Sonic Boom インタビュー by Apple-O

このインタビューは、1995年に Apple-O 氏が行ったものです。
わたしは、Webで Sonic Boom, Spectrum, EAR などを検索してみて、その情報のすくなさにちょっとショックを受けました。まして、日本語となるとますます少なく、Sonic Boom を崇拝するわたしとしては、これではいけない、と思ったわけです。
で、Webでみつけたこのインタビューを、訳してみよう、と思ったのです。
わたしは英語のエキスパートではないので、間違いなど多々あるかと思いますが、細かいことは気にしないでください・・・。
また、A4用紙にして13ページに及ぶ長編だったので、いくらか省略も加えています。ご了承ください。
ちなみに原文はこちらです。
もう5年も前のインタビューなのですが、雑談チックで、かつ興味深い内容だったので、あえて再録しようと思います。
誰かひとりでも、面白く読んでくれたらうれしいです。

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1995.02.16 at Terrace Club, Princeton, NJ

スペクトラムのライブは、ロックコンサートというより、教会にいるかのようだ・・・そこでは音楽はトランス状態を作り出す道具なのだ。ソニックのキーボードはゴスペル・オルガンのように響き、聴衆を祈りへと導く。アメリカ中をレンタカーのポンティアックで走り回り、行く先々で機材を借り、(ツアーの)全ての費用を自分たちでまかなう、4人の男達によって、そのスピリッツは体現される。

ショウのあと、スペクトラムのメンバーは自分たちで機材を車に運び込んでいた。手伝ってくれるローディーはいない。
彼らが出発する前に、わたしはソニックに、右側通行には馴れたかと訊ねた。
にやっと笑って彼は言った。「いまだに左側を運転してるよ!」

翌日、わたしはテラス・クラブでのライブの前に、ソニックと話しをした。

Apple-0(以下A):ソニック・・・ソニックって呼ばれるのは好きなんですか?
Sonic Boom(以下S):うん・・・
A:友達はあなたのことをソニックって呼ぶんですか?それともPete Kember? ピートって呼ぶのはご両親だけですか?
S:その時によるよ・・・いつもソニックって呼ぶひともいるし、絶対そう呼ばないひともいるし・・・うちの親とかね!(笑)
A:でも、あなたはピーター・ガンって名で通ってましたよね・・・
S:んー、うん。
A:なぜ名前を変えたんですか?
S:同じ名前の奴がいるって分ったんだ。InmatesっていうR&Bバンドの奴が、芸名で使ってたんだよ。
A:昨夜のショウでは、あなたは病的なほどサウンドチェックにこだわってましたね。全てがホントにスムーズに行くように。
S:うん。僕らのやってるようなミニマルで、あまりコードチェンジがないようなものだと、ちょっとしたチューニングの狂いがひどく悪影響を及ぼすんだ。だから僕は、いつも最善を尽くすようにしてるんだよ。
A:とてもデリケートなんですね・・・。
S:そう、ホントそうだよ。

