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“銀座”でスカウト 今や元気のもとです 

石井みどりさん (現代舞踊家)


「いつもはひざの上で甘えてるんですけどね」と石井さんが言うが、人見知りのチョンは、写真を撮ろうとすると逃げようと…。娘でダンサーの折田克子さん(左)にも、チョンをなだめてもらった=東京都新宿区で

<猫>★チョン(1歳メス)

 中野の哲学堂公園にほど近い石井さんの自宅兼教室。その稽古(けいこ)場の窓の横を、家族やお弟子さんたちは「猫の銀座通り」と呼んでいる。近所の猫たちでにぎわう格好の抜け道なのだ。「チョン」は、この銀座通りを歩いていたところを、石井さんに“スカウト”された。

 「スラリとスタイルのいい子猫でした。でも野良生まれのせいか警戒心が強くて、家に入ってくれるまでずいぶん時間がかかりました。ところが入ったとたん、二カ月間ネズミを捕りまくり、近所で困っていたネズミがまったく出なくなりました。しっぽの長い猫はネズミ捕りがうまいと聞いていましたが、これほどとは」

 チョンは見た目以上の逸材だったようだ。

●送り迎えする猫

 昔から犬や猫が途絶えたことがないという石井さん宅。

 「最近はマンションが増えて飼うのが難しくなったようですが、昔は子猫が生まれたら、だいたい近所で飼ってくれる家が見つかったものでした。うちは犬も猫も放任主義で、しつけの本などは読んだこともないけれど、みんな、いい子でしたよ」と懐かしむ。

 「私が忙しかったので、娘の学校の送り迎えは、犬がやってくれました。猫にも、送り迎えをしてくれたのがいましたね。チョモクリンという名のオスで、この稽古場と、当時住んでいた家の間を往復するときは、いつも一緒。買い物にもついてきて、ひと足先に店に入って待っていました」

 チョンを迎える前も、きょうだい猫のベリーとミミがいたという。

 「ベリーはとても美猫でしたが、事故で足を悪くしてから性格が変わってしまい、仲良しだったミミに当たるようになったんです。するとミミは自分から家を出て、外猫になってしまいました。それでもいつも『銀座通り』にごはんを食べに来て…。窓の下でニャーニャー鳴くと、稽古中の弟子たちも『先生、ごはんやってもいいですか』。じゃないと気になって、稽古になりませんからね」

 なんともほのぼのした教室だ。

●ミミが連れてきた?

 ベリーが年老いて二年前に亡くなり、次いでミミも天国へ。実は、そのミミが亡くなる少し前から一緒についてきて、ごはんをもらうようになったのが、子猫のチョンだった。

 猫は、自分がいなくなるとき、その“跡継ぎ”を連れてくることがある。チョンはミミが連れてきたのかも知れない。そして石井さんも、外猫になったミミの分までチョンを大切にしてやりたいと思ったようだ。

 「チョンは、リラックスしたときに、ふうっと上に伸びるしぐさがとてもきれいで、弟子たちもそれを見て、ため息をついています。でも、やぶからぼうに私のひざに乗ってきては、ドスンと音をたてて降りるところなどは、あんなにネズミを捕った猫とは思えません」

 最初の警戒心はどこへやら、今ではチョンは石井さんと娘の克子さんにすっかり安心して甘えている。

 九十歳にして、この夏も奄美大島で舞台に立ったという石井さんだが、克子さんいわく、「毎日、遊び盛りのチョンの相手をしているのが、母の元気の秘けつかも知れません」。

 (文・宮晶子、写真・小河慶一郎)

 いしい・みどり 1913(大正2)年、宇都宮市生まれ。本名・折田ハナ。石井漠に師事し29年、歌舞伎座で初舞台。36年独立。公演、創作と内外で精力的に活動。娘の克子さんと、石井みどり折田克子舞踊研究所を主宰。84年、勲四等宝冠章。現代舞踊協会会長。



 


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