健常者を対象とした酸素療法の問題点

ある方から再び「ナショナル酸素エアチャージャー」のことで質問を受けました。呼吸器科の目から見て、その意義があるのかと・・・
それでこのページをつくりました。

松下電器産業から家庭向け酸素濃縮装置(http://national.jp/product/health/oxy_charger/ms_x1.html)が発売され、積極的に広告しているようです。呼吸器疾患を診療し、長時間在宅あるいは病院で酸素を吸わなければならない方々の診療をしている医師である私の目から見ると疑問がわいてきます。

おもな疑問かかりつけ医通信(→ここ)に書きましたが、
  よけい事ですが、勝手にかかりつけ医通信の文章をそのまんま掲載している方がいますね。
   まあ、そのことより酸素バーや変な酸素療法の方が問題ですから、他のかかりつけ医通信
   のメンバーが問題にしない限り私は不問に現時点ではします。

ポイントとなるのは、2点、1)効果 2)副作用の問題です。

他の健康器具・健康食品の類の問題点は、効果を表現するときに“リフレッシュ”や“活性化”などのイメージだけの言葉を使い、はっきりとした論点をぼやかしている点です。松下電器では以下の表現がありました。

ココが知りたい!Q & A から
1)どんな時に使うと効果的ですか?
仕事や勉強で疲れた時や、運動の後、眠気が生じた時にお使いいただくと効果的です。

2)過酸素症になる恐れは? また、体内の活性酸素を増やすことになりませんか?
酸素チャージャーの酸素量(濃度約30%、空気流量約2L/min)では、長時間吸引しても健康に悪影響を及ぼす心配はありません。

効能として“疲労回復、眠気の防止”をはっきり表明しております。理論的・実験的根拠を直接松下電器より聞きたいと思います。
この器械をつかって上記効能を実験上証明したのか?しかもそれが偽薬効果のない状態で証明されたものなのか聞きたいと思います。

さらに大事な問題点は30%の酸素濃度でどれほどの効果が期待できるのかということなのです。一見30%であれば通常の空気濃度21%を30%にあげるような誤解を受けますが違います

通常の医療上使われる酸素投与は90%〜100%の高濃度の酸素です。今回松下電器からだされた酸素濃縮装置は30%です。実際に体内にどれほど酸素投与することができるのでしょう。

モデル的に考えてみます。吸気:呼気=1:2とします。呼吸を15/分とすると、吸気1秒、呼気2秒です。
一回の換気する量を体重Kgあたり8mlとすると、50Kgの人で400mlです。
  Excelで計算し、試してみてください →ここ

松下電器のありがたい器械の場合
2L/分の流量ですので、1秒間に2000÷60=33mlの30%の酸素をいただくことになります。
全体でみると33ml×30%+(500ml−33ml)×21%=108m
ほんとの酸素吸入濃度は21.4%です。

普通に呼吸の場合
500ml×21%=105mlです。このモデルでは21.0%です。

ちなみに体重があるほど、酸素の増加量は少なくなりますが、通常の成人では酸素濃度を2−3%、実際は21.0%を21.4%にするのに過ぎないということがわかります。
さらにいいますと、健康な人ではすでに、動脈中の酸素は通常の酸素をすっていても充分に飽和状態に近いのであって、せいぜい数%の酸素をさらにくわえたからといって、酸素運搬量はほとんど変化しません。

故に、この商品はほとんど効果の期待できない商品だと思われます。

松下電器ほどの大企業がほとんど生体では酸素量を増やさない(逆に言えばよほど極端な例でなければ害を与えない)、効果のほとんど期待できないものを“リフレッシュ”などと定義しにくい言葉で販売促進をしていると思うのです。
私の思い違いなら是非、関係者のかたメールをお願い申し上げます

株式会社の医療参入が取りざたされ、大企業なら大丈夫というような発言をされるかたがいますが、この製品の販売法をみれば、大企業必ずしも正しからず・・・・・
マイナスイオンに関しては喘息患者に有害であるというのはGINAという世界共通のガイドラインでかたられておりますが、そのことは伏せて販売されております。