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  ジャーナリスト学校

「記者の卵」に体系的教育。社外向けセミナーも
新人記者
デジタルカメラとパソコンを駆使し、街角で撮った写真を送稿する新人記者=07年4月、東京・銀座で

米ロッキーマウンテン・ニューズ紙編集者
ピュリツァー賞を受けた写真を背に、取材の経緯などを語る米ロッキーマウンテン・ニューズ紙編集者=07年6月、東京・有楽町朝日ホールでのシンポジウムで
 現場を踏むことで記者は鍛えられ、それがより良質な報道を生み出す。ジャーナリズムのこの鉄則に変わりはありませんが、報道を取り巻く環境は大きく変わっています。IT化が社会のすみずみに及び、司法の場では裁判員制度が導入されようとしています。国際的な資本の流れは大企業さえ売買される時代をもたらしました。インターネットを生かした新しいメディアも次々と誕生しています。

 こうしたなかで2006年10月に発足したのが、ジャーナリスト学校です。日本を代表する報道・言論機関として「記者力」の向上をめざすだけでなく、日本のジャーナリズム全体の基盤をさらに強くすることを目指しています。130年に及ぶ朝日新聞の蓄積や伝統を生かし、新たな時代を支えるメディア作りの核となる組織です。

 大きな柱の一つが、朝日新聞記者に対する体系的な教育システムです。これには編集局をはじめ社内の各部門が協力しています。

 入社したての新人記者への研修では「現場で考える記者の育成」を目指しています。ながらく本社での短期間の研修を済ませると直ちに全国の総支局などに配属し、総局長やデスク、先輩の下で取材のイロハから学ぶオンザジョブ・トレーニング(OJT)が新人育成の基本でした。

 しかし、取材の一線に立つ記者には最新の知識や技能が求められています。人々の人権を守りつつ、事件取材をどう進めるか。市場経済にどう取り組むのか。デジタルカメラを生かした写真取材とは。「記者は勝手に育つのではなく、適切な教育訓練によって育てなければならない」という視点から、1入社時研修(基本的な記者活動の習得、取材のモラル、原稿の書き方)、2半年後研修(整理の実習、報道規制と対抗理論、報道ジャーナリズム論)、3ほぼ1年後の仕上げ研修(記者としての基礎固め)の各段階についてカリキュラムを練り上げました。

 07年4月の長期研修では地震の被災地や公害の現場での取材と記事の執筆を体験しました。

 さらに「記者クラブに依存しない記者の育成」を目指す3年生記者研修は、調査報道や独自報道の基本を学ぶとともに、政治や行政、社会をどう見るべきなのかを軸に組み立てられます。

 このほか、メディア界の最新の動向から文化、環境、宗教、戦争・紛争などの状況を世界的な視点で紹介する講座や、総局の幹部記者を対象にした研修なども随時開かれます。報道のプロとしての知識と取材力を兼ね備えた記者でなければ、読み応えがあり信頼される紙面は生まれないと考えています。

 また、記者としての倫理や取材活動のあり方を日常的に検証し、それを研修などを通じて浸透させるのも大きな仕事となっています。

 こうした活動は社内にとどまるものではありません。社会に開かれたジャーナリスト学校として、報道機関への就職を志望する学生・院生に向けて開くセミナーは、その一例です。

 07年度も夏休みの時期を利用して、首都圏を中心に20人ほどの学生・院生を対象に実施しました。2週間にわたって、ジャーナリズムが抱える問題や取材のあり方などさまざまな点について、社内外の講師と意見を交わし、現場取材を体験してもらいました。今後は、社会人を対象にしたジャーナリズム講座なども検討していきたいと考えています。

 新聞ジャーナリズムへの関心を高め、優秀な人材に報道への道を目指してもらうため、朝日新聞社は全国の大学や大学群で「メディア実戦論」「ジャーナリズム総合コース」などの寄付・協力講座を開設しています。また、中国・清華大学に対して研究助成をするなど国際的な大学連携も進めています。

 ジャーナリズムを考えるためのシンポジウムも重要な活動です。「ジャーナリスト宣言」の精神を生かし、厳選したテーマと講師陣で内容の濃いものにするように努めています。

 ジャーナリスト学校の発足以来、若者向けの討論集会、提携紙ニューヨーク・タイムズの編集局長らを囲む国際フォーラム、この6年間にピュリツァー賞を3度受賞した米コロラド州の地方紙の編集者やカメラマンを招いたシンポジウムなどには、多くの読者がつめかけました。

 このほか、ジャーナリスト学校の研究紀要「朝日総研リポートAIR21」は、新聞・テレビ・インターネットを初めとする内外メディア界の動向の把握や分析、ジャーナリスト教育の調査、世論調査の動向などを手厚く報じてきました。大学などでの新聞研究、メディア研究も再び盛んになっています。こうした分野の専門者との連携、共同研究も重要なテーマといえます。

AAN客員研究員
中越地震の被災者をインタビューする韓国からのAAN客員研究員・李知娟さん(右)=07年5月、新潟県で
 また、アジアでの情報と人の交流のかけ橋をめざす朝日新聞アジアネットワーク(AAN)は創設10年を機にジャーナリスト学校に統合され、業務内容も刷新しました。

 07年度からは海外を含む様々な分野の気鋭の学者・研究者・外交専門家ら約50人を母体とする「朝日アジアフェロー」を発足させています。専門の違いを超えて、日本やアジアが直面する諸問題について多角的に論じ合うフォーラムを随時開いています。

 このほか、韓国・東亜日報21世紀平和研究所、中国現代国際関係研究院など海外のシンクタンク・研究機関と提携し、毎年、国際シンポジウムを開いています。アジア各国の若手ジャーナリスト、研究者を客員として招き、取材や研究活動についての支援もしています。

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