「サンデーGX」誌上において、読み切り、そして連載になって以来、ジョン・ウーばりのアクション描写で圧倒的な人気を得ている「BLACK LAGOON」。今月の「NO COMIC〜」は、その作者である広江礼威先生にお話しを伺ってきました。「BLACK LAGOON」に関する話はもちろん、今月遂に復刊される「SHOOK UP!」までフォローしたこのインタビュー、ぜひご一読下さい!

   
 
広江礼威
© 広江礼威/小学館・サンデーGX

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『とらだよ。』vol.34対象ページ
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 第73回:水城せとな先生

 第72回:カトウハルアキ先生

 第71回:中田ゆみ先生

 第70回:柴田ヨクサル先生

 第69回:梅澤淳 氏

 第68回:はっとりみつる先生

 第67回:蒼樹うめ先生

 第66回:むんこ先生

 第65回:清水栄一先生×下口智裕先生

 第64回:塩崎雄二先生

 第63回:「コミックビーム Fellows!」編集 大場渉氏

 第62回:大石まさる先生

 第61回:ヒロユキ先生

 第60回:きづきあきら先生・サトウナンキ先生

 第59回:ISUTOSHI先生

 第58回:重野なおき先生

 第57回:紺條夏生先生

 第56回:志村貴子先生

 第55回:森永みるく先生

 第54回:神宮司訓之氏

 第53回:私屋カヲル先生

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 第51回:大島永遠先生

 第50回:おがきちか先生

 第49回:「コミックハイ!」編集長 野中郷壱氏

 第48回:えりちん先生

 第47回:倉科遼先生

 第46回:よしながふみ先生

 第45回:菊池直恵先生

 第44回:石田敦子先生

 第43回:藤代健先生

 第42回:林家志弦先生

 第41回:山名沢湖先生

 第40回:ひぐちアサ先生

 第39回:鈴木次郎先生

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 第32回:阿部川キネコ先生

 第31回:田丸浩史先生

 第30回:二ノ宮知子先生

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 第27回:曽田正人先生

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 第24回:石田敦子先生

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 第22回:大島永遠先生

 第21回:吉崎観音先生

 第20回:小野寺浩二先生

 第19回:ぢたま某先生

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 第17回:木尾士目先生

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 第15回:犬威赤彦先生

 第14回:八神健先生

 第13回:志村貴子先生

 第12回:文月晃先生

 第11回:Dr.モロー先生

 第10回:梁慶一・尹仁完先生

 第9回:山口貴由先生

 第8回:塩崎雄二先生

 第7回:倉上淳士先生

 第6回:榎本俊二先生

 第5回:氷川へきる先生

 第4回:山浦章先生

 第3回:さなづらひろゆき先生

 第2回:村枝賢一先生

 第1回:はっとりみつる先生

  • 編集:まずこの「ブラック・ラグーン」(以下、「ラグーン」)を描く事 になったきっかけを教えてください。

    広江先生:今の担当さんが伊藤明弘先生とお付き合いがあって、 伊藤さんのファンが運営するHPの書き込みで、「『SHOOK UP!』 が面白いよ」っていうのを見て、僕の作品を読んでくれたんです。 それであの作品の後半の特殊部隊の登場シーンとか、気に入っ てくれたみたいで、声をかけていただいたんですが、打ち合わせ で話しをしている時から、「虎口からの脱出」(景山民夫)やステ ィーブン・ハンターの小説の話で盛り上がって、「じゃあ、そういっ たモノを漫画でやりましょう」と言っていただいたんです。 それで実際に「どんなのをやろうか」と考えていたんですけど、最 初の連載(「翡翠峡奇譚」)が終わった95年くらいに色々と考え た企画があって、その中の一つに「ラグーン」のような海賊モノ があったんです。 その時はネタの一つとして埋めておいたんですけど、担当さんと の話の中で改めてその企画をどうですかって提案したところ、担 当さんが「撃つならなんでもいいよ」(笑)って感じでOKしてくれ たんで、「じゃあこれで」というノリで始めたのがきっかけです。

  • 以前拝見した記事によると、最初に海賊モノが浮かんだようで すが?

