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photo by Gary S.Kobayashi

ginjiro
1942年生まれ。
(株)太洋クラブ会長。
高校時代から頭角を現し、62年を最初に、日本アマチュア選手権に6度優勝。 「プロが隠れて技術を盗みに行く」とまで言われた。 4半世紀にわたり頂点に君臨した日本ゴルフ界の至宝。 著者に『もっと深く、もっと楽しく』がある。

書籍

[集英社文庫]
「もっと深く、もっと楽しく。」
-アマチュアのためのゴルフ聖書(バイブル)-
著者:中部銀次郎
定価:480円(本体457円)

中部銀次郎

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第28回 ドライバーを バッグに入れない法

ベレージ・ゴルファーがスコアを乱す原因は、一番にドライバー・ショットのミスによる。したがって、スコアをよくしようと思ったら、ドライバー・ショットの精度を高めること。そのためには、最大の距離を求めないようにスウィングすること――と、前二号でお話しました。
  ですが、これにも無理がある。何しろドライバーは最大の距離を出すクラブなのですから、手にすればどうしても距離を出そうと力一杯振り回す。人間として、きわめて自然なことと言うべきでしょう。が、その結果 は相変わらずミスを犯し、旧態依然たるスコアを記しつづけることになります。それでもゴルフは楽しいと達観できていれば、何も悩む必要もありません。問題は、それでもなおいいスコアを出したいと願う人が多いことです。そこで、究極の解決法を申しあげましょう。

ンディキャップが二桁のゴルファーだったら、バッグにドライバーを入れないこと。これこそ、もっとも賢明な策です。身も蓋もない話のようですが、ある日、ハンディ18の人が一念発起して、バッグからドライバーを抜いてプレーし始めたら、まず間違いなくスコアはよくなります。平均で90の半ばだったスコアが、急に90になり、いつも80台後半でラウンドできるようになり、やがては平均80台半ばのスコアにもなる。3番ウッドや4番ウッドでティ・ショットしていれば、ミスは大幅に減ってくる。手にしているのが、最大の距離を出す道具ではないのですから、当然の結果 でしょう。これがゴルフというものです。
  こう言うと、へそ曲がりの人が必ず反論します――かりに3ウッドを手にしても、そのクラブで最大の距離を求めようとすれば同じことで、やはりミスを犯すのではないか、と。もっとものようですが、これが同じではないから、ゴルフは面 白いのです。

ず、バッグからドライバーを抜くこと――というわたしの言葉を実行した段階で、その人はすでに最大距離を断念しているはず。もともとドライバーよりも短いクラブを手にしているのですから、ミスを犯す確率は低い上に、やみくもに距離を求めていないために、余計にミスは起こらないのです。
  こうした結果、何が起こるか? 驚くべきことに、ドライバーを使っていたときよりも、平均飛距離がずっと伸びているという事実です――本当は、驚くべきことではなく、きわめて当然の帰結にすぎないのですが。

て、平均スコアが大幅に縮まりだした段階で、注意が必要。これほど3ウッド、4ウッドを正確に打てるようになったのだし、もうドライバーに戻してもいいのではないか――と考えるのが、人の常だからです。
  ですが、ここが我慢のしどころで、3ウッドや4ウッドの精度を高める努力をつづければ、平均スコアはきっと80台前半――つまりは世に言うシングル・ハンディにまで至る。そんなの嘘だ――と思う人は、所詮、スコアを縮められないまま終わるでしょう。ドライバーを使おうかと思うのは、ハンディが一桁になったときでいい。
  昔から、ティ・ショットで平均200ヤード飛べば、シングルになれる――と言われてきました。これはゴルファーの経験則から出た言葉で、いまも真実をついているのです。(つづく)

このページは集英社広告部の広報誌「ad infinitum」好評連載中のコラムを転載したものです。



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