ラプラスの魔

発売 1987(Hummingbird Soft)
ジャンル 3Dダンジョン型RPG
機種 PC-8801、PC-9801、X68000等

 

 1987年、雑誌コンプティークでなんと半年以上に渡って、攻略が掲載されたゲームがありました。監修・安田均氏、ハミングバードソフト渾身のホラーRPG『ラプラスの魔』です。
 1920年代、マサチューセッツ州の田舎町・ニューカムのはずれに建つウェザートップ館。荒れ果てたその館で次々と恐ろしい事件が起こることから、人々はいつしかここを幽霊屋敷と呼ぶようになる。そして、この噂を聞きつけた冒険者たちは、謎を解き明かすべく、屋敷に潜入するのだった…。
 クトゥルフ神話をもとにこれ以上ない!という難易度で完成した傑作RPGです。

 小坂明子さん作曲の勇ましいOPテーマをバックに、雷光に照らされる不気味な館の姿をとらえたオープニングが終わると、さっそくゲーム開始。
 まずはキャラクターメイキング。探偵、科学者、ディレッタント、ジャーナリスト、霊能者の5つの職業が選べます。
 ゲームを進めながら、このキャラクターたちに様々なスキルを身につけさせていくのですが、このスキルというのが、『ラプラスの魔』の重要な要素で、物理戦のための銃や剣、精神戦のための精神戦闘はもちろん、回復のための医療手当、さらには捜索や謎解き、交渉、尋問といったスキルも必要となります。
 そう、主人公たちの目的はあくまで館の探索なんですよね。敵と出会えば戦うことが普通ですが、場合によっては交渉して去ってもらったり、敵いそうになければ降伏したり、さらには降伏してきた敵を尋問して、情報やアイテムを巻き上げたり…。生き残るためには何でもします。
 また、写真撮影の技術も不可欠です。当たり前なんですが、敵を倒してもお金なんて手に入りません。だから、探索に必要な資金はモンスターの写真を撮影し、それを売ることによって稼がなくてはならないのです。
 フィルムの所持数に制限はあるし、ピンボケだと高く買ってくれないし、資金稼ぎも一苦労。スキルもお金で買うものだから、ゲーム終盤までお金に余裕はありません。やっぱり、何事も資金稼ぎが一番大変なわけです。
 これらの要素が『ラプラスの魔』の難易度を上げていることは間違いないでしょう。敵を倒して、レベルを上げて、ダンジョンを進んでいけばクリアできる。そんな温いRPGとは比較にはならないくらいの戦略性と集中力を必要とするゲーム、それが『ラプラスの魔』なのです。

 ホラーの醍醐味〜ウェザートップ館〜

 何はなくともまずはこの幽霊屋敷の探索です。意気揚々館に乗り込んだはいいものの、いきなり入り口の扉は閉ざされてしまいます。館から出るためには、ここで3階にある鐘を鳴らさなくていけないんですが、パーティーにそれを知る由もなく、そうこうする間に強敵とぶつかって全滅なんてこともあり。初っぱなから強烈な洗礼を受けます。
 とはいえ、さすがにゲームの序盤。さして難しい謎はありませんが、やはり戦う敵を間違えたり、アイテムの有無によっては簡単に全滅します。
 とにかく各部屋にイベントがあるし、何より現代ホラーの恐怖感漂う雰囲気は後半のラプラス城にはないものなので、それを楽しみつつ、ゲームの基礎を覚え、キャラクターを鍛えていきましょう。
 しかし、散々モンスターを殺戮しているプレイヤーたちが精神的ダメージを受ける館主の母親の「むごたらしい死体」とはどんな死体だったんでしょう?不気味なCGもあるし、想像するとかなり気味が悪いですね。

 ここからが本番〜ラプラス城〜

 ウェザートップ館から五芒星でワープすると、そこはラプラス城。ゲームもホラーから一気にファンタジーへと様相を変えてきます。
 城は20×20の複雑な迷路になっており、ワープや隠し扉はもちろん、まったく道が見えないジャングルや、向きを変えただけでも回転床が作動する霧の湖など、城に似つかわしくない地帯までもがプレイヤーの行く手を阻みます。
 敵もクモやネズミから、城の番兵にトロール、ミノタウロス、ドッペルゲンガー、デーモンといった強力なモンスターたちに。ちょっと油断すれば死が待っています。特に城も後半になると、物理戦闘から精神戦闘が中心となり、前半ではお荷物だった霊能者が凄まじい力を発揮し出します。逆に前半の主役・探偵はMPが低いため、あっという間に発狂なんてことも。ここで心理療法のスキルやMP回復アイテムの護符が重要となってくるのです。
 尋問のスキルも大活躍。敵を降伏させて、アイテムを巻き上げていきましょう。城からは使えるアイテムがどんどん手に入ります。まさに、パーティー全体での総力戦。どのキャラにどのスキルを持たせるかが重要な意味がわかってもらえると思います。

