ミュージック 特集&ピックアップ

ミュージック特集&ピックアップ
2005年07月13日

 今にして思えば、「黒毛和牛上塩タン焼680円」はとんでもなくショッキングなタイトルだった。“なんなんだ、コミックソングか!? ”と思わせておいて、直球が内角を抉るような熱いラブ・ソングに呆然としてしまった人も多いことだろう(いい意味で)。実際“そうか、こんな擬人法もあるのか”と感心してしまったものだ。にもかかわらず、今回の「ネコに風船」というタイトルを見たときに、“次はファニーなナンバーなんだ”と早とちりをしてしまった。
 大塚 愛とネコ、実にベストな組み合わせだ。彼女が描くキャラはウサギではあるが、その自由奔放な姿勢、好奇心の塊のようなスタンス、思考よりも感情の赴くままに動いてしまいそうなたたずまい(いい意味で)などを見ていると、“ネコっぽいよね”と思ってしまうこともしばしば。だが、大塚 愛の思考はそんな表面的なネコの部分にとどまるのではなく、ネコの内面に入り、そのネコの視線を通して、愛を歌うという鮮やかなものだった。デビュー以来、常に感じてきた言葉選びのうまさが存分に発揮された1曲だと思う。
 曲を聴く前に、一度歌詞だけに目を通してみることをお薦めしたい。極めて平易な文がそこにある。難解な単語は一つも使われていない。小学生にもよくわかるし、読んで聞かせるんだったら、幼稚園児だって理解できるストーリー。でもそこには、愛に対する彼女の強い思いもしっかりと組み込まれている。難しくカッコよく歌うのは大変なこと。でも、誰にもわかるように深いテーマを伝えるのはもっと大変なことだ。そんな高見を大塚 愛はこの作品で軽々とクリアした。驚くべき才能であり、侮れない才能でもある。
 さらに、アコースティック・ギターをフィーチャーしたどことなくフォーキーな響きも、曲の持つ自由度も高めるうえで効果的に使われている。計算しているようで、自然体の中から生まれて来たような作品。でも“計算がなければできないだろう、こんな曲!”と言ってみたくもなるほど細部に至るまで神経の行き届いたよくできたナンバー。テイストだけを捉えるのなら、彼女の本流を行くバラードのひとつに入ってしまうかもしれないが、漂ってくるフレーバーは全く異質なもの。それが、“この手があったか!?”と思わせる理由。「さくらんぼ」や「SMILY」の合いの手バシバシも楽しいけれど、こうして曲にくるまれてみるのも、ひょっとしたらヤミツキになるかもしれない。大塚 愛、改めてスゴイやつと思わされた夏の出会い。
(文:田井裕規)

ネコに風船【CD+DVD】
大塚 愛
2005/07/13[シングル]
\1,890(税込)
エイベックス・トラックス
AVCD-30740/B
東芝『CDMA 1X WIN W31T』CMソング



ネコに風船【CD】
大塚 愛
2005/07/13[シングル]
\1,050(税込)
エイベックス・トラックス
AVCD-30741
東芝『CDMA 1X WIN W31T』CMソング



1982年9月9日生まれ、大阪府出身。O型。
4歳からピアノを習い始め、中学生時代から弾き語りをするように。
2003年9月、シングル「桃ノ花ビラ」でデビュー。
2003年12月、シングル「さくらんぼ」で5位獲得。
2004年3月3日、シングル「甘えんぼ」で6位獲得。
2004年3月31日、アルバム『LOVE PUNCH』で3位獲得。
2004年7月7日、シングル「Happy Days」で3位獲得。
2004年8月18日、シングル「金魚花火」で3位獲得。
2004年10月20日、シングル「大好きだよ。」で3位獲得。
2004年11月17日、アルバム『LOVE JAM』で首位獲得。
2005年2月9日、シングル「黒毛和牛上塩タン焼680円」で3位獲得。
2005年5月11日、シングル「SMILY/ビー玉」で首位獲得。
2005年7月13日、シングル「ネコに風船」をリリース。
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前回の特集 『J-POPの“おもちゃ箱”!』(2005/05/09)
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