A:Air Miamiと何度かライブをやってますけど、ツアーはどのくらいの日程なんですか?
S:1週間くらい。今日で5回めのショウかな?彼らとつき合う前に、1回フィラデルフィアで会ってるんだ。それからワシントンに行った・・・それから僕らはシカゴまで一緒にツアーしたよ。そのあと僕らはシアトル、バンクーバー、カリフォルニア、とか他にもいくつかの街でもライブをやったんだ。
A:どうして彼らとつき合うようになったんですか?彼らのファンだったんですか?
S:実は彼らのことも、やってる音楽も、全然聴いたことがなかったんだ。でも、僕らのツアーをブッキングしてくれたひとが、僕らをいい組み合わせだと思ったんだよ。で、僕は彼の決断を信じて、実際いい結果になったんだ。
A:Air Maiamiのメンバーは、あなたの影響を受けてるステレオラブとも一緒に活動してますね。彼らとは親しいんですか?
S:うん、何回か会ったことあるよ。そんなによくは知らないけど。一緒に活動する予定があるんだ、ミックスするんだよ。前にも一緒にライブをやったことあるよ、でも僕はその時肺を患ってたんだ。2,3年前だったな、感染症だったんだ・・・。
A:他に好きなアメリカのバンドはありますか?
S:シカゴのKrankyってレーベルのバンドには好きなのが多いよ。LaBradford、Jesemine、あとNYのBowery Electricっていう新しいバンドとかはいいよ。
A:なんかのライナーで、あなたがSatan's cheerleadersが好きだって書いてあるのをみたんですけど・・・彼らのライブを観に来たとか・・・?
S:(笑)うん、そのライナーはふざけてるみたいだけど、ホントだよ。彼らは好きだよ。
A:彼らのアルバムのタイトルは"infinity"(無限大)ですけど、まさにその意味を成した、って感じですかね?
S:(笑)
A:でも、彼らはより悪魔的な感じですけどね?
S:うん、彼らの音楽はちょっと変わってて、サイケデリックな感じなんだ。
A:会ったことはありますか?
S:うん、何回か。互いに相手のファンクラブをやってるみたいだったよ・・・。
A:Lunaは好きですか?
S:うん、いいよね。
A:イギリスのものでは、最近は何が好きですか?
S:あんまり多くはないな、最近聴いた中ですごくよかったってのは・・・。
A:イギリスと、「反レイブ」法の話をしましょう。あなたが今でもプレイしている"Revolution"の詞は、まさにそういうことについて言っているみたいですけど・・・。 
S:あの法律はホント最悪だよ、でも可決されちゃったんだ。
A:どんなことが規定されるんですか?
S:3人以上のひとが集まっていれば、それは不法な集会とみなされるんだ。そして、それを取り締まることができるようになったんだ。人々が大きい音を出して、でっかいPAを裏庭に積み上げたり、週末にレイブをやったりするってことは、基本的に問題とされるんだ。
A:じゃあ、レイブシーンは衰退しちゃうんですかね。
S:そうだね、間抜けの親玉は、みんなに対してくそったれなことをするのさ、いつだって。
A:レイブムーブメントの一般的な考え方っていうのは、ただ楽しもう、ってことですけど、あなたはあなた自身がそういうものと関わりがあると思いますか?レイブムーブメントには影響されましたか?それとも対立する立場ですか?テクノバンドとかは好きですか?
S:いや、特には。
A:全然別物?
S:そうだね、実際。ぼくのやってるいくつかの作品、特にEARの作品だけど。Irrestable Forceって奴、彼は、レイブとか好きな奴で、Spacemen3とかSpectrumとかをずいぶんサンプリングしてたよ。彼はアーティストなんだけど、基本的にアンビエントをやってるんだ、たくさんサンプリングして。
A:サンプリングについてはどう思います?
S:悪くは思ってないよ。
A:サンプリングによって、オーディエンスの幅は拡がりましたか?
S:拡がったと思うけど、どのくらいかは分からないな。そういうのは「チルアウト」ルームに合うんだよ、ドラムが入ってなくて、メロウでアンビエントなやつがよくかかってるような。そういうとこでは、時々EARとかSpectrumとかが使われてたりする。ダンスシーン全体にたいしては、僕がすべきことはあんまないね。
A:"Big city"っていうシングルでは、エレクトロニックなビートが使われてますよね。人々はあなたがマンチェスター・シーンに合わせようとしてると考えはじめてるみたいですけど・・・。
S:あれはクラフトワークみたいなもんだよ・・・。
A:人々は、なんでも型にはめてジャンルに分類しようとしがちですよね。他に、Jesus & Merry ChainとかLove&Rocketsと比べられてるのも聞いたことがあるんですけど、どちらかお好きですか?
S:Love&Rocketsは好きじゃない。ジザメリはいいよね。ちょっとありがちな感じではあるけど、いいと思うよ。
A:あなたの昔のバンド仲間、ジェイソンのSpiritualizedは?
S:聴いたよ、いいのもあると思うよ。
A:彼と話してます?
S:滅多に会わないな。
A:遠くに住んでるんですか?
S:いや、3〜4マイル離れたとこなんだけど、あいつの行きそうなとこには僕は行かないから。
A:Mudhoneyは?あなた達はお互いのカバーをやってますよね?
S:すごいファンってわけじゃないんだけどね。一曲すごい好きな曲があるんだ。彼らはそれをSpacemen3のそのまんまなカバーだとかって書いてるらしいけど。なんにしろ、そんな風にインタビューで言ってたんだよ。Subpopからダブル・シングルとして出る予定になってて、そのテープを送ってくれたんだ。それはすごい好きだよ。
A:じゃあ、あなたはそのリリースには反対しなかったんですね?
S:彼らのバージョンの"Revolution"は、ライブで聴いたときはそのまんまなカバーだったんだけど、後で彼らはアレンジを変えたんだ。
A:イギリスのシーンに何か変化を感じますか?最近の音楽は、あまりメロウじゃないみたいですけど・・・。
S:僕らのやってるのがみんなメロウだとは思ってないよ。いくつかはすごくメロウだけど、いくつかは激しいよ、Suicideみたいに。君が「パンク」をどう考えるかによるけどさ、Reverberation Clubってクラブのための、初期のポスターでは、僕らは60〜70年代のパンク風にみせてたよ。80年代の初期にね。
A:80年代の初期っていうのは、Spacemen3のこと?
S:うん。
A:Huggy Bearは聴いたことあります?
S:あんまり。そういうクソなのは聴かないんだよ。
A:70年代のパンクとは相いれないと思ってますか?
S:(笑)70年代のパンクの多くはバカっぽくて、パレードの楽隊みたいなものだよ。僕がホントに好きで、パンクだって思うのは、60年代のものだよ。ヴェルヴェットとかStoogesとかMC5みたいな、ガレージバンドさ。
A:ヴェルヴェットはサイケデリックだと思います?
S:うん、ある意味ではそうだね。サンフランシスコのサイケデリックシーンと平行してあった動きだと思うよ。僕はテキサスのサイケデリックものも好きなんだ、13th floor elevatorsとか、Red Krayolaとか、Golden Dawnとかね。
A:Moving Sidewalksは?
S:いいんじゃない?彼らのアルバムに"Flashback"っていうのがあるけど、あれはZZTopよかいいよ。
A:Red Krayolaは最近レコードを出しましたね。聴きました?
S:いや。彼らが80年代に出したレコードのほとんどは、ホントダメダメなんだよ。あのひとはこの数年間pere ubuにいて、イギリスで80年代の8〜10年間、ラフトレードで仕事をしてたんだよ。パンクバンドとか,Sticky Fingersのプロデュースとか・・・。

