) 2700mm
(砲部を含む) 4780mm
(i) 砲塔幅 2500mm
(j) 砲塔高(車体取付け面から,銃架を除く) 1367mm
(車体取付け面から,銃架を含む) 1792mm
(2) 重 量 自走砲の重量は,次が標準である。
(a) 砲 塔(砲を含む) 5.1tf
(b) 車 体 11.4tf
(c) 全備重量 16.5tf
(3) 燃料・油脂など 自走砲に使用する燃料・油脂などの種類及び容量は,表1に示すものが標準である。
表1 燃料・油脂など
表1 燃料・油脂など(続き)
5.各部構造・性能・諸元 自走砲の各部構造,性能及び諸元は,表:2に示すものが標準である。
表2 各部構造・性能・諸元
表2 各部構造・性能・諸元(続き)
表2 各部構造・性能・諸元(続き)
表2 各部構造・性能・諸元(続き)
表2 各部構造・性能・諸元(続き)
注(7) 浮航装置は,特殊附属品である。
6.携行工具・附属品・予備品 自走砲の携行工具・附属品及び予備品は,次のとおりである。
(1) 携行工具 1式
(2) 附 属 品 1式
(3) 予 備 品 1式
7.関連器材 自走砲の関連器材は,次のとおりである。
(1) 部隊整備用特殊工具 1式
(2) 武器部隊整備用特殊工具 1式
8.その他
8.1 表 示 自走砲の表示は,次のとおりである。
(1) 砲,砲塔及び車体には,NDS Z 8011(角形銘板)による1種銘板が取り付けてある。
(2) 操縦手席付近には,変速レバー位置などの表示がしてある。
(3) 車体及び砲塔には,工具箱,附属品,予備品,弾薬箱などの取付け位置が表示してある。
8.2 塗 装 自走砲の塗装色は,次が標準である。
(1) 砲,砲塔及び車体の露出部,外装品及び露出可能部分(ハッチなどの内面)
濃緑色及び茶色(迷彩)
(2) 砲塔及び車体部の内面及び内装品 白半つや
(3) 砲尾環後端面,給油脂部,撃発スイッチ,消火装置及び消火系配管,動力旋回スイッチなど。 赤半つや
(4) 燃料系配管 だいだい色
(5) 変速機系配管 青
(6) 操向(制動)機系配管 緑
(7) 機関潤滑油系配管 黄
8.3 染色など 自走砲の砲口覆い,車体覆い及びその他の布製品の染色は,OD色とし,防火,防水,防かび加工が施されている。
注 64式7.62mm小銃(仮制式番号 XB 1003),64式7.62mm小銃(B)(仮制式番号 XB 1003B),64式7.62mm小銃(C)(仮制式番号 XB 1003C)を含む。
注 現用弾とは,M1りゅう弾,M60黄りん発煙弾,M314系列照明弾,M84・M84B1弾底放出発煙弾などをいう。
注 標準状態とは,標準火砲で,標準弾薬(装薬温度211℃)をJIS W 0201(標準大気)による標準大気で使用する状態をいう。
注 全備重量状態とは,所定の位置に乗員,武装,弾薬など約1・5tfをとう載し,かつ,燃料,携行工具及び車載用の附属品,予備品などを含めた状態をいう。
関連文書:9ページに示す。
関連文書:この仮制式要綱に引用した次の文書は,最新版とする。
引用文書:JIS W 0201 標準大気
NDS H 4001 防弾アルミニウム合金板
NDS K 2179 ウォームギヤー潤滑油
NDS Z 8011 角形銘板
NDS Z 8201 標準色