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大都市での生活


Monday, September 5, 2005
  Click for more articles by Rei Nakazawa

Translated by Yoshiya Shindo

 現実世界では、大都市は興奮や興味深い出来事と同義語です。マジックも例外ではありません。ここ数年、毎年新しいブロックを初めて眺めるたびに、私のあごは落ちっぱなしです。ラヴニカでも多くの新しい出来事が、メカニズム的にもクリエイティブ的にも起こっていて、その物語に費やされた空間は直前の神河ブロックにも匹敵します。そんな世界が皆さんに届けるものをいち早く紹介できるのは嬉しいかぎりですね。

 話すべきことはたくさんありますから、とりあえず進めることにしましょう。ラヴニカは文明が自然を完全に従えてしまった世界です。どこまで行っても建物や通りや橋が続いているのです。塔は山であり、水路が川であり、点在する公園や庭園だけが貧相な森として残っています。時には“空き地”や戦争で壊滅した荒地などが残っていることがありますが、ラヴニカは惑星自体が文明の塊りで覆われたものなのです。領地は国家で区切られておらず、都市や領地、地形や文化や種族(それこそオーガからヴィダルケンまでいます)で別れ、世界は十のギルドが動かしているのです。

 ラヴニカの最大の権力であるギルドは、常に覇権を争っています。この“冷戦状態”は、それでもおおっぴらに戦争が行われていた一万年前に比べればましな状態でした。そして、ギルドのもともとの創始者十人の集まりであるパルンズが、自分たちの生存のために違いを乗り越え、各ギルドが社会でどの役割を担い、強調して存在するための大きな条約、ギルドパクトを結んだのです。もちろん、紙切れ一枚で野望が止まるなんて事はまずありません。ギルドは口ではギルドパクトを称えつつも、それはあくまで義務感からだったり、他のギルドをつぶすための口実に過ぎなかったりしたのです。ほとんどのギルドは独自のやり方で、他のギルドに対する裏工作を続け、ラヴニカを単独で支配しようとしていました。一般の市民は、そのほとんどはギルドのメンバーではありませんが、ギルドにとってはあからさまな侮蔑の対象か、さもなくばまったく意にも介されていません。彼らはこの闘争における被害の大部分を埋めるものなのです。しかし、ギルドのほかには物事を変える力を持っている者はいませんでした……少なくとも、これまでは。

 ギルド自身の話をすれば、彼らの主義主張は通常とは異なっています。ラヴニカでカードとして登場するのはそのうち四つだけですから、ここでは残りの六つから話を始めることにしましょう。彼らのカードは後のセットまで登場しませんが、彼らはイラストやフレイバー・テキストで触れられていますから、それぞれを簡単に紹介することにしましょう。今のうち理解しておいたほうがいいですよ。すぐに目立つの場所に出てきますからね。

 まず、そもそもギルド的でないギルド、グルール一族から始めることにしましょう。彼らはギルドパクトが最初に署名された段階では意図があったようですが、それが何だったのかを気にかけている者は今では誰もいませんし、そもそもグルール自身にとってもどうでもいいことです。ご覧の通り、時はグルールに味方してくれなかったようです。他のギルドは彼らを好き勝手に扱い、グルールをゆるく繋がりのある軍勢の集まりへと分断してしまいました。しかし、最大の一族を率いる凶暴なサイクロプス“腹音鳴らし”によって、彼らは新しい目的を見つけました。それは、彼らの名誉を奪ったラヴニカの文明、特にギルドをぶち壊そうというものです。彼らは現在は他のギルドが手を結んで止めを刺さなければいけないほどの脅威とはなっていませんが、彼らも勢力を伸ばしつつあります。

 次はラクドス教団です。彼らの名は、指導者であるデーモンから名づけられました。彼らは完璧に自分たちとだけのために動き、今の楽しみだけを享受しています。しかし、彼らにとっての“楽しさ”とは、大抵は殺人と騒乱から起こるものなのです――血と堕落があれば、世の中は素晴らしいというわけなのです。この教団はラヴニカの支配を目指し、そこを血の祝祭に変えようとしています。しかし彼らにとっては、そこらで巻き起こる死と破壊は満足のためであり、目的ではありません。ラクドスにとって幸運だったのは、彼らの死に関わる闇の術への興味は、彼らを一流の傭兵や暗殺者へと変えていきました。それこそが、他のギルドが優位を得るために喜んで用いるものなのです。

 

