EAR:Phenomina 256Experimental audio interview


霞んだ夏の陽光がふりそそぐ日、 Markie Cola は Bran ヨーロッパ急行の旅の後、Sonic の庭の着地点を目指して Rugby 宇宙空港へと飛び立った。
Sonic Soundのコンセプトってどんなでしょうね?
僕に影響を与える音っていうとね、例えば君がこんな気候の中で横たわってるとしよう。目の上を飛行機が横切ったり、隣人が芝生をかってたり、皿を洗ってる音、洗濯機がゴロゴロいってたり、そんな音の全てだね。君は ambient drone なんて呼ぶかもしれないけど、そういうのが好きなんだ。包み込む、ムードみたいなものだよ。
あなたはずっと ラグビーに住んでいらっしゃいますが、なにかそうしなくてはいけない理由などあるのでしょうか?
(笑いながら)イヤ、ここはとってもきれいな田舎だし、3つの地域に近くて便利なんだ。僕はどうも大都市の中でうまくやっていくって向いていないと思うんだよ。
あなたはすでに大きな都市の中に他とは違った宇宙をお持ちではないですか。わたしの住んでいる地区では土曜の午後には海賊ラジオ局の放送がたくさんあるんですが、ふたつのライバル局の片方では 'Van-der-ee' を、でもう片方では Oranges and Lemons をやってたりするんですが、これがコンクリートに反射して音の波がユラユラしてたりしてね。
(Sonic は上機嫌そうに)そいつあスゴイや! 僕はそういうの大好きだよ。街はとびっきりおもしろい土地の風景をたくさんもっているものね。僕は本当に路面電車のケーブルにひかれるんだけれども、例えばひっぱったりすると音が飛び散るじゃない。時々路面電車が少し線路を外しそうになったりすると、ケーブルがリバーブのスプリングみたいな音をたてるんだ。サンフランシスコやアムステルダムなんかで見たことないかい?
結局のところ、僕のやってることって全部ムード、ムードを喚起させるとか、なんだ。たとえバッド・トリップであっても、晴れた日の午後であってもね...。Data Rape の中の曲だって同じだよ。ある楽器を使うためとかいうことじゃなくて、楽器が出来ることをやってるだけ、どんな音が出てくるかなってね。僕ら最近はヴォーカル音(vocal sounds)とかヴォーカルの共振(vocal resonance) とかよく使うんだけど、パターンやテクスチャを創るためにその音素を使ったりとかね。ヴォーカル無しでも ヴォコーダー とかそんな器材なんか使ったり。 ヴォコーダー を使って、もう一つの音程のキャラクタにもうひとつの色合いのキャラクタを付け加えたりなんて使い方をしたりするんだよ。でもとってもヴォーカル的だったりね。
ところで AMM の Eddie Prevost の影響なんだけど、Eddie と Delia Derbyshire(BBCの伝説的なラジオ技師)の二人から教育的なレベルで色々たすけてもらってる。だってあきらかに、僕のバックグラウンドって non-muso rock だし、たとえそういったことにうとい rock の世界の中でも、僕の技術って低いほうだしね。だってクロマティック音階もよく分からないし、コードとかスケールなんかについても同様なんだ。全然勉強したことがないんだよ。 実は Spacemen 3 の曲で技術的なことが全然うまくいってないのはそのせいでもあるんだ。スケールなんてメチャクチャだし、部分ごとの音程のコンビネーションも、もし君が技術的なバックグラウンドがあれば(君はたぶんそうじゃないよね)とんでもないってことに気づくとおもうけど。でも実際はそんなものどうでもいい。僕はたとえ全然なにも知らないやつの演奏でも、いい音がしていればいつでも楽しんで聞いているよ。そうだろ、かれらはそうする理由があるんだし、「10度の和音なんて存在しない」なんていうやつがいたって、そんなのはたわごとでしかないしね。

Spacemen 3 の秘密はね、僕の曲に限ってはだけど、ワンコードは最高、2コードは次にいい、3コードは3番目...たとえば単音を使えば二つか三つのコードで全部のコードに使えてしまうんだよね。どんなコードの時でもその単音を鳴らし続けていてかまわないんだ。もし Walking with Jesus みたいな曲をかきたいんなら、そうすればとっても簡単に、そしてとってもうまくつくれるよ。シンプルであること、もっと単純に...僕にとってはそれはとっても賢い方法だと思えるし、曲を聞いていて、とっても印象的だったり、でかけていって一緒にやりたくなるようなのって、気づいてみたらみんな2コードの曲なんだよ。本当にすてきなハーモニーやメロディーってそんなにうごきまわらないし、単純さをずっと持続させたまま、至福や平穏をくりかえしているってのがすてきだよね。 演奏しててなにかいかした要素が出てくると、変えたり盛り上げたり、なんて時代遅れで陳腐な方法だと思うよ。

