1. はじめに


ALPS スイッチはどこまでが本物でどこからがコピーなのか混沌としています。 一説には需要に応じきれなかったALPSが台湾の製造現場でのコピー品 を黙認していたという事もあるらしく、この事が事情を一層複雑にしているのかもしれません。  90年代中期以降は接点構造を簡略化した いわゆる簡易型が登場しますので状況は更にややこしくなってきます。  簡易型には ALPSロゴ有り、ロゴ無しがありますが、製造されていた頃の実態からすればALPSが認定していたか否かにかかわらず全て  ALPSスイッチ  と呼んでも差し支えないのかもしれないと思えたりもします。
日本ALPSと台湾のALPSスイッチ製造拠点であったと思われる 福華電子 (FORWARD)との合弁事業は2000年で解消しているのですが、それにも拘わらず今尚 台湾で ALPSロゴスイッチが製造されている背景には、なにやら契約上の問題があったりするようです。 もともと ALPSスイッチを作っていた会社あるいはその流れを汲む工場/会社が同じ要領で作っているのですからまったくの贋作とはいえないでしょう。
とはいうもの古きよき時代の 「ALPS」 スイッチと比べるとコストダウンされているのは否めない事実です。 
ここではいわゆるBigfoot系 ALPS角軸スイッチ とその周辺の簡易型ALPS似スイッチ ( ロゴ有り、ロゴ無し ) を検証してみます。  ALPS角軸の前身である 楕円軸や 別系統の板バネスイッチはここでは扱いません。


1. 本物( ALPS角軸 )  

「本物」とは何なのか? 
一番簡単な定義はその接点部の構造によるものです。
即ち 「本物」 の接点部はすべからく 下の画像のようになっています。 色は 黒、灰、乳白色と時代とともに変わりますが、その基本構造は同じです。

 A  Type   樹脂パーツで覆われた旧来の接点ユニット

Northgate Omnikey 102 
白軸の接点アッセンブリ

Apple Extended Keyboard
オレンジ軸の接点アッセンブリ

接点部の構成部品についての分解画像はMousefanサイトこちら
構造は Qwerters ClinicALPSスイッチ解説 

 

一方 簡易型と呼ばれるものは接点部の構造が簡略化されており、構成部品も金属パーツ2個のみ、あるいは + 簡易セパレーター となっており製造コスト並びに製造の手間が大幅に削減されています。   

簡略化された接点の例  ( いわゆる 簡易型 )

手前の可動接点部と後部固定接点は金属材質が異なるようです。

このように接点部は旧来品と 簡易型スイッチとでは似て非なるはものとなっています。 しかしながらスイッチとしての外形寸法、リード軸のケース底面の位置はまったく同一であり、軸も細部の違いはあっても基本的には同じ形状であり、見た目にも明らかなように簡易型はALPS角軸スイッチの文字通りの代替品として設計製造されたものです。
ALPS社の承認を得ていたか、あるいはまったくのもぐり即ちコピーだったかという事はこの際忘れて、ここでは上記 A タイプ以外の接点ユニットを持つものはロゴのある無しに拘わらず 「簡易型」と呼ぶことにします。  
当サイトでは各所で簡易型でないALPSスイッチを 「本物」 あるいは ALPS角軸 あるいは 単にALPSスイッチ という表現を使いますが、簡易型を偽物と分類しているわけではなく、「本物」は単に「簡易」に対する「基準品」 という程度の意味合いです。

前置きが長くなりましたが、 本物は
緑軸のリニアに始まり、黄色、オレンジ、青、ピンク、白、黒 と 軸カラーのバリエーションが豊富です。
スイッチ上部ハウジングは古いものの場合 軸短辺側に 2筋のスリットがあるのが特徴ですが、後期のものはスリットが省略されています  

 ケース上面より

ケース内側 (緑軸 )

スリットの意味合いは定かではありませんが、構造から考えると「軸が戻 る際にケース上面に当たる時の 「衝撃緩和 」しか思いつきません。 

接点構成プレートのプラスチック部材は 古いものでは 黒色、その後 灰色となり後期は乳白色(あるいは白色)のものに変わっています。  日本製キーボードで NEC PC-8801 MK-II付属 キーボードの青軸版に黒色ASSYが使用されているとのことです ( Mousefan サイトより )。

