EiFYE原子力発電所/広報部
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EiFYE原子力発電所

Frequently Asked Questions

  CHIBI

 ここでは、原子力FAQのうち、比較的古い話題について掲載しております。

 また、「この場合はどうするの?」のような質問を随時募集しております。
 なるべく早くお答えするようにしますので、お気軽に質問メールを送って下さいね。

 

▽ 宛先はこちら!▽ eifye@luna.email.ne.jp

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「原子炉が緊急停止した時、運転員はどうするの?」

 原子力発電所の運転員は、一定期間毎に運転訓練センターへ出張して、実際のプラントの操作室と同じ操作盤のシミュレーターを使用して事故対応操作訓練を受けています。

 例としては冷却水が無くなった場合、電源の故障、地震で配管が壊れた場合、原子炉の蒸気が漏れ出した場合などの事故に対する対応操作訓練をやっているのですが、もちろん原子炉が緊急停止した場合の対応操作も訓練します。

 原子炉が緊急停止(スクラム)した場合、原子炉制御盤の操作員は、まず警報の発生を確認し、制御棒が全て炉心に挿入されたことを確認、そして核分裂反応を示すAPRM計の指示がゼロに落ちることを確認し、原子炉が無事に停止したことを確認、報告します。あとは原子炉の水位や圧力を確認し、給水系のポンプの切換操作などを行います。タービン発電機制御盤担当者は発電機の出力降下を確認、メインタービンを手動で停止し、電源系や原子炉の圧力制御系の動作を確認、その他の補助機器の運転状態の確認やタービン発電機の安全停止に必要な処置を行います。

 実際にはこの他にもまだまだやる事はあるのですが詳細書くと手順書一冊分になってしまうので省略させて下さい(笑)

 基本的に緊急停止時の手順はある程度決まっているので、手順を暗記し、万一の場合にはほとんど身体が勝手に対応操作をしてしまうくらい操作手順を叩きこまれます。

 そして操作試験があり、この試験に合格しないと一人前の運転員にはなれません。

 そんなわけで、運転員は原子炉の緊急停止時の対応操作についてはかなりの訓練を積んで、慣れているのです。平然と対応ができるように教育されているわけですね。

 ちなみに、原子炉が緊急停止した場合に、どのような対応操作を行っているか、原子炉操作盤対応を訓練したときの訓練中の音声を録音したモノがありましたので、コレをMP3形式に変換して置いておきます。

 興味のある方は聞いて見るのも面白いかもしれません。

 でも、だいぶ昔の頃のモノなのでイマイチ操作がスマートじゃなくて、かなり恥ずかしいような気もするのですが(^_^;

 とりあえず、今はこの音声録音時よりはだいぶマシになってますので、はい(笑)

 [原子炉緊急停止(スクラム時)対応操作音声ファイル(463kB / 1min58sec / formattype=MP3)]
 なお、ソースの音質がかなり悪く、ゲイン調整もイマイチです。御了承下さい(^_^;


「高レベル廃棄物処理はどうなっているの?」

 まずは「高レベル放射性廃棄物」から説明しましょう。普通発電プラントから排出される放射性廃棄物は全て低レベルと呼ばれる、比較的放射能の弱い廃棄物です。ですからドラム缶あたりに入れて扱うことができる訳ですね。ちなみに発電所で最高の放射能を持つ廃棄物はズバリ使用済み核燃料です。崩壊熱を発生し、放射能もそれなりにある使用済み燃料は専用の輸送容器に入れて輸送されます。

 そして、この使用済み燃料は燃え残って再利用可能なウランやプルトニウムを抽出して再び燃料として利用されます。この再処理をするのが再処理工場です。この再処理の工程で高レベル放射性廃物は発生というか濃縮抽出されます。

 この高レベル廃棄物は、ハッキリ言って低レベルのようにドラム缶ごときでは扱えません。従って、専用のステンレス容器(キャニスターと呼ばれる直径40cm高さ1mほどの円筒形のモノ)に封印され、しかも廃棄物を高温で溶かしたあと、ガラス状に固形化させて容器に入れているのです。ちなみにガラスというのは長期間に渡って非常に安定した物質形状を維持します。古代遺跡のガラス細工などが、石器よりも更に綺麗な原型のまま発見されるコトからもガラスの安定性は理解できると思います。<と説明書にも書いてあります(笑)

