対北支援:使い道を把握できていない韓国政府(下)
コメ以外にも、北朝鮮に支援した資金や物資が本来の目的通りに使用されたのかについて、検証がまともに行われていない事例が多い。
韓国政府は昨年3月、平壌に離散家族画像再会センター建設のためという名目での現金40万ドル(約4300万円)を含む、計380万ドル(約4億1000万円)相当の建築資材を送ったが、北朝鮮側はこれまで建設予定地に手をつけてもいないことが確認されている。当時統一部は、「現金支援の禁止」という原則を破りながらも、「北朝鮮が、使った資金の明細について明らかにすることや、現地への訪問も受け入れたので、何ら問題はない」と強弁した。しかし11カ月が過ぎても現場への訪問どころか明細書も受け取っていない。
04年4月に平安北道で起こった列車爆発事故でも、韓国政府はコメ5000トンとセメント5万トンなどの災害復旧物資を送った。しかし現場への訪問は1年が過ぎてやっと実現した。韓国政府当局者は、「現場に行くとすでに支援物資の分配が終了しており、まともな検証はできなかった」と述べた。
白頭山観光事業を支援するために06年3月に送った50億ウォン(約5億7000万円)相当の道路舗装用資材8000トンの使い道も確認できていない。韓国の技術者が現場で技術支援を行うことで合意したが、北朝鮮が資材を受け取ると同時に連絡に応じようとしなくなったからだ。
水害復旧用支援物資の実際の使い道についても、韓国政府は何も把握していないに等しい。06年7月に起こった北朝鮮の水害からの復旧を支援するために、▲コメ10万トン▲セメント10万トン▲鉄筋5000トンなど計2210億ウォン(約252億円)相当の支援を行ったが、その後の検証はまったく行われていない。統一部関係者は、「当時物資を引き渡す過程で北朝鮮では10月に核実験があり、引き渡しが中断するなど状況が目まぐるしく変化してまともな検証は行えなかった」と説明する。しかし昨年8月に再び発生した北朝鮮の水害復旧のために送った700億ウォン(約79億8000万円)相当の救援物資についても、使い道を把握できていない。
安勇炫(アン・ヨンヒョン)記者
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