Scene2:実写ではやり応えのある作品に出会えなかった
 
 
 
大塚さんは、学校を出てすぐ実写の世界に入り、後にアニメーションの会社、スタジオジブリに入社しました。もともとアニメーションをやりたかったということなのでしょうか。

いや、アニメーションは好きなことは好きでしたけど、自分では絵を描いたりしないんですよ。だから、学生のときには全然アニメをやろうとは考えていなかったですね。

当初考えていなかった分野の仕事に、現在携わっていらっしゃるということですか。

今でもそこが不思議なんです。「なんでアニメをやってるんだろう」と、ちょっと思ったりもするんですよ(笑)。でも、実写をやっているときにはなかなかやり応えのある作品に出会えなかった。仕事としては頑張ってやってはいたんですけど、なにか物足りないものを感じていたんですよね。そんなときにたまたま僕の大学の後輩が映画の予告編をつくる会社にいて、そこではジブリ作品の予告もつくってたんですよ。そしたらその後輩がジブリを紹介してくれて、面接に行くことになったんです。宮崎駿さんの作品はすごく好きで、とにかく実写とかアニメーションとかにはこだわらず「作品として面白いものに携わりたいなあ」と考えていました。でも、アニメーションのつくり方なんかなにも知らなかったので、雇ってもらえるとは思ってませんでした。まあ「行けば宮崎さんと会えるかなあ」というぐらいの気持ちで面接に行ったんです。

大塚雅彦氏インタビュー

宮崎さんとは会えました?

いや、そのときは面接の場に鈴木敏夫さんと高橋望さんというプロデューサーの二人がいらして、宮崎さんとは道ですれちがったぐらいでした(笑)。

そうした面接のときには、どのようなことを聞かれるものなのでしょうか。

よく覚えていないんですけど、「ジブリの作品を観たことはあるか」というような話で、当然「ほとんど観ています」とこたえました。それでその作品の感想を言った記憶はあるんですけど、あとはとにかく「一生懸命やります」と伝えました。

それで入社することになったわけですね。

「じゃあ、やってみるか」という話になったんですよね。ジブリのように優れた作品をつくっている会社で自分がどれだけできるかはわからなかったんですけれども、ダメ元というか、「まっ、1本やってダメならまた実写に戻ればいいや」というぐらいの気持ちで入って、それがそのままなぜか続いていったというような感じですね(笑)。でもジブリに入って最初に高畑勲さんのもとで働くことになったんですけど、高畑さんでなかったら、もしかしてここまでアニメを続けていなかったかもしれませんね。