というのはね、大抵のはロックン・ロールからの退化でしかなくって、それって3コードか2コードでしかないんだ。そんなで僕の好きな音楽って大抵3コードみたいだね。そんなのがかなりあるなぁ。片方には Otis Redding がいて、でもう片方には、誰か本当にバッドなのが、どうもちょっと思いつかないけど。とにかく3コードのジャンルの音楽にはロックンロールのように、E,A,D とかそういうヤツ。なかには、なんの努力もせずにガラクタばっかりつくってるのもいるけど。
E.A.R. に関しては、ナゼ僕らがミニマムな音をやっているかというと、drone(訳注:Sonicのやっているような音楽を、こんな風に言います。) ベースなやつね、それはたしかなムードを喚起しやすいからなんだ。それってかなり確かな感覚を呼び覚ますのに有効なんだよね。ある日、僕はアートワークをやってて、聴いとかなきゃいけないものをかけたりしていて-僕はあるプロジェクトのために数曲作らなきゃならなかったんだ-で、僕はあるトラックを聴いてて、どんな風かってのはちょっとはっきりとは表現できないんだけど。ただ、言えることっていうと、鯨の音とか、それに似たような音なんか全く含まれてないってことなんだ。なのに、この辺のひと2人が2人とも、「鯨の音だ」って言ったんだ。あれはただ、眠くなるような、メロウで、漂うような感じだったってだけなのにね。これは、みんなのSpacemen3への反応と同じだよね。似ても似つかないってのに、「ホークウインド」とかって言われるなんて...ひどい侮辱だよ。

わたしの兄弟に ホークウインドのファンがいるんですが、彼などはよくあなたと比較したりしていましたが・・・
(笑)みんながそういう風に言うとき、何が言いたいのかは解るよ...。誰でもSilver Machineは知ってるだろ?ホークウインドにとってはジョークでしかないかも知れないけど、僕は裏目に出ると思うよ。だけど、Orgone Accumulator、僕はあんな曲を書いたら誇らしく思うだろうよ。あれはかっこいい曲だと思う。僕はホークウインドとかって言われるのは、侮辱だとは思わないんだ、だって「あれはロックで、宇宙っぽい(スぺイシーな)感じで...そう、ホークウインドだよ!」みたいなことを言いたいんだ、ってのは解ってるから。Pestpellerのレコードだって、「タンジェリンドリームみたいな」とかってレビューされたんだから。何を言いたかったのかは解るけど、あれはタンジェリンドリームよりかなりひねた作品だし...ちょっと粗削りな感じの音だよ。でも、解るだろ、30枚しかレコード持ってないような、ちょっと視野が限られちゃってるひともいるんだよ。そういうひとがタンジェリンドリームとか言ったとしたって、それは侮辱ってわけじゃないんだよ。
あなたは20世紀半ばのモダニストみたいな感覚を持ってらっしゃいますけど、最近のでは何がお好きですか?
Pan Sonicが好きだよ。circuit-bent stuffを使って、一緒に曲を作ったんだよ。ホントはまってたよ。そう、Krankyレーベルのには好きなバンドがいっぱいいるよ。あと、LabradfordとBardo Pond。僕らはOchreとEarwarmからコンピレーションを出す予定なんだ。僕らの活動って少なくとも2つ、時には3つのレーベルにまたがってたりするんだ:Skyray, Longstone, Magnetophone, Stylus...EARも参加する予定だよ、あと、Peter Zinovieffもね。それから、ラグビーには121Dialsっていうかっこいいバンドがいるんだ。ラグビーはいかした街だよ。そんなに変化のある街じゃないんだけど。サンフランシスコの友達が、よく休暇でこっちに来るんだけど・・・彼はここで過ごすのが大好きなんだよ。1週間とかここで過ごしたあと、彼はサンフランシスコに帰るのを嫌がるんだよ。彼は、ここが今までに訪れたなかで一番いかした街だって評価してるんだ。ここには変わったひとが多いんだよね。Tommy Webberっていう、「メインストリートのならず者」の頃のキース・リチャーズのクスリ仲間で、いつもジミヘンと一緒に、目薬の容器いっぱいに詰めたアシッドやってたりしてた、面白いひとがいるんだけどね。亡くなる6週間くらい前、ティモシー・リアリーがロスでやったスペクトラムのライブに来てくれて、次の日彼の家に招待してくれたんだ。で、ジョイントやなんかやりながら喋ってて、僕はふと、いつかトミーがティモシー・リアリーのこと話してたことを思いだして、「Tommy Webberっていうひとに会ったことありませんか?」って訊いたんだ。ティモシー・リアリーははっと思い出したみたいで、「そうそうそう、CIAから逃れてタンジールにいた時、僕はブラック・パンサーに拉致されたんだよ。」って話し出したんだ。ブラック・パンサーもその時逃亡中で、タンジールからアメリカへは逃亡犯の引き渡しがなかったから、そこにいたんだ。で、トミーは、バルコニーの電話線を伝って忍び込み、ティモシー・リアリーを連れて脱出して、彼をブラック・パンサーから救ったらしいんだ。ホント、面白いとこだよ。ホログラムはラグビーで発明されたんだ、ジェットエンジンもだよ。

