仮  制  式  要  綱

61式90mm戦車砲

XB 3002

 昭 和 36 年 4 月 26 日

 防   衛   庁

XB 3002

 

1.用  途  61式90mm戦車砲(以下戦車砲という)は 61式戦車(仮制番号XD9001)にとう載する。

2.主要構造および機能  戦車砲の構造 および 機能は 付図 および つぎに示すとおりである.

 2.1 概  要  戦軍砲は 砲身部・揺架部・駐退復座機・防盾・発射装置・電気装置・補助高低装置・高低目盛板等からなり,防盾に有する砲耳により戦車砲塔に取り付けられており砲塔内の油圧式高低照準機により高低照準が行われ,方向照準機により砲塔を旋回して方向照準が行われる.各照準機には 照準操作用のレバー および ハンドルをそれぞれ有し,レバーは 動力操作用,ハンドル 入力操作用である。また 戦車砲左側に併列して口径30機関銃M1919A4 1銃が取り付けられる。

 2.2 砲身部  砲身・閉鎖機・砲口制退機 および 排煙機からなり 揺架により保持されている。

  2.2.1 砲  身  口径90mmの単肉砲身で,砲コウ(腔)にはクロムメツキを施し,等斉右旋回25口径に1回転のテン度を有するコウセン(腔績)32条を有する。砲身前部には排煙機 および 砲口制退機を有し 後端は ネジで砲尾環と結合する。

  2.2.2 閉鎖機  砲尾環・鏡セン(栓)・閉鎖機開閉装置 および 閉鎖機自動開閉装置よりなり 水平右開き半自動式閉鎖機であり 撃発体を内蔵している。また 砲尾環上面に象限儀座を有する。

  2.2.3 砲口制退機  プラストデフレクタ型砲口制退機で 砲身先端にネジで結合されており,発射時の煙を左右に放出し 射弾観測を容易にするとともに制退効果を有する。

  2.2.4 排煙機  砲身前部外面に装着されており 発射時砲コウ(腔)内部に残留する煙を排出する効果を有する。

 2.3揺架部  揺架・防色板・口径30機関銃タク(托)架 および 直接照準眼鏡タク(托)架よりなり 砲身・駐退復座機等を保持している。

  2.3.1 揺  架  揺架本体・前部結合金・後部結合金・結合金・前部ライナ および 後部ライナよりなり 中央砲身シユウ動部には 青銅製ライナを有する。砲身シユウ動部の左右に併列して,駐退復座機の取付孔を有し,外側には 照準眼鏡タク(托)架・機関銃タク(托)架・61式高低照準具JM9(仮制番号XQ6004)等の取付座 および 高低目盛指標を有する。

  2.3.2 防 色 板  揺架後部に取り付けられ 砲尾環左右に各1を有し 砲身部後座時の危害を防止するとともに 平衡錘として鉛を鋳込まれており 戦軍砲の砲耳に対する平衡作用を行う。右側防色板上に後座尺を 左側防色板に装テン(壊)手スイツチを有している。

  2.3.3 口径30機関銃タク(托)架  揺架左側に取り付けられており タク(托)架前部取付ピン・後部取付ピン・方向調整装置・高低調整装置等よりなり 口径30機関銃M1919A4を装着し 砲軸線に対する取付角度調整の範囲は 上下左右各20ミルを有し,また 縮射射撃のため砲口前25mで砲軸線に交会するよう銃軸を調整することができる。

  2.3.4 直接照準眼鏡タク(托)架  揺架右側に取り付けられており 前部タク(托)架後部タク(托)架よりなり 61式直接照準眼鏡(仮制式番号XQ6001)を支持するとともに 眼鏡視線調整装置により上下左右各20ミル以内の調整ができる。

 2.4 駐退複座機  駐退管・同内管・駐退ピストン・複座バネ(大,小各1)復座節制カン(桿1)・前部フタ(蓋)・後部フタ(蓋)等からなる液バネ式駐退復座機であり 砲身の左右に2箇併列して揺架に取り付けられており 駐退ピストン棒は 砲尾環に取り付けられている。

 発射時 砲身の後退とともにピストンは後退し 内管内壁に設けられた漏孔を駐退油が通過することにより駐退作用が行なわれ,大小の復座バネにより復座を行い,ピストン頭部の穴および 節制カン(桿)により復座終期の節制が行なわれる。

 2.5 防  盾  前面は避弾形状をし 後端部は揺架にボルト締めされ一体となり中央部に砲身をいだいている。

  後面左右両側に耳軸受を有し 針状コロ軸受により戦車砲塔の耳軸に支持され 戦車砲のフ(俯)仰軸を形成する。

  右方耳軸受部には 61式照準潜望鏡(仮制式番号XQ6002)と砲の連動のための連結カン(桿)取付座を有する。

  防盾部には 右方に直接照準眼鏡開孔 および 照準孔ヒ(扉)を有し 照準孔ヒ(扉)は砲手位置より操作して開閉することができる。また 左方に口径30機関銃射撃のための開孔を有する。

 2.6 発射装置  発火装置・撃発装置 および 電気撃発装置よりなり,電気撃発 および 足踏ペダルによる発射ができ安全機構を備えている.