 シミック団、あるいはシミック連合は、当初は残された自然を保護する責任を負っていましたが、文明の進出は彼らの強大な力すらも押しつぶしてしまったのです。そこでギルドは自身に新たな目的を設けました。自然を取り戻すだけでなく、その残りを改良しようと言うのです。彼らは自身の生命の構造をいじり続け、新しい生命体になっていっています。それは強力ですが禍々しく、現存する生命の下手な模倣に過ぎません。団体の作業を率いるエルフの生術師のモミール・ヴィグは、冷酷でよそよそしい人物ですが、自分の研究に向ける情熱は、他のギルドと変わりがありません。

 イゼット団は知識の探求者ですが、彼らの道理は一言で言ってしまえば“異端”です。彼らは無謀さと気まぐれで研究を続けています。彼らは大抵は一度に手に余るほどを行い、突如登場した目新しい事実に注目すると、すぐさま古いアイデアを捨て去ってしまいます。彼らはラヴニカの公共施設のほとんどを請け負っていますが、一方で彼らの行動は華々しく破滅的な失敗へと向かっています。これは彼らのギルドの首領である、頭脳明晰な一方で短気なドラゴンの魔術師、ニヴ=ミゼットの個性を反映しています。

 オルゾフ組は自分たちを薄っぺらな宗教の装いで覆っていますが、それは全部嘘っぱちです。この偽の敬虔さは煙幕であり、支配を行うための意義なのです。本業は、まさしくビジネスです。オルゾフが直接関与していない経済取引や商売でも、彼らの知らないものはありえません。オルゾフのかつての指導者たちの死せざる霊体で構成された幽霊議会は、オルゾフ組が黄金と拝金主義でラヴニカを支配する邪魔となるものが現れないように動いています。

 最後はアゾリウス評議会です。冷酷で計算高い彼らは、ラヴニカの法を作っています。彼らの官僚主義は、可能な限り現状を維持することに向けて作られています。彼らの指導者であるアウグスティン大判事は、変化は混沌とトラブルを生み出すと信じています。そして彼の横柄さゆえ、かれはラヴニカを保つための最高の方法は、他のすべての人物に、方法や手段や形を問わず、まったく何もさせないことだと信じているのです。残念なことに、アゾリウスにはそれを支える魔法も戦力も存在するのです。


 さて、それでは最初のセットで焦点が当たるギルドを紹介しましょう。セレズニア議事会は、自然を愛する集団というのが一番手っ取り早い表現なんでしょうが、その何十万というメンバーの中には、巨大な野獣から強力なドルイド僧まで存在します。彼らの生き方は単純明快で、他人や(残っている)自然と調和し、そのメッセージを世界に広げるためにあらゆることを行っています。古代のドライアドのグループである合唱者に率いられるセレズニアにとってはその使命こそが人生であり、彼らの信念の種をまくためならどこへでも出向きます。しかし、それはすなわち、まいた種が降ろした根はどこであろうと守ることを意味し、それが他のギルドとの紛争に理由でもあるのです。

 彼らは優しさと光に満ちているように見えるかもしれませんが、よく見ると他の側面も見えてきます。市民の中には、議事会はラクドスと同じぐらいの狂信者だというものもいますし、それはあながち間違っていません。メンバーは誰もが大義の元に狂信的で、従順さは求められていません――それは、一連の事態の中で期待されているものなのです。議事会が実際に洗脳を行っているかは誰にもわかっていませんが、多くのメンバーはそうであるような行動を取っています。

 ゴルガリ団は、死は自然のサイクルの中での一部であると説いています。それ自体は無害で論理的な信仰とも言えるでしょう。しかし、彼らはそれを一歩先に進めています。彼らは実際に死を支配し、それにより生命を強化することを推奨しているのです。そんなわけで、彼らの指導者、エルフのシャーマンであるサヴラは、悪性の疫病を撒き散らすことに何の躊躇もありません。何より、彼らがすべきことは自然のサイクルを加速し、死の後にラヴニカをより良く生まれ変わらせることなのです。彼らは死それ自体を愛でるのではなく、そこからの再構築を愛でているのです。

 もちろん、ゴルガリの屍術師は歴代でも最強です。彼らにとっては、自分たちの創造物は忌まわしいものでも不自然なものでもないのです。彼らにとってのお気に入りのペットはアンデッドにとどまらず、死と腐敗をもたらす自然の力、例えば菌類や昆虫、苗木なども含まれています。そして彼らは、ラヴニカをものすごい数の幽霊やゾンビで埋め尽くすために、数多くの作業を行っています。もっとも、ゴルガリ団が何かをしているとしても、彼らがその内容を明かすことは無いでしょう。