    いや、「ラグーン」のような現代版の海賊のようなネタだけでなく、 中世の海賊モノも考えましたし、大陸モノというか、以前に連載 していた「翡翠峡奇譚」の影響もあって、その派生じゃないです けど、30年代の中国を舞台にした馬賊モノとかも考えていました。

  • 海賊にしても馬賊にしても、無法者っていうか、アウトローですけ ど、やっぱり好きなんですか?

    そうですね。例えば刑事とかアウトローじゃない側にいる人間って、 主人公として描かれることが多いですけど、逆に「やられ役」の 方を主人公にして描いてみたら、「変わっていて面白いだろうな」 という気持ちはあります。

  • まずは読み切りから始まった「ラグーン」ですが、実際に連載が 決まったことを聞いてどうでしたか?

    いや、おかげさまですごく反応が良かったから連載になったので すが、連載が決まったことについてはどうなんだろう、実はその前 までの作品に関して言うと、反応があまり良くなかったんで、正直 言えば漫画家をやめようと思っていたんです。 だからその時は、「ここでまた続きモノを描いて、色々やってみた いな」っていう気持ちがある一方、「まぁ、どっちでもいいや」って いうのもどこかにあったんです。 変な話ですけど、「SHOOK UP!」の時はすごくがっついてたん ですよ、「連載やんなきゃ、やんなきゃ」って。でもそういったのが 全部裏目に出ちゃったんで、「ラグーン」を始めた頃は自然体っ てわけじゃないですけど、なんかもう「どっちに転んでもなるよう にしかなんねぇだろ」っていうくらいのノリだったんです。 吹っ切れたというか、なんか変な気合いばかり入れても必ず結 果が出るとは限らないので、やりたいようにやろうと思うようにな りました。

  • 映画に出てくるようなセリフやアクション、あと張の2挺拳銃のデ ザインなど正にジョン・ウ−って感じでとても印象的だったんです けど、そういった映画のテイストとかを描く時に気遣っている事っ てありますか。

    映画じゃなくて、例えば向こうのテレビドラマとか、たとえ前回を 見ていなくても、その一回を見ただけで大体どんな話かわかるじ ゃないですか、それと同じように漫画でも雑誌で初めて読んだ人 でも分かるようにしようといつも考えています。 逆にガンアクションについてはわかりやすいとかわかりづらいじゃ なくて、勢いだけ楽しんでくれればいいかなって思っています。 やっぱり銃とかも拘っていない訳ではないのですが、銃そのもの に興味が無くとも、アクションが好きだったら、その意味とかがわ かんなくても、わかんないなりに楽しく読んで欲しいですし、キャ ラクターについてもロベルタなんかかなりムチャなキャラクター なんですけど(笑)、でもあれぐらいムチャな方がちょうどいいか なって思っています。 ただそういったムチャもあんまりやりすぎちゃうと、人間じゃなくな っちゃうんで、そこは気をつけています。なんていうか、ウソなんだ けどギリギリの人間、やっぱり一発撃っただけで百人死ぬとか、 そういうのはダメじゃないですか。だからそこらへんをギリギリでち ゃんと抑えて、それでいてどこまでメチャクチャできるかいつも考 えています。 人間を超えているようなキャラって、他にも描いている方がたくさ んいるから、同じ様なものを描いてもつまんないじゃないですか。

  • やっぱり映画で見た情景とかセリフとかを遊び心で描いたりして るんですか?

    映画の場合はシチュエーエションとか面白そうなのはやっぱり影 響は受けていますけど、セリフに関しては海外小説とか12チャン ネルで放送される映画とかの吹き替えセリフみたいな感じを意 識しては描いていますよ。 特に海外モノの翻訳って、結構直訳が多いんですけど、あのわ ざとやっている感じ、若干読みづらくても日本クサさを出さない、 やっぱり描かれている場所の雰囲気を壊さないように考えてい るじゃないですか。

  • 一巻を最初に読んだ時、「わぁ、この人はメチャクチャこういうセ リフを描きたかったんだな」っていうのを感じたんです。悪く言え ば違和感を覚えたぐらいなんですけど、それがだんだん読んで いくうちにそういったセリフが自然に入ってきて、逆に読み手であ る僕が「ラグーン」の世界に入り込めたのかなって思っているん ですけど。

