ギャル文字
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ギャル文字(ギャルもじ)とは、携帯電話のメールなどで文字を分解・変形させて文字を表現する遊び・手法、またそれらの文字そのものの呼称。 「へた文字」とも呼ばれる。 変形対象となるのは主にひらがなやカタカナであるが、一部の漢字も偏と旁を分解して表記したり、ラテンアルファベットも変換するなど、その表現は多岐に渡る。
手書き文字にも角ばった独特の筆跡で書くことが流行っているが、このような字をギャル文字という場合もある。かなり丸いものも見られるが、通常はそれに含める。
ギャル文字に慣れない者にとってはゲシュタルト崩壊を起こし判読困難となることが多い。
目次 |
[編集] 概要
元の文字とは意味・字形の異なるカタカナや、ロシア文字・ギリシャ文字などの記号・特殊文字などを組み合わせ、ひらがなやカタカナなどの字形に見立てて扱う遊びである。 下手な手書き文字のように見えるところから視覚的な面白さ・かわいらしさを表現する手段としてギャルを中心とする女子中高生の間の携帯電話メールのやりとりで使われ始め、やがて男子中高生や20代・30代にも広がっていった。 感情の「やわらかさ」など通常の文章では伝えにくいニュアンスを見た目によって再現しようとする手法としては、顔文字(≧∀≦)(≧U≦)(´艸`)(≧ω≦)(≧д≦)(・ω・)…等の延長線上にある文化と見ることができる。
文字の割り当てには明確な定義がなく、また「携帯電話のメール」の特性から、思いつきで作られた文字がすぐに伝播するため、様々なバリエーションがある。 しかしそれを逆手に取って、自由に新しい文字を作り、それを解読して楽しむことができるのも、ギャル文字の大きな特徴である。
ギャル文字の正確な成立年代は不明(後述)だが、非当事者側に認知されだしたのはマスコミによって取り上げられ始めた2002年頃からである。 これらメディア(特に、中高年男性向けの週刊誌)による報道では当事者側の一般認識とは違い、「会話内容が(親を含む)他人にばれない」「オトナには分からない仲間内だけの世界を作ることができる」など、思春期心理特有の発想として解釈しているのが特徴的である。 このような分析が一般化している理由ははっきりしない。
このようなメディアではまた、女子高生たちにとってはこれを用いて解読できないメールを書くことがステイタスであると報道することが多く、バラエティ番組などでもしばしば「呆れた文化」として採り上げられる。
いずれも、従来の若者文化のステレオタイプの延長線上から編み出された、新種のステレオタイプとも考えられる。
しかし、度の越えたギャル文字が日常的に読み書きを行っている者以外にとって非常に読みにくいのは事実であり、携帯電話向けの電子掲示板などではその使用者と嫌悪者との間でしばしばトラブルを引き起こす。 一番ギャル文字に慣れ親しんでいる層であるはずの中高生においても評価は分かれており、ブームのピークから数年が経過した2006年においては(世代の交代もあって)誰彼構わずギャル文字でメールを送信する中高生はもはや少数派となってきている。 そのため、今でもギャル文字を使っている若者などは、"パ"または"パギャル"(中途半端なギャルの略)と呼ばれて非難されることが多くなっている。
また、助詞の「は」を「ゎ」と表記する手法(これはそもそもギャル文字独自の表現というわけではなく、この程度の軽微な遊びはギャル文字の成立以前から性別・世代を問わず、くだけた文脈などにおいて稀に用いられてきた)や「ぉはょぅ」など単に小書き文字を多用する手法(由来は同じだがギャル文字とは区別される)も物議をかもすことがあり、正確に日本語の使用としての認識ができていない者も多い(例:アルバイト応募の履歴書にギャル文字や小書き文字を多用するなど)。