 でも、このステンレス容器にしても、中に入っているモノがモノだけに、直接触ろうものなら短時間で致死量の放射線を浴びるコトになりますし、崩壊熱による発熱量もなんと2kWもあり、熱いのです。従って、このキャニスターは全て遠隔操作で扱われています。

 ちなみに廃棄物の熱量は放射性物質の崩壊によって少なくなって行き、約100年でほとんど放熱しなくなります。そのため、ある程度冷めるまで、30年〜50年ほど冷却貯蔵施設に貯蔵され、冷えてから埋設処分する方向で進んでいるようです。しかし・・・2kwの熱量を出す廃棄物・・・間接的に熱を取り出して暖房に使ったり、蒸気発生させて発電するとか流用できないんでしょうかね。

 さて、そんなわけで、現状では高レベル放射性廃棄物はガラス固化されて専用容器キャニスターに入れて扱われ、現在はこのキャニスターを冷却貯蔵施設に格納し、冷却されているという状況です。

 ちなみにこの貯蔵施設は十分な厚さの鉄筋コンクリートのシールドで覆われ、外部へ有意な放射線が漏れないようになっています。

 以前この貯蔵施設に見学に行ってきましたが、見学の時に見た高レベル廃棄物貯蔵庫の窓ガラスは放射線をさえぎるブ厚い「鉛ガラス」が使用されていました。でもそのガラス越しに貯蔵庫を見た時の被曝線量は0.01mSv未満だったので、かなり強力にシールドされているようです。

 基本的に放射能がかなり強力な高レベル放射性廃棄物と言えども、シールドする事は可能です。コンクリートでも鉛でも、ある程度の厚さを持ってすれば通過してくる放射能を限りなくゼロ近くに封印することができます(ただし理論上完全にゼロにはなりません。生活に支障の無いレベルまで減少させられるという意味です)

 で、現状はそんなわけなのですが、最終的に冷えた後は2020年から2040年をメドに深層地層処分施設を稼動させる計画です。この処分を実施する機関が2000年に設立される計画になっていたのですが、予定通りに進んでいるのかどうかは、私個人レベルでは確認が取れなかったです。詳しいことは科学技術庁あたりが握っていますので、今後そちらに情報が公開されると思います。

 ちなみに深層地層処分ですが、これは地下数百メートルの深層に処分トンネルを建設し、そこにキャニスターを更に金属製のオーバーパックと呼ばれるシールドに包んで、更にベンドナイトと呼ばれる粘土のような緩衝材で覆い、埋設される方向で動いているようです。

 私はこれだけシールドされた上に、中身がガラス固化されているのだから、漏れたり、溶け出したりする心配はほとんど無いと思っています。

 もし仮に1万年後にオーバーパックが破損し、キャニスタ容器が錆び、内部のガラス固化体が水に浸食されたとしても、ガラスを水が溶かせる量は極微量で、その水もオーバーパックの隙間から漏れだしだとしても更にベントナイト層を超えねばならず、総合的に環境への影響はほとんど無いと思います。

 また仮にガラス固化体が割れて砕けたとしても固体である以上汚染が広がる事は考え難いと思います。

 更に今も続いている処分方法の研究が続いていれば、コンクリート固化がより安定なガラス固化に進歩したように改善され続けて行くと思うのです。1万年後にはもっと上手い処分の仕方が見つかっていると思うのです。

 しかし、現状では最大にして最重要課題「どこに埋設施設を建設するか」という問題が未だに解決していません。もちろん2000年に設立予定の処理機関で調整を取るコトになると思いますが、現状は未定です。