ALPSロゴは一般的には上部ハウジングに刻印されていますが、青軸や一部のオレンジ軸では下部ケース底部にのみ楕円で囲まれた古いタイプのロゴを認めることができます。
緑軸、黄軸の場合も上部ハウジングにロゴはありません。

 ピンク軸 初期の細身のロゴ

 黒軸 やや太めのロゴ


最もポピュラーなALPS角軸としては 初期〜後期にまたがる クリック 白軸スイッチ があり、有名どころでは Northgate Omnikey などで採用されています。 ピンク軸の 旧DELLロゴ品などは目が飛び出るほどの価格であったりしますので避けて通りましょう。 
初期の良品 で入手性が良いのは Apple 拡張 キーボード( M0115 )のタクタイル オレンジ軸スイッチがあり、Mac派でなくても ADB --> USB変換を用いれば Windows PC でも使用可能です。 1980年代中期 に登場したスイッチではありますが信頼性は高く、A級ALPSスイッチ採用品としては入手性も高く補修用にも薦められます。
簡易ALPSスイッチは外形、基板搭載規格が ALPS角軸 と同一ですので、それらのキーボードのアップグレードに用いることが可能です。

APPLE 拡張 オレンジ と NEC PC-8801 青軸 は見つけたら補修用に確保すると良いと思います。

スイッチのオーソリティー mousefanさん ならびに みやさんによれば オレンジの登場は1986頃で 1988年頃にピンクに置き換わったようです。 初期の Apple Extended M0115 並びに Apple I M0116 はオレンジ軸が多くピンクの登場と共にピンク版も製造され、Extended II の場合はオレンジ、ピンクに加えてExtended II で主流の 白並びにクリームのゴムダンパー付き更にミツミスイッチとワイドバリエーションとなっているようです。

     BBS書き込みから以下掲載 ( 2004.10.09 by みやさん   一部校正・編集  ) 

GSキーボードのキートップは、流用が可能ですね。
台湾製のキートップは分厚い二色成型ですから、日本製に移植すればキータッチは良くなりそうな感じがしますが・・・個人的な好みからいうと、実はそうでもない感じです。

アップルの昇華印刷のキートップはなかなか良くできていて、アルプスピンクやオレンジには実はベストマッチではないかと感じております。
二色成型に換装すると、なんだか硬い感じのタッチになるようです(この辺はデルの旧ロゴと共通しているのかもしれません)。

アップルキーボードのオレンジ軸とピンク軸に関しては、mousefanさんの言われた通りで製造時期によるものと単純に考えております。
1988-1989年くらいでオレンジからピンクに切り替わったみたいですので、この時期にまたがって製造されたアップルキーボードは全て両方の軸色のものがあります。
また、それぞれの個体数はそれぞれの期間の製造数に比例していると思います。

別のスレッドの話になりますが、オレンジは時々かさかさするものがありますね。 もともとそうなのか、使い込みや環境によるものなのか理由はちょっとわかりません。
ちなみにPC/ATで使用できるものでも、ワークステーション用みたいなものでアルプスオレンジを見たことがあります。

 

ケース底面のロゴ  簡易軸との比較を参照


簡易型

2-1 簡易 I (MouseFan サイトによる分類に従い 簡易 I と表記いたします)

台湾 STRONGMAN社製キーボード ( Filco に供給 ) や Ortek などで使われるており、接点側の軸押しバネが片側のみとなっているのが特徴です。
このタイプのスイッチは ALPS のロゴが刻み込まれていますが、もしかすると2000年前後のロットはロゴ無しもあるかもしれません。
最近の製品はタクタイル感が 硬め に感じられます。  タクタイルバネの触手はALPS角軸同様 2本 ですが、接点側が1本であるため軸に加わる力が均等でなく、旧品と比べて軸の上下動がスムーズさに欠ける要因となっているのではないかと思います。 加えて 最近のものはコイルスプリングの品質も劣るように思われます。 
分類上「簡易 I」 としていますが、実際には簡易型としては一番新しいのではないかと思います。

