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ISBNコード
あくまで私的な紹介
ミステリ/文庫 小学館文庫
ISBN10:
4094081666
ISBN13:
978-4094081664
512p 
15cm(A6)
(2007-05-10出版)
 大薮賞にノミネートされたとき、一部、内容の誤認があるとの指摘があって、イイ線いってたのに、落選。その「待ち会」の席では、その誤認とされた部分は、確かに事実に反するものの物語上の設定からすると(詳しくは書けない)、仮にそうであってもなんら問題ないはずだ、という編集担当者各氏の意見が出た。たしかに私もそう思うが、そもそも賞の選考とはそういうものだ。
 また、指摘事項をうっかり見落としたことは事実で、もし気づいていたらそうは書かなかったと思う。だから文庫化にあたっては、当該部分を書き換えた。
 解説は松原隆一郎さん(東京大学大学院教授)。
 左の写真にはないが、オビのコピーは、「非エリート現場銀行員の誇りをかけた戦い いまに見ていろ。必ず暴いてやる」。小学館で編集を担当していただいている、山田義知さんの力作。
経済/単行本 実業之日本社
ISBN:4408534986
496p 
19cm(B6)
(2006-09-15出版)
 今まで、金融ミステリを書いてきた。ミステリなのに、書店での定位置は経済小説の棚。「なんでよ」って思っていた。「これはミステリなのに」。挙げ句、ミステリ好きの範疇から外れ、経済小説好きからも範疇から外れる。極々少ない読者に支えられてきた。
 でも、この本だけは違う。ミステリではなく、本当に経済小説として書いた。まともに経済小説を書こうと思って書いたのは、これがはじめてだ。
 今までの経済小説って、どんな小説だと思われてきたのだろうか。経済小説イコール情報小説。そんな風に読まれてきたし、書かれてきた側面がとても強かったのではないか。
 小説よりも前に、経済であり、情報ありき。だから、ストーリーや登場人物の造形に読者はあまり期待してこなかったし、実際書き手の側もそこに重きを置いてはこなかった気がする。
 現場を取材して、新たな情報と切り口を提供するのが従来の経済小説であるのなら、『空飛ぶタイヤ』全く違うシロモノだ。極論を言えば、この本において情報なんてどうでもいい。それは単なる背景に過ぎない。大切なのは人。トレーラーから外れたタイヤに直撃され、人が亡くなるという悲惨な事故をきっかけにして様々な試練にさらされ立ち向かう人間群像。それしかない。みんな人間なんだ。情報を伝えるための駒じゃない。
 経済小説だって、普通の小説みたいにハラハラするし、感動するし、おもしろい――そう思ってもらえないかなと期待して書いた。
 どうだろう。私の試みは成功しただろうか? そして、「これなら経済小説でも読んでやってもいいや」と思ってくれる本好き読者が少しでも増えただろうか。だとすればうれしい。これからもこういう小説、書いていきたい。この小説を書いているとき、とても楽しかった。そして、これほど、連載時からたくさんの人に応援してもらった小説もなかった。どうもありがとう。
ミステリ/文庫 『BT’63』(上・下)

講談社
ISBN:4062754134/
4062754142
395/451p 
15cm(A6)
(2006-06-15出版)
 ただの文庫ではない。私にとってはnew『BT’63』。
 あれから三年経って、なおも私の頭の中で走り続けているBT21号車から様々な思念の欠片をもらった。
 プロットらしいものも無く、書くというより、登場人物たちの人生をただ忠実に記録して出来た単行本『BT』。BT21号車がその役目を終えたあの川崎のガレージの場面で、作家というより記録者としての私の仕事も終わったと思っていた。ところが、その後もグリーンのボンネットトラックの幻影は様々なところで、ああしろこうしろと私に語りかけてきて、結局、文庫版という新たな形でそれを物語の中に落とし込み、修正する作業に追われることになったのである。
 装幀は、単行本から引き続き藤田新策さん。文庫版の出版が決まったとき、藤田画伯以外の選択肢は、当初から全くなかった。
 「現代から過去へ 父から息子へ 母から娘へ 絶望から希望へ 記憶の鍵 喪失と再生 崩壊する家庭 覚醒する自我 恐怖と勇気 記憶の謎」という名文句をちりばめたオビは講談社西川君。さらに上下巻二つ並べるとオビがつながるという出色の出来。
 いい本になったなあ。これならBT21号も文句はあるまい。読者の心の中で、そして筆者の中で、ロングノーズの巨体が永遠に走り続けてくれることを願っている。
ミステリ/単行本 『シャイロックの子供たち』
文藝春秋
ISBN:4163246304
305p 19cm(B6)
(2006-01-30出版)