  2.6.1 発火装置  撃針・撃発バネ・撃針モドシバネ・バネ止メ・撃針受・撃針筒・バネ受け・逆コウ(鈎)・固定金・撃発下動カン(桿)・撃発作動カン(桿)カム・撃発セン(栓).撃発安全レバーからなり,鎖セン(栓)に内蔵されている。鎖セン(栓)の開放により撃針は引上げられ発火準備位置につき,閉鎖を行い安全レバーを発火位置におくと撃発装置のプランジャの作動による撃針は突出する。

   安全レバーを安全位置におく時 撃針は 発火準備位置に固定されており プランジャを作動しても撃針の突出は行なわれない。撃針を発火準備位置におくことは 安全レバーを安全位置におくことによっても行なわれる。

  2.6.2 撃発装置  揺架下部に取り付けられた支持架・プランジャL形レバー・連結ホーク・足踏撃発用安全装置・撃発ケーブル および 砲塔に取り付けられる足踏撃発ペダルからなり電磁ソレノイド または 足踏ペダルの作動をプランジャに伝え発射を行う。

  2.6.3 電気撃発装置  装テン(壊)スイツ干・安全標示燈・ソレノイド・時限継電器・装テン(填)安全スイツチ および 人力高低照準ハンドル,動力方向照準ハンドルに取り付けられた引金スイツチ ならびに 砲塔に取り付けられた選択スイツチ・装テン(填)安全継電器・発砲継電器とこれらを結ぶ配線からなる。

  選択スイツチを「砲」におき 装テン(填)スイツチを「接」にした時 引鉄スイツチを作動すれば ソレノイドは 撃発装置のプランジヤを作動させ発射を行う。

   装テン(填)スイツチの操作により作用する装テン(填)安全継電器は 砲身の交代による装テン(填)安全スイツチの作用により「断」となる。

 2.7 電気装置  電気撃初装置(2.6.3)のほか 照準具の夜間照明のための回路を有する。

 2.8 補助高低装置  ラ(螺)筒・ラカン(螺桿)・取付軸・ラチエツト装置等よりなり砲塔上部に装着されており 揺架上部に結合し戦車砲を保持し,高低照準機を保護するとともに油圧機構の故障の場合には ラチエツトの作動により二重ラカン(螺桿)が伸縮し 戦車砲は 約零度より約+13度の間フ(俯)仰することができる。

 2.9 高低目盛板  砲塔天井に取り付けられる目盛板 および 揺架に取り付けられた指標からなり 砲塔に対する戦車砲のフ(俯)仰角度を看読することができる。

3.材  料  主要部分の材料は 表1に示すとおりである。

4.性  能  つぎのとおりである。

 使 用 弾 薬   米軍制式 90mm戦車砲 M3系列 および M36系列に使用する弾薬

 初       速   約820m/s (米軍制式 HE M71の場合)

             約910m/s (米軍制式 AP−T M318の場合)

 最大コウ(腔)圧    約2670kg (米軍制式 HE M71の場合)

             約3100kg (米軍制式 AP−T M318の場合)

 規定最大コウ(腔)圧  約3300kg

 射        程  約11060m(米軍制式 HE M71 使用 仰角13゜)

 照  準  方  法  直接 および 間接

 照   準   機   動力(方向,高低共油圧)

             人力(方向歯車式,高低油圧式)

 照   準   具   61式直接照準眼鏡(仮制式番号 XQ6001)

             61式照準潜望鏡(仮制式番号 XQ6002)

             61式象限儀JM1(仮制式番号 XQ6003)

             または米軍制式 象限儀 M1

             61式高低照準具JM9(仮制式番号 XQ6004)

             または米軍制式 高低照準具 M9

             61式方向角指示器(仮制式番号 XQ6005)

 測   遠   機   61式車上1m側遠機(仮制式番号 XQ4001)

 撃  発  要  領  電気式 および 足踏式

5.主要諸元  つぎのとおりである。

 口        径  90mm

 全  備  重  量  約2500kg

 砲  身  全  長  約4730mm(制退機を除く)

 砲  身  重  量  約1150kg

 防  盾  重  量  約750kg

 コウセン(腔綫)    等斉右旋回 25口径に付1回転 32条

 コウ(腔)内全長    約4509mm

 弾 丸 経 過 長   約3975mm

 コウ(腔)内全容量   約31

 薬 室 体 重 量   約59

 後 座 体 重 量   約1180kg

 後   座   長   最大 約356mm

             通常 約314mm

 駐 退 油 容 量   約94

6.関連器材  XD9001 61式戦車

7.付属品,予備品および特殊工具

 7.1 付属品(車載工具を含む)  表2に示すとおりである。

 7.2 予備品  表3に示すとおりである。

 7.3 特殊工具(武器部隊用)  表4に示すとおりである。

8.その他

 8.1 使用駐退油  駐退機に使用する駐退油は 重質駐退油である。

 8.2 銘  板  揺架上部にNDS Z 8011(銘板)による1種銘板をつけてある。

 8.3 塗  装

  8.3.1 塗  色  シユウ動画・砲内部・象限儀座・眼鏡タク(托)座,および 表示部分を除き 砲塔外部はOD色(半つや),車室内部は白色(半つや),砲尾環後面は赤色(半つや)である.

  8.3.2 塗  料 フタル酸樹脂系 または メラミン樹脂系のものである。

 8.4 染 色  砲オオイ等の色はOD色とし,防火,防水,防バイ(徴)加工を施してある。