2008年02月05日 更新

【大相撲】スピード出世!貴乃花親方、35歳で役員待遇

4期目となる北の湖理事長(左列手前から4人目)。貴乃花親方を役員待遇に抜てきする職務分担が決まった。同列手前は九重親方(撮影・赤堀宏幸)

4期目となる北の湖理事長(左列手前から4人目)。貴乃花親方を役員待遇に抜てきする職務分担が決まった。同列手前は九重親方(撮影・赤堀宏幸)

 日本相撲協会は4日、東京・両国国技館で理事会を開き、役員改選に伴う新たな職務分担を決めた。役員待遇の審判部副部長から新理事になった九重親方(52)=元横綱千代の富士=が広報部長として執行部入り、貴乃花親方(35)=元横綱、写真上=が役員待遇の審判部副部長に抜てきされた。北の湖理事長(54)=元横綱、九重親方、そして貴乃花親方といずれも「一代年寄」を許された名横綱が協会の屋台骨を担う。

 協会運営の方針を「土俵上に心血を注ぐ」−とした4期目の北の湖理事長が、“一代年寄ライン”で体制の強化をはかった。

 世論を含めた協会の対応を担う広報部長に新理事の九重親方。土俵の充実を下から支える目玉人事として貴乃花親方を役員待遇に抜てき、審判部副部長に就けた。

 「貴乃花親方は、現役の時から、土俵に対する気持ちを持っている。審判部で数年やっているし、審判長としてやっていける。土俵に対する気持ちが十分あると思います」。北の湖理事長は、35歳の貴乃花親方の起用を強い口調で説明した。

 自らと同様、実績から一代年寄を名乗ることが許され、平成16年に二子山部屋を継承し、審判員を務めてきた同親方に強い期待感を抱く。

 貴乃花親方は現役時代の平成3年夏場所の初日(当時貴花田)、一代年寄を辞退し平成4年に九重親方を襲名した当時の千代の富士を破り、引退を決意させた。協会人事でも、九重親方を引き継ぐことになった。貴乃花親方は「期待に応えられるように、『虚心坦懐』(きょしんたんかい)の気持ちで吸収していければいいと思う」。現役時代の昇進時に使った四字熟語を入れて、決意を口にした。放駒審判部長(元大関魁傑)のもと手腕をふるう。

 昨年は週刊現代による八百長疑惑報道に始まり、社会問題にまで発展した朝青龍騒動、さらには時津風部屋の序ノ口力士がけいこ後に急死した問題では、当局が立件を進めている。審判部は土俵に目を光らせると同時に、大勢のファンからの視線も浴びる。貴乃花親方起用の狙いは、現役時代に人気を誇った同親方が、著しく低下した大相撲のイメージ回復に向け、重要な役割も担う。

 時代を築き、一代年寄を許された名横綱の連携で、難局を切り抜ける。

★貴乃花親方に聞く

 −−審判部副部長に任命された

 「未経験ですので、諸先輩にならって、仕事をいち早く覚えて支障をきたさないようにしたい」

 −−35歳、若くして就いた

 「期待に応えられるように『虚心坦懐(きょしんたんかい)』に吸収して、やっていきたいと思います」

 −−土俵上での勝負の見極めは

 「力士は命がけで土俵上で戦っている。今まで以上に誤審のないよう、心がけていきたい」

 −−「待った」について

 「常日頃、“待った”はないように心掛けていますが、放駒審判部長のもと、どうしたらいいか検討したい」

 −−審判部副部長と聞いて

 「分担表(配布された年寄職務分掌表)を見て、実感しました。驚きと、今まで以上の目線を増やし、公正な番付を作ることがさらに大切。ビデオ室との連係が重要になってくる」

 −−これから

 「意思を強く持って審判していきたい。審判部長にあいさつしたら、“大変だよ”といわれました。現場の方と声を合わせていきたい」

 −−若手の代表とみられますが

 「個々が(一門の)代表であり、部屋持ち。部長に入らないような声を私が聞いて、お伺いを立てられるようなことをしたい。未知の経験。見て学ぶことの方が多いので、しっかり肌で感じていきたい」

