異なる現実の、同じ顔ぶれ

幾千にも砕けたドミナリアで・異なる現実の、同じ顔ぶれ・混乱の時代

Translated by YONEMURA "Pao" Kaoru


 ドミナリアの混乱はますます深まり、テフェリー、ジョイラ、ヴェンサーは別の時間流に存在する彼ら自身を見つけた。プレインズウォーカー・ウィンドグレイスは、ファイレクシアの軍勢と戦う彼自身の姿をドミナリアの奇妙な鏡越しに見た。

 さらに異なったドミナリアがテフェリーの知る時間流に入り交じってきている中、彼は時間が自壊していくのと競っていた。歴史のページが次々と歴史書からちぎれ落ち、ドミナリアの住人のあらゆる可能性が、生命ある反例の流れに巻き込まれて滅んでいく。

 歴史上の危機が再び訪れ──ただし、その結果は異なっていた。違う歴史が刻まれ、ドミナリアは[あり得ない可能性]の集合体になりつつあった。

 エファーヴァの自然から訪れた猫戦士は、故郷と仲間を後にして旅立つことを選ばなかった。

 魔術師の苦悶は、正義ではなく怒りの象徴として形をなした。

 オタリアの魔術師は人生を、愚か者を堕落させるためではなく、秘術を極めるために費やした。

 テフェリーは書き直された歴史の混乱を目の当たりにして、次元移動のパターンを見出した。プレインズウォーカーの灯が次元の損傷に影響を及ぼしているかのように、プレインズウォーカーが存在しているところで、次元の乱流が発生しているのだ。

 しかし、希望はあった。テフェリーは彼の同胞、ヴェンサーに新しいプレインズウォーカーの資質を感じ取っていた。ヴェンサーの能力は少しずつ開花しはじめていた。最後にどうなるかはテフェリーにも判らなかったが、ヴェンサーに協力して彼をプレインズウォーカーにし、それによってドミナリアをこの未曽有の危機から救うことができるという一縷の可能性に賭けたのだった。

 ドミナリアの次元に空いた穴は、別の可能性から現れる奇妙なモノをこちらに存在せしめていた。別の歴史から現れたレジェンドの中には、こちらの歴史に存在した彼らの遺物にたじろぐものも、あるいはそれを解決しようとするものもいた。


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