2005年7月31日 10時2分 更新
特集サイト
高付加価値経営のカギ
リアルタイム・リテール
ネットビジネスTODAY
競争優位を獲得する最新IT経営戦略

ビジネストレンド
記事検索
立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」

第30回 「ビッグ・ブラザー」を彷彿 テロ厳戒体制下のアメリカ

2005年7月22日

取材のため、毎日ないし1日おきに各地を移動しているのだが、アメリカ国内を移動するときの、セキュリティ・チェックの厳しさには驚く。特に空港検査である。

預けた手荷物は、強力なX線で厳しく調べた上で、ちょっとでも怪しいモノがあると、検査官が勝手に開けて中をひっかきまわしてよいことになっている。だから、預ける荷物はロックしてはならないことになっている。

ロックされた荷物は、検査官がカギを破壊して開けることまで許されている。

テロに備え極端に時間のかかる手荷物検査

昨日は、受け取った荷物がテープでグルグル巻きにされ、開くと、中にTSA(運輸省安全局)のメモが入っていた。

「この荷物は中を開けて検査したが、何も障害をもたらさなかったと信じる。しかし、なにか失われた、壊れたなどの苦情があれば申し立てるように」とあり、「詳しくはインターネットのTSAのホームページを見よ」とあった。

そのページをみると、ちゃんと苦情申し立て用のフォームができていて、ダウンロードして、必要事項を記入してクリックすればすぐ送れるようにできている。

それとともに、セキュリティ関連のニュース、空港でのチェックをすばやくすますための注意事項などがいろいろ出ている。

手荷物より、乗客本人の検査がまた大変である。ポケットのもの、手下げカバンの内容物を全部出すのはもちろん、クツも脱いで、X線検査装置を通すことが求められている。金属探知機のゲートをくぐり抜けて、何も鳴らなかったとしても、何人かは、手持ちの金属探知機で徹底的に調べられる。髪の毛の中、足首、ふくらはぎ、大腿部まわり、陰部まわり、ズボンのバックルの後側は手を突っ込んでまで調べられる。脇の下は両腕を高くあげたまま、前から後ろから探知機をあてられる。

はじめは唖然として腹立たしく思ったが、いくら怒ってもプロセスは冷たく進行していくだけなので、そのうち早く終わらせるために進んで協力的に行動するようになった。

人間はなにによらず面倒をさけることを行動原理の一つにしているのである。

これだけ厳しい検査をしつこくやるので、検査待ちの行列は、軽く100メートルを越す。しかし、意外に流れは早い。たとえばシンシナチの空港で、行列は100メートル以上で3フロアにまたがっていたので、これは飛行機に乗り遅れるにちがいないと思ったら、大量の検査官が動員されていて、行列は次々に枝わかれしていき、どんどん進んでいってちゃんと間にあった。こういうところがアメリカのシステム的対応力のすごいところだ。

昨日の「USA TODAY」紙がこの問題を取り上げ、全国の主要空港の検査待ち時間のワーストランキングを出していた。

next: テロ監視用に500万台のカメラを設置…

2ページへ次のページへ
バックナンバー