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カザフスタン

各国・地域情勢

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報

学習目的
シラバス・ガイドライン
評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧



●2003年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。


日本語教育の実施状況
●全体的状況
【沿革】
 1992年にアル・ファラビ名称カザフ民族大学東洋学部極東学科において日本語コースが設置されたのが、カザフスタンにおける日本語教育の本格的始まりと言える。現在日本語専攻コースを持つ大学は、上記のカザフ民族大学(東洋言語学部には日本語学科があり、国際関係学部には日本語履修コースがある)、アブライハン名称カザフ国立国際関係外国語大学東洋言語学部(カザフ外国語大学)、アバイ名称アルマティ大学、カザフ労働社会関係アカデミー東洋学部、国際職業大学、カザフ経済大学、国立ユーラシア大学(唯一アスタナで日本語学習コースを設置している)の7大学である。
 高等教育機関における日本語学習者数は概ね年々増加傾向にあるが、日本語教育の歴史が浅いため、どこも教員不足に頭を悩ませている。
 日本語・日本研究ができる大学院は、指導できる教員がいないため、これまでのところ設置されていなかったが、カザフ外国語大学では、2003年度より外国語言語学と教育法を学ぶ修士課程の中で日本語教育が行われている。
 初等・中等教育においては、1996年にアルマティ第2学校で日本語教育が開始され、続いて1998年には、アルマティ第12、123学校、および、ジャンブール第45学校でも教育が開始されるなど一時勢いを見せたが、教員不足のため、現在日本語教育を続けているのはアルマティ第2学校、コクル学校(2002年〜)、及びアルマティ第58中学校(2000年〜)の3校である。

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【背景】
 元来、カザフスタン人は、日本に対して、経済・技術大国でありながら独自の文化を伝承し続けている国として憧れが強く、国造りのモデルとして高い関心を持っている。また、民族的な類似性等から日本に親近感を抱いている者も多く、その流れで日本そのものや日本文化をより深く知りたいとの思いから日本語を学習し始める学生が多い。また、経済的に発展・成功した国の言葉を学ぶことで、将来的に良い仕事を見つけられるのではないかとの期待の下、日本語を勉強する者も多い。
【特徴】
 大学等高等教育機関を中心に、日本語学習者数は概ね増加してきた。しかし、大学卒業後、通訳、日本企業への就職を希望する学生の思いとは裏腹に、実際の卒業後の進路は非常に困難な状況にあり、大学の中には近年日本語学習者数が減少しつつあるところもある。日本語教師の立場からも、教員の賃金水準が低いため、優秀な人材が他分野に流れる傾向にあることは否定できず、優秀な教員が教職を離れることで大学の日本語教育の質が下がり、それが学生の就職難に繋がるという悪循環が見られ、日本語教育を巡る環境は厳しい状況にある。
 カザフスタンは現在外国語学習ブームに沸き立っているが、その中心は英語、仏語、ドイツ語などのヨーロッパ言語であり、日本語はまだ特殊な言語と見なされている。

●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
 現在、アルマティ第2学校では8年生から11年生まで約45名が日本語を学習している。アルマティ初中第58学校では5年生から8年生まで約150名が日本語を学習している。コクル学校では5年生から10年生まで約20人が必修科目として日本語を学習している。上記3つの初・中等教育機関には、それぞれ日本語教師の資格を持つ現地の専任講師が1名ずついる。
【高等教育】
 カザフ民族大学、カザフ外国語大学、アバイ名称アルマティ大学、カザフ経済大学、国際職業大学、国立ユーラシア大学、カザフ労働社会関係アカデミーの7大学において、約925名の学生が第1外国語若しくは第2外国語として日本語を勉強している。過去に外交アカデミーで行われていた日本語講座は、その後ユーラシア民族大学(アスタナ)の講座に吸収された。
【学校教育以外】
 2002年よりカザフスタン日本人材開発センター(日本センター)が創設され、ここでは初級・中級・上級のレベル毎に様々な日本語コースが開設されており、年間を通じて約400人が受講している。

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●教育制度
【教育制度】
 4-7制。
 初等・中等一貫教育(シュコーラ/11年制)。
 シュコーラの1年生〜4年生が義務教育としての初等教育(6歳〜9歳)、5年生〜11年生が中等教育(10歳〜17歳)にあたる。私立のギムナジヤ、リッツェイもある。高等教育機関には大学(4〜5年制)、アカデミー、音楽院、高等専門学校などがある。大学の教育システムは、バカラーブルと呼ばれる高等基本教育(4年)に続き、マギストラトゥーラと呼ばれる高等科学教育(2年)があり日本の修士課程にあたる。その後、高等専門教育(アスピラントゥーラ)3年間があり、日本の博士課程に相当する。ソ連時代からのこの独自の教育制度は、カザフスタンの独立後10年を経て、徐々にヨーロッパスタンダードへ移行しつつあるが、半数の高等教育機関ではまだ既存のシステムが採用されている。
【教育行政】
  初等、中等、高等教育機関のほとんどが、教育科学省の管轄下にある。

