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2009.05.20
 
ブームここに極まる『熱唱!ストII』
私の音、みんなの音、再現する音
カプコン退職、スクウェアへ
大阪から東京へ
シモムラ・パーカッション・オーケストラ
 

>> 1/4回から読む <<


   <出席者紹介>
下村陽子
『ストリートファイターII』から『ライブ・ア・ライブ』、『パラサイト・イヴ』、『キングダム ハーツ』、『聖剣伝説 Legend of Mana』などなど、激しいバトル曲からしっとりとしたピアノ曲まで、老若男女360度対応のスーパー・コンポーザー。現在はフリーの作編曲家として、劇伴、アニメ、テレビなどに活躍のフィールドを広げつつも、その軸足はゲームからブレない。昨年活動20周年を記念したベスト・アルバム『drammatica』をリリースしたほか、この5月には『キングダム ハーツ』のピアノアレンジアルバム『PIANO COLLECTIONS KINGDOM HEARTS』をリリースする。
Official Website:http://www.midiplex.com/
Official blog:http://blog.livedoor.jp/midiplex/
   

 
●ブームここに極まる『熱唱!ストII』
   
安部: インスト曲に無理やり歌詞をつけた曲っていうのが僕大好きで(笑)。『熱唱! ストリートファイター』はとても素晴らしいアルバムだなって思ってるんですけど。
   
大野: あれは大変なアルバムですよ。
熱唱!!ストリートファイターII
「サイトロン史上もっとも制作費がかかった」との言葉どおり(インタビュー本編参照)、戸田誠司プロデュースのもと結集したアーティストたち。純然たるGMファンにはイマイチ受けがよくないが、アイヲタ、ニューウェーブ、お笑い好きなど全方位対応の布陣は今だからこそ光る。楽曲自体も面白いものが多いので、騙されたと思って聴いてみて。
   
安部: 大変なアルバムなんですか。
   
大野: 死ぬかと思った。
   
下村: (笑)
   
大野: こういうシングルの企画って、ブームになってから、こっちから(アーティスト側に)話を持っていくような感じじゃない? それが、当時のポニーキャニオンの音楽制作担当者が「うちのアーティスト使って『ストII』で何かやりなよー」みたいな感じで向こうから話が来て。
   
下村: あー、そういう流れだったんですか!
   
大野: まず光GENJIとCoCoを使うっていうのがあって。まあ、このシングルでやるなら、どうせならみんなキャラクターを立てて、歌モノアルバムにしようよ、と発展したの。イベントも1回やったなあ。
   
安部: イベントですか?
   
下村: ええー! 知らない!
   
大野: 『熱唱! ストII』のイベント。司会が、伊集院光さん。会場は銀座のヤマハホール。
   
下村: ええっ、すごいじゃないですか。
   
大野: ゲストに光GENJIの山本君と、宮前真樹ちゃんが来て、ファンイベントとか、クイズ大会みたいな、そういう感じのイベントなんだけど、ソロ活動とはいえ、光GENJIとCoCoを一緒にやっちゃったもんだから、もう大変。(ふたりの)ファン層がもう、全然違うわけ。もういいや、じゃあ、出番になったら全部お客さんの席を入れ替えようってなって、数百人規模で前後入れ替えたの!
   
安部: すごいなー。
   
大野: じゃないと、文句が出ちゃうから。
   
安部: このアルバムは、92年12月16日発売ですね。人選って、どんな……まあ、大野さんに聞くことになっちゃいますか。
   
下村: いや、聞きたい、聞きたい、私!
   
大野: もともとFAIRCHILDの戸田誠司さんが、発起人いうか、プロデュース。
   
安部: すごいですよね、人選が。
   
大野: それから色々アイデア出しをして。まあ、ブランカは電撃だからって、本当に電撃ネットワークだとか。
   
安部: えー(笑)
   
下村: なんか、ネタみたい(笑)
   
大野: バイソンは……「それなら、俺の知り合いの旦那さんがギタリストで……」みたいな(笑)
   
安部: 黒人だから?……(曲リストを見ながら)このハイタイド・ハリスさんですか?
   
大野: でもね、この人ね、エリック・クラプトンのいたバンドで、なんだっけ……? 有名な、バンドのギタリストだったの(※John Mayall & The Bluesbreakers)。
   
一同: へー。
   
大野: ……って、後から知ったの(笑)。そんなすごい人だったんだよね。
   
安部: 巻上さんとか、すごいですよね。
   
大野: いろんなアイデアがあって、随分ボツになったのもあって、最初は沢田研二なんてどうかな? とか。
   
下村: えー! 何をやるんですか!?想像できない…。あと、なんか、あの、オフレコの人居ましたよね。
   
  (ここで、遅れてやってきたユーブック安藤氏会話に参加 )
   
安藤: オフレコの人…。
   
大野: そうそうそう、それが……超有名な人なんだけど……。
   
下村: 今もヒミツなんですね(笑)
   
大野: あとは、小山田圭吾さん、YOUさんもFAIRCHILDつながりで出てますよね。
   
下村: 島木譲二さんのとこに声で参加されてますよ。
   
安部: え、そうなんですか?
   