(ソニックは立ち去って、片手いっぱいにワイヤーを持って戻って来た。そして、歯でワイヤーのカバーをはがし始めた。)
それは何に使うんですか?

困ったことに、僕は24時間以内に3〜4個の(circuit-bent)Speak & Spellを組まなきゃならないんだよ。完璧なのを組むには、1個につき8〜10時間かかるんだけど、僕はツアーのために、主な機能だけが使えるようなのを組もうとしてるんだ。最後のひとつをツアーの時に壊しちゃったから、第2弾を組もうとしてるんだ。僕は、スイッチがしっかり保護されるように、ちょっと変えて組むつもりなんだ。こないだのツアーは飛行機だったけど、今回は違うから、大丈夫だとは思うんだけど・・・。

Pestrepellerのアルバムが出ますね。あれはどんな感じなんですか?

Savage Pencilは知ってるでしょ?Savage Pencilはホントかっこいいよ、70年代半ば以来、最先端の漫画家なんだ。レジデンツとか(他は知らないけど)に作品を提供してて、NMEとかSound Foreverとかでも仕事してたんだ。彼は"Rock 'n ' Roll Zoo"っていうすごくいい本を出してて、そのなかのネタはみんな70年代後期の音楽からとられてるんだ・・・。

(シングル・プロペラのヘリコプターが上空を飛んで来て)僕の好きな音だ・・・。

彼はこのグループをやってて、いや、アートワークも止めた訳じゃなく、続けてたんだけどね、このグループの正式な名前は、Sonic Attack Wave Pestrepellerっていうんだけど、略してPestrepallerって言ってたと思うんだ。僕はそのCDが大好きだったんだ。Metal Machine Musicとはちょっと違った方法で作られてるんだけど、受けた扱いは似たようなもので...買ったひとは多いんだけども、ちゃんと聴いたひとっていうのはほとんどいないんじゃないかっていうね。あれはすごく激しいフィードバックなんだ。そして、これのすごいところは、やってるひとがミュージシャンじゃないってことなんだ。誰もソロをやろうとなんかしてないし、目立とうともしてない。ただギターでノイズを鳴らすことを楽しんでるみたいに聴こえるんだ。ホントにすごく貴重な、手を加えるのに最適な音源だと思ったんだ。だから僕は、素晴らしく万能であり、他の音を扱うことにおいてもやっぱり万能なシンセ、EMS VCS3を使おうと思ったんだ。僕はPestrepellerのCDの異なる部分を取り込み、エレクトロニクスの異なる要素をコントロールしてクレッシェンド、ボリューム・クレッシェンド、トーン・クレッシェンド、リング・モデュレーションとかそういう処理をするために電圧コントロールを使って、VCS3を通して処理したんだ。そして、彼らの作品をすごくドラマティックに再加工したものを作り上げたんだよ・・・。
Sound Projector誌のEd PinsentはPestrepellerをやってたひとなんだけど、彼はオリジナルとは別物になってるからって、リリースを認めてくれたから、出したんだ。
それから、僕はモデュラーシンセより大きいSergeに、オートマティックピースをセットした。僕がしなきゃならないことは、スイッチを入れて、いつまでも繰り返させておくだけ・・・放っておくんだ。
残念ながら、モデュラーシンセでは、もし自分のやってることをよく分ってなかったとしたら・・・「あっ、ここにちょっとリードを入れたらよくなるだろうな」ってわけには行かないんだ。ある程度まではできるかもしれないけど、それも運がよかったらのことだよ。適当な基準を満たしていなければ、音を聴くことはできないんだ・・・。
Sergeはとても複雑な第3世代のアナログシンセで、覚えなきゃいけないことがすごい多いんだよ。70分間続く低周波のオシレータ、コントロール・シェイプが使える・・・つまりパターンを使えるってことだよ。オートマティック・ピースってのは、何年もリピートするわけじゃないってのは分かるよね?異なるモデュールは異なるモデュールに影響し、さらに異なるモデュールは最初のものに影響するんだ。