本物との比較で掲載しましたが 簡易 I のスイッチを再掲します

左上 接点分は金属片2枚の簡略型

右上 ケース内側
        接点側は軸との間に仕切り壁有り。
        手前部分に可動接点を収めるための
       仕切りもある。

左    スリット無し、
        ロゴはモッコリしている

キーボード例; PIONEER MPC-KB2 ADB ( 黒軸)   ORTEK MCK-89S (白軸 )

この型は1995年以降のキーボードでみることができる。   ALPSロゴがケース上面にあることからご本家日本ALPSもその存在を黙認していたと考えられる。
また2000年の合弁提携解消後もこの型は生産されており多くの「ALPSスイッチ搭載」と称されるキーボードの多くがこのスイッチを搭載しています。


2-3 簡易 II

簡易 I との大きな違いは接点側のバネにあり、稼動接点の軸との接触部は2本の触手になっており、この 2本の「触手」は 先端で連結されています。 タクタイルバネ は小型化されており、それを納めるためケース上部の仕切りがあります。
このタイプは Strongman、 Ortek 等でも結構使われていた (いる ? )ようです。 

例; ORETK  MCK-84FX Elsa Communication MAK-98 、 

接点側から均等な力で軸を押しているわけで上下動のスムースさという点では簡易 I より良いのではないかと思います。  接点そのものは樹脂で囲われた複雑な構造のオリジナルをバネと一体で簡略化した構造となっていますが、 簡易 I ほどシンプルではないというところでしょうか。
このタイプのスイッチでケース上面に ALPS ロゴがあるものは存在しないのではないかと思われます。 言い替えれば ALPS社 の認知は受けていなかったという事かもしれませんので、そういう意味では台湾メーカーによる独自の 「発展型」なのかもしれません。

ALPSスイッチ ファミリー という観点では簡易 I より先に世に出たのではないかと思うのですが実際のところはわかりません。 

追記 2008.12.22
Filco ZERO;サイト表記によれば 「 XMスイッチ 」搭載となっていますが、某フォーラムに掲載された画像によればこのスイッチがが使用されているようです。

 

簡易 II-SS
簡易 IIの亜種を見つけました。 台湾のChensさんから SMK-8951に搭載されている スイッチの画像を入手し詳細を見比べたところ、スイッチ接点のスライダ側が 簡易 II より小型化されていて周辺部が削り落とされています。
それ以外は小さなタクタイルバネ、セパレーター無しの前後接点部など簡易 II と同一です。  (以下 画像提供 Dr. Chens  "the Magic Hand” 、Taiwan, R. O. C . ) 

スライダ側のバネは二本触手。.右画像では触手位置がセンターからずれていますが、一旦抜き取ったために位置がずれているだけです。

 

小さいタクタイルバネ

 

 ケース上面にスリット、ALPSロゴ無し
とても雑な造りであることがわかります。

 

スライダはごく標準的

 


2-4 簡易 III

簡易 II と非常に似通っていますが2枚の金属接点の間にプラ製のセパレーターが入っています。 可動接点( 軸側 )の切れ込みも微妙に簡易 I とは異なります。

このスイッチはストーロークバネとの兼ね合いもあるのか、けっこうスムーズ且つクリック音もかろやかで簡易型の中でも感触としてはより本物に近いのではないかと思います。 ついでに手持ち品は簡易型にも拘わらず ケース上面にスリットまでついており、上部ケースの構造も他の簡易型と異なり ALPS角軸 とほぼ同一で代替品として使用することも可能です (他の簡易スイッチは内部仕切りが設けられているため上ケースの流用はできません )。    ALPSロゴはありません。

