Special Interview 坂本龍一

世界的に活躍する音楽家、坂本龍一氏。今年二月にYMO名義で『RYDEEN 79/07』をリリースし、iTunes Storeでもロングセールスを記録している。それは“YMO世代”と呼ばれる人たちだけでなく、多くの世代から支持されているなによりの証だろう。また、3月28日には坂本氏がエイベックスと共に立ち上げた新レーベルcommmonsから、fennesz + sakamoto(フェネスサカモト)名義でのアルバム『cendre』をリリース。iTunes Storeでも同時配信している。音楽に限らず、多方面で精力的に活動の場を広げ続ける坂本氏とMacとの関係、そしてアルバム『cendre』の制作秘話を伺った。

思いついたらPowerBookですぐに音を出し、その種がやがて曲になる。

─坂本さんが初めてMacに出会ったのはいつ頃なのでしょうか。

僕が初めて買ったMacはSE/30なんですが、Performerを使いたくて買いました。当時はコンピュータを所有するという概念すらなかった時代でしたし、とても高価なものでした。でも「これは使えるな」と思ったから買ったんだと思う。それから音楽用として、ずっとMacを使いつづけています。だから自分の人生の中で、何十台Macを買ったことか。 それでもここ5、6年で、音楽制作からパフォーマンスを含めてこのPowerBook一台でできるようになるとは、想像もしていませんでしたけど。

─現在、音楽制作でご使用になられているソフトを教えていただけますか。

メインに使用しているのはPro ToolsとDigital Performerです。PowerBookでは即興でDJ的なこともよくやるのですが、その時はMax/MSPというソフトを使っています。だからこのPowerBookのハードディスクの中身はほとんどが音楽ファイルなんです。100GBのハードディスクの中に、AIFFなどの音楽ファイルが50GB、iTunesに入っているMP3が40GBぐらい。すぐにハードディスクがパンパンになってしまうので、いつも残り1、2GBのすれすれで使っているんですけど。それで仕方なく思い出の写真なんかも捨てたりしながらね(笑)。

─PowerBookは常に持ち歩いていらっしゃるんですね。

自宅にはPower Mac G5と大きなディスプレイの置いてあるプライベートスタジオがあって、そこは“仕事場”という感じですけど、スタジオでもこのPowerBookで音を出しながら音を取り込んでいくという作業もします。基本的には仕事のオンとオフの境がないので、思いついたらすぐにこれで音を出すし、その音が種になって、それがあとで曲になったりもします。あとは音楽に限らず、思いついたことを書き込んだりとか、毎日のようにウェブやブログを見たり。最近重宝しているのはRSSリーダーですけど、そこで得られる情報はノートを取るように、バンバン貯めていますね。

iTunes Storeのような音楽データ配信は最良の方法。

─坂本さんはiTunes Storeなどの音楽データ配信に関してはどのような考えをお持ちでしょうか。新しく立ち上げられたレーベルのcommmonsでは、パッケージ販売やダウンロード販売という枠にとらわれず、「音楽」が必要とする最良の方法で、「音楽」をユーザに届けるというスタンスを取られているようですが。

日本でインターネットが一般の人に普及し始めたのは94年、95年ぐらいからですよね。僕はその頃から音楽データ配信について考えていたんですけど、その当時はなにもなかったんです。だから個人的にネットが得意な学生と研究会をやったり、音楽データ配信の著作権について勉強会をやっていました。 それから色々な方法が試されてきましたけど、iTunes Storeがアメリカでスタートしたのが2003年ですから、僕からしたら「なんでこんなに時間が掛かってしまったんだろう?」って思いました。 僕の持論としては、物としての価値のあるバイナル(アナログ盤)、とデータ配信。この二つがあればいいと思っています。だから現在のiTunes Storeのような音楽データ配信という方法は、僕にしたら万々歳なことですよ。それに日本の場合は世界でも特殊で、携帯電話がネットのデバイスとしてここまで普及しているんだから、音楽データ配信は最良の形だと思う。いずれiPhoneも出るだろうしね。でもiPhoneが出たら、iPodはどうなっちゃうんだろう?今はそんな勝手な心配もしているんだけど(笑)。

─iPodもご使用になられているのですか。

今はiPod 80GBのブラックを使ってます。毎日、寝るときも。ただ、DRMは早くなくして欲しいな。

─1998年にアルバム『BTTB』をリリースされたとき、CDと共にフロッピー・ディスクにMIDIデータを収録して販売されたことがありましたよね。あのような形態は、音楽データ配信の実験という意味合いもあったのでしょうか。

あれは流通の問題というより、今で言うクリエイティブ・コモンズのようなものです。コピーライトに対してコピーレフトという考え方があって、つまり自分の曲なんだけど、MIDIデータを渡すので、好きに使っていいよっていうことです。 僕は曲によっては、それで良いと思っているものもある。例えば現在、『stop-rokkasho.org』という活動をやっていますけど、ここに上がっている作品に関しては基本的にはすべてコピーレフトで、コマーシャルユース以外に関してはユーザが好きに使っていいという方法を取っています。そういった選択肢は、そのケースに応じてアーティスト自身が決めればいいと思っているんです。

Profile

坂本龍一

1952年東京生まれ。東京芸術大学大学院修士課程修了。1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年、細野晴臣、高橋幸宏と『YMO』を結成。散解後も、音楽・映画・出版・広告などメディアを越え活動。1984年、自ら出演し音楽を担当した『戦場のメリークリスマス』で英国アカデミー賞他を、映画『ラストエンペラー』の音楽でアカデミー賞、グラミー賞他受賞。以後、活動の中心は欧米へ。1999年制作のオペラ『LIFE』以降、環境・平和問題に言及することも多く、アメリカ同時多発テロ事件をきっかけとした論考集『非戦』を監修。自然エネルギー利用促進を提唱するアーティストの団体artists'powerを創始するなど、活動は多岐にわたっている。1990年より米国、ニューヨーク州在住。

坂本龍一公式サイト

iTunes Store

fennesz + sakamoto

cendre

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イエロー・マジック・オーケストラ

RYDEEN 79/07

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