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知財オークション あなたもトライ!?おもしろ知財ビジネス
価値評価を市場に聞く、思わぬ収益も
FujiSankei Business i. 2005/11/21

 ◆日本技術貿易がサイトを立上げ

 「自分の特許の金銭的な価値は、一体どれくらいなのだろうか」と、発明家なら誰でも一度は思ったことがあるだろう。また知的財産経営(知財)を実践している企業の担当者なら、保有する知財を有効活用するために、外部へ特許をライセンス(利用許諾)したり譲渡したりすれば、どれだけ収益に貢献するか計算してみたいだろう。

 そう思ったら、知財オークションを使ってみるのも一つの手だ。その名の通り、知財の“競売場”である。売り手は特許権、実用新案権、意匠権から著作権、ビジネスモデルなどさまざまな知的財産権を“出品”し、それを買い手が入札して最高額をつけた者が落札する仕組みだ。これをインターネットのサイト上で、しかも世界を相手にやろうという試みがこのほど開設され、話題を集めている。「Intellectual Property On−line Auction」である。

 この知財オークションサイトを主催するのは日本技術貿易(NGB)。大企業をはじめ国内に二千社の取引先をもち、世界二百カ国の特許・法律事務所、調査機関などとのネットワークを通じ、知財にまつわる権利獲得・維持、紛争処理支援、調査や相談業務を行う国内最大手の知財サービス会社である。

 一回目の入札案件の出品者は、制御機器・電子部品大手のオムロンと、CAD(コンピューター支援設計)およびデータベースソフトの開発会社であるデザイン・クリエイション。出品された知財は、両者が共同保有しているパソコン上のアイコン技術とCADに関連した技術の合わせて四つの特許を一つのパッケージとしたもの。

 このパッケージの譲渡額にいくらの値段をつけるかが競われるわけだが、今回のオークションで落札者が得るのは、パッケージを購入するための二カ月間の「独占的優先交渉権」だ。

 パッケージの概要はサイト上で一般公開されているが、特許の価値評価をする際の参考となる詳細な資料は、入札者登録を行うことで発行されるIDとパスワードによってのみアクセスできる別の画面に表示されている。ここではオークションの細則、譲渡の際の基本契約書なども読むことができる。今回の入札期間は十二月一日から十日まで。この間に買い手はIDとパスワードを使って入札額をサイト上から入力し、落札結果は締め切り後すぐに出品者と落札者へメールで伝えられる。

 NGBの得る手数料は、出品料(一つの特許につき数万円から)と、成約後の成功報酬(成約額の数%から)。入札額の基準値の設定や落札後の交渉が不発に終わった場合の再オークションの実施など詳細はその都度、出品者とNGBで取り決める。

 ◆膨大な未活用特許 オークション対象に

 知財オークションは、ありそうでなかった仕組みだ。すでに知財マッチング事業への試みが官民を含めていくつか立ち上がっているが、「その多くは商品を陳列ケースの中に並べたような方式で、活況を呈するまでには至っていない。出品される特許も高いレベルのものは少なかった」(知財移転コンサルタント)という。今回、NGBがオークション方式を持ち込み、しかも世界を相手にサービスを開始することへの企業の期待は高い。理由は、大企業にとって、膨大な未活用特許を処理する機会が得られるし、ベンチャー企業にすれば自社技術を世界へPRするチャンスとなるからだ。その先に、合理的な資金が獲得できるならいうことはない。

 第一回の出品者であるオムロンは「特許の金銭的価値の算定は社内で計算しているだけでは分からない。今回は適正な市場価格を知りたいと思って参加した」(久野敦司・事業・特許統合戦略担当)とし、今後の入札額に注目している。

 通常、特許の金銭的価値の算定には、費やした開発コストを積み上げた額とする方法や、その特許を使った事業で得られた収益や将来の予想収益に特許の貢献割合を掛ける方法などが使われるが、最も客観的な評価となるのは市場取引価格である。

 「知財は、使う人によって発明者が予想もしないような活用方法が出てくるし、活用の時期によっても変わる。このため、その価値は企業の中だけでは算出できない」(知財オークションを企画したNGB・IP総研の平沼紀明主任研究員)。だからこそ、オープンな場でオークションすることで、知財の取引時価を知ることが重要になってくるわけだ。

 日本では今、事業戦略、研究開発戦略に、知財戦略を加えた三位一体経営を志向する企業が増えている。その半面、膨大な未活用特許を抱えているのも事実。二〇〇四年の特許庁の調査では、国内の特許総数は百十万件にものぼる。日本企業が保有する特許のうち、自社の事業で活用している割合はわずかに31%、他社の利用を許諾している割合は13%しかない。

 ライバル企業の事業化のチャンスを摘み、自社事業防衛のために出願する特許も未活用特許に含まれているが、それらを考慮しても多くの特許が使われないまま企業内に眠っている。知財オークションの出品対象となる特許は山ほどあるわけだ。

 NGBの知財オークションサイトの表記は、すべて英語である。これは日本国内だけでなく海外の企業をも買い手として重視しており、グローバルな情報発信をするための戦略だ。同社は今回の案件に関して、海外の有力企業百社へ知財オークション開始の案内状を発送しており、海外企業の入札に期待を寄せている。

 あなたの企業に使われずに遊んでいる知財があるなら、一度知財オークションにトライしてみてはどうだろう。予期せぬ国の予期せぬ企業から予期せぬ事業でのオファーが舞い込み、予期せぬ収益が得られるかもしれない。

(「知財情報&戦略システム」中岡浩)

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