■貴乃花親方が口上で使用した四字熟語

 ★平成5年初場所後に大関昇進 「不撓不屈(ふとうふくつ)」(困難にあってもひるまずくじけないこと)
 ★同6年九州場所後に横綱昇進 「不借身命(ふしゃくしんみょう)」(命を惜しまずにささげること)
 ★「虚心坦懐(きょしんたんかい)」(先入観を持たず、何のわだかまりもない、素直でさっぱりした気持ち)

■貴乃花光司(たかのはな・こうじ)

 本名・花田光司。昭和47年8月12日、東京生まれ、35歳。貴ノ花(元大関、元二子山親方)の二男として生まれ、兄・勝氏(元横綱3代目若乃花)と昭和63年春場所で初土俵。平成4年初場所では、史上最年少の19歳5カ月で優勝。7年、第65代横綱に昇進。15年初場所中に引退。優勝22度、幕内通算701勝217敗201休。一代年寄が認められ、貴乃花部屋の所属力士は現在7人。

★親方のスピード出世

 35歳で役員待遇。一般企業ではなかなか見られない抜てきだ。現役時代は数々のスピード記録を塗り替えた貴乃花親方は、親方としても引退から5年で役員待遇になった。

 北の湖理事長は引退から3年後の34歳で役員の監事となり、審判部副部長に就任。35歳で引退した九重親方は38歳で役員待遇に抜てきされ、審判部副部長を務めてきた。戦後最年少で理事になったのは元大関豊山の時津風親方で32歳だった。スピード理事では、引退直後に就任した元大関佐賀ノ花の二所ノ関親方、引退から4場所目に理事の座に就いた元横綱双葉山の時津風親方などの例がある。

★広報部長に九重親方

 広報部長に起用された九重親方は、さっそく広報部のデスクに向かって仕事を始めた。平成5年から15年間審判部にいたため、「最初は何をやっていいのかわからないなあ」と苦笑い。だが、千代の富士時代から知名度抜群で、幅広い人脈を誇る親方だけに活発な広報活動が期待される。「マスコミをはじめ、いろんな方々と連携しながら物事を円滑に進めていければ」と意欲をみせた。

★新理事の二所ノ関親方が名古屋場所担当部長に

 新理事の二所ノ関親方(元関脇金剛)は名古屋場所担当部長。協会ナンバー2の武蔵川事業部長(元横綱三重ノ海)のほか、伊勢ノ海総合企画部長(元関脇藤ノ川)、放駒審判部長(元大関魁傑)らは留任した。朝青龍騒動の責任を取って理事と広報部長を退いた高砂親方(元大関朝潮)は、理事会に出席できる役員待遇にとどまった。

◆二所ノ関名古屋場所担当部長(元関脇金剛)

「歴代の名古屋場所担当部長の功績に劣らぬよう、わたしも精進したいと思う」

▼日本相撲協会審判部

 本場所相撲の勝負判定や競技進行を相撲規則、審判規定にそって行う、土俵のすべてに責任を持つ部署。取組作成も行い、部長は理事が務める。場所中は5人の審判員が土俵下に控えており、勝負記録もつける。行司の軍配に異議があった場合は、行司をまじえ協議を行い、正面審判が協議結果を場内に説明する。また力士の賞罰も受け持っている

日本相撲協会新職務
年寄名職 務現役時代のしこ名
北の湖54理事長元横綱北の湖
武蔵川60事業部長元横綱三重ノ海
大 島60巡業部長元大関旭国
間 垣54地方場所部長・大阪元横綱2代目若乃花
伊勢ノ海61総合企画部長元関脇藤ノ川
生活指導部長
出羽海58地方場所部長・九州元関脇鷲羽山
放 駒59審判部長元大関魁傑
友 綱55相撲教習所所長元関脇魁輝
監察委員長
警備本部長
九 重52広報部長元横綱千代の富士
指導普及部長
二所ノ関59地方場所部長・名古屋元関脇金剛
※三保ケ関59審判部副部長元大関増位山
※湊60巡業部副部長元小結豊山
※不知火59元関脇青葉城
★高田川62巡業部契約推進担当副部長元大関前の山
★高砂52相撲教習所副所長元大関朝潮
監察副委員長
★秀ノ山63生活指導部副部長元関脇長谷川
★玉ノ井63指導普及部副部長元関脇栃東
生活指導部副部長
★貴乃花35審判部副部長元横綱貴乃花
【注】※は監事、★は役員待遇