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新型インフル 健康な若年層にまん延 原因究明急ぐ (1/2ページ)
新型インフルエンザに感染したニュージーランド人のブレント・ロブさん(34)は、彼の救命に医者が試みた最終措置が原因で意識不明の状態に陥り、11日間も生死の境をさまよった。ロブさんに基礎疾患(持病)はない。
運動のため、1週間に約20キロメートルを自転車で走る印刷工のロブさんは病気中に2カ月間休職し、体重は6分の1減少した。なんとか生き延びたロブさんは、急速に広がったパンデミック(世界的大流行)の不可解な現象の実例だ。4カ月間で177カ国・地域に広がった新型インフルは、わずかな例外を除き、大半が発熱やせきの症状にとどまる。
季節性インフルエンザで死亡するのは主に、体の弱い高齢者だ。1918年に大流行したスペイン風邪同様、新型インフルエンザが、なぜ健康な若年層を死に至らしめるのか、研究が進められている。その原因は、遺伝子の問題なのかもしれないし、あるいは、感染した人がくしゃみしたそばで、単に深く息を吸い込んだだけなのかもしれない。
世界保健機関(WHO)の新型インフルエンザ対策担当、進藤奈邦子医務官は「それこそわれわれが解明すべき問題だ」と語った。WHOのチャン事務局長によれば、世界で発生した重篤なケースのうち、約25〜50%は、ニュージーランドのロブさんのような若年層や中年層がかかわっている。
風邪を重篤化させる基礎疾患としては、ぜんそくなどの呼吸器系疾患や糖尿病、循環器系疾患があるほか、妊娠でも症状が悪化する。
豪メルボルンにある、WHOのインフルエンザ研究センターで局長代理を務めるイアン・バー氏によれば、統計によって、新型インフルが、どれほど予測不能か浮き彫りになったという。バー氏は取材に対し、「基礎疾患を持っている人の中には、重篤化することがないとわかってうれしい人もいるだろう。しかし、健康な人々が倒れたという点には注意が必要だ」と語る。