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アジアにワインブームを起こした『神の雫』主人公

NYT紙が紹介

 米ニューヨーク・タイムズは22日、アジアのワイン市場にブームをもたらした20代の日本人青年を紹介した。4年前に突然姿を現したこの青年は、ワインの歴史が浅いアジアにワインブームを巻き起こし、アルコール業界の売り上げを左右する最も影響力のある人物になったというのだ。

 実は、この人物は実在の人物ではなく、日本の人気連載漫画『神の雫(しずく)』の主人公、神咲雫(かんざき しずく)のことだ。雫は「シャトー・ムートン・ロートシルト」(フランス・ボルドー地方の最高級ワイン)の豊かな味をフランスの画家ミレーの傑作「晩鐘」に例え、ビンテージ(ブドウ収穫年)2001年の「シャトー・モン・ペラ」を一口飲んでイギリスの伝説的ロックグループ「クイーン」の演奏を思い浮かべるなど、読者をワインの奥深い世界に導いてゆく。 

 多数の読者が雫の感受性豊かなワイン評に夢中になったことから、彼は世界最高のワイン評論家ロバート・パーカーよりも有名になった。東京のワイン業者たちは毎週木曜日に『神の雫』が連載されている「週刊モーニング」を買い、漫画で紹介されているワインを我先にと確保する。比較的ワインに関心が薄かった中国や台湾の上流階級の人々もワイン愛好家を名乗り始めた。

 韓国でもこの漫画は大人気で、ストーリーの中で絶賛された「シャトー・モン・ペラ」や「エマニュエル・ルジェ」といった高級ワインがあっという間に売り切れたかと思えば、レストランでは客が漫画に登場するワインの専門用語をすらすらと口にする光景も珍しくなくなった。

 「亜樹直」というペンネームでこの漫画のストーリーを手がける姉の樹林ゆう子さんと弟の樹林伸さんは、東京郊外で暮らしている。二人はプロのワイン評論家ではないが、収集したワイン3000本を保管するためマンションを借り、地震警報システムまで設置しているほどワインを大切にしている。二人の漫画のおかげでワインの売り上げが急増したフランスはうれしい悲鳴を上げている。

李竜洙(イ・ヨンス)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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