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「村八分」訴訟で分断続く新潟の関川村 夏祭りにも影

2007年07月06日10時27分

 新潟県北部の山深い谷あいの集落。幅約10メートルの道路を挟み、新旧二つのゴミ収集箱が向かい合っている。新しい方は、元々あった収集箱の使用を禁じられた近隣住民が自分たちで作ったものだ。

 双方の住民は、通りですれ違っても、互いに目を合わさない。村民の一人はうなだれて話した。

 「通りがまるで深い溝のよう。隣近所で毎日憎しみ合って、地獄に住んでいるみたいだ」

 新潟県関川村。わずか36戸の集落は3年間、「村八分」をめぐって分断された。

 きっかけはお盆のイワナのつかみ取り大会だった。04年春、「準備と後片づけでお盆をゆっくり過ごせない」と村民の一部が不参加を申し出ると、集落の有力者は「従わなければ村八分にする」と、11戸にゴミ収集箱の使用や山での山菜採りなどを禁じた。

 村民11人は同年夏、「村八分」の停止などを求めて有力者ら3人を提訴。有力者側も名誉を傷つけられたとして反訴した。

 新潟地裁新発田支部は2月、有力者側に行為の禁止と計220万円の賠償を命じた。しかし、有力者側は「村八分行為はしていない」と東京高裁に控訴した。

 一審判決後、有力者側についた区長が辞任し、集落は区長不在の状態に。原告住民らは有力者側とのトラブルを避けるため、今も旧ゴミ収集箱の使用や山菜採りの入山を自粛している。

 原告側住民は「どんな状況になっても、モノが言えない集落の空気を壊したかった」と訴える。村民の中には原告側に賛同する人もいるが、「代々の家や土地があって集落を離れることができない。自分も村八分になるかも知れず、それを考えると表立っては言えない」と打ち明ける。

 村には竹とワラで作った世界一長い「大蛇」を担いで練り歩く祭りがある。ギネスブックにも認定された長さ82.8メートルの「大蛇」の胴体は54に分かれ、村に点在する54集落が3、4年に一度、それぞれ区長を中心に手作りして持ち寄り、つなぎ合わせる。

 今夏は「大蛇」作りの年だが、騒動のあった集落では区長が不在で作業ができず、集落の若者有志が代わりに作った。

 被告男性は「高裁でどのような結果になっても、頭を下げることはない」と話している。

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