権現山1593m〜二ツ岳1647m(愛媛県)

【山行日】 2000/11/19
【歩行時間】 約12時間
【文・写真】 松山のとおさん


赤石山系の東の半分は峨蔵山塊と呼ばれている。二ツ岳
から権現山にかけては、険しい尾根歩きやブッシュが深く
難路とされており、あまりガイドブック等には紹介されてい
ない。このコースに19日(日)に登ったのだが・・・。

ホームページで調べて、床鍋登山口から権現山までが3
時間、権現山からニツ岳までが4〜5時間、ニツ岳から肉
淵までが3時間かかるので、合計11時間以上歩く予定で
行動した。


床鍋登山口

床鍋登山口に6時過ぎに着いた。真っ暗の中で準備開始、
まだ星がでており天気はいい様だ。登山届を書いて、6時
20分に登山開始した。

しばらくすると夜が明けて明るくなってきた。植林地をゆっく
り登って行く。今日は長帳場なので最初はペースを落とした。
40分程で植林が終わり広葉樹の間から権現山が見えてきて、
もうすこし行くと沢を横切る。ここから沢沿いに登ると権現越へ
行くのだが、間違えて送電線点検路の方へ行ってしまった。
鉄塔が見えてきて気づいたのだが、地図をみると、どちらでも
権現山には行けるのでそのまま登った。道はかなり整備され
ており歩き易い。鉄塔を4本過ぎると権現越からの道と合流
する。すでに9時を過ぎており先が思いやられる。天気は快晴
で西側には権現越から東赤石までくっきり見える。

ここから権現山までは緩やかな登りだが、ササとツツジ等の
ブッシュの中を進んでいく。高さは腰ぐらいだが木の枝が当り、
歩きづらい。さらに霜が降りて、ズボンが濡れてしまった。



9時15分、権現山山頂に到着。ササ原の中の頂上で休憩した。

少し行くと黒岳、エビラ山が目の前に険しい山肌を現わしてくる。
黒岳は三角の尖がった形をしており、またエビラ山はごつごつ
の岩肌を見せており、これから先が少し不安になる。


黒岳〜エビラ山

ブナやシャクナゲの中を下っていくと、だんだんブッシュが深く
なり、背ぐらいなった。ほんとうに藪漕ぎだ。掻き分けるより下
を潜る方が歩き易い所もある。道を間違えないようにテープを
見ながら進む。尾根沿いの道なので、尾根から離れ過ぎると
間違いで、踏み後を良く見て慎重に行った方がいい。


日本岩

ピークを2つほど越えると日本岩と言う岩峰が見えてきて、
これを巻くと黒岳の直下に着く。西斜面は大きく崩壊していて、
左側に寄って登って行くと、最後は木に捕まりながらの登りになる。


黒岳

11時05分に黒岳の頂上に到着。頂上の展望はすばらしく、
振り返ると権現山、東赤石から石鎚山脈も見える。

少し休みエビラ山に向かって進む。相変わらずブッシュの
中を行く。一端下り、ピークを越えるとエビラ山の頂上だ。


エビラ山。12時10分に到着。

狭いが潅木の間から展望は非常に良い。来た道を振り返ると、
権現山と黒岳の間から雲が沸き出している。何と神秘的な光
景だ。あっという間に真っ白になり、東赤石とエビラ山の頂上
だけが島のように雲海に浮かんでいるようだ。ここで昼飯にし
て30分程休んだ。


東赤石山方面(エビラ山から)

最後の頂上、ニツ岳に向かって出発する。まだ足は大丈夫み
たいだ。少し下ると木々の間からニツ岳が見えてくる。二個の
頂があり、その間が鋭い尾根になっている。その手前にもう
一つピークがあるようだ。


二ツ岳

ササの中を下って行くと最下部のコルの辺りで、突然ササの
中から男性が現れた。久しぶりの人間でビックリした。ニツ岳
から東赤石まで縦走するそうだ。大きいザックを背負っており、
冬山の訓練だそうだ。ちなみに重さは18kgもある。今日始め
ての人で、名残惜しいが先を急いだ。ここから登りになりササ
はあまり深くはなくなった。ニツ岳の西側の頂上の下に着く。
結構きつそうな登りだ。このピークはイワカガミ岳ともよばれて
イワカガミが多く、足元にも茶色の丸い葉があり、ふんずけそ
うだ。やっと頂上に登り、もう一つの本当のピークを見ると、ま
だ先は遠くに見える。気を取り直し尾根筋を南に、北に巻いて
いく。所々に急な岩場もある。この頃になると足にだいぶんき
ており、もういやになってきた。14時53分やっと頂上に着い
た。頂上には誰も居なくてひっそりしていた。来たルートを振り
返り、30分ほど疲れてボーとしていた。


二ツ岳山頂

これからは下りだけだが、先はまだまだ遠い。急な下りを降り
しばらく行くと鯛の頭という岩場に出る。そして2つの岩場を
過ぎると峨蔵越に着く。ここまで1時間ほどだ。しかし疲れて
いるので注意して降りて行こう。私は一度こけてしまった。
明るい内に肉淵登山口まで行きたいので先を急ぐ。良く整備
された道なので急ぎたいが、なかなか足が出ない。足の裏も
少し痛い。結局登山口には17時00分に着いた。何とか明る
い内に間に合った。

しかしニツ岳の頂上から誰も人に会っていなので、肉淵から
床鍋までのヒッチハイクができない。予定が狂ってしまった。
気を取り直し、舗装された林道を下っていくと次第に真っ暗に
なった。1時間ほどで林道が終わり、県道にでる手前でライト
が近づいてきた。なんと山中であった冬山訓練の人ではない
か。本当に助かりました。彼は高知の人で、東赤石までは行
かず、権現山から下りてきたそうで、本当にありがとうござい
ました。こうして床鍋の車に着いたのは18時を過ぎていた。
12時間近く歩いた、ハードな1日だった。