    多分そこが垣根なんだと思うんですよ。 洋画みたいな、海外小説の翻訳みたいな、ああいうセリフ回しっ ていうのは、今迄やっている方がいなくて、だからやろうと思った んですけど、それ以外にも日本語の口語っていうか、ベタな日本 語を使っちゃうと、いくら外人が主人公で外国が舞台でも、多分 みんな日本人になってしまうと思ったんです。 だからあえて直訳セリフを使うことで、向こうの匂いが入ってくる ことが出来ればって思って、未知数ではありましたけど、とりあえ ず垣根を作ってみたんです。 多分そういうのが出来たのもさっき言ったように「やりたい事をや ろう」って思うようになったのが大きいですね。「ひとつ試してみよ う」と、それで垣根を越えてもらえなかったら、それはそれでしょう がないと割り切っていましたから。 だからいまこうして人気があるのはその垣根を越えてくれる方が 多いからだと思うんですけど、それがダメな人だと「ラグーン」は 読んでいて鼻につくだけだと思いますし(笑)。 逆にまだ先の話ではありますけど、日本が舞台になった時は日 本人のセリフはああいう吹き替えみたいな感じじゃなくて、口語 の日本語を使うと思います。

  • 「ラグーン」は1つの事件で4、5話を使っていますけど、どんな感 じで作業しているんですか?

    状況にもよりますけど、まず字だけで作った脚本みたいなモノを 担当さんに見てもらって、「ここを削ろう」、「ここをもっと見せよう」 とか打ち合わせしながら構成したモノを今度はコンテにして、そ のコンテの段階で、脚本と同じような打ち合わせをして、そこでも う一回直して、それから下書き、ペン入れって感じで作業していま す。 プロットについては最初に5話分を、例えば劇場用1話みたいな形 で作るんじゃなくて、大まかなプロット、「とりあえず1話からケツま ではこういう感じで流れますよ」っていうのを作って、細かいところ は1話ずつ埋めていく感じです。 だから最初に作ったプロットと、最終的に出来上がったプロットが 全然違ったモノになったこともあって、具体的には双子の話とかそ うなんですが、あの話は最初、双子VSホテル・モスクワみたいな 感じで、とにかくでかい大銃撃戦で終わらせようと最初は話してい たんですけど、やっぱりそれだと普通になっちゃうから、静かに締 めた良いだろうということになったんです。 だから最初に考えていた大銃撃戦みたいなところは全部切っちゃ って、別のシチュエーションを用意したんですけど、それも最終的 なコンテを切っているときに決まりました。

  • ページ数についてはどうですか?

    今24ページなんですけど、もう少し描ければ余裕も持てるんでし ょうけど、作業上の問題でどうしてもページ数を絞っちゃう事が多 いんです。 今は絵よりもある程度ストーリーを固める方を優先させちゃってい るんで、どうしてもコマがせこくなるっていうか、本当は見開きでや りたいけどページの半分で収めないといけないといったことが多 いんで、そこを効果的に見せていく事が今後の課題だと思ってい ます

  • キャラクターについて、レヴィの刺青とかバラライカの火傷とかす ごく印象的なんですが、あれはどうしてですか?

    レヴィの刺青については、やっぱりオタク系(笑)の絵で怖い系の 刺青を入れているキャラってあまりいないから、じゃあ俺がやろう っていう感じで入れました。 バラライカの火傷については、どこか欠損しているキャラが僕は 好きみたいで、「翡翠峡奇譚」でも片目に傷があるキャラを出して いたんです。最初のインパクトというか、バラライカって、綺麗な顔 をしているんだけど、あの火傷で普通の世界の人じゃないってわ かるじゃないですか。 やっぱりああいった傷があるということは何か過去があるというこ とですし、それは彼女に限らず他のキャラもなにかしら傷と過去を 持っているんで、そういった意味で彼女は「ラグーン」の世界観を 体現するようなキャラですね。

  • レヴィをアメリカンチャイニーズにしたのは何故ですか?

