Scene4:たとえば“萌え”をつくれるか
 
 
 
キャラクタービジネスを展開するために、キャラクターを広く認知させる目的で作品をつくる、という発想を考えたことはありますか?

今では、そうした考え方もあります。もちろんキャラクターは売りたい。しかし、いかんせん、そのう、なかなか難しいんですよ。たとえば今“萌え”の路線が流行っているからといって、そういう作品がガイナックスでつくれるのか。何回挑戦してもそれは無理だろうと。妹が何人も出てきて「お兄ちゃーん」とかいっている作品を、ウチがつくれるかというとそれは無理だと思います。

「萌え」をつくりたいという希望はあっても難しい。それはガイナックスのプライドとかそういう理由ではないですよ。会社の性質として無理なんです。たとえば宮崎駿さんが巨大ロボットの合体ものつくってくれといわれても、できないと思うんですよ。もちろん宮崎さんは宮崎さんふうに、ジブリの技術ですごいクオリティのロボットものをつくるかもしれないけど(笑)、それがロボット物として面白いかどうかはわからない。それと同じように僕らが会社の意思として「これからは萌えでいくで」といっても、「萌え」、いわゆる美少女ものはつくれない。今うちでできるぎりぎり限界は「まほろまてぃっく」ですね。
 
 
 
 

山賀なんかは「王立宇宙軍」に出てきたリイクニが美少女だと思っていたくらいで、感覚はずいぶんあやしい。「おまえそれはないだろう」(笑)。確かに乳は揺らしてましたけどね。「トップをねらえ!」でも、最初はずいぶんと乳を揺らしている女の子が出てきましたけど、結局山賀がつくった作品の世界に監督の庵野がのめりこんで、とてもハードなSF作品になった。あの作品の場合、そのバランスで絶妙に面白くなった。作品をつくるということはそういうことだと思うんですよ。会社としてこの路線で行く、と考えても結局つくりたいものしかつくれない。だからもし、うちが「萌え」をやれるとしたら、会社の中に「萌え」に対する強力な意欲と、才能を持った人間が出てきた場合だけでしょう。それならやれる。

ビジネスの理屈だけで創作物を世に送って、しかもそれを愛される作品にするのは、そうできることではないはずですね。

「まほろまてぃっく」は原作モノでしたし、ガイナックスがオリジナル作品にこだわっているわけではないです。その作品、プロジェクトに対してどういう考え方が必要なのか。そういうところから企画はスタートします。入口はいろいろありますよ。たとえば「こんな企画をやりたいんだけど」と持ちかけられる企画もあれば、「ま、いっしょに仕事やりましょう」「じゃあやりましょう。どんなのやりますかね?」というように始まる企画もある。原作ものを提案されて乗ることもあるし、そもそも、これからのアニメビジネスのありかたまで考えて立ち上げている企画もあります。

作品を実現するためにはいろんな方法があります。すべてを否定できるわけもないし、すべてを肯定できるわけでもない。そういうふうに考えています。

しかしそもそも武田さん。キャラクターとはいったいなにものなんでしょうか。

キャラクター、ですか。ひとくちにキャラクターといってもいろいろありますよね。ゴジラのような怪獣から、それこそ美少女。ガンダムのような無機質なロボットもあれば、同じロボットでもアトムのようにロボットか人間かどっちつかずのものもあります。

現代のエンターテインメントでは、このキャラクターが作品世界から独立した生命すら持つようになっていますね。
 
 

リイクニ
 
『王立宇宙軍 オネアミスの翼』のヒロイン、リイクニ。主人公、シロツグ・ラーダットは彼女と出会った結果、宇宙を目指すことになる。
 
 
 
 
 
 
 
取材・文:堀田純司 撮影:金澤智康 
 
次回は7月9日更新 
 
取材協力 株式会社ガイナックス 
Special Thanks 神村靖宏さん、ガイナックスの皆様。 
 
ガイナックス 公式サイト
 
 
庵野秀明公式WebSite
GAINAX取締役統括本部長室〜統括本部長・武田の のーてんき子煩悩記〜
 
 
 
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