A:昨日、あなたはバンじゃなくて、セダンに乗ってましたね。
S:ポンティアックね!
A:ヴォーカルのひとが運転してましたね。まるで休暇で遊んでるみたいでしたよ。
S:そんな感じだね、楽しかったよ。
A:どこに泊まってるんですか?
S:ホテルだよ。みんなと一緒に・・・安いとこにね。
A:どんな機材を持ってきてるんですか?セダンには全部入りそうもありませんけど・・・。
S:ギターとキーボードは全部持って来たんだけど、ドラムとアンプ3個はAir Maiamiから借りたんだ。それしか方法がなかったんだよ。ホントは大きなバンが必要なんだけど・・・僕らは誰もクレジットカードを持ってないから、そういうものを手に入れるのは大変なんだよね。
A:シカゴのあとは、どうするんですか?
S:僕らは行く先々で機材を借りるんだよ。Lowの機材を借りられるかも知れない。でなけりゃ、誰か一緒にやるひとらに何とかしてもらえると思うよ。
A:じゃあ、1つのバンドとずっと一緒ってわけではないんですね。
S:ほとんどLowと一緒だけどね。
A:お金はどうしてるんですか?
S:何でも、できるだけ安くあがるようにしてるんだ。今のとこ、アメリカのレーベルと契約してないから、全部自分達で出さなきゃならないんだ。かなりキツいよ。チケットだの、レンタカーだの、その他いろいろのことのために、お金をかき集めてさ、大変だよ。
A:でも、いろいろみて回るっていうのはいいですよね。
S:それはホント楽しいよ。
A:アメリカで、特に気に入ってるとこってあります?
S:西海岸はすごい好きだな、LAには友達がたくさんいるんだ。あと、サンフランシスコもいいよね。
A:嫌いなとこってあります?
S:2,3日の間に、15時間もの長いドライブをしたんだ。シアトルに着くのに、3日ぶっ通しでドライブしてたみたいな感じだったよ。
A:あなたはおいくつですか?
S:29だよ・・・。
A:彼女の話って聞いたことがないんですけど・・・誰か特別なひとっているんですか?
S:(うなづく)
A:どのくらいになるんですか?
S:(低い声で)数年・・・。
A:それって今までで一番長いんですか?
S:うん。
A:結婚についてはどう思います?
S:僕は結婚を絶対のものとは思ってないんだ。何かを解決するのに、結婚することが必要だとは思わない。多くのひとたちは、永遠に結ばれてると感じるがゆえに、結局別れることになるような気がする。物事を、同じやり方にする必然性はあまりないと思うんだ。契約するのとは違うんだよ。君が契約をしてないとしたら、それはいいことだよ。だって、もし君が誰かといて楽しくなくて、他のひとたちも君といて楽しくないなら、ただ離れればいいんだから。もし契約をしていてたら、それがうまく行かなくても、君は不自然にその状態でい続けなくちゃいけないんだから。
A:ずいぶんとポジティブな意見ですね。あなたはもっとシニカルじゃなかったですか?
S:いや。僕は誰もみな、ふたつの、少なくとも2つの人格を持ってると思うんだ。だから、ポジティブとネガティブと両方の感情が、ひとつの場所にあるんだよ。時にはすごくネガティブな経験が、長い目で見ればとても役立つものになったりもするように思えるんだ・・・。
A:ストーンズの"You don't always get what you want"みたいですね・・・。
S:(笑)ストーンズは大好きだよ。あれはいい詞だけど、どれほど正しいのかは分かんないな!
A:じゃあ、Dead Kennedysのカバーはやったことありますか?
S:(Jello Biafraを真似て歌いながら、)「カリフォルニア♪」僕は、自分があんな風に歌えるとは思わないよ!
A:ああいうのは好きなんですか?
S:うん、出始めの頃のDead Kennedysは好きだったよ。シングルをずいぶん買った。"Fresh Fruit For Rotting Vegetables","Too Drunk To Fuck"とかは最近のだね。
A:今でもああいうのに影響受けてますか?
S:全然。彼は、アメリカじゃイギリスよか有名だよね。DK'sの全盛期には、彼は有名人のなかの有名人だったよ。でももう昔のことさ。