 ・・・超個人的には2020年には建っているであろう私のマイホームの深層地下に埋めてくれても良いと思っているのですが。

 なお、日本人が一生の間に使用する電力を発生し、それに伴って発生する高レベル放射性廃棄物の量は約500g。ゴルフボール3個分の大きさだそうです。


「放射能漏れはどうやって監視しているの?」

 まず、発電所周辺の場合。

 モニタリングポスト(通称MP)と呼ばれる放射線検出器が各所に配置され、これによって放射線を連続監視しています。

 もし、このモニターに異常があれば、中央操作室にある警報が鳴ります。かなりうるさい警報です。しかし、これが鳴るようでは既に放射能が漏れている事になるわけです。従って、センサーの点検時以外では鳴ったことはありませんね(笑)

 なお、このモニターは県や役場にも直結しているので、万一の事態は発電所から正式に報告するよりも早く役所で感知できるようになっています。

 次にプラント内部の場合。

 プラント各所にはエリア放射線モニター(通称エリアラド・モニタ=ARM)センサーが設置され、これによって放射線を連続監視しています。

 もちろん放射能の異常を検出すれば警報が発生します。このモニターは原子炉建屋はもちろん、タービン、廃棄物処理建屋にも設置され、なんと中央操作室にもあるのです。

 そして、プラントの水や蒸気、排気ガス等の流れる配管や換気空調系のダクトなどにはプロセス放射線モニター(通称プロセスラド・モニター=PrRM)センサーが設置されています。

 このプロセス放射線モニターは他の環境放射能センサーと異なり、プラント配管系の放射能の異常を検知します。

 プラント内で放射能があるのはズバリ「原子炉内の核燃料」です。他には放射性廃液などがありますが、基本的に放射能は核燃料が持っているわけです。従って、核燃料と直接接触する主蒸気系には放射能が漏れ出す危険性が考えられますが、それ以外の系統には主蒸気系から波及しない限り、放射能が漏れ出す事はありません。

 ですから、配管が壊れたりしない限り、エリアの空間放射線量が上昇することはなく、エリアモニターが警報を発生する事は、まずありません。

 しかし、核燃料被覆管が破損、もしくはピンホール(針の穴)と呼ばれる微小な穴があいた場合、核物質が流出し、主蒸気系の放射能が上昇する場合があります。この場合はプロセスモニターのメーター指示が上昇します。主蒸気管モニターの放射能が一定レベル以上上昇した場合、核燃料の破損(放射能漏れ)とみなし、原子炉は自動停止し、PCIS(原子炉格納容器隔離系)が動作し、原子炉を物理閉鎖するようにシステムが組まれています。

 他にも、空調系の放射線モニター指示が上昇した場合はプラント内部で放射能漏れが発生しているとみなし、通常換気空調系は自動停止、原子炉建屋の空調ダクト隔離ダンパは閉鎖され、非常用排気ファンSGTSが起動する事によって、自動的に建屋内の放射性物質が環境へ漏れるのをシャットアウトするというインターロックもあります。
 また同時に中央操作室ブースターファンと呼ばれる排気ファンも自動起動して操作室が強制換気されます。これによってプラント操作をする我々運転員の安全も確保しています。
(死ぬ前に事故対応操作をキッチリ行えるようにしてあるとも言う<コレは言い過ぎか(^_^;)

 ちなみに、このエリアモニターとプロセスモニターは非常に高感度に作られています。現場のセンサーにショックを与えたりすると、いきなり警報が発生します(もちろんすぐに復帰しますが)
  ちょっと大きな電気ドリルなど、工作機械の電源ノイズも検出してしまいますし、もちろん携帯電話の電波(着信時、通話時は結構強い電磁波が出ています)なども影響を与えます。

 そのため、センサーの検出表示ユニットがある計器室は携帯電話持ち込み禁止になっていますし、作業などで電気ドリルなどを使用する場合はあらかじめモニターをバイパスしておいてノイズ試験を行い、モニター誤動作によってプラントが緊急停止しないように対応しています。

 そんなわけですから、原発見学に来た時には、必ず携帯電話の電源を切ってください。万一あなたの携帯電話のノイズでプラントが停止してしまったら『シャレにならない金額(億単位)の賠償請求』が出る危険性がありますので。

 また、原子力発電所が異常に強力な電磁波攻撃等を受けた場合には、放射線モニターの異常信号によって原子炉緊急停止、場合によっては原子炉物理閉鎖という事になってしまう事も推測されます(と言っても外部からECM攻撃された程度ではビクともしないと思いますが(笑))

