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小説家 明治6年(1873)〜昭和14年(1939)65歳没 本名 鏡太郎
江戸戯作者の流れを汲み、世話物と幻想的な作風で知 られる泉鏡花は、石川県金沢市下新町23番地(現在の 尾張町の久保市乙剣宮近く)に、金沢の彫金・象嵌細工 師泉清次を父とし、江戸の鼓師の娘で、宝生流の重鎮シ |
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テ松本金太郎の妹である鈴を母として生まれます。 若く美しいままの母を幼少期に失った彼は、美をそして美しい女を聖な るもの至上のものとして生涯描き続けます。 鏡花の名は、「共に美しいがそれを手中にはできない」の意味を持つ 「鏡花水月」の語からきています。 「義血侠血」(明治27年)「照葉狂言」(明治29年)「薬草取」 (明治36年)など、この地を舞台とした作品が多く、「義血侠血」は 「滝の白糸」の外題で新派の当り狂言となり、兼六園でのクライマックス ではことじ燈篭の書割が背景になっています。 大正8年から連載発表した長編小説「由縁の女」(のちに「ゆかりのを んな櫛笥集」と改題)は川端康成が「最も傑れたものの1つ」と評し、昭 和14年発表作「縷紅新草」は後年、三島由紀夫をして「神仙の域に達し ている」感嘆せしめましたが、これが小説として最後の作となります。 彼を敬愛する故郷の市民は多く、生誕百年の昭和48年に金沢市は泉鏡 花文学賞を制定してその業績を顕彰することになりました。 また平成11年11月14日には、生家跡に泉鏡花記念館がオープンしました。
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泉鏡花ゆかりの地を散策してみませんか。 上の絵をクリックすると詳しいマップが出てきます。
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作品紹介
義血侠血(明治27年)
- のちに「滝の白糸」の外題で上演され、新派の代表的狂言の一つ
となった作品です。
照葉狂言(明治29年)
- 年上の女性と少年という関係の中に、鏡花がしばしば取りあげた
母性思慕という主題が存在します。
高野聖(明治33年)
- 越前敦賀の旅籠屋で、同宿の僧から、若いとき経験した不思議な
ざんげ物語を聞くという形式で書かれています。
春昼・春昼後刻(明治39年)
- 「高野聖」に並ぶ幻想的な鏡花小説の双璧をなすものです。
婦系図(明治40年)
- 前編は尾崎紅葉が認めなかった鏡花とすず夫人の同棲が基となっ
ています。
白鷺(明治42年)
- 夏目漱石の好意で、初めて朝日新聞に連載された花柳小説です。
歌行燈(明治43年)
- 芸術至上主義をうたいあげた鏡花円熟期の名作です。
戯曲 夜叉ヶ池(大正2年)
- 越前の秘境「夜叉ヶ池」を舞台とした妖怪物です。
日本橋(大正3年)
- 「白鷺」に続く花柳界を描いた代表的一作です。
戯曲 天守物語(大正6年)
- 日本における耽美的戯曲の最高峰ともいえます。
由縁の女(大正8〜10年)
- 川端康成が「最も傑れたものの1つ」と評した長編小説です。
眉かくしの霊(大正13年)
- 大正期における鏡花幻想小説の白眉とされているものです。
縷紅新草(昭和14年)
- 三島由紀夫をして「神仙の域に達している」感嘆せしめた、鏡花
最後の作品です。
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