 まさに死と隣り合わせ、戦慄のトラップ

 このラプラス城、はっきりいって、シャレになってないトラップが張り巡らされています。ダメージを受ける程度なら可愛いもので、キャラ消滅やパーティー全滅という凄まじいトラップがプレイヤーを待ち受けています。ここまできて、こんなトラップに引っかかってはやる気もなくすってもの。恐怖のあまり、リセットボタンに手をかけながら、探索を続けることになるでしょう。
 これこそ一瞬の判断ミスが死を招く緊張感!
 …やりすぎだと思いますけどね。

 多士済々のNPCたち

 地下1階には牢屋があり、多くのNPCが捕らえられています。彼らを仲間にして、それぞれのミッションをクリアすると、莫大な経験値が得られるので、やらない手はありません。
 しかし、盗賊のジャック。こいつはミッションを果たすと、パーティーの有り金をすべて奪って消え去るとんでもないヤツ。それを知っていれば仲間にしたくはありませんが、こんなやつでも役には立ちます。
 そう、草壁健一郎。ある部屋で死体になっている彼は、パーティーの霊能者か最後尾のキャラに憑依してしまうので、ジャックの体を提供してあげましょう。育てたキャラが消えることもなく、邪魔者の処分もできるので、一石二鳥です。
 騙したつもりが騙されて、肉体を乗っ取られてしまうジャック…。自業自得とはいえ、あまりに哀れすぎます。
 この健一郎がゲームの鍵になりまして、特に最終決戦では彼の有り難みを存分に感じることになると思います。

 史上最凶!ゲームマスターの迷路

 城1階から上がってくると、すぐ横に隠し扉があって、これに気づかないとまっすぐ無限回廊行きと、あまりに非情なラプラス城2階。
 しかし、これもゲームマスターの迷路に比べれば赤児のようなものです。
 10×10の迷路を一筆書きの要領でクリアしなければならないのですが、これだけでも頭を悩ますのに、なんと一部の壁の有無がランダムで決まってしまうのです。つまり、クリアできるかできないかもランダム(たいていダメ)。正気の沙汰ではありません。
 意地悪もここまでくると、制作者の人間性を疑いますね。『ラプラスの魔』でも最大の難関かもしれません。
 私自身、ここで何度投げだそうと思ったことか…。

 最終決戦へ!

 数々の謎を解き、城5階で王冠をゲット!逃げたラプラス候を追って、地下2階へ向かうことになります。
 地下2階は王冠がなければまったくの暗闇、さらにコンパスも使えないし、発見できない罠、解除できない罠がそこら中に仕掛けられているという狂気のフロア。
 ここを抜けると、不気味な悪魔像が立ち並ぶ部屋にたどりつきます。悪魔像を調べると登場するグレーターデーモン(それぞれ「白き魔王・○○」という名前がある)を降伏させ、尋問すると、最後の扉を開くキーワードの一部がわかるのです。
 そして、問題の最後の扉。
 ここでさきほど発見したキーワードを打ち込むのですが、普通のキャラクターが打ち込んでも扉は開きません。そう、直前にヒントが書かれているのですが、「城にて霊界を通らざる者」は扉を開けることができないのです。
 つまり、城で死亡し、その死体を死体置き場から回収してもらったキャラクターのみがこの扉を開けることができるのです。
 ここまで来て、なんと面倒な!『ラプラスの魔』の難しさの真髄がわかってもらえると思います。

 とにかく難しい。
 ただ難しいだけなら、理不尽なクソゲーなんですけど、『ラプラスの魔』に関してはそれが「やり応えがある」ゲームまで昇華されていたと思いますね。
 ひたすら暗い雰囲気、豊富なイベント、一つ間違えば死が待っているという緊張感、解き明かさずにはいられない謎の数々、何よりそれらすべての根底にあって、ゲームを支配している恐怖感。
 それこそ、『ラプラスの魔』が異常な難易度のゲームながらも、傑作として語り継がれている理由なんでしょうね。

 なお、『ラプラスの魔』はノベル化されており、中学の頃読んだと思うんですけど、なかなか読み応えのある面白い作品でした。
 また、PC-EとSFCにも移植されていて、PC-E版は私もプレイしましたが、オリジナル版にあった雰囲気が削がれており、難易度も下がったせいで(ちょうどいい?)緊張感もなく、オリジナル版と比べるとちょっと評価できないですね。オチもひどすぎですし。
 SFC版はまったく違った作品となっているようです。

2002年1月21日 記








レビューのインデックスに戻る