 このように、高感度の放射線モニターシステムによって、プラントの放射線は監視され、そのモニターが異常を感知した場合には、外部へ漏れ出す前に原子炉を緊急停止したり、原子炉の隔離が行われたりするようになっているのです。


「発電所のポンプ等の電源が無くなったら?」

 発電所の運転にも電気を使います。原子炉に給水するポンプや、制御装置をはじめ、空調ファン、建物の照明まで、結構な電力を必要とするのです。この電力は原子炉運転中は自分の発電機の出力から分岐した電源母線を介して供給されます。要するに所内電源系は自家発電で賄われているわけです。

 また、何らかの原因(原子炉の緊急停止や発電機の故障など)で自分の発電機が停止してしまった場合や、定期検査や燃料交換などでプラントが停止している時には、普段電力を送電している送電線から逆に電気を受け取り、変圧器を経由して所内に必要な電力を確保しています。ちなみにプラント停止中は大型機器がほとんど停止している為、消費電力は格段に低下します。

 従って、発電所の所内が停電するという事は、所内の電源システム自体が故障した場合、もしくは送電線の故障により外部からの供給が受けられなくなった場合が相当します。なお、送電線の故障が起きた場合、原子炉高出力運転中の場合は原子炉が自動停止する事もありますが、出力変動を上手く吸収できた場合には所内単独運転と呼ばれる、自分の発電機の電力をすべて所内で消費するという運転が可能な場合もあり、この場合は停電しません。

 また、制御コンピュータの電源は無停電電源装置(交流A系B系直流予備の3系統により受電されるシステムです)と大容量バッテリーシステムでバックアップされ、制御装置の電源が無くなる事はほとんど考えられません。

 しかして。不幸にして所内が停電した場合には、電源の喪失をリレーが検知すると同時に原子炉は自動停止(全制御棒がアキュムレーターの圧縮空気により挿入される無電源停止です)されます。もちろん運転しているポンプ補助機器も停止し、照明も非常照明以外のものは消灯となります。(ちなみに運転訓練で所内電源喪失時の訓練をする時には、シミュレーター室の照明がホントに消えます)

 そして停電から10秒でD/G(非常用ディーゼル発電機)(6.5MW(メガワット)の大容量を誇る発電機です)がフルパワー起動し、所内電源系の非常系に電源が供給され、一部の運転に欠かせない機器が自動起動します。また、原子炉の水位が低下している場合にはECCSが自動起動(オートピックアップと呼ばれています)し、炉心に注水を実施します。非常発電機出力に余裕があればいくつかの補助機器の手動起動も行います。そしてプラントを安全に完全停止させるところまで非常電源で運転し、送電線からの供給再開を待つ事になります。

 なお非常用ディーゼル発電機はA系、B系それぞれに一機づつあり、どちらか片方の発電機だけで所内供給が可能になっていますので、万一片方の起動ができなかった場合でも大丈夫になっています。

 ちなみに、信じられない事ではありますが、両方の非常電源が使用できない事態が発生した場合(SBO/Station Black Outと呼ばれ、発電所最悪の事態とされています)でも、所内バッテリーのみで原子炉を停止させタービン駆動のポンプを制御して原子炉の給水を行い炉心の水位維持が可能です。原子炉は大丈夫なのですが、この場合はタービン機器などを余裕を持って停止するのが困難で、機器を壊さずに安全に停止させる為の必要最小限の処置しか行えないという問題はあります。

 というわけで、停電が起き難い電源構成になっている事と、非常用電源が確保されている事、最悪の場合バッテリーのみでも停止が可能になっているという事で、停電対策がされているのです。


「プルサーマルって?」

 しばしばニュースでも取りざたされる「プルサーマル」。

 これは通常ウラン燃料を使用している日本の原子力発電所の炉心に劣化ウラン(もしくは天然ウラン)をベースにプルトニウム酸化物を混ぜた「MOX(モックス)燃料」を装荷して発電しようというものです。