 アゾリウスがラヴニカの立法府だとしたら、ボロス軍は法を守る者たちです。彼らは秩序を守り、ギルドパクトとアゾリウスによる法を維持しています。しかし、その行動においては、彼らは自分たちが推し進めるべきと思っている法を推し進め、時として自分たちの頭の中にしか存在しないものに従うこともあります。ボロスの特殊部隊であるウォジェクは、この目的のための歩兵隊です。すべての地方には、その場所を守るためのウォジェクの恒久的な駐屯地が置かれています。大天使ラジアは彼女の強力な軍団を率い、彼女が必要と思われるあらゆる場所に現れます――もちろん、彼女の基準はその地元のものとは大きく異なったりもするのですが。

 ボロスとはすなわち、統制の取れた猛威です。人間やゴブリン、オルドルーンのミノタウルスなどで構成された兵士は、平和のためなら決意堅く、必要とあらば好戦的な態度をあらわにします。彼らはまず剣を振るってから相手の意見を聞く傾向にあります。彼らにとっては、秩序を守るために行うあらゆる行動が正しいことだからです。彼らに立ち向かうものは、定義上は、最善でも間違った者たちですし、最悪だと犯罪者です。

 最後に、もっとも表に現れない、その秘密主義ゆえにほとんどのラヴニカ市民が数世代前に死に絶えてしまったと信じているギルドがあります。それがディミーア家です。ディミーアが存在し続けていることを知るのは他のギルドだけで、ディミーアの面々を見かけるのは(あくまで目に付いたときですが)影深い裏通りだったりラヴニカの下水路だったりします。そしてもちろん、彼らの商売道具は秘密です。闇の知識や慎重に守られている計画でさえ、ディミーアの密偵に対して安全ではありません。何より、このギルドの目的は事態の背景にいることです。最も目に付く構成員は強盗やスパイで、彼らはラヴニカの地価社会にとどまり続けています。彼らが好んで用いる構成員が霊体です。彼らは触れられず、完璧に忠実で、壁をすり抜けることも容易いのです。

 しかし、このギルドを統べる首領、吸血鬼のザデックには、もっと大きい計画がありました。何よりも、知識は力ですし、それがラヴニカのような場所であればなおさらです。かつては他のギルドは彼らの情報に依存していました。そもそも彼らが情報を集めてしまっているのであれば、他を襲うのにいつが望ましいのかを誰がより正しく知ることができるでしょうか?

 これは複雑な権力闘争で、小説にするにも三部作が必要です。三部作の一冊目は殺人のあるミステリーでもあります。となれば、殺人を捜査するのに、ボロスよりもふさわしい人々はいるでしょうか? アグルス・コスは長年をこのギルドに捧げたウォジェクの古参兵であり、治安維持のためであれば全力でその命すら投げ出すような人物です。彼は確固たる信念の元にラジアに忠実に仕えていますが、数多くの政治活動や苦悩を目にするうちに、少々この世界に飽き飽きしてきています。小説は彼がかつてのパートナーの死を捜査するところから始まりますが、話が進むにつれ彼の行いが重要になってくるのは間違いのないところでしょう。そのへんを頭において、カードになった彼の栄光の日々を見てみましょう。

 このカードは、このブロックで多色カードがどう扱われ、どんな相互関係を持つかを示す完璧な例となるでしょう。《ウォジェクの古参兵、アグルス・コス/Agrus Kos, Wojec Veteran》は白や赤のクリーチャーで埋め尽くされたデッキで完璧な働きをしますが、彼が最も輝くのは、ボロス軍の仲間、あるいは過去の赤白クリーチャーと組み合わせた場合でしょう。彼自身が5/5の攻撃クリーチャーになるばかりでなく、他の赤白攻撃クリーチャーに+2/+2のボーナスが加えられるとなれば、これは馬鹿にするわけにはいきませんね。彼はボロス(と赤白)の攻撃性や強さとうまく噛みあってくれます。

 もちろん、ラヴニカにはここで書けることよりももっともっと多くのことが起こっています。一般の市民はギルドをどう思っているのか? なぜ幽霊がこんなことになったのか? 人間以外の野生生物は? これらの質問に答えるためには、次の私のコラムをお待ちください。今のところは、ブロックの最初のセットを楽しんでいただきましょう。あと、くれぐれも裏道に護衛抜きで行かないように……。



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