下村: 「まわるよーまわるよー」とかいって(笑)
   
安藤: 島木さんといえば、灰皿買いに行く話って……。
   
下村: そうそうそう。
   
大野: その時ぴぃちゃんと一緒に探しに行ったの、覚えてる。タクシーに乗って。
   
下村: 私は関西で、レコーディングは全然立ち会ってなくて。島木譲二さんだけ大阪で録るからっていう話で、立ち会わない? っていう風に声をかけてもらって。「じゃあ、行きましょう」ってなったときに、「ところで、このへんに灰皿売ってるとこ無い?」とか言われて(笑)。
   
安部: それ、ご本人に言われたんですか?(笑)
   
下村: 大野さんにですよ。まさかやってもらえると思わなかったんだけど、灰皿があったら(ポコポコヘッドを)やりますよ、みたいな話になったそうなんです。パチパチパンチは道具いらないんですけど。じゃあ、灰皿探そうということになって。道具屋街みたいなところに行ったんですけど、結局無くって、あきらめて、会社に戻る途中に、たまたま通りがかった駐車場の奥に、大量に灰皿が積んであるのが見えて、「今の! あの灰皿じゃないですか!」って急にタクシー止めて。
   
安部: タクシーから見えたんだ(笑)。
   
下村: そうなんです。何気に外を見たら…偶然。タクシーの運転手さんも「いやー、見つかってよかったですねー、僕も嬉しいですよ」みたいな事をいわれて。
   
安部: これはすごいレコーディング大変そう。
   
大野: 実力的なところで選んでいる人もいるし、まったくネタ一発もあるし。多分、サイトロン史上一番予算がかかってる。
   
下村: え、も、元、元は取れま……したか……?
   
大野: これはねえ、元取れてないなァ、確か。
   
下村: すみません(笑)。あ、でも、私、ケンの曲とか、カラオケに入ってくれないかなあって。「あー、私の曲はカラオケに無いんだ」って、いつも寂しい思いをしているんです。
   
安部: いや、本当ねえ、ケンの曲カッコいいですよね。入って欲しいですね。カラオケメーカーの方、ここを読んでいたら、是非!
   
下村: 歌詞の「電光石火のドラゴンダンス」は、すごい好きだったな。
   
安部: これ、作詞はどなたが?
   
大野: 作詞は、当時ファミ通にいた……
   
安藤: 櫛田ナム子(理子)さん。
   
安部: 全部?
   
安藤: 全部じゃないですよね? ほかにも居ましたよね。
   
大野: シングル曲は、プロの及川さんとか。
   
安部: そうだ、及川眠子さんだ。他のは?
   
安藤: 松井五郎さん!
   
大野: そういえば、ソナタクラブっておぼえてる? 大森の。
   
下村: ソナタクラブは行きましたね。これ、ソナタクラブで録ったんですか?
   
大野: うん、ほとんどがここ。
   
下村: このアルバムでは私、島木さんのレコーディングしか行って無いんですよ。……あとから聞いた話では、電撃ネットワークのときに消防車がきたとか?
   
大野: そうそう。スタジオで、爆竹かなんかを。
   
安部: スタジオでわざわざやったんですか!?(笑)
   
大野: だって全然録音には関係ないのに「サソリ持ってきました!」って(笑)
   
安部: 使わないでしょ(笑)。すごいなあ……この後に、もうちょっと『ストII』ブームが続いて、まだまだアルバムも続きますね。
   

 
●私の音、みんなの音、再現する音
   
安部: 『ストII』では、アレンジ仕事とかはもうほとんどやられていないんですか? 『熱唱!』も。
   
下村: 無いですね。最初にやったメドレー(『春雷』)と、あと、スタッフロールの曲。『ターボ』だったかな?追加になったスタッフロールの曲。
   
安部: 『ダッシュ』のときですね。
   
下村: 『ダッシュ』でしたっけ? 自分でも、もう忘れてるんで(笑)。スタッフロールの曲をアレンジしましたね。そのサポートに、2回目のインタビューで出てきたギターの方と、ドラムの方が付いてくださったんで、バンドでできる感じにアレンジして。次は、『ストII』のあとに、『キングオブドラゴンズ』を。このころからずいぶんレコーディングに慣れてきました。
   
安部: このころ『バース』でついに念願のシューティングですか。念願じゃないですかね?
   
下村: ボーナスステージの曲、担当じゃないのに、1曲だけ採用になってしまったんですよね(笑)。こうやってネットのプロフィールに書くのもあれなんですけど、フリー始めたころはとりあえず、やってるのは全部書いておこうって思って、それがそのまま残って……(笑)。で、結構1曲だけの担当とかあります。
   
安部: なるほどなるほど、ファンの皆さんはネットで「一部担当」ってどれだろう? って話してるんですよ。次の『パニッシャー』は、また、ずいぶん、また渋い感じです。
   
下村: そうですね。
   
安部: これは全曲?
   