A:あなたの好きな幻覚剤は何ですか?
S:好きな幻覚剤・・・3回しかやったことないんだけど・・・DMTだね。
A:30分位効くやつでしたっけ?
S:15分だよ。すごく激しいサイケデリックなラッシュが来て、テレパシーで通じ合う世界にいるみたいな感じがするんだ。
A:それって錠剤ですか?
S:喫煙するんだよ。経口摂取もできるけど、最大限に成分を生かすには、吸うのが一番なんだ。
A:ドラッグはあなたを変えましたか?
S:アシッドはすごい影響があったと思うよ。16歳のころ、幻覚剤をやり始めて、それによって僕は自分の中でいろんなものを見極めることができたよ。
A:DMTがそんなによかったっていうのに、どうして3回しかやったことがないんですか?
S:あれはすっごく手に入りにくいんだ・・・。カリフォルニアで、あれを持ってた奴を知ってるんだけど、ほんの数回分しか持ってなかったよ。
A:お酒は?
S:滅多に飲まない。
A:好きな煙草は何ですか?
S:肺を患ってから、好きな煙草は吸えないんだ、歌い過ぎもいけないし・・・。好きなのはラッキーストライクのフィルターなし、キャメルのフィルターなし、あとアメリカンスピリッツなんだけどね。
A:食べ物は?
S:ラッキーチャームス(アメリカのマシュマロ型シリアル)とクイックシェイクがすごい好き。
A:最近テレビで何か面白いの観ました?
S:僕はテレビは、ぼーっとするための道具として使うんだ。観ながら、ゾンビみたいになってるよ。創造力のためになることじゃない、ってことは確かだね。

A:あなたのバンドでは、どんな風に曲作りをするんですか?ギタリストが歌ってたと思うんですけど・・・彼が書いたりするんですか?
S:彼は詞のいくつかを書いたよ。僕は曲を書いて、彼が来て、詞のアイディアを出したりしたんだけど、あんまうまく行かなかった。で、僕は彼のパートを全てえり分けて、コーラスを入れて、彼と別々にクレジットを入れたんだ。
A:一緒には書かないんですか?
S:大抵ひとりで書くよ。
A:他のメンバーは?彼らに譜面をみせるんですか?それともインプロヴァイズしてもらうんですか?
S:時にはインプロヴァイズしてもらうよ。彼らに僕の気に入るようなアイディアがあったら、その感じで演奏してもらうんだ。
A:ライブの練習はどうしてるんですか?
S:半円になって演奏するんだ。
A:Spacemen3のカバーをするときは、メンバーに譜面をみせるんですか?それとも、元々ファンだったりするんですか?
S:うん、みんなだいたいの曲は知ってるよ。
A:新しいギタリスト・・・名前何でしたっけ?
S:Scott Riley。
A:彼が入ってどのくらいになるんですか?
S:1年くらいかな。
A:Richard Formbyはどうしたんですか?
S:彼はツアーに出たがらないんだ。彼はイギリスのLeedsのスタジオで、プロデュースとかやってるよ。
A:ベーシストは?
S:John Regan。4ヶ月くらいになる。ドラマーは2〜3年一緒にやってるよ。Tony Lambertっていうんだ。
A:そういうミュージシャン達とは、Spectrumをやる前から友達だったんですか?
S:うん、それぞれ別々なことを通じて知りあったんだ。あちこち回ってるうちに・・・。プロデュースしてくれって頼まれたりとかして。ドラマーとベーシストは一緒にバンドをやってて、Scottの知り合いだったんだ。
A:あなたの友達はみんな同業者なんですか?
S:まさか!そこら辺のひとらと一緒だよ・・・。
                                        

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