日本の人口は現在１億２千万を超えていますが、穀物の自給率は４割程度だと言われています。これはつまり、輸入や輸出をしなければ、日本には食えない人が多く発生するであろう事を、意味しています。
１億２千万人の４割と言えば、４千８百万人です。日本で米や麦を作るにしても、石油や天然ガスなどのエネルギーを使った農業をやっているため、おそらく江戸時代のように鎖国すれば、さらに食える人口は減ってゆくはずです。
実際江戸時代の人口は３千２百万人くらいでほぼ横ばいだったとされていますので、現在の人口に比べると約４分の１です。ちなみに、平均寿命は５０歳程度であったようですが、これはもちろん全員が５０歳くらいで亡くなるというものではなく、子供が多く生まれてもその多くが子供の頃に病気で亡くなり、長生きする人は７０、８０歳まで生き続けたと考えられています。
一方北朝鮮の人口は、十年くらい前に２４００万人程度でピークを迎え、その後の洪水等の自然災害によって餓死者が多く発生し、２０００万人強程度まで減少していると推定されます。２４００万もの人口を支えてきたのは旧ソ連などの絶大な支援と、おそらく在日本の同胞と呼ばれる人々からの送金によるものだろうと思われます。
しかし、ご存じのように１９９１年にソ連は崩壊しました。当然絶大な支援は無くなります。そこで食うために山野の木を切り続けて燃料に変えるようになり、さらに穀物増産のための田畑作りで木々が失われ、山の保水力が衰え、ついに１９９５、１９９６年には大洪水が起こることになります。こうした災害は人口が増えた途上国によくみられる災害のようです。
となれば残る頼りの綱は日本に在住する同胞からの送金です。ところがご存じのように最近になって北朝鮮に関するさまざまな、しかも良からぬ噂が本当だったことが明らかになってきています。拉致、スパイ船、覚醒剤密輸、工作員・・・。祖国を思って送金を続けてきた在日の人たちは、自分たちの送ったお金がミサイル作りに使われ、しかもそれらが自分たちの方向に向いているという事実に驚愕したに違いありません。
自分にとって都合の悪いことは、たそえそれがいかに本当らしく思えても、認めようとしなかったり、あるいは無かったことにしたい、という心理が強く働くものです。しかし、こうした心理作用も、相次ぐ事実には勝てません。
送金が祖国のためになっているのか、という疑問もわいて来るはずです。同時に、日本で生まれて日本で育ち日本語を話す自分は一体何人なのか、アイデンティティがぐらついてしまうのも当然だろう、と思われます。
アメリカに住んでいるユダヤ人はイスラエルに送金し、同じくアメリカに住み豊かになったアラブ人（パレスチナ人）は、自分らだけが豊かになったことによる後ろめたさからか、パレスチナ側に送金すると、言われています。
両者は同胞を支援するという”善”を為しているつもりが、結果的には紛争に必要な物資を与え続け紛争を長引かせるという”悪”を為している、という矛盾に悩まされることになります。
おそらく、在日の人々の間にも同じような矛盾が渦巻いているはずです。この矛盾は送金を抑制する方向に作用すると考えられます。
完全に支援を絶たれた場合、鎖国時代の日本に相当する人口規模に向かうと思われます。２４００万人の４分の１は６００万人ですが、国連の世界食糧計画からの食料支給が、横取りされながらも、細々と続くはずですから、そこまではゆかずとも、徐々に半減程度のところに向かうように思います。これはもちろん、北朝鮮の現状が変わらなければ、の話ですが・・・。
-2003/7/27
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北朝鮮の人口が半減する可能性