黒いセパレーターが見えます

  左が接点ユニット側で仕切りが
   ありません。

ALPSロゴ無し。 スリット付き

      左はタクタイルバネ側
      軸接触面の仕上げかなり良さそう

左の四角枠が接点板前後の
セパレーター

固定側(後部)の接点が簡易 I より横幅が広く、前の可動接点側とほぼ同じ大きさ

このスイッチは FOCUS社 FK2001 のWinキー付きバージョンに入っていました。
簡易 III は上ケースが本物とまったく同一であるという事から考えて、簡易型としては古いタイプなのではないかと思います。


2-5 簡易 IV

簡易 II ととてもよく似た構造で、タクタイルバネ はALPS角軸あるいは簡易III同様の大型のものが使われています。
大先輩である mousefanサイトでは 簡易II として括られていますが、タクタイルバネ部の構造が異なることと、可動接点がむしろ IIIに近いのでとりあえず分けてみました。  簡易 IIIのセパレーター省略型と言えるのではないかと思います。  タクタイルバネが大型ですから簡易 IIに見られる仕切り枠はありません。 
セパレーターを省略した替わりに前後の接点板の位置を保持するためにケースには簡易 II 同様の薄い仕切り枠があります。  

例; Macally MK 96

 接点部の形状は 簡易III と似通っています  タクタイルバネが大型でALPS標準品
 や簡易 I、III と同じ


以上4種類の簡易型を見てきましたが、その構造から出現の順序を考えると
 ? 簡易 III ;  接点部のみを簡素化
 ? 簡易 IV ;( ほぼ同時期に 簡易 II )  IIIからセパレーターを除去、上部ケースに一体成型で仕切り枠を設ける。
 ? 簡易 I   ; 接点構造を更に簡素化。  ケース上面にALPSロゴが有ることから 福華電子製造と考えられる。

となるのではないかと思われますが、あくまでも筆者の想像にすぎません。 
簡易II〜IVについてはそのほとんどがケース上面にALPSロゴを冠していないことから福華電子の関連下請け企業会社による会社独自の ALPS模造品 ということができるのではないかと思います。  その出現は1990年から95年にかけてのある時期 ということくらいしかわかりません。
簡易 I は福華による簡略化であり、これはあまた溢れる模造品に対してALPSロゴを冠することにより製品の優位性を打ち出し同時に模造品市場を浄化しようという 福華電子 の思惑があったのではないかと勝手に推察する次第である。  合弁事業の最中に出現しているということは日本ALPSとしてもこの製品を認知あるいは黙認していたということではないかと思います。

                                                                           SW ; switch,    TC; Tactile

  スイッチ 上ケース
SWバネ触手 TCバネ スリット SW仕切り TC側仕切り ロゴ
簡易 I 1本 大型 無し 有り 無し 有り
簡易 II 2本 小型 無し 有り 有り 無し
簡易 III 2本 大型 有り 無し 無し 無し
簡易 IV 2本 大型 無し 有り 無し 無し

 

真性ALPS と簡易型のスイッチユニッットがごちゃ混ぜになった場合簡単に見分けるには?
? 押してみればわかる
? 指先に自信がないからケースを開けてみる
? ケース裏面を見る。

?は一番簡単で確実でもあります。即ち簡易型はバネ付き軸側接点部の大きな部材を1本の足で支えることもあって 軸足となる部分が平坦ではなく  ”への字” 状アールに加工されていて強度を稼いでいます。 下の画像でご確認ください

上段  左から 1,2,3
下段  左から 4.5.6  ( 下段中央 5 は 簡易の例 )
( いずれも 白軸とのことです。  画像提供 Dr. Chens "The Magic Hand "  )

実はこの画像は白軸真ALPSの底面が5種各々微妙に異なるという興味深い事実を同時に示しています。  下段中央の簡易に至っては金型のロゴを潰したと思われる痕跡まであったりして.....

