1996. 9.25 リリース |
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−鴻池組・住友金属工業(株)− |
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鴻池組と住友金属工業(株)は、共同で低音域用の新しい遮音材を開発しました。 この遮音材は、薄い金属板に錘をつけて低音域の遮音性能を大幅に向上させるという全く新しい発想の遮音材であり、安岡正人・東大名誉教授の指導のもとで研究していたものを、今回実用化したものです。 |
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新遮音方式の特徴 | ||
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これまでの遮音材は質量によって制御されるため、ポンプやモーター、ファンなどの低音域の音を遮音するには材料を重たくするより方法がありませんでしたが、今回開発された遮音材は、錘によって板の振動モード(振動の形)を制御する新しい方式であるため、軽量でシンプルな構造で大きな遮音性能を得ることができます。 この遮音剤材の特徴は、錘の取り付け間隔を変化させて遮音性能を制御できることで、騒音源の特性に合わせて周波数帯域を変化させられます。低音域に大きなピークをもつ騒音源に対して、遮音板の最も遮音性能の大きな周波数帯域をそのピークに合わせることにより、有効に騒音対策ができます。 このように遮音性能をチューニングできる遮音材料は初めてで、この遮音機構を究明した論文は、過去に建築学会の奨励賞を受賞しています。 |
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遮音性能について | |||
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残響室という遮音性能の実験施設での結果は以下の通りです。 | |||
@ | 厚み0.1mmの金属板に錘を付けたパネルで、250Hzで25dB以上の遮音性能を発揮。 | ||
A | 二重にしたものでは40dB近くの遮音性能が確認されました。 | ||
B | 厚さ0.27mmの金属板に錘をつけたもの(平均面密度14kg/u)では垂直入射条件160Hzで42dBの遮音性能が得られました。 | ||
注) | この160Hzで42dBという遮音性能は、通常の鉄板では厚み14mm(面密度112kg/u)に相当するものです。 |
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実用事例 | ||
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両社は既に、この遮音材を住友金属・和歌山製鉄所の防音工事に用い、大きな効果をあげています。この工事は、大型のモーターから発生している90dBを超える180Hzの低周波騒音を、錘つき遮音パネルを用いた防音塀で対策したものであり、他の周波数より20dB以上卓越していた騒音のピークを消し去ることに成功しました。 | ||
今後の展開 | ||
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使用する金属板としては、一般の騒音対策用では厚み0.3mm以下のものを用いますが、金属板の厚みと錘の間隔などを調整すれば、これまで困難だった超低周波騒音の遮音にも適用が可能です。 今後、両社は当面、ポンプやモーター、ファンなどの低音域の騒音が問題となる工場の防音工事、スチールハウスの戸境壁や床、道路の防音壁などを対象として、この遮音材の利用を進めていく予定です。 |
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