インタビュー:コニカミノルタ、液晶パネル向けフィルム販売は落ち込む=社長
[東京 19日 ロイター] コニカミノルタホールディングス(4902.T: 株価, ニュース, レポート)の太田義勝社長は19日、ロイターとのインタビューで、業績に貢献してきた液晶パネル向けフィルムの下期の販売が上期に比べ落ち込むとの認識を示した。
パネルメーカーによるパネル減産の影響を受ける。
同社は液晶パネルの基幹部材であるTACフィルム(液晶偏光板用保護フィルム)の下期販売について「10月、11月を見ると、とても上期のレベルは考えられない。明らかに落ちる」と述べた。世界景気の後退による薄型テレビ需要の減少や、これに伴うパネルメーカーの減産の影響を受けているという。こうした市場環境の変化を受け、09年秋に完成を予定していた同フィルムの第7工場について「稼動は当然、遅らせる」との考えも明らかにした。ただ、どの程度の遅れになるのかは受注動向次第とし、明言しなかった。
同社の08年4─9月期業績では、事務機などを含む主力の情報機器事業の営業利益は前年同期比28%減の323億円だったが、TACフィルムを含むオプト事業は同45%増の190億円と業績を支えた。オプト事業では、TACフィルムと同様に成長が見込まれていたブルーレイディスク(BD)向けピックアップレンズやHDD(ハードディスク駆動装置)向けガラス基板なども「最終品の売れ行き(低迷)の影響を受けている」という。
同社は10月末、09年3月期の連結営業利益見通しを、従来計画の1200億円から800億円へと下方修正。想定為替レートも1ドル95円(従来100円)、1ユーロ120円(同155円)に変更している。
主力の複合機を取り巻く事業環境は、10月末当時に比べ「悪くなっているのは違いない」としたが、前年同期比10%増としている08年10月─09年3月期の販売見通しは「月によってでこぼこがあるが、今のところ変えていない」とした。
為替の円高が進む中で「コストダウンは鋭意やっているが、値上げは不可避」との認識を述べた。「(事務機業界の各社は)為替(の見通し)が大きく狂った。それを戻すため、価格への転嫁を考えると思う」と説明している。
来期の業績については「とても楽観的にはなれない。来年一杯、今の状態から良くなりにくいのではないか」とし、コスト削減を進める考えを示した。研究開発に関しても、近い将来にビジネス化が期待できる分野に「取捨選択を強くしていく」とした。
株安を受け、自社株買いに踏み切る企業が増えているが、太田社長は「自社株買いで1株当たりの価値を上げるのではなく、それだけの原資があるなら成長に向けて使う」との考えを示した。09年3月期の年間配当を20円とした予想は、現時点では変更しないとの考えを述べた。
(ロイターニュース 平田紀之、竹中清)
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