ついでですから 楕円ALPSロゴの拡大画像も並べて見ましょう
上の画像と同じ順序で並べてみました

3 と 6 はほぼ同じ物のように見えますが、ケースそのものが若干異なります。  本物のほうも オレンジ軸底面と微妙に異なります

 



3. 仕様による分類

Intentionally left blank



4. クリック発生原理

仕様・メカニズムについては Qwerters Clinic サイトにこれ以上のものは無いと思われる図入り解説がありますのでそちらをご覧下さい。  そこを読めばこのページ全てが不要というのも事実ではあります。  よって割愛します。

ソフトタクタイルの オレンジ軸・ピンク軸スイッチ は初期の間は ごくごく軽微な 「チッ!」という音を発するのですがその理屈は充分に解明されていないようです。  「初期の間は...」 はという事からするとタクタイルバネ V字折り返し部分の曲げ角のヘタリが該当しそうに思われますがこれを広げると当然のことながらタクタイル感が強くなります。  そうする事で音を取り戻す場合もありますがそうでない時もありますのでむやみに広げない方がいいのではないかと思います。
もうひとつの可能性はタクタイルバネ位置保持用の両サイドのツメ4箇所を内側に折り曲げ、タクタイルバネの前傾動作を可能にすることがありますがこれで全て解決できるわけでもないようです。 上の2つを併用するとどうなるかは各人のリスクで試してみてください。

尚、 タクタイルバネを取り去ると 黄色軸や緑軸 と同じ リニアタイプとなりますが、ALPSスイッチの場合はメインのストローク用コイルスプリングとタクタイルバネとの組み合わせで適切なバネ圧を得るように設計されていると思われますので、これらのスイッチからタクタイルバネを取り去ると弱めのバネ圧となりやや頼りない軸動作となる場合があります。  コイルスプリングも同時に取り替えると良いかもしれませんがそのバネをどこで入手するか、という難問にブチあたります。 

 


5. 軸色による分類


軸については私自身も便宜上 軸色 を随所で用いていますが、軸色によって軸そのものが異なるというより 「同時に用いられている ケース、コイルスプリング、 タクタイルバネ などの各構成パーツが寄せ集まった結果としてスイッチの総合特性・感触に差が出てくる] でないかと考えています。 一般的にいわれる 「ピンクや青 は極上」 というのは製造時期との兼ね合いで 軸並びにスイッチハウジング内壁の仕上げ精度や潤滑処理によるところが大きいのではないかと思う次第です。 

面白い事例として 緑軸 と オレンジ軸を検証してみましょう。
緑軸には動作がとても滑らかなものと、砂をかんだようなカサツキを感じるものがあります。  オレンジ軸にも同様なものがあります。 これらのスイッチを滑らかな同色のものと比べると、 
? 緑軸の場合は成型用の型が異なることが認められる ( 底辺部の形状が異なる )
? オレンジ軸の場合は金型の違いはないように思われる。
? いずれも 軸と接触するバネ触手の形状/角度に滑らかなものとすでないものとの間で明確な違
    いは認められない。 
?両者で共通するのは 軸側面の表面仕上げの違いがある。

カサつき緑軸の場合は底辺部中央の型が明らかにことなっていますが、カサつく オレンジ軸 の場合 型 は良品と同じです。 カサ付き感をもたらしているのは軸側面下半分の表面処理によるものと考えられ、2種のカサつき軸はいずれも表面が 梨地仕上 げとなっています。 こうしてみると一慨に「軸に大きな違いは無い」とはいえなくなってきます。 一般的にいわれる 「ピンクや青 は 極上」というのは製造時期との兼ね合いで 軸・並びにスイッチハウジング内壁の仕上げ精度や潤滑処理によるところが大きく、初期の軸ほ ど製造上の手抜きが少なく、結果としてこれらの初期の軸( 黄色、緑、オレンジ、青、ピンク )が用いられているスイッチほど良品が 多いということになるのでしょう。 カサ付きのある緑軸、あるいは ダンパー付き軸 のように成型用の型も違っているものもありますが ALPS スイッチの軸の型は基本的に同一で優劣を決めるのは 軸の表面処理 並びに上ケースの軸接触面の処理でありましょう。 軸色は成 型時に加える顔料でどうにでもなるものであり、本来は便宜的なものであって、リニア、タクタイル、クリックの区分け、発注元メーカ ーの特定のロットごとの区別、あるいはストロークバネの違いを軸色を変えることにより区別する、などのために導入されたのではない のだろうと思います。