 ちなみにプルトニウムは、普通に使われているウラン燃料が燃焼している時に、燃料内に新たに生成されるもので、天然には存在しません。また、ご存知の通り、核分裂する性質を持っています。

 プルサーマル計画では、この生成されたプルトニウムを再処理して、同じく再処理されたウランと一緒に再利用しようとしています。

 使用方法は、通常使用される核燃料と同じで、炉心にMOX燃料の燃料集合体を装荷して使用します。制御も今までどおり、制御棒と原子炉再循環流量制御で行ないます。

 この方法は既にフランスやドイツ、スイス等でも使われていて、実は別段新しい技術ではなかったりします。

 そして、意外と知られていないのですが、現在使われているウラン燃料が燃焼していくうち、燃料内で生成されたプルトニウムは、運転中の炉内でウランと一緒に核分裂反応を起こしていて、既に出力の一部を担っているのです。

 これは『燃焼途中のウラン燃料はMOX燃料になっている』とも言えると思います。

 そして実際、原子炉でウラン核燃料を一年間反応させて発生する全発電量のうち、30%はプルトニウムが核分裂したエネルギーによるものになっているのです。

 ですから、見かたを変えれば、今までは炉内でプルトニウムを作って燃やしていたという物を、あらかじめ新燃料内にプルトニウムを混ぜておいて燃やすというようにも解釈できると思います。

 ・・・というわけなのですが、やはり「プルトニウム」自体に抵抗があるという事なのでしょうか、結構反対されていますね(哀)

 個人的には廃棄物にするくらいなら再利用した方が良いと思っているのですが。


「地震が起きたら?」

 地震が発生した時、原発に何を恐れるかというと、多分「原子炉建屋」や「原子炉直結配管」が壊れる事では無いでしょうか?

 建物が崩れて、原子炉が壊れて、放射性物質が撒き散らされる・・・というのが恐いという訳で。

 そこで、その恐怖から逃れるべく、さまざまな対策を施しています。

 まず、原発はなるべく地震の少ない、強固な岩盤を持つ地域に建設されます。

 「東京の夢の島に作ればいいじゃないか」という意見があっても、埋め立て地は地盤が緩いというのが大きな障害になるのです。

 (個人的には東京に原発があれば、長男の私が実家を離れて福島に居る必要も無くなりますし、助かるんですけどね(笑))

 そして、建物を耐震構造にしてあります。高層ビルのような揺れる耐震構造「柔構造」ではなく、岩盤にがっちり構えた「剛構造」の耐震設計になっていますね。

 耐震強度は通常の建築基準の3倍程度です。

 つまり、極端な話をすると、通常設計値の2倍の強度の地震で街の建物(自分の寮も含む)が全滅(2倍の強度なら必ず全滅しますよ)しても、職場は無事に済むという・・・(苦笑)

 で、地震で建物が崩れないのは良いとして、次に原子炉自体の保護の問題ですが、大地震の最中に原子炉の運転を続けるのは危ないですよね。

 地震によって原子炉内の制御棒が揺れて中性子束振動が発生する危険もありますし、原子炉を始め、各種タンクの水位も変動します。また、タービン等の回転機器の振動も増加しますから。

 そこで、ほぼ正方形の原子炉建屋の地下。その四方の角に「地震感知器」が設置されていて、この感知器が設定された値より大きな地震を感知すると、原子炉を緊急停止(スクラムといいます)させるようになっています。

 ちなみに、誤動作によってスクラムしないように、4つの地震計のうち2つが信号を発生した場合に、原子炉がスクラムするようになっています。

 地震によるセンサー動作で原子炉が止まってしまうので、中央操作室ではスクラム対応操作を行い、現場では地震によってプラントに異常が無いか、緊急パトロールを行います。

 その後、地震が収まり、現場に異常が無ければ、発電を再開する事になるでしょう。

 要するに、頑丈に作ってあって、さらに大地震が来たら原子炉は自動的に止まるという事ですね。

 でも、福島県の浜通り地方にホントに大地震が来て、福島第一と第二原子力発電所の全原子炉が停止すると、合計9096MW(メガワット)の電源が喪失しますので、最悪東京大停電が発生する危険性があるかも知れません。