●言語事情
 カザフ言語法によると、カザフ語は国家語であり、ロシア語は公用語として位置づけられている。しかし、近年、国家機関における統計、資本、技術などの専門分野に関する書類等は、カザフ語で作成されたり、教育の現場においてもカザフ語による教育が増えつつある傾向があり、カザフ語の国家語としての位置づけが強化されつつある。

●外国語教育
 これまで、中等教育にあたる5年生から11年生を対象に第1外国語を必修科目として学習させてきたが、ここ数年では私立の初等学校を中心に2年生から外国語を学習するようになってきている。英語(必須)、ドイツ語、フランス語などから選択するが、選択できる外国語は学校によって異なる。
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学習環境
●教材
【初等・中等教育】
 ゴロヴニン著『日本語』1(ロシア語による日本語教材)の他、『新日本語の基礎』1、『日本語初歩』等が使用されている。
【高等教育】
 多くの大学の授業で『新日本語の基礎』1、2、『日本語表現文型中級』1、2、『中級から学ぶ日本語』、『上級で学ぶ日本語』、『みんなの日本語』1、2等が使用されている。その他『日本語初歩』、『日本語第一歩』、ゴロヴニン著『日本語』1、2、3、『文化中級日本語』2を使用している大学もある。
【学校教育以外】
 2002年9月、日本センターが創設され、様々な日本語のコースが開講されている。主に使用されている教科書、教材としては、『みんなの日本語』1、2、『日本語中級』、『日本語作文の方法』、『中・上級日本語』、『INTER MEDIATE漢字BOOK』1、2等がある。

●マルチメディア・コンピューター
 多くの大学でビデオ、テープなどを用いたLL教育が積極的に行われている。特に外国語大学ではLL教育が充実しており、LL教室でのヒアリング、会話練習以外に、ビデオ室では教育ビデオを使用し、生きた日本語の習得に力が入れられている。

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●資格要件
【初等・中等教育】
 初・中等学校では、大学で日本語を専攻し修士レベルの学位を持っていることが最低条件となっている。この他、日本センターで行われている教師のための上級日本語コースに通い、教師としての資格を身につけようとしている者も少なくない。
【高等教育】
 大学では、助教授職以上は博士候補の学位を持っていることが最低基準となっている。常勤講師は、現地人の場合は5年制大学で日本語を専攻した者となっている。しかし、教師不足から、第1外国語として大学で日本語を学習した者や4年制大学卒業者を雇用している機関もある。日本人の場合は日本で得た学士号(専攻不問)を持っていることが、一応の基準になっている。
【学校教育以外】
 日本センターで教える日本語教師は、大学の日本語専攻学科を卒業した者、または日本語能力試験1級程度の水準が要求される。筆記試験と模擬試験、面接を行った上で採用決定している。

日本語教師養成機関(プログラム)

【高等教育】
 カザフ外国語大学東洋言語学部では、全学年を通して「外国語教授法」の授業が行われており、カザフ民族大学東洋学部では、4年生で「東洋言語教授法」、5年生では「教鞭実習」のコースがある。
【それ以外】
 日本センターでは、現地の日本語教師、特に教授歴3〜4年の経験の浅い教師を対象とした日本語教師コースがある。
 また国際交流基金のプログラムでは、「日本語教師研修(短期・長期)」などの日本語教師を対象としたものがある。

●日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
 高等教育機関では、最も日本語学習者が多いカザフ民族大学とカザフ外国語大学にそれぞれ2名ずつ日本人教師がいるだけで、残り5つの大学は現地人教師のみで成り立っている。日本語教育の現場において、発音や微妙なニュアンス、及び日本の歴史、文化などの事情を教授できる日本人教師の果たす役割は大きく、ネイティブ教師数の増加が望まれている。現在カザフスタンには、ボランティアによる日本人教師はいない。

●教師研修
 2001年夏に現地日本語教師を対象に「外国語教授法における現代の傾向」という夏季特別セミナーが開催され、カザフスタンの地方都市から150人の教師が参加した。教授法に関する経験・意見交換の他、授業のデモンストレーションも行われ、理論と実践の観点から総計75時間の講義が行われた。

