医療事故関連用語集
 Medical Malpractice Information Center
参考文献  医療事故110番  医療過誤問題研究会編

あ行 医師賠償責任保険 いしばいしょうせきにんほけん
因果関係 いんがかんけい
インフォームド・コンセント(IC) いんふぉーむどこんせんと
延命利益 えんめいりえき
か行 過失相殺 かしつそうさい
カルテの改ざん かるてのかいざん
鑑定 かんてい
期待権 きたいけん
刑事責任/刑罰 けいじせきにん/けいばつ
口頭弁論 こうとうべんろん
さ行 自己決定権 じこけっていけん
示談 じだん
主尋問 しゅじんもん
証拠保全 しょうこほぜん
証人尋問 しょうにんじんもん
成年後見人 せいねんこうけんにん
損害賠償 そんがいばいしょう
た行 陳述書 ちんじゅつしょ
転医義務 てんいぎむ
当事者尋問/本人尋問 とうじしゃじんもん/ほんにんじんもん
は行 弁論準備手続 べんろんじゅんびてつづき
傍聴人 ぼうちょうにん
補充尋問 ほじゅうじんもん
ま行 麻酔管理義務 ますいかんりぎむ
民事訴訟 みんじそしょう
民事調停 みんじちょうてい


医師賠償責任保険(いしばいしょうせきにんほけん)
医療事故に関する医師賠償責任保険としては、日本医師会が保険契約者となり、日本医師会員被保険者となる保険(日医保険)と、医療法人や地方公共団体の病院が加入する保険(民間保険)があります。過失の判定機関としては、日医保険では、医学関係者六名と法学関係者四名よりなる「賠償責任審査会」がありますが、民間保険にはそのような独立した機関はなく、都道府県医師会内の医事紛争処理委員会が保険会社の委託を受けて判断したり、保険会社が独自に専門医に相談したりして判断しています。


因果関係(いんがかんけい)
因果関係とは、ある行為と生じた結果との関連性のことですが、これは事実的因果関係(あれなければこれなしという関係があるかという問題)と法的(相当)因果関係(どの範囲の損害を医療側に賠償させるべきかという問題)からなります。医療過誤事件では主として前者の有無が争われます。


インフォームド・コンセント(IC)
インフォームド・コンセントとは、単なる「説明と同意」という意味ではなく、「患者が必要かつ十分な説明を受け理解したうえでの自主的な選択・同意・拒否」という意味です。


延命利益(えんめいりえき)
期待権と類似の考え方として「延命利益」があり、これを認める判例は多数あります。これは、医師の不適切な治療によって死期が早められたという場合に、延命可能期間を損害評価するという考え方です。


過失相殺(かしつそうさい)
事故の発生につき加害者側に責任があるとしても、事故の発生や損害の拡大について被害者側にも落ち度があるような場合には、公平の見地から賠償額の減額が認められることがあり、これを「過失相殺」と呼んでいます。


カルテの改ざん(かるてのかいざん)
医療過誤裁判の中で、医師がカルテを自分の有利なように書き変えていることがあります。
証拠保全の手続をするまでに、医師がカルテ等を書き変えていたとしても、証拠保全の当日にその場でそれを発見することは容易ではありませんが、それでも古いカルテなのにホッチキスが新しいとかインクの色が新しいときには注意を要します。書いた文字が消してあるときも注意が必要です。


鑑定(かんてい)
医療過誤のような専門的事件において、裁判官の判断能力を補助させるために、特別な学識や経験を有する者(医師など)から、その専門的知識やその知識を具体的な事実関係に適用して得た判断を訴訟において報告させる証拠調べのことを鑑定と言います。


期待権(きたいけん)
診療契約に基づく医師の債務は、治癒という結果を請け負うという債務、すなわち「結果債務」ではなく、治癒に向けて最善を尽くすという債務、すなわち「手段債務」であるとされています。もとより患者は医師に対して、誠実な診療、最善の診療を期待しています。そうであるならば、不誠実で杜撰な診療が行われた場合には、たとえその診療と生じた悪しき結果との間に因果関係が認められないとしても、そのような患者の期待が裏切られたこと自体を損害評価するのが素直な解釈といえるでしょう。このような患者の権利を「期待権」といいます。


刑事責任/刑罰(けいじせきにん/けいばつ)
医師の診療行為に過失があり、その結果として患者が死亡したり健康を害したりした場合、業務上過失致死傷罪が成立し、五年以下の懲役刑・禁錮刑または五〇万円以下の罰金刑として処罰される可能性があります(刑法二一一条)。もっとも、懲役刑または禁錮刑の有罪判決が言い渡されても、現実に医師が刑務所に収容されるケースは稀で、多くは情状酌量により刑の執行が猶予され、その猶予期間が何事もなく過ぎると、その有罪の刑の言渡しが失効することになります(刑法二五条・二七条)。


口頭弁論(こうとうべんろん)
最も広い意味では、当事者と裁判所が訴訟行為を行うための時間的空間のことを指して言います。それから判決の言渡しを除いたものを指したり、さらに証拠調べを除いたものを指したりもします。
原則として、一般公開されなければならず、対立当事者双方に平等に主張を述べる機会を与えることとされていて、法廷で行われます。


自己決定権(じこけっていけん)
人はみな、自分のことは自分で決める権利を有しています。これを「自己決定権」といいます。ところで、自分のことを自分で決定するには、現在自分が置かれている状況についての正確な情報が必要であり、それについて「知る権利」が認められなければなりません。医療の領域では患者には自らの身体の情報、治療内容等について「知る権利」が保障されています。