 「人」としての銀行員を描こうと思って書いた本。
 ある架空の支店に勤務する(あるいは関わる)銀行員十人が、それぞれの人生を語りつつ、ひそかに支店内部で起きている大事件に迫っていきます。
 私自身、「シャイロック」はかなり好きな小説ですが、銀行の情報小説的側面を期待して読む人には、物足りないかも知れない。
 でも、前から言っているように、私は企業小説を書いているのでもなければ、情報小説を書いているのでもありません。私が書いているのは、あくまで普通のミステリ小説なのです。
 それと、当然のことですが、本書に私の実体験は含まれていませんのであしからず。この銀行、支店のあり方、そこで行われる人事なども含め、全ては想像の産物です。それは本書だけではなく、他の作品にも共通していえることですが。
 この小説は、銀行という舞台設定になっているけど、一般的な会社に勤めるサラリーマンにも当てはまりませんか?
 仕事が嫌でも辛くても、家族や恋人のためにがんばっている人たちはいるし、その人たちにも夢はあるはずですよね。
 「シャイロック」では、銀行員の姿を借りて、そういう人たちを丁寧に描いてみたかったんです。
 女性の読者に共感してもらえたらうれしいですね。
ミステリ/文庫 『仇敵』
講談社
ISBN:4062752840
373p 15cm(A6)
(2006-01-15出版)

 『仇敵』の文庫版です。
 この本は、わかりやすいと思います。勧善懲悪で、善悪の単純な構造で、気楽に読んで(きっと、早い人はあっという間に読んでしまうと思いますけど)楽しんでいただけたら幸いです。
 ちなみに、主人公・恋窪商太郎の仕事は、庶務行員です。
 庶務行員というのは、たとえば、CDコーナーなどで腕章をまいて案内しているおじさんたちのことです。一般行員とはまったく違う処遇で、支店の裏方。でも、私が銀行に入ったとき、支店に勤務していた庶務行員のおじさんにはとても可愛がってもらったんですよね。
 庶務行員を主人公にしようと思ったのは、そんな記憶があったからでした。現実の庶務行員さんはここに書いているような「冒険」はしないし、ここに出てくるような大事件にでくわすこともないでしょうけど。
ミステリ/文庫 『銀行総務特命』
講談社
ISBN:4062751534
421p 15cm(A6)
(2005-08-15出版)
 装幀は、藤田新策さんです。
 なぜ藤田さんか? 本書は、もともと「週刊現代」で連載された小説なんですが、とにかく金融っぽい。企業小説というジャンルは、とかく小説より情報に目が行きがちですよね。
 そこで、もっと小説として読んで欲しいという思いから、独特のストーリーを感じさせる絵が個人的に大好きな藤田さんに装幀をお願いしました。
 本書は、『銀行狐』という本の表題作で活躍する主人公が全体を通じての主人公になっています。いろんな形のストーリーを意図的に配置して、飽きられないように工夫したつもりなんだけど、どうかな? ちなみに、地方地に連載した長編小説の主人公は、本書のヒロイン唐木怜です。
ミステリ/文庫 『MIST』
双葉社
ISBN:4575510211
381p 15cm(A6)
(2005-07-20出版)

 文庫化した『MIST』。
 安っぽいとか薄っぺらいとか、いろいろ言われている『MIST』(笑)。すみませんね、ほんと。でも意外なことに、「実は私、この本が好きなんです」という告白を聞かされるのも『MIST』。どうやら、好きな人は好きらしい。これは作者も意外だったりして・・・・。
 この文庫化に際して、本当は雑誌連載時のときのように、連作短編集に戻すつもりだったのですが、どうも自分の中で決心がつかないというか、どういう形に収束するのかわからなくて、そのまま文庫化しました。だけど、できればいつか『原作MIST』という本を出したい。いや、そんなことする時間があるなら、新しい本を書いたほうがいいかな。
ミステリ/単行本 『銀行仕置人』
双葉社
ISBN:4575235164
321p 19cm(B6)
(2005-02-25出版)