現職教師研修プログラム(一覧)
 カザフスタン日本語教師会の勉強会。
 国際交流基金のプログラムのうち、訪日研修としては日本語教師研修がある。その他、現地での研修としては、キルギスとカザフスタンの日本語教師を対象に中央アジア日本語教育巡回セミナーを毎年開催している。

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教師会
●日本語教育関係のネットワークの状況
 1998年に日本語教師の発意により「カザフスタン日本語教師会」が発足した。同会は日本語教育の発展を図ることを目的とし、日本語教育に関する情報交換の場、日本語教師相互の親睦・交流の場としての意義を有する。原則、月1回勉強会を行っており、大使館からは広報文化担当官がオブザーバーとして参加している。

●最新動向
 2001年4月14、15日に行われた「第5回中央アジア日本語弁論大会」及び「中央アジア日本語教育フォーラム」のホスト国を務める(参加国はウズベキスタン、キルギス、カザフスタン)。
 2001年10月、「第14回全CIS学生日本語弁論大会」へのカザフから2名が出場。
 2002年3月には、「第4回カザフスタン日本語弁論大会」を実施。同年10月には「中央アジア日本語教育巡回セミナー」を実施した(参加国はキルギス、カザフスタン)。
 2003年3月には、「第5回カザフスタン日本語弁論大会」を実施。同年11月には「中央アジア日本語教育巡回セミナー」を実施。
 2004年4月には「第7回中央アジア日本語弁論大会」のホスト国を務めた。
 2004年10月には「第15回全CIS学生日本語弁論大会」に2名が出場。

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日本語教師派遣情報
●独立行政法人国際交流基金からの派遣
日本語教育専門家
カザフスタン日本人材開発センター  1名
NIS諸国日本語教育専門家
カザフ民族大学  1名

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●その他からの派遣
日本ユーラシア協会
 カザフ民族大学東洋学部:1名
 カザフ国立国際関係外国語大学:2名
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学習目的
(2003年海外日本語教育機関調査結果)
 
1.
日本の文化に関する知識をえるため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識をえるため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識をえるため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に答えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
高等教育/学習の目的棒グラフ 高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外の機関/学習の目的棒グラフ

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シラバス・ガイドライン
 高等教育においては、教育省が作成する国レベルの基準(ガイドライン)が存在する。このガイドラインに従って、カザフ外国語大学、及び民族大学の2大学が、高等教育の年間プログラムを作成する。各大学は、このプログラムに準じ、年間の指導プログラムを作成する。初・中等教育においては、主に日本センターの助言に基づいてプログラムを作成する。

★シラバス・ガイドライン一覧へ
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評価・試験
 現在のところ、カザフスタンで日本語学習者のレベルを測る共通の基準は存在しないが、各教育機関における修了試験は、教育省の「修了試験実施法令」に基づいて実施されているため、学習の到達度・レベルを測る効率的な基準とされている。右法令では、初・中教育機関、及び高等教育機関における終了試験の実施方法、科目、合否の判定基準などについて詳細に定められている。
 この他、全国的、全世界的な基準としては、日本語能力試験がある。カザフスタン国内のみの同種の試験は存在しないため、現在のところ日本語学習者のレベルを客観的に測定する基準は、能力試験のみである。同試験は、日本の公的機関が実施する試験として非常に権威あるものと認識されており、日本語学習者にとって学習意欲の向上に資するものとされる。

評価・試験の種類
・各教育機関における修了試験、各教育機関学習者を対象。
・日本語能力試験、日本語学習者全般を対象。
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日本語教育略史
1991年: カザフスタン独立
1992年〜 日本語教育の本格的始まり
アル・ファラビ名称カザフ民族大学東洋学部極東学科における日本語コースの開設
1993年: カザフスタン共和国内閣管轄下 言語委員会設立
1996年: アルマティ第2学校における日本語教育の開始
1997年: 「カザフスタン共和国言語法」制定
1998年: アルマティ第12、123学校、ジャンブール第45学校における日本語教育の開始
同 年: 大統領令により「言語開発と機能」国家プログラム承認
2000年〜 カザフ語教育の活発化
2001年: 日本語能力試験実施開始
2002年: コクル学校における日本語教育の開始
2003年: 「2002-2003年学習期間終了試験実施」法令発布
カザフ外国語大学における外国語言語学、教育法分野の大学院コース開設
現 在: 「2001-2010年にわたる言語開発と機能」国家プログラム採択

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