下村: いや、全曲ではなくって、『パニッシャー』がほとんど終わるころに退職してしまったので、多分、ステージ構成が変わったとか、尺が合わなかったとか、何曲かは変わってるはずなんですね。基本的にはひとりで担当して、ほぼ……9割くらいはやってるんじゃないかなあ、と思うんですけど。私、筺体は持ってないので、確かめようがなくって(苦笑)。
   
安部: あ、そうですよね。でも、これ、サントラ出てますね。
   
下村: 出てるんですけど、もう辞めたあとに出てるので、サンプルを頂いてないと思うんですよね。
   
安部: なるほどね。
   
下村: で、そのアレンジが斉藤寛治さんっていう、『ストII』のイメージアルバムと同じ方が担当されたことだけは聞いていたんですけど。
   
安部: ちなみにこの時期、『ストII』のスーパーファミコン版もあるんですけど、これは作業は担当されていないんですか?
   
下村: 『ストII』のスーファミ版は、自分で担当しました。楽器の波形録ったり、乗せたりとかはしてないんですけど、曲データはほとんど自分で調整しましたね。
   
安部: ずいぶん鳴りが違う感じになったと思うんですけど。
   
下村: そうですね、やっぱり、全然音源が違うので。
   
安部: SPC音源になってからのこの、環境の変化をちょっとお伺いしますが、やっぱり勝手はずいぶん違ったんですか?
   
下村: 全然違いますね。スーファミは特殊ですね。スーファミ独特の「こうしたら活きる」というのはあります。なので、スーファミ後期になってくると「こうした方が絶対きれいに鳴ると思う」とか、「こういう音源使った方が絶対いいと思う」みたいなのがはっきりしてくるので、たぶん、あとになればなるほど、スーファミらしい感じの音になってきてるんじゃないかなと。『ストII』のころは初めてだったので、どう再現したらいいのか悩みました。まず、自分が作ってる段階のものがあって、そこからアーケード用にFM音源に落とし込むときに、そこでちょっとイメージと乖離してしまうので、どこまでそれが合わせられるかっていうところがあって。さらに今度スーファミになると、自分の作ろうとしていたものとも乖離してるし、ユーザーさんが親しんで下さってるFM音源版からも乖離してしまうので、結構、そこの落としどころで悩んで、かなり試行錯誤した記憶がありますね。……急にまじめな話になりましたね(笑)。どうしよう、シーンとしないでくださいよ(笑)。
   
安藤: 昔の音源とかも、制作者と、ユーザー側の音に対するギャップ……というか、「想い」の違い。曲を作ってる側は「いい音で提供したい」という気持ちが大きいんで……。自分もオープンリールのテープの時代から色々と収録してきたけど、とあるゲームではノイズがバチッと乗るシーンがあって、あえてそこを編集で切ったりする。ノイズのピークのところだけ物理的に何ミリかテープを切って、スプラッシングで繋ぐ、というノイズに対する処理をやっていたんだけど、逆に、ユーザー側からは「そのノイズが入っていてナンボ」という意見もありましたね。
   
安部: 究極の原曲派。永遠のテーマですね。
   
安藤: 作り手としていい音で聴いて欲しいってのは大きいですよね。
   
下村: うーん、そうなんですよね。なんというか、(ハードに落とし込むと)音源変わっちゃうじゃないですか。変わらないように自分の思ったとおりにできるだけ近い形で乗せるようにするんですけど、やっぱり変わってしまうから。たとえばCDでお届けするチャンスがあると、「元はこうだった!」というのをどうしても出したくなっちゃうんですよね。
   
安藤: 自分の中でのイメージと、音源とのギャップがあって。
   
下村: そうなんです。ただ最近思うのは、一度そういう形で世に出てしまったら、それが最終形なので、それを……作り手のワガママで変えてしまうのはどうなのかな? って。だったらいっそDSだったらDS音源のまま(CDに)乗せてしまうのが正しいのか。でも、ノイズは取りたいなぁ、とか、CD用としてメモリ確保して圧縮率を下げて、とか余計なこと思っちゃうわけですよ(笑)。結局どうするべきなのか、とは今も考えていることです。
   
安藤: その辺は昔からジレンマとしてありますよね。
   
安部: CDの収録限界の74分が破られない限り無理ですよね。
   
大野: データのアーカイブっていう作業をしているわけではなくて、作品を作ってるわけですよね。
   
安部: アーカイブ的なCDを聴いているとちょっと辛いですよね。気持ちはわかるけど、聴いてて面白いのが好きです。
   
下村: いろんな形で出せれば一番いいんですけど、なかなか……。最近はホント、曲数は多いわ、曲は長いわ、1枚に収まらないからただでさえ2枚組になるのにオリジナル音源版をいれたらもう4枚、みたいな。作るのも聴くのも大変ですよね(笑)。
   

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