それは、Cardewピースのオートマティックバージョンみたいなものじゃないんですか?ヴォーカル・システムピースの・・・。ご存知ですか?
いや。
わたしが読んだわけじゃないんですけど。イーノから聞いただけなんですねどね。誰かが歌い始めると、他のひとがどう歌っているかなどに基づいてsinging notesについてのルールができる・・・。
(出典は、The Great Leaning from 1967であったと判明。)
ああ、それやってるとこ観たことあるよ。ホントいいフィルムだよね。Acts coucil of Great BritainがAMMのビデオを作ったと思うんだけど。Eddie Prevostっていうひとと、前に話したことあるんだけど、そのひとももちろんCardewのために仕事をしたんだ・・・。CardewはAMMを彼のアンサンブルとして選んだんだ。僕が一番よく知ってるのは、Treatise(訳注:論文) by Corneruus Cardewだね。僕はActs Councilからそれを手に入れようとしたんだけど、返事すら返ってこなかったよ・・・。(学術団体にだけ貸し出しているらしい。)あそこには古いCardewのフィルムが揃ってるんだ。オックスフォードかケンブリッジで、学生かなんかと一緒に演奏して、作られたんだと思うんだけど。教会か礼拝堂にあるんだ。そしてAMMがそれを演奏してるんだ。
実際、僕がAMMについて知ったのは、そのフィルムでなんだ。で、それをKevin Martin-彼は僕にスペクトラムとは別に、EARをやったらって勧めてくれたひとなんだけど-に言ったんだ、彼は僕がそういう感じの作品をやってるのを知ってたから。EARの始まりはPhese Me Out (Gently) from Soul Kiss (Glide Divine)って曲で、僕とKevin Martinでやってて、僕はすごくそれをアルバム・・・スペクトラムのアルバムで使いたかったんだ。彼はホントはそうして欲しくなかったと思うんだけど・・・でも彼はいい奴だから、僕にそうさせてくれたんだ。そう、で、彼は僕にEARをやったらって勧めたんだよ。で、僕が彼にCornerious CardewとAMMについてのフィルムを観たって言ったら、彼は「Eddie Prevostと一緒にやってみたい?」って言ったんだ。もちろん僕は「マジで?すごいやりたいよ。」って言ったよ。で、彼は「分った、訊いてみるよ。知り合いだから。何て答えるかは想像つくよ。」って。で、実現したんだ。彼とプレイしたのは、そう多くなかったけど、すごいショウだったよ・・・。僕は、彼に相応のギャラを払えないのに、共演したくはなかったんだ。だって彼には長いキャリアがあるんだからね。僕はただ、彼はそれだけのギャラをもらうに値すると思ったんだ。もし僕が150ポンドしか持ってなかったら、僕は彼を呼ぶなんていう失礼なことはしない。もし誰かがライブのギャラとして150ポンド払おうとしたら、僕は「OK、でも君にとって僕はこのくらいのものなんだね」って言っただろうからね。僕らは年に数回プレイして、ヨーロッパのフェスティバルに呼ばれたりしたよ。彼と話したり、プレイしたりを通して、彼は実に素晴らしい先生だと思ったよ、ホントに。彼はめちゃくちゃ面白くて、オープンマインドなひとなんだ、彼の年齢にしては珍しいくらい。こういうこと言うのはフェアじゃないかも知れないけど、彼はこういう音楽を60年代からやり続けてるひとなんだよ。そう、僕は彼をとっても尊敬してるんだ。それから、Delia Derbyshireも同じくらい尊敬してる・・・彼女はここ20年、いや、30年近く音楽をやってないけど、60年代には、この国でのエレクトロニックサウンドのパイオニアだったんだ。

彼女とは一緒に活動しなかったんですか?

