2010年4月22日
画像1:ニコンの新コンパクトデジカメ「COOLPIX P100」(実売価格4万3700円)。光学26倍ズームに対応。夜景などもノイズが少なく撮影できるのが特徴
画像2:パナソニックの最新ビデオカメラ「HDC―TM700」(実売価格12万5000円)。家庭用ビデオカメラとしては初めて「1080P」による高画質録画モードを搭載
画像3:パナソニックのコンパクト一眼カメラ「DMC―GF1C」(20ミリレンズ付き、実売価格6万7800円)。720Pでの動画撮影機能を搭載。カラーはレッド、ホワイト、ブラック、シルバー、ピンクの全5色
画像4:ソニーのコンパクトデジカメ「DSC―HX5V」(実売価格4万300円)。光学式手ぶれ補正に対応したAVCHD方式で、従来のビデオカメラ並みの動画撮影機能を搭載
画像5:カシオのコンパクトデジカメ「EX―Z2000」(実売価格2万6400円)。カメラ内部で静止画や動画同士を合成する「ダイナミックフォト」や絵画的なタッチに変更する「アートショット」など特殊加工機能に優れる
最近のデジカメには、動画撮影機能がついているのが当たり前になっています。以前は画質が悪かったのですが、今の製品はそんなことはありません。ビデオカメラの代わりに十分使える性能を持っています。
でも、ちょっと待ってください。本当にデジカメをビデオカメラ代わりに使うには、ちょっと注意しないといけないことがあるのです。
それは「映像のフォーマット」。動画を中心にデジカメを選ぶ際に注意すべき点をまとめてみましょう。(西田宗千佳)
「ファイル」単位のデジカメ、「AVCHD」のビデオカメラ
デジカメとビデオカメラの違いはなんでしょう? 以前であれば、「ビデオはテープ、デジカメはファイル」と答えたのですが、いまやビデオカメラもメモリーカードやハードディスクに映像を記録するようになったので、ビデオカメラも「ファイル」で保存する時代になっています。実際には、光学的な設計が違うため、まったく同じような映像が撮影できるわけではないのですが、デジカメでもハイビジョン動画も撮影できる現在、機能的に大きな差はなくなりつつまります。
ただし、はっきりと違う点が一つあります。
それは、記録に使う「ファイルフォーマット」が「パソコン由来のもの」か「家電由来のものか」ということです。
例えば、ニコンのデジタルカメラ「COOLPIX P100」(画像1)は、動画フォーマットとして「MOV」という拡張子のファイルを使っています。これはアップルのQuickTime形式で、パソコンでは広く使われているものです。
それに対し、ビデオカメラであるパナソニックの「HDC―TM700」(画像2)では、ファイルの拡張子は「m2ts」。でも実際には、映像が入ったフォルダーの中に、正体のわからない細かなファイルがあります。映像のファイル単体ではなく、フォルダーの中身や構造まで含めて全部が「ファイル形式」なのです。現在のビデオカメラでは、「AVCHD」という形式が主流で、HDC―TM700もAVCHDを採用しています。
両者の違いは、「ファイル単体」で扱うことを前提としているかいないか、ということにあります。
パソコンでビデオ編集をする時には、一つ一つのファイルを扱う場合がほとんどです。パソコンを使っている人ならば、「どの映像がどのファイルで、どのソフトで扱えるのか」を理解しているはずで、だとすれば、「ファイル単位でシンプルに扱える」方が便利だろう、という考え方です。
しかし、ビデオ映像を扱う人が「パソコンを使うとは限らない」という考え方だと、ちょっと発想が変わってきます。
AVCHDは、ビデオカメラだけで使われているわけではありません。ブルーレイ・レコーダーやテレビ、プレイステーション3のような家電機器でも利用されます。例えば、ブルーレイ・レコーダーにビデオカメラをつなぎ、映像をハードディスクに転送、必要な部分だけ切り出してDVDやブルーレイにダビングする、といったことができます。それを簡単に、しかも複数の機器で行うには、シンプルに「ファイル」があるだけでは不足です。なので、「家電機器同士での連携」を考え、パソコンとは違う配慮の上に作られているのがAVCHDなのです。実は、AVCHDは、ブルーレイ・ディスクのフォーマットを流用して開発されており、ブルーレイディスク対応機器との相性が良くなっています。
ソニーやパナソニックは、パソコン以外の機器での利用も考え、デジカメでの動画撮影形式にもAVCHDを採用しはじめています。
パナソニックは、動画対応の一眼デジカメ「DMC―GF1C」(画像3)などで1280×720ドットの映像を記録した「AVCHD Lite」を採用していますし、ソニーは、ビデオカメラと同じ「1920×1080ドット」で記録するAVCHD方式を、新製品「DSC―HX5V」(画像4)から採用しています。
AVCHDは家電向けだとはいえ、パソコンで扱うのも難しくありません。細かいファイルはともかく、さきほど挙げた「m2ts」形式のファイルを編集すれば良いからです。特に最新のウィンドウズであるウィンドウズ7では、標準でこの形式のファイル再生に対応し、敷居が大きく下がりました。また、最新の動画編集ソフトならば、ほとんどがAVCHDに対応しており、その点でも、大きな問題は減っています。
1969年東京都生まれ。主に初心者向けのデジタル記事を執筆。朝日新聞土曜版beの「てくの生活入門」に寄稿する傍ら、日経BP社のウェブサイト日経PC Onlineにて「サイトーの[独断]場」を連載中。近著に「パソコンで困ったときに開く本」(朝日新聞出版)、「すごく使える!超グーグル術」(ソフトバンククリエイティブ)などがある。
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは「電気かデータが流れるもの全般」。朝日新聞、アエラ(朝日新聞出版)、AV Watch(インプレス)などに寄稿。近著に「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの」(朝日新書)、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)がある。
グーグルというのは奇妙な会社である。世界一の検索サイト、のはずだが、やってる事業がまあいろいろ。地球………
多くの人は本書の題名を見て、わが目を疑うかもしれない。これまでホームページを作るといえば、専用ソフト………