ニュース
これも“時代の寵児”? 5年分で18万円からの1週間別荘シェア
景気低迷の影響を受け、国内旅行やリゾート関連市場を取り巻く環境はよくない。こうした逆風下でも、別荘を1週間単位でシェアリングできるリゾート会員権事業は好調のようだ。
[FujiSankei Business i.]
景気の減速によって国内旅行は低迷、リゾート関連市場を取り巻く環境は決してよくない。こうした中、昨年4〜12月の累計成約数が前年同期比で8%も上回り、今年2月には前年同月比で約20%増を記録するなど好調を持続しているのが、東京急行電鉄グループが展開する「ビッグウィーク」。別荘を1週間単位でシェアリングできるリゾート会員権事業だ。
5年分で18万円から
ビッグウィークは1年間・51週に分割された別荘1戸の利用権のうち、毎年使いたい1週間の利用権「マイウィーク」を5年間、または10年間分まとめて購入する仕組み。リゾート先進国である欧米では何十年も前から普及している、合理的なシステムだ。
1戸当たりの広さは70平方メートルからで、軽井沢(長野県)や箱根強羅(神奈川県)、伊豆高原(静岡県)など計11カ所の著名リゾート地で事業を展開している。
生活に必要な備品がそろっているため、食材さえ持ち込めば長期滞在が可能。また、ホテルレベルの掃除や運営管理といったサービスを提供しているため、他人とシェアをしているといった感覚がわきにくい。
価格は施設や時期に応じて幅広く設定している。
例えば、5年利用権だと18万9000〜294万円。最も安いのが蓼科(長野県)の第4〜6週(1〜2月)などで、高いのは斑尾(同)の第1週(1月)となる。これに管理費や清掃料などが加わる。
利用権“交換”も
こうしたリゾート地の別荘を購入するには、軽く数千万円の出費が必要。販売代理を行う東急ビッグウィークステーション(東京都渋谷区)の幹部は、別荘市場について「景気がよいときは所有にこだわる傾向が強いが、不景気の時は『いかに楽しむか』といったスタイルが目立つ」と分析する。その意味で、マイウィークは“時代の寵児(ちょうじ)”とも言える。
その理由の1つは、リーズナブルな価格で別荘に手が届く点。また、マイウィークを3泊と4泊に分けた上で、他の時期や施設と交換できるシステムを導入していることも、会員から賛同を得ている。
“物々交換”を支えているのが、コールセンター。自動案内ではなく専任のスタッフが会員の事情を聴きながらマンツーマンで対応するため、80%という高い交換率を実現している。
現在の会員は55〜62歳の団塊世代が中心で、孫も加えた3世代で利用するケースも多いという。現在の会員口数は約3500件。東急ビッグウィークステーションでは「自分のライフスタイルに応じて選べ、重荷にならない商品」という理由で景気にかかわらずニーズが高まるとみており、数年後には5000〜6000件まで伸ばす計画だ。
関連記事
- ちょい上の「ホテル東急ビズフォート」――成算はどこに?
不況の影響を受け、ちまたには低価格商品があふれんばかり。100円台のハンバーガーや1000円を切るジーンズなどが注目を浴びているが、“ ちょっと上の消費の兆し”が出ているのも確か。今回は宿泊料金がやや高めのビジネスホテル――「ホテル東急ビズフォート」を紹介しよう。 - 20代前半のビジネスパーソン、旅行好きなのはどんなタイプ?
最近1年間で旅行をしたという人は、誰と旅行に行ったのだろうか? 全体では「友達と」が最も多かったが、男女別で見ると、男性は「家族」よりも「恋人」、女性は「恋人」よりも「家族」と一緒に旅行をしている人が多かった。リクルート調べ。 - ミシュランガイドとは違う!?――アテにならないホテルの格付け
copyright (c) 2009 Sankei Digital All rights reserved.
新着記事
- 35年ぶりの“上陸”はブームになるのか? 長崎県の軍艦島ツアー
かつて炭坑の島として栄えていた長崎県の「軍艦島」(端島)。1974年に閉山してから無人島になっていたが、この4月から観光客が“上陸”することが可能に。ある旅行会社は島への上陸ツアーを扱うなど、ひょっとしたら軍艦島ブームが訪れるかもしれない。 - マックスバリュ北海道が2930円……ベースアップを断行した企業はどこ?
不景気の影響で“ベアゼロ”の企業が続出している中で、ベアを断行した企業も少数派ながらある。賃金水準を底上げするためのベアを回答した企業は、なぜか流通業界が目立った。その理由は……? - これも“時代の寵児”? 5年分で18万円からの1週間別荘シェア
景気低迷の影響を受け、国内旅行やリゾート関連市場を取り巻く環境はよくない。こうした逆風下でも、別荘を1週間単位でシェアリングできるリゾート会員権事業は好調のようだ。 - 外食の平均予算は朝食654円、昼食825円、では夕食は?
- その名に恥じない3代目――トヨタ「プリウス プロトタイプ」に乗ってみた
ホンダ「インサイト」の登場で、ハイブリッドカー市場の盛り上がりが予想される2009年。トヨタが投入する新型プリウスはどのようなクルマなのか? 富士スピードウェイで試乗した、プリウス プロトタイプのインプレッションをお伝えする。
新着記事
35年ぶりの“上陸”はブームになるのか? 長崎県の軍艦島ツアー
マックスバリュ北海道が2930円……ベースアップを断行した企業はどこ?
これも“時代の寵児”? 5年分で18万円からの1週間別荘シェア
神尾寿の時事日想・特別編:その名に恥じない3代目――トヨタ「プリウス プロトタイプ」に乗ってみた
4月から1人暮らしを始める新社会人――新居に持っていくのはテレビ? PC?
新聞は読者のソーシャルパワーを生かせていない――Gartner調査
出版&新聞ビジネスの明日を考える:マスコミは“斜陽産業”? 週刊誌が生き残る条件とは
アクセスランキング
- その名に恥じない3代目――トヨタ「プリウス プロトタイプ」に乗ってみた(2009年03月27日)
- 『らき☆すた』『true tears』に学ぶ、アニメツーリズムの可能性(2009年03月23日)
- 結婚相手に求める年収はいくら?(2009年02月20日)
- なぜ『週刊現代』と『週刊ポスト』の部数は凋落したのか?(2009年03月25日)
- 一眼レフ市場のニコンVS. キヤノン――なぜキヤノンは“圧勝”できなかったのか?(2009年03月26日)
- どのくらいダウンまで耐えられますか? あなたの年収(2009年03月25日)
- プリウスVS.インサイト、男女で好みに違い(2009年03月23日)
- 現場で感じた……“週刊誌離れ”が進む理由(2009年03月19日)
- 大型が「軽」で通過……ETC不正“おきて破り”の手口(2009年03月27日)
- トヨタ、ソニー……インチキ筆頭株主「テラメント」の今(2009年03月24日)