うん。でも僕らはすごく親しいし、彼女は僕の作品のいくつかを手伝ってくれたよ。最近のEARの作品では、彼女にアドバイスをもらったよ。そして、僕は彼女に技術のこととか、サンプリングとか、モダン・シンセサイザーとか、そういう最近のものについて手助けしたりしてるんだ。彼女はFM音源に興味をもってるよ。

彼女はさぞ楽しんでるんでしょうね?

すごくね。僕はこのヤマハのやつを見つけたんだ・・・おもちゃみたいな・・・PSSかなんか、そんなようなものだよ。これにはすごく簡単に使える、two-operatorのFM音源がついてるんだ。彼女はこれにすごく夢中になったよ。そして彼女は2週にいっぺんここに来て、時には僕の機材を一緒に使ったりするんだ・・・。彼女はVCS3が驚くべき機材であるってことを再発見してたよ。彼女はそれがホントに素晴らしいってことに気付いたんだ。
Daphne Oramは映画のサントラの仕事をして来ました・・・。
そうだね、Oramicだよね。
あなたは何かそれに関わったことがありますか?
ないない。あれはユニークなシステムだよね。
そう、あれはギャング・シンクロナイザーですよね。でも、わたしは16ミリプロジェクターを持ってるんです。封切られてない映画の端っこに落書きしたり、そんな風に合成することができるんですよ。
えっ、なに、視覚的なサントラを付け加えることができるの?Daphne Oramは不幸にも、晩年、何度も発作に襲われたんだ。僕たちは彼女の音楽をリリースしたいんだよね。Deliaは彼女と長いこと関わって来たんだ。そして彼女たちは作品をリリースしたいと熱望してる。彼女は1950年代に、確かPatterns of Rhythm and Danceとかっていうような名前のEPを一枚出してるんだ。彼女は天才、本物の天才だよ。残念なことに、シンセシスやサウンドマニピュレーションにおいての、革新的なたくさんの業績はこの国でなされたのに、功績者の多くは、アメリカに行ってしまったんだ。Peter Zonovieff, David Cockerellなんかの、ホントのパイオニアたちがね・・・。
残念なことだよね。そしてそれが、僕がPeter Zonovieffの作品をリリースしようとするきっかけになったんだ。彼は、uni-sector 62/63 で作業を始めて以来の、たくさんの電圧がコントロールされた機材や、いろいろなシーケンサーが揃ったコンピュータ・スタジオを持ってるんだ。1965年に、彼はミニ・コンピュータを買って、素晴らしい音楽を作り始めたんだ。彼は、あらゆる素晴らしいことをやってのけたんだよ。多くのひとが、コンピュータを使って音楽を作っているひとのことを、ダンスビートはみんな同じに聴こえるとかって批判するけど、人々はエレクトロニック・ミュージック、コンピュータ・ミュージックについてそういう考えを抱きがちだよね。
彼の作品は、とても美しくて、有機的な響きを持った音楽なんだ。かなり原始的な機材を使っていて、コンピュータとユーザの橋渡しには、すごく洗練されたソフトウエアとインターフェースが使われているんだ。彼らの作品の多くでは、音の分析だとか、今日僕らがサンプリングと呼んでるもの・・・音をデジタルにエンコードすることなんかが行われてる。でも、主には分析とre-synthsisだね:僕は、そういうことをするためのコンピュータ・プログラムが使えるようになったのは、ここ10年くらいのことで、しかも広く使われるようになったのは、ほんのここ2〜3年くらいのことだ、ってことを言いたいんだ。

1973,4年に、彼らはまた別の、堂々たるビデオ・シンセサイザーを作ったんだ。そして彼らは、ソニーのカメラをコンピュータにつないで、ピクセルの情報を、音の情報に、さらにはプログラミング情報に変換したんだ・・・。彼は、これは今までにコンピュータが造り出したなかで、最も美しい音だ、と言ったんだ・・・カメラを何かに向けるだけで、素晴らしい音が流れ出すんだよ・・・。残念なことに、レコードとか、それを録音したものは何もないんだけど・・・。彼の会社が倒産した時、彼はこの素晴らしい、最新技術の結集たるスタジオを持っていて、カスタムメイドの機材を使ってた。それは世界でも例のないものだったよ。彼は会社が倒産する前に、機材を処分しようとしたんだ。もし保管して、使い続けてもらえるのなら、国に寄贈しようとしてたんだけど、引き受けてくれるひとはいなかったんだ。だから、結局それはどこかに保管されてたんだけど、洪水に遭って、機材はみんなぶっ壊れちゃったんだ。

