風のクロノア/開発者リレーエッセイ

今回のエッセイスト:メイン企画・小林 毅
-はじめに-
「風のクロノア」の開発者のページへようこそ!企画をやりました小林 毅と申します。宜しくお願い致します。私にとって「風のクロノア」はナムコに入社して初めての作品です。よって私自身クロノアと共に成長してきたという思いがあります。
-はじめてのメイン企画-
ジッポー入社当時、ゲームがどのような構造になって作られているかさえ、全く分からず苦労しました。最初の頃はディレクターの吉沢に何から何まで世話になりっぱなしの状態が続き、「ゲーム作りとはなんぞや?」ということを教わりながらの作業となりました。分かってないことが多かったので、この時期は大変勉強になり得るものが多かったなぁ…と今でも実感してます。一年ほど経ったある日、吉沢より、「そろそろメイン企画として自覚してやってもらわなきゃ困る…」といわれまして、私とクロノアの戦いが始まりました。
-こだわったこと-
クロノア「クロノアの操作感&クロノアができること」・・・に関しては私のこだわりで何度も調整し、仕様を何度も変更しました。クロノアのアクション部分で私がこだわり、狙っていたことは「何度も遊んでいるうちに、自分がどんどんうまくなっていく感覚を得られ、うまくなればなるほどテンポ良く遊べるアクションゲーム」・・・というような感じでした。要するにうまい人のプレイを見るのも楽しいゲームとでも言いましょうか…。それで色々と試行錯誤しました。
2段ジャンプを考えるまでは苦労したんですよ〜。色々やってもゲームのテンポが上がらない……結構悩みましたね。そういう時、他のアクションゲームなんかも参考にしたりするんですけど、絶対的に多いのが「ふんずけアクション」なんですよ。あの「ふんずけアクション」を最初に思いついた人はやっぱりすごいですよ。あのアクションはすごく完成されているんですよね。ホントうらやましかったです。でもクロノアにその仕様を入れたら私の敗北になるような気がしまして、絶対に手を出すのは止めようと思ってました。せっかく私に新しいゲームを作るチャンスを与えられているのに、それをやってはダメだろうと思いまして…。
-はじめは3つボタンだった-
クロノアのアクション部分のコンセプトは、「敵を利用しながら移動や攻撃ができるテンポの良いアクションゲームを作る」ということだったんです。これを実現するために最初に採用したのは□ボタンを押して敵を捕まえた後、△ボタンを使ってクロノアの目の前に膨らんだ敵を置き、その上に乗ってジャンプして移動する・・・そういう仕様だったんです。やはり、3つのボタンを使用しますし、いったん目の前に置いて移動をしなければならなかったのでアクションのテンポとしてはそれほど良くなかったわけです。それを採用したときは、上記の操作をすばやく行うことにより、気持ち良く遊べるのではないか?と考えていたのですが、やはり3つのボタンを巧みに使いながらアクションテンポを上げるのは少々無理があり、コンセプトどおりにはならずに失敗していましたね。当然、今思えばの話なんですけど…
-そして“2段ジャンプ”へ-
それで、今まで作り上げてきた遊びはそのまま残しつつ、アクションテンポのみを上げる方法として、「置く」という仕様を思い切って全部カットし、「敵を捕まえた後、そのままジャンプボタンのみを使用し、その敵を利用してジャンプする」という仕様を採用したんです。その結果、当然クロノアは捕まえた敵を目の前に「置く」ことができなくなってしまいましたので、パズル的な遊びの要素はあまり入れられなくなりました。今思い直せば、そういう決断を早めにやっておけば良かったんですけどね。でも、実際にその判断をするのは大変なんですよ〜。すごく良く考えて行動しないと、クロノアを作っているスタッフに迷惑をかけることになりますからね。何にしても仕様を大幅に変える時には「勇気」がいるモノなんです。今までやってきたことを壊してしまうかもしれないし、必ずしも良くなるとは限らないですから…

クロノアそういった試行錯誤の上、「敵を使って2段ジャンプ」するという仕様を入れました。そこからクロノアのアクションゲームとしてのテンポが飛躍的に上がり、どんどん良くなっていきました。最初に考えたときは製品版の「EXTRA VISION」のようなゲーム性がでるなと考え、これはテンポが良いと喜んでいたんですけど、あまりに難しすぎて普通のステージでは使えませんでした。でも、普通のステージをクリアした人ならば、普段扱いなれている操作で高度なテクニックを要する「EXTRA VISION」は相当楽しめるはずですので、是非一度はトライしてみて欲しいです。「EXTRA VISION」は少々極端すぎますが、普通のステージについても、「うまくなればなるほど楽しめるクロノアの操作感」については実現できたのではないかと自分なりには思っています。
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