 特性 特徴  採用例
リニア  緑 LED用枠有り
タクタイルバネ無し
カサつきのあるものもある
 Zenith ZKB-2
 IBM 5556
 黄 LED枠枠有り
 Zenith ZKB-2
 IBM 5556
 灰/クリーム LED枠枠有り Zenith ZKB-2のスペースキー
     
クリック  空色    初期OMNIKEY
 NEC
 青    NEC 、 Chicony、ACER 他
 白    OMNIKEY
 その他 多数
ソフト
タクタイル
 オレンジ 一部にカサカサするものがある  APPLE 拡張
 APPLE KEYBOARD (M-0116)
 ピンク    DELL AT101( 旧ロゴ )
 APPLE I/拡張/拡張 II
 クリーム ダンパー入り  SGI、APPLE拡張 II
 白 ダンパー入り  SGI、APPLE拡張 II 
 黒    DELL AT101( 新ロゴ )
 DELL SK-D100M
     


緑軸の場合は基本的に他の軸と型そのものが異なる部分がありこの点についてはここでは割愛しますが軸を並べて観察すればすぐにわかります。  カサつきの無い緑軸を他のスイッチに入れ替えると極上のクリックタイプやタクタイルタイプになるといわれるのはこの違いによるものです。


上部ケースのスリット
SW上ケースには前述の通りスリットがあるものとスリット無しのものとがありますが、mousefanさん解析によれば古いSW はほぼスリット付きとなっており、これらはケース内スライド部の仕上げが異なり軸の動作がスムースであるという事のようです。    当然 青軸は スリット有り となっています。 

使用環境と保管状態によっては軸動作に引っかかりが発生し、物によっては放り投げてしまいたくなるようなものもありますが、 これは材質に起因するというより  第一に保管状態 、そしてその次に 仕上げによる差(乾式潤滑処理の有無 あるいはその定着具合) 、というところではないかと考えます。 但しそういうものでもほとんどが分解して上ケース内、軸スライド部を無水アルコールで丁寧に拭いた上で(熱湯洗浄すると尚 良い ) スムースエイドで処理すれば初期のスムースさを取り戻す事ができます。 粒子状の埃を溜め込んだまま使いつづけられたキーボードの場合は軸・上ケースの接触面がヤスリをかけたような状態になっている場合があり、そういう場合はグリスを使用しても原状復帰は非常に困難です。 また不幸にしてカサカサ緑軸と同じタイプの軸であった場合は元がカサカサですからそれ以上によくなることはありません。 このタイプのスイッチはクリックタイプには存在しないのではないかと思われ、かつ流通量もそれほど多くないのではないかと勝手に想像しています。  


ALPS in Taiwan and Korea

FOCUS ELECTRONIC とかその他の台湾メーカー...