僕は彼のテープを集めてるんだ。でも、くやしいことに、重要なものなのに、テープが存在しない作品もあるんだよ。幸運にも、素材になりうるような驚くべき作品は、十分にたくさんあるけどね。でも、彼は歴史に残そうとして作品を作ったんじゃないんだ。彼は、夢中になっていることをやっただけさ。彼は何も残しておこうとはしなかったんだ。幸運にも、彼には腕のいい写真家の友達がいたみたいで、プロトタイプを含む、彼らが作った機材全ての写真がたくさんあるんだ。できれば、来年の早いうちにでも公開したいんだけど。僕はそのために、もう2〜3年もいろいろやってるんだ。

(また違う飛行機が飛んでいって・・・)あなたの美学の話しに戻りましょう。眠くなるような音楽を作っている、なんて発言することを厭わないミュージシャンはあまりいませんけど・・・。
(笑)あー。うん、たいていのひとにとっては、droneなんてのは退屈なんだろうけどね。多くのひとにとっては、droneっていうのはつまらなくて、不快にさせるようなものなんだよね。僕はそういう音楽に対して多くのひとがどう反応するかってことを言い表わしてると思う。Phese Me Out(Gentry)は、僕にとっては、僕が作ったなかで、最も美しくてリラックスできる音楽なんだ。でも僕は、他のひとたちがあれを聴いて、悪魔的だって感じることは分かってるんだ。僕は、それは多くのひとの内にあるもの、そして彼らが作品にどう反応するかってことを語っていると思うんだよね。
Data Rapeの作品の音については、どうお感じですか?かなりハードで、とげとげしいですけど。
粗いってことでしょ?うーん、そういう作品を作ったのは初めてじゃないんだけどね。僕はForever Alienはかなり粗いと思うけどね・・・激しくて、面白いって意味なんだけど。Data Rapeについてはそうは思わないけどな。僕は、あの音は結構粗いとは思うけど、催眠的だと思ってるけどね。
よくは分からないんですけど、あの肉体から離れたような声は、建物のなかで、オペレータが休む間もなく次から次へとコールに応え続けているような、電話のコールセンターの、奇妙な保留の音楽みたいだと思いました。
(笑)僕の作品の多くは、コントラストについてのもので、全ては関連してるんだよ。もし君が、誰かに粗いものを差し出したとしたら、それから、それをメロウにしたとしたら、メロウなものは当然よりメロウになる・・・。だけど、僕はある音楽が眠りを誘うようなものだったとしても、それは価値ある・・・力強いものだと思うんだ。
僕は、それが悪いとは思わないんだ・・・同じことが、droneにも言えるよ。droneはひねてて、敬遠すべきものだって言われてたりもするけど。droneに敬意を払って、正しく使えば、それらは最もスピリチュアルで意識を高めるものとして役立つと思うんだ。
droneってものが、長らく隅っこに追いやられていて、メインストリームとは隔てられているということは、気にならないですか?なんだか破門されたような扱いを受けてますけど。
僕は、droneがなにか違う文化に属してるとは思ってないよ。中世にだって、Hurdy Gurdies(訳注:「ハーディーガーディー」リュートやギターのような形をした楽器。10〜14世紀に好まれたが、その後物乞いの楽器として卑しめられた。)みたいな楽器があったんだから。西ケルトの音楽だって、droneな感じだったりするしね。僕は、多くのひとたちはすごく浅いレベルに生きてると思うんだ。
人々は、(音楽より)重要だと思っていることに時間を費やした後、残った時間に音楽を壁紙みたいに使っているみたいですね。
壁紙ですらないよ。壁紙はなにかであるべきだよ、そう、ブライアン・イーノみたいに。

なにか壁に掛けたいと思うようなもの?

