| みどころ | 1話 | 2話 | 3話 | 4話 | 5話 | 6話 | 7話 | 8話 | 最終話 |
 世界デビューの切符をかけた決勝戦、ひろみ対麗香の試合。テレビの生中継が、その注目度の高さを物語っていた。ふたりと関わりの深かった仲間たちが一心に見守る中、ひろみのサーブで試合が始まった。
 相変わらずの強さを見せつける麗香に対し、全力でぶつかっていくひろみだったが、序盤では次から次へと麗香にエースを取られ、第一セットを落としてしまう。だが、ひろみのショットは次第にキレをみせはじめ、第二セットは激しい打ち合いの末、ひろみがセットポイントを奪取。そのままポイントを奪い、1対1のワンセットオールへと持ち込む。そんなひろみの戦いぶりを病院のベッドで見ていた宗方コーチは、静かな思いに浸っていた。「良くついてきてくれた……よくここまで育ってくれた」
 そして、ひろみと麗香の一騎打ちはついに最終セットに突入した。激しいラリーで一進一退を繰り広げるふたり。藤堂ら男子部員もあまりの迫力に声を失っている。そんな中、ひろみは、麗香が勝負にこだわりつつも多彩なショットを披露することで、ひろみに数々のテクニックを教えようとしていることに気づく。「応えたい……お蝶夫人の気持ちに応えたい!」
 長引くラリーにさすがの麗香も、ひろみも息が上がる。スコアもデュースを繰り返し、互いに一歩も譲ろうとしない。だが、最後の最後、第三セットの第10ゲームで、ひろみがリターンエースを取り、遂に勝利を手に入れる。試合後、手を差し出す麗香に、涙を流しながら応えるひろみ。そして、そのままコーチの病室へと走る。
  勝利を報告するひろみを笑顔で祝福するコーチ。「コーチのおかげです。ありがとうございました」と頭を下げるひろみに、コーチは、オーストラリアから新しいコーチが来ることを告げる。「コーチはもう私に教えてくれないのですか?」突然の話に驚くひろみに、コーチは「俺はこの先もずっとお前のコーチだ」と答える。その頃、麗香は尾崎と海辺に来ていた。ひろみに対する複雑な心情を話す麗香を優しく見守る尾崎……。
 翌日、ひろみと藤堂の出発までのスケジュールが発表された。早速、練習に打ち込むふたり。そして、ひろみの練習を見るひとりの人物の姿があった。オーストラリアから来たミスター・レイノルズだ。ひろみを1日中見ていたレイノルズは、ひろみのコーチを引き受けることを快諾する。そして、麗香がひろみの、尾崎が藤堂の練習相手をかって出るのだった。
 一方、千葉は一枚の写真を持ってコーチの病室を訪れていた。千葉がひろみを撮った写真が、ある写真展の最優秀新人賞を取ったのだ。タイトルは“この一球”。「いい写真だ」と微笑むコーチ。千葉は、実は自分が写真を初めたきっかけは、小さい頃にたまたま見たコーチの試合であることを告げる。「これからもあいつらを撮り続けてやってくれ」と言うコーチに、力強く答える千葉。
 時間は瞬く間に過ぎ、ひろみたちが出発する前日。ひろみは牧に手伝ってもらい、荷物の準備をしていた。「牧がいたから、ここまでやってこれたんだよ」と礼を言うひろみを明るく励ます牧。同じ頃、藤堂はコーチから病院へと呼ばれていた。自分のこれまでの人生とひろみへの気持ちを静かに語るコーチ。「これほど愛せる相手にめぐり合えるとは思わなかった。生きてきてよかった……」コーチの告白に驚く藤堂。だが、次の言葉に愕然とする。「俺にはもう寿命がない」
  言葉の出ない藤堂に、コーチは「岡を頼む」と告げる。溢れてくる涙を押さえられずも、「まず、あなたが見出して、僕が気づきました。あなたが愛して僕が愛しました。彼女の中であなたが永遠に生きるなら、僕は彼女のすべてを包んでいきます、命ある限り」と答える藤堂に、笑顔で礼を言うコーチ。病室を出た藤堂は、ひろみの家へと向かう。牧を見送って戻って来たひろみに、「近くを通りかかったから」と言い、すぐにその場を去る藤堂だったが、振り返り、思わずひろみを抱きしめる。「頑張ろうね」そんな藤堂に、「はい」と答えるひろみ。
  出発の朝。両親に見送られたひろみは、太田と藤堂と共に、コーチの病室を訪れる。「第1回戦、必ず勝って待ってますから」笑顔でそう言うひろみに、笑顔を返すコーチ。それを見るのが辛い太田と藤堂。そして、病室を後にした3人が、外で荷物を積んでいると、音羽をはじめ西高女子テニス部の面々が見送りにやってくる。
 空港には、尾崎、千葉、牧が待っていた。そこへ麗香もやってくる。「ひろみ、しっかりおやりなさい。よくって」麗香の言葉がうれしいひろみ。同じ頃、蘭子はコーチから「花瓶の水を変えてくれ」と頼まれ、病室を出る。そして、病室にひとり残ったコーチは日記を書き始める。
  ちょうど飛行機に乗り込んだそのとき、ひろみの耳にコーチの声が! 「岡……」「コーチ? いま、コーチの声が……」そう言うひろみに、「宗方さんはいつだって君の中にいるよ」と答える藤堂。一方、病室に戻った蘭子が目にしたのは、静かに息を引き取っていたコーチの姿だった。

                                 ・

  数年後、USオープンの控え室。コーチが遺した日記を手にするひろみ。最後のページ、涙で滲んだ“岡、エースをねらえ!”の文字。「コーチ、行ってきます」歓声の中に入っていくひろみで……。(完)