示談(じだん)
民事上の紛争を裁判によらず当事者間の話し合いで解決する契約のことを言います。裁判所外において、当事者の互譲に基づいて話し合いにより解決する方法です。費用もかからず、解決が迅速である点では好ましい解決と言えます。しかし、医療過誤事件では、示談による解決は必ずしも容易ではありません。


主尋問(しゅじんもん)
尋問の申出をした当事者(あるいはその訴訟代理人)が最初に行う尋問のことを言います。


証拠保全(しょうこほぜん)
医療過誤訴訟の場合には、カルテ(診療録)・レントゲン写真・看護記録等診療上作成された資料が裁判で大変重要な証拠となります。 カルテ等の資料はありのままの姿・内容でこそ証拠としての価値を持つものですから、これらが廃棄・紛失されたり書き変えられたりすることのないように、証拠を確保しておく必要があります。
訴訟における本来の証拠調べの時期まで待っていては、取調べが不可能になってしまったり困難になってしまったりする証拠について、訴訟提起前あるいは訴訟提起後になされる証拠調べの手続のことを「証拠保全」と言います。カルテ等の診療上作成された資料の証拠保全は、通常は訴訟提起前に行われます。


証人尋問(しょうにんじんもん)
当事者やその法定代理人以外の第三者(証人)に、過去の事実や状態についてその人自らの経験により認識したことを、訴訟において尋ねる証拠調べを言います。


成年後見人(せいねんこうけんにん)
精神上の障害(痴呆・知的障害・精神障害など)により判断能力を欠く常況にある方のために家庭裁判所によって選任され、本人を代理して財産に関する法律行為を行ったり、本人が自ら行った法律行為のうち本人に不利なものを取り消したりすることができる権限を与えられた人のことを言います。


損害賠償(そんがいばいしょう)
債務不履行や不法行為という民事上違法な行為に基づいて損害が生じた場合に、その損害を補填して損害がなかったのと同じ状態にすることを言います。
なお、適法な行為に基づいて発生した不利益を補填することは、「損失補償」と言います。


陳述書(ちんじゅつしょ)
民事訴訟において、その事件に関する事実関係などについて当事者や関係人が見聞きした内容について記載された書面で、書証として提出されるもののことを言います。
通常は、その書面で「陳述」をする人が、書面に書かれた内容が間違いないという趣旨で署名押印をします。
現在の訴訟実務では、尋問に先立って書証として提出されることが多く、主尋問を予め争点に絞り込むことができるとともに、相手方の反対尋問の準備にも有用だということで、広く活用される傾向があります。
ただ、裁判官に予断を与えてしまうおそれや、陳述者の話が「陳述書」できれいに整理されすぎて歪められてしまうおそれも指摘されています。


転医義務(てんいぎむ)
医師は患者を診察中、自分の専門外の疾患を発見したり、十分に医療行為をなす設備や経験を有しない場合、他の専門医や設備の完備した病院にその患者を転医させ、あるいはその患者に転医するよう指示しなければなりません。これを医師の転医義務ないしは転送義務といいます。


当事者尋問/本人尋問(とうじしゃじんもん/ほんにんじんもん)
当事者本人あるいはその法定代理人が経験した事実認識を訴訟において尋ねる証拠調べを言います。

弁論準備手続(べんろんじゅんびてつづき)
口頭弁論期日以外の期日で、争点及び証拠の整理を目的として行われる手続のことを言います。
一般公開は要しないとされています。
他方、当事者双方の立会い(対席)が保障され、当事者が求めた傍聴人については、手続を行うのに支障を生ずるおそれがない限り、傍聴が許されることになっています。


傍聴人(ぼうちょうにん)
一般公開された裁判手続を傍聴する人のことを言います。


補充尋問(ほじゅうじんもん)
当事者による主尋問・反対尋問などの後に、裁判長あるいは陪席裁判官が行う尋問のことを言います。
なお、裁判長は、必要があると認めるときは、いつでも、自ら尋問したり(これを「介入尋問」と呼ぶことがあります)、あるいは当事者の尋問を許すことができるとされています。


麻酔管理義務(ますいかんりぎむ)
麻酔には、常にショックなどの合併症発生の危険が伴うといっても過言ではありません。麻酔は、意識の消失、反射の減少、筋弛緩をもたらし、手術を可能・容易にすると同時に、呼吸抑制を招き、血管運動調整、防御機能、循環調整などを損なわせます。また、麻酔に使用される薬剤は、程度の差はあっても、細胞機能を損なう毒性を持っています。したがって、麻酔を実施する医師には、?術前に問診し、各種事前検査によって麻酔適応を評価し、麻酔法、麻酔薬を決定し、かつ、麻酔合併症を予見する義務、?麻酔開始より患者が麻酔から離脱するまでの間、患者の換気状態など患者のわずかな容態変化を見逃さないよう慎重に患者の全身状態を管理・監視すべき義務および、?容態変化を発見した場合には、適時・適切な救急救命蘇生術を実施すべき義務があります。一般に、麻酔管理(患者管理)義務とは、?の義務のことをいいます。


民事訴訟(みんじそしょう)
訴訟のうち、私人間の生活関係に関して生じた紛争を解決するためのものを言います。
国家が犯罪を犯したと疑われる人に対し刑罰権を具体的に行使していくために行う刑事訴訟や、行政庁が国民に対する権力作用として行った行為について国民がその行政庁を相手に行為の取消しを求めたり、そのような行為によって損害を受けた国民が国や地方公共団体を相手に損害賠償を求めたりする行政訴訟とは区別されます。


民事調停(みんじちょうてい)
調停とは、裁判所において、調停委員の関与の下に行われる話し合いの手続ですが、示談書と違って調停調書には判決と同一の効力があります。しかし、「密室性の壁」「専門性の壁」「封建性の壁」が障害となります。




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