 「小説推理」に連載した小説の単行本化です。担当の山上さんがヒジョーに一生懸命に作ってくれた一冊。『オレたちバブル入行組』に続き、あえてソフトカバーで作ったのもできるだけ読者の手に取りやすいようにという配慮からです。
 物語は、例によって填められ座敷牢に入れられた主人公の復活劇です。ちょっとサラリーマン小説っぽいというか、ミステリ好きの人にはどうかな、という気もする勧善懲悪モノで、解決までのプロットにこの本らしさみたいなものがちらほら(イマイチ意味不明ですね)。
 ある意味「バブル入行組」と似ているのですが、作者のマインドとしてはまるで違います。この本についていまお話すべきことは特にないですね。
ミステリ/単行本 『オレたちバブル入行組』
文藝春秋
2004年12月5日
4−16−323600−7
 本書は「別冊文藝春秋」に連載していた小説の単行本化です。まとめるとき、序章と終章を新たに書き加え、物語の奥行きというか立体感を出すよう工夫しました。
『果つる底なき』で作家になって以来、銀行ミステリと言われるものを何作か発表してきたわけですけど、実はこの小説が一番、等身大の銀行を書いている気がします。そのせいか作者としてはとても親近感がある、大事な小説になりました。
 タイトルは、私自身がかつて銀行に勤めていて、「バブル入行組」と言われたところからつけました。
 当時、新人で入った私たちの合い言葉は「歌って踊れる銀行員」。そんな同期の連中もいま中間管理職になっています。
 どんな組織でもそうだと思いますが、中間管理職っていうのはつらい仕事ですね。その上彼らは、入行後すぐにバブル崩壊の憂き目に(泣)。銀行員生活の半分以上を不良債権処理など悲惨な環境で耐えなければならなかった不遇の世代でもあります。
 本書は、そんな私の友人達、バブル時代に入行して「なんか銀行に入ってもいいことないなあ」と思っている人たちに向けた、私なりのエールです。

 さて肝心の物語ですけど、そうですねえ、中年の青春小説っぽい作りに、クライムのベールをかぶせたような作風――って全然わかんないか。とにかく、読んで下さい。読めばわかる。はっきり言って、一晩で読めます。自分で言うのもなんですけど、読みやすいです。
 痛快で、日頃の鬱憤を少しでも晴らしてもらえるような、そして少しは夢とか希望とかに向かってチャレンジしようかなと思えるような、そんな小説であればうれしいですね。
ミステリ/単行本 『不祥事』

実業之日本社
2004年8月15日
4-408-53461-7
『金融探偵』出したばかりなのに、また出してしまいました。すみません。えーと、この本はですね、「J−novel」(実業之日本社)という雑誌に連載していた「狂咲舞のテラー日記」という小説を単行にまとめたものです。
「J−novel」というと、前回の連載では「恋窪商太郎の事件ファイル」というのをやって、それは『仇敵』という本にまとめたんですけど、これはその第二段! といっても、主人公は恋窪ではなく、花咲舞というかわいい女子行員です。女子行員というと、恋窪の庶務行員と同じく銀行では恵まれない職種なわけで、そういう弱い立場の人間が、エリート行員たちをバッサリとやっつける。そんな痛快な物語を書こうと思って連載を続けました。サラリーマンとかビジネスマンはもとより、実は学生さんやビジネスには無縁のフツーのミステリファンの方々に私の小説も読んでくれないかな、というささやかな祈りを込めて上梓します! みなさんよろしくお願いします。ペコッ(頭下げる音)。
ミステリ/単行本
『金融探偵』
徳間書店
2004年6月30日
4−19−861871−2
「問題小説」に連載していた短篇を集めたものです。
へんな表現ですけど、"広義の"銀行ミステリ。主人公の大原次郎は、破綻した銀行の元行員。再就職のための活動を続けつつ、持ち込まれた難事件(?)を解決していきます。著者としては結構気に入っている短編集なのですが・・・。
ミステリ/単行本 『株価暴落』
文藝春秋
2004年3月30日
4−16−322780−6
ひさびさの書き下ろし。銀行ミステリの長編です。この小説で苦労したところはふたつ。ひとつは、昨年二月に小説のあり方というか、小説を書くということに「気づいてしまった」私ですが、そのときすでに半分は書き上がっていたということ。だから小説の合理性等とはまったく別な次元で、その後の半分を自分の中でどうすりあわせていくのかという作業が大変だったということです。次に、「金融・経済のジャンルを書いた小説」であるということと、「でありながらやはりミステリ」であるということとの融合というか、これまたすりあわせをどうするか、という点。そんなことに悩みつつ書きました。
 本書は短いです。272ページしかない。いまミステリの書き下ろしでこれだけ短いものって実はそんなにありません。でも、「力作=分厚い本」じゃないと思うし・・・。私としては、原稿用紙枚数400〜550枚程度の、きっちり中味のつまったミステリがいいな、と思うのですけど、みなさんはいかがですか。ちなみにこの『株価暴落』、ゲラで手直ししたのでよくわからなくなっちゃいましたけど、脱稿時は原稿用紙458枚でした。
 気楽に読める。経済小説でありながら、ミステリ小説としても楽しめる。みなさんにとってそんな小説であることを願っています。