 今の東京が、完全に停電したら・・・恐ろしいですね。


「原子炉の冷却水が無くなったら?」

 冷却剤=「水」がすべて無くなってしまうと、原子炉が「カラ炊き状態」となり、「メルトダウン(炉心融解)」の危険性があります。

 通常運転中は水位制御系によって、原子炉の水位は一定に保たれています。4千トン毎時の蒸気量と給水量の制御を、それこそミリ単位の高精度で行っているのです。

 そして、原子炉の水は基本的に「閉ループ」を構成しています。つまり、系統外部との水の出入りがほとんど無い訳です(一部、炉水分析サンプリング用に採取されたりしますけど)。

 また、通常運転状態ならば蒸気として原子炉から出ていく量と、給水される量がほぼ一致している(ミスマッチが無いと言います)ので、水位は変動しない訳です。

 では、どんな時に原子炉の水が減るのか?

 それは、給水ポンプが壊れて原子炉に水が入ってこなくなった場合や、配管が壊れて原子炉系の水もしくは蒸気が漏洩した場合などが考えられます。

 前者の対策として、給水ポンプには予備機があります。通常2台運転しているポンプが壊れても、すぐにスタンバイ機が自動起動して、給水を維持します。

 そして、後者の場合。

 基本構造として、原子炉内部、核燃料が格納される炉心部分は、炉心シュラウドという容器に格納され、原子炉再循環系の配管破断によって炉水が漏れた場合(最悪の配管破断事故です)でも、核燃料付近から冷却材が喪失しないような二重底構造になっています

 そして原子炉保護系の安全インターロックとして、原子炉の水位がある程度低下した時点で、原子炉はスクラム(緊急停止)するようになっています。

 これにより、蒸気の発生が抑制され、原子炉から蒸気という形で冷却材が流出するのを抑制できます。

 原子炉が止まって、蒸気が出なくなれば、炉の水は無くならないわけです。

 ちなみに、原子炉の水位計測器は4系統あり、それぞれのセンサーは多重化されています。万一、水位計測器が片方故障した場合でも、もう一方で制御が可能です。

 また、原子炉の水位レベルには通称「L−0」から「L−8」と呼称される一定のインターロックレベルがあり、通常運転水位は「L−5」、前述の自動スクラム及びPCIS(原子炉一次格納容器物理閉鎖)動作時の水位は「L−3」、以下に記述するECCS(非常用炉心冷却系)起動、及び主蒸気隔離弁閉鎖水位は「L−2」にあたり、数値が大きいほど原子炉水位が高くなります。

 さて、原子炉が緊急停止しても、まだ原子炉の水位が低下する場合には、ECCSが自動起動し、給水とは別の配管から原子炉に注水され、原子炉格納容器内からの冷却剤の流出を止めるため、原子炉一次格納容器隔離弁が閉鎖され、リアクターは物理閉鎖されます。

 なお、ECCSポンプは複数基あるうえ、A系B系に別れて独立したシステムになっていますので、万一片方のECCS系が故障しても、もう片方の系統で機能を果たせるようにしてあります。

 格納容器が物理閉鎖されると、あとは原子炉冷却材を原子炉格納容器内部で循環させて、冷却、水位確保を行います。

 閉鎖された格納容器内で格納容器下部のチェンバーから水をくみ上げて原子炉に注水し、原子炉から漏れ出た分は格納容器内に漏れ出て圧力抑制チェンバー内に流れ込む。ここを水源にして再び原子炉に水を送るのです。

 漏れ出る量よりも、流し込むポンプの容量が十分大きく設計されているので、原子炉の水位は維持できる訳です。

 また、更に最悪の場合に備えて、消火栓の水を原子炉に注入する事が可能であったり、どうしようもない場合には海水ポンプの海水を原子炉に注水して、格納容器ごと水没させるというかなり強硬な手段もあります。

 というわけで、核燃料まわりの冷却材が無くならないような設計がされている事と、多重の代替注水手段が確保されていることで、炉心が露出しないようになっている訳です。

 でも、安全解析の結果を見ると、よっぽどの事故が起きないとECCSが回るようなレベルまで水位が低下するような事はないようです。


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