日本ALPSのサイトで紹介されているALPSの社史をみると、 1970年に 台湾で福華電子という合弁会社を設立しています。 その後 日本ALPS社と同社は30年間にわたる協力関係にあったのですが、 2000年にALPS社が福華電子に全株式を売却し日本ALPS社は福華電子の事業から撤退しています。
福華電子 は 社名を英語で FORWARD ELECTRONIC としていますが、 「福華」そのものの中国語読みを 英語を当てはめるて FORWARD とする事はとても自然であるとのことです (  現代読みでは fuhoa => FOWARD  )。
一方 「華」の音は日本語の音読みでは「カ」となりますが中国語でも昔は「カ」行の音であったそうで、ひとひねりすれば 福華 => huca => FORCUS も充分に有りえそうです。   FOCUS ELECTRONIC は ALPSのライセンスの元でスイッチ製造等を主とした 福華電子= fuhoa = FORWARD のキーボード本体製造部門 ( ALPS キーボードOEM製造の工場・部門 )であり時には福華電子の子会社として自社ブランド品を製造する会社 であったのではないかと一時は考えました。 1980年代中期から1990年代にかけての台湾メーカーから Northgate 社へのALPS スイッチ採用のキーボードの供給 ( Omnikey 101/102以前 )や、ALPS ロゴ入りの FK-2001、さらにはロゴ抜き簡易 II の青軸もそれで説明がつくのではないかと思ったわけです。
しかし、この推測はただしくなかったようで, FOCUS社は 福克電子 という漢字表記の社名があり、 福華電子とは実態も異なるようで現在でもOEMキーボードを製造しています。
AT華やかなりし頃 台湾にはかなりの数のキーボードメーカーが存在していたようで、これらの会社のうち何社かはスイッチも製造していたようです。福華電子が主にALPSロゴ入りのALPS認定スイッチの供給源で、更に何社かに下請けで製造させていた可能性も充分にあります。  これらの下請け会社が正規納入品のほかにロゴ無し (あるいは ロゴをちょっと 変更した )コピーを作っていたという事は充分ありえることだと思います。
ALPS社と福華電子が2000年まで事業協力関係にあったという事はこれらの事実をALPS社としても充分認知していたはずであり、言い返せばロゴ付き 簡易 I だけなく、 簡易 II / III などのロゴ無しスイッチもすべてその発展系( 模倣品 ではなくて )と呼んで差し支えないのではないかと思います。   簡易角軸-II については 構造上耐久性の検証が必要ですが、今時そういう事を検証する意味もありません。
FILCO やATTESSA ブランドのキーボードは  Strong Man Enterprises とか Ortek などのメーカーが供給しており、スイッチは.....Forward か Strong Manか????....あるいは各社が独自に 福華 にライセンシーを払って製造しているとか...どうなんでしょうね。

  Company name decode in FCC ID

  KM9: Strong Man Enterprises Co Ltd  「 笙春」  
          英語名と中国語社名はまるで 関連性のない不思議な会社。
          簡易ALPS SW だけでなく Cherry SWも採用するなどOEMで元気一杯。

  GM8: Ortek 中国名は「歐帝」?。  WEB Site は英語版しかないような...

  FSQ: Focus Electronic  「福克」
          ( この会社もどこかに吸収合併されているらしい)

  F4Z :  Forward 「福華」。  上記

  GYU: Silitek Electronics (社名では正しくは Silitech となるらしい ) 「旭麗」
            現在は LITE ON Group に属しています。

  E8H: Chicony  「群光」 
           5160から5191は面白いというかなんと言うか...。 

  E5X: BTC  かつては 静電容量式スイッチを採用したりしてました。

  FBX:Data Comp 最近はMac用キーボード Macalley が有名ですね。
           尚、PS/2版の方は Strongman と型を共有していた事もあるようです。
           ( 8851 の型番など )。 社名は 「明哲」らしい。

  FKD:Monterey International 

  GS2: Costar  DOS/V 黎明期にもALPS SWキーボードがあったが、いまも
         頑張っているようだ。

以上はごく一部であって、他にも 目にするたびに初めてというメーカー名が刻まれたキーボード無数にあります。  ATに限らず現在の PCの発展にこれらの台湾のメーカーはとても大きな役割を果たしたという事が言えると思います。  
     

 

 

韓国キーボード事情

台湾と並び韓国にもかつてはALPS製造拠点が存在し、韓国の金星電子(GOLD STAR ALPS 、現在のLG電子 ) が日本ALPSとの合弁会社でした。  韓国のキーボードマニアの間でもALPSスイッチ採用キーボードは APPLE 拡張を始めとしてそこそこ人気があり、現在は ARON社が簡易 II もしくは III と思われるスイッチを採用したキーボードを 供給しているようです ( 現物を見たことがないので想像で書いているだけです)。

金星電子による製品で BIOS EXPRESS という AT84クローンを所有しており、これは青軸ではありますが他の青軸品に比べてクリック並びにタクタイル感が強く、Omnikey 白軸とほぼ同じタッチです。  兄弟機 の Silent Partner Bios AT84 は青軸らしい青軸 という事のようですが何が違うのでしょうね??

 
以上はほんの少しの事実とたくさんの推測交じりの個人的な感想ですのでその点を充分ご考慮願います。

 

原文作成 2004年 10月末

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