    マイノリティということを強調したかったんです。 あそこにいる人間はスラブ人のバラライカ、黒人のダッチ、ユダヤ 人のベニー、そしてチャイニーズのレヴィって、まともなアングロサ クソンが1人もいない。みんなどちらかというと、迫害を受けてきた 人種の集まりなんです。 だから「ラグーン」の最初の設定ではキューバ人のジジイ、つまり ヒスパニックもいたんです。残念ながら彼を入れると話が重くなり そうだったんで外したんですけど、逆に入れたのが、担当さんから 読者に近い視点のキャラを入れてくれって言われて作った日本 人のロックなんです。

  • メイドのロベルタとか双子とかの話はどんな流れで考えたんですか?

    双子なんかは「ちっちゃい女の子がデカイ銃を振り回していれば 面白いね」って担当さんと話していたのが決まって、ロベルタは知 り合いと「メイドさん、人気だね」って話していて、「じゃあメイドさん に銃でも持たせて大暴れさせるか」って(笑)、冗談で話していた のを本当にやっちゃったんですよ。 ただ2話目でアレを持ってきたのは、今迄キャラを出し惜しみして きたところがあったんですけど、今回は出し惜しみしないで「読者 にイッパツかまそう! ダメならダメで別にいいや」と割り切って早め に出してみたんです。 ロベルタみたいなイロモノを出すことで、読者に「なんだこの変な 漫画は!?」って思わせることが出来ればと考えていましたけど、実 際すごく反応が良かったんで嬉しかったです。

  • これだけ個性的なキャラクターだとやっぱり勝手に動きますか?

    ネオナチ編が非道かったですよ。レヴィが暴走しはじめたんで、ど うしたらいいんだろうってパニックなりました(笑)。 途中でレヴィがなんか撃ち始めたんで、「あ、だめだ!」と思ったん ですけど、もう制御できなくなちゃって、「コレどーすんだ」みたいな 感じになったんです(笑)。 しかもこのまま行ったら、ロックかレヴィのどちらかがこの漫画から いなくなると思ったんで、なんとか仲直りをさせないといけないって 必死でした。 正直言うと最初あの二人の喧嘩のシーンは全然予定になかった んですよ(笑)。 あれは本当にレヴィが勝手に動き始めたからこそのシーンだった わけで、勝手に動かなかったら、あのシーンは、あの最後の煙草を点けあうシーンは多分なかったと思います。 本当にレヴィが、なんだろう、あんなにロックに食ってかかるとは思 っていなかったんで、それが絡みはじめたんで、「なんかヤバイなぁ」 (笑)って思ったんですけど、もうそうなると作者の都合だけで変 えられないんで、止められなくなったんです。

  • やっぱり生き方が違う二人がぶつかったら、「じゃあサヨナラ」って なるのが普通ですけど、でもあれは本当に良い結末になりました ね。あの話があったからレヴィの弱さも見ることが出来ましたし、こ の話で「ラグーン」は傑作になったと思います。

    ホントにどうしようって感じでしたけど(笑)、結果的にそういう結末 に、しかもキャラクターが自然にそういう風にしてくれたんで良か ったです。 セリフについても土壇場で感覚的に決めていったところがあって、 そういうノリも含めて何かがありましたね。

  • 今後の二人の関係はどうなるんでしょうか?

    恋愛感情はないですね、多分まだリセットされただけですよ、上下 関係だったのが対等の仲間になった感じです。 またあれぐらいのシーンが出来ればいいんですけどね。あれで終 わっちゃったら、「ラグーン」もそこまでだったって話になるんで、あ のシーンを越えられるようなやつを次も出せるように頑張りたい です。

  • 最期に読者にメッセージをお願いします

    基本的には洋画みたいなセリフと馬鹿なアクションを楽しんでも らえれば、それが一番いいですね。 後は「女のケツが見たい人は読んでね」っていう感じです(笑)。 こうしたノリを楽しんでもらった後は、「ラグーン」だけじゃなくて海 外の冒険小説とかにも、面白いのは山ほどあるから、そういうのも 読んでみて、もっとこうした世界観を堪能してくれれば良いなって 思います。

[取材日:平成15年11月10日(協力 :サンデーGX編集部]


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