ミステリ/単行本 『最終退行』
小学館
2004年2月20日
4−09−379628−9
「文芸ポスト」連載の単行本化。実はM資金の話というのは以前から書きたいな、と思っていた題材。それを金融ミステリ的にどう利用しようかな、というのが本書の出発点。それに、バブルの経営責任はあいまいなまま、公的資金だなんだと世の中の迷惑を顧みず、かといって感謝の気持ちもない銀行という組織ってなんだろうという疑問がミックスして出来た小説。「文ポス」編集長山田さんのお気に入りは、第五章の「貸し剥がし」なんだけど、私的には、序章が気に入ってたりする。この役人言葉を書き連ねた銀行内文書、銀行時代の融資の師匠が雑誌で読んで、「本物だと思った」。いっぺん読んでみ。普通の感覚では読めないから。銀行員がいかに世間離れしてるかよくわかる。
ミステリ/単行本 『BT’63』
朝日新聞社/2003年6月30日
4-02-257843-2
「小説トリッパー」(朝日新聞社)に連載していた同小説に第八章以降を加筆して単行本化しました。私にとってもっとも愛着があり、書き手としての小説の面白さを存分に体感させてくれた大切な小説です。
ミステリ/文庫 『架空通貨』
講談社文庫
2003年3月15日
『M1(エム・ワン)』の文庫版。単行本発売当初からタイトルがわかりにくいかな、という思いがあって文庫化するに際し、思い切って改題しました。
ミステリ/単行本 『仇敵』
実業之日本社
2003年1月25日

4-408-53431-5
「週刊小説」「J−novel」に掲載した連作短編集。かつて大手首都銀行のエリート行員だった恋窪商太郎は、ある事件に巻き込まれて銀行を退職、いまは地方銀行の庶務行員。その支店で起こる様々な事件がやがて、かつての仇敵にむすびつく。
ミステリ/単行本 『MIST』
双葉社
2002年11月30日
4-575-23451-6
昨年「小説推理」に連載していた『魔笛』の単行本化。連載当時登場させていた神山老人はどこへ行った? 単行本化にともないかなり手直ししたので、連載時とは違う小説になっています。
ミステリ/単行本 『銀行総務特命』
講談社
2002年8月10日
4-06-211269-8
「週刊現代」に連載した「特命」シリーズの単行本化。
ミステリ/文庫 『果つる底なき』
講談社文庫/
2001年6月15日
乱歩賞受賞作の文庫化です。
ミステリ
/単行本
『M1(エム・ワン)』
/講談社・1800E

講談社
2000.3.21
4-06-209685-4
昨年5月、1200枚の原稿をボツにした。その後、それまで書いていた物語をベースに、全く別の視点、登場人物を配した小説を書き始めた。それが『M1(エム・ワン)』。M1とは狭義のマネーサプライの意。ジャンル的には金融ミステリーだが、ミステリー部分に殺人の謎解きは含まない。というのも殺人そのものが起きないから。テーマは金(マネー)。書き上げてみて、ボツにした1200枚とこの『M1(エム・ワン)』で、第一部と第二部を構成するひとつの物語だったと気づいた。その第二部だけが作品として世の中に出たわけである。365P
ミステリ
/単行本
『果つる底なき』
/講談社・1500E

講談社
1998.10.9
4-06-209367-7
第44回江戸川乱歩賞受賞作品。550枚。11月半ばから書き始め、1月末の締め切り当日に書き上げ、当日消印有効が間に合わず、直接講談社へ持参した。