その通り。そう、僕はRadio 1(訳注:BBCのチャンネル。ポップス、ロックなどがかかる。)は聴かないんだ・・・。時々、今の状況を知るためにチェックするだけだよ。なにかかっこいいものに出会う機会は(ラジオを聴かなくたって)充分あるから・・・。そういう情報をくれそうな友達がいるからね。実際、僕がくそポップって呼ぶような音楽をやってるひとの中で、なんとなく面白そうなことをやってるのは、Fatboy Slimだけだね。彼はPierre Henryの62年〜63年(結局1967年からサイケロックになった、だけど彼がなぜそれが早いと考えたかは明らかだ)の曲のリミックスをやったんだけど、それはThe Troggs with Delia Derbyhireがてっぺんにいるみたいな音だったよ。僕はあれを聴いてホントにびっくりしたんだ・・・TVの子供向けの番組で聴いたんだけどね。あと彼は、ゴスペルまがいの曲もやってるよね。
Praise Youでしょ?
それそれ。僕は、一番素晴らしいとこは、最初のヴァースの終わりのとこ、最後のヴォーカルラインだと思うんだ・・・凍てついたようなループ・・・ 何年も続くんじゃないかっていうような・・・なにか違うフレーズが、サブリミナルみたいにそうっと入ってくると、すごくゆっくりと消えていくんだ。だから、曲の残りの間、ずっと続いてるんじゃないかと思うくらいだよ。フェアじゃないけど、ポップレコードに、あんな代物を入れるなんて、すごいことだよね。
(ソニックは静かに頭上を飛んでいるグライダーに興味をひかれていた。)
circuit-bendingのライブ音源が出るんでしたよね?
うん、ライブLPが出るんだ。アメリカでやった、Data Rapeのツアーのやつね。Live at the Dream Palaceっていうんだ。ニューオリンズにある、circuit-bendingのライブをやったとこなんだけど。レコードにはたくさんの曲が収録されてるけど、オリジナルのData Rapeのレコードでは、多分1/3はマルチトラックでスタジオでやって、2/3はライブでやったんだ。
circuit-bendingによって何がもたらされるかなんて知らないだろうね?いつもランダムな選択肢があるんだけど、僕はタイムリミットを設けるんだ。回っている皿みたいなものだよ;もし皿が最初まわらなくても、何度も何度もやり直せるだろ?でも、最初の皿に戻らなければ、もう一度初めからやり直さなきゃいけない。物事は、適当な時にあきらめなきゃいけないんだ;自分が手に入れたものでやっていくだけだよ。そういう風に仕事をするのはいいことだよ。でもEARでやろうとしてるのは実験的なもので、だからもし僕が毎晩何をしようとしてたのかちゃんと分かってたら、そんなポイントには至らないだろう。完璧に、予想がつくはずだよ。他のミュージシャンと共演する時も同じさ・・・。僕はリハーサルなんてしたことないし、これからもしないと思う。僕はそういうものを必要としない、よきインプロヴァイザーたちと、始める時にはホントに最小限の方向性だけが分かっている状態でプレイしてるんだ。もちろんいつも違った結果になるよ。だから、時には自然のままであることがよりよかったりする。音がひどかったりすると、混乱しちゃうかも知れないけど、それがあるがままの姿なのさ。時に痛みも感じなければ、エクスタシーなんか得られないんだよ。またもや関係性の話しだけど。均衡なものの半分だけを手に入れることなんてできないんだよ;そんなのうまく行きっこないよ。それって大事なことだと思うんだ。僕は、実験的なものをやり続けて行きたいんだ、実験的であることを追及するためだけに実験的であろうとする気はないけどね。前にも言ったけど、中身が最終的な結果なんだよ。

あとがき:インタビューテープの最初のサイドで、ディクタフォン(訳注:口述録音機)は原因不明の不穏な、かつてないようなdroneを拾い続けていた。録音の邪魔になるというよりは、話しの内容にそぐっているような感じだった。ソニックは次の日に電話をかけてきて、予期せぬおまけに感心していた(戸惑ってもいたけれど)。

Markie Cola

(Speak & Spellの)はんだづけをしなければいけないというのに、長い時間を割いてくれたソニックに深く感謝します。


*このインタビューは、Markie Cola氏が1999年に行ったものです。

Markie氏のご好意により、翻訳&掲載をすることができました。Thanks!

例によって、意味不明なところもあるかと思いますが・・・。原文はこちらです。

前半部は、sevenさんが訳して下さいました。

sevenさんのページには、Sonic Boomその他のアーティストの詳細なディスコグラフィーなんかがあります。

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