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生活保護費「天引き」、派遣村実行委が施設側に返還請求

2009年5月21日20時6分

 派遣村実行委員会(湯浅誠村長)は21日、千葉市にある「無料低額宿泊所」に入居していた男性(61)が、知らぬ間に銀行の口座を作られ、振り込まれた生活保護費の大半を「入居費」として不当に天引きされていたとして、施設側に、天引き分270万円を返還するよう申し入れた。

 実行委によると、男性は06年11月ごろ、東京都内の公園で野宿をしていて見知らぬ男に「ねぐらはあるか」と声をかけられ、千葉市稲毛区の無料低額宿泊所に連れてこられた。翌日には施設の関係者に連れられて生活保護を申請。印鑑は施設側に預かられた。

 毎月、施設使用料4万5千円、食費・運営費4万5千円など約9万円が天引きされ、現金約3万円と銀行の利用明細が手渡された。生活保護申請も銀行口座の開設も詳しい説明はなかった。

 部屋は2畳半ほどでトイレや浴室は共同。約50人が入居し、互いの部屋の訪問は制限されていたという。

 男性が4月の派遣村相談会を訪れ、実行委が調査。実行委の棗(なつめ)一郎弁護士は「本人の同意も得ずに保護費を天引きしており、入居していた間に引かれた計270万円は不当利得にあたる」としている。

 実行委の申し入れに対し、施設側は「金銭管理に関する本人の同意書がある」と説明したが、示された同意書は今年3月30日付のものだったという。銀行側は「稲毛区役所から要請があり、市が発行した生活保護受給証明書もあったので口座を開設した」と説明。千葉市は事実を調査するとしている。

 施設側は「取材には応じられない」としている。

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