ギャル文字はまた、一部カラオケ機器の歌詞表示にも採用された。
[編集] 経緯とルーツ
ギャル文字がマスコミによって採り上げられ、話題となって社会的に認知されたのが2002年頃であることから、成立はこれ以前の比較的近い時期であると考えられている。
その一方で、ギャル文字に類似したものとして既にインターネット上のアンダーグラウンドな掲示板で1990年代末頃から使用されていたクサチュー語などがあるが、そもそもギャル文字がクサチュー語等に由来する・あるいは影響を受けたものか、全く独自に発案されたものなのかについてははっきりとした研究がなく、不明である。
また電子掲示板や電子メール等の媒体において、本来の文字を意味や形状を読み替える遊びや顔文字などの遊びはギャル文字・クサチュー語の成立以前から存在しており、1990年代に女子中高生の間で普及したポケットベルによるベル番遊びなども含め、これらの文化的な土台、ルーツとされている。 顔文字や読み替えなどの遊びは、1980年代のパソコン通信、さらに古くは紙面の同人誌などの媒体にまで遡ることができ、これらの”文字遊び文化”は世代を超え、形を変えつつも連綿と連なっているものと考えられる。
[編集] 代表例
[編集] かな文字
- おはよう: 才(よчoぅ
[編集] あ行
- あ: ぁ・ァ・了
- い: ぃ・ィ・レヽ・レ丶・レ)・レ`・L丶・L1
- う: ぅ・ゥ・宀・ヴ
- え: ぇ・ェ・之・工・ヱ
- お: ぉ・ォ・才・汚
[編集] か行
- か: カゝ・カ丶・カヽ・ヵゝ・カ`・カゞ・ヵゞ【が】
- き: (キ・(≠・L≠・‡
- く: <・〈・勹
- け: ヶ・(ナ・レ†・レナ・|ナ・l+・Iナ
- こ: 〓・=・]・⊃・⊇
[編集] さ行
- さ: 廾・±・(十・L+
- し: ι・∪・U
- す: £
- せ: 世
- そ: ξ・ζ・`ノ・丶/・ヽ丿
[編集] た行
- た: ナ=・+=・†ニ・ナニ・十こ・†こ・ナ⊇
- ち: 干・千・于
- つ: っ・ッ・⊃
- て: τ・〒・z
- と: ┠・┝・┣・├・`⊂
[編集] な行
- な: ナょ・十ょ・†ょ・ナg
- に: (ニ・|=・丨ニ・L=・I=・(⊇・レこ・(二
- ぬ: йu・ゐ
- ね: йё
- の: /・丿・σ
[編集] は行
- は: ハ〃【バ】・ハo【パ】・'`・八・l£・(£・ノ|・ノl・レ£
- ひ: ヒ〃【ビ】・ヒo【ピ】・匕
- ふ: フ〃【ブ】・フo【プ】・ヴ・,ζ,
- へ: ヘ〃【べ】・ヘo【ペ】・~・∧
- ほ: ホ〃【ボ】・ホo【ポ】・朮・レま
[編集] ま行
- ま: ма・мα
- み: 彡・ゐ
- む: £′・厶
- め: ×・x・χ・乂
- も: м○・мσ・€
[編集] や行
- や: ゃ・ャ
- ゆ: ゅ・ュ
- よ: ょ・ョ・∋・чo
[編集] ら行
- ら: яа・ζ
- り: L|・l)・レ」・レ)・┗』・└丿・v)
- る: ゐ・ゑ・儿・lレ・」レ・|レ
- れ: яё
- ろ: з・З・□・回
[編集] わ行、その他
- わ: ゎ・ヮ・wα
- を: щo
- ん: ω・冫・w・h・ン
- ー: →・⇒
[編集] 漢字
- 現: 王見
- 私: 禾ム
- 叶: ○+
- 役: 〒殳
- 例: イ歹リ
- 近: え斤
- 健: イ廴聿
- 有: ナ月
- 名: タο
- 氷: ⊃i⊂・ラ|<
- 天: 无
- 本: 夲(夲の字は本の異体字)
- 来: 來(來の字は来の異体字)
- 神: ネ申
- 超: 走召
- 林: 木木
- 校: 木交
- 絶: 糸色
- 鉄: 金失・金矢
- 柿: 木市
- 仔: ィ子
- 愛してる:愛歹ヒ天流・愛ιτゑ・愛Uτゑ
- 仲良し:人㊥ょU・イ㊥夜歹ヒ
- 謝: 言身寸
- 終: 糸冬
- 対: 文寸
- 便所: イ更戸斤
- 大: 因
- 人: 囚
- 木: 困
- 巻: 圏
- 口: 回
- 